更新日:2026.11.06

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個人事業主の経費とは、事業の収入を得るために必要な支出のことで、確定申告では必要経費として収入から差し引くことが可能です。経費を正しく計上すると、事業の所得が適正に計算され、所得税や住民税の負担にも影響します。
本記事では、個人事業主が経費にできる範囲や判断基準、経費にできるもの・できないものをわかりやすく解説します。
経費を計上するために必要な書類や注意点も紹介するので、確定申告の準備や日々の帳簿付けの参考にしてください。
個人事業主の経費とは、事業で収入を得るために必要な支出のことです。例えば、仕事で使用するパソコンの購入費や事務所の家賃、取引先への交通費などが該当します。
個人事業主は、原則として収入から必要経費を差し引いて事業所得を計算します。そのため、必要経費を適切に計上することで、課税対象となる所得が減り、所得税や住民税などの負担を軽減することが可能です。
ただし、支払った費用がすべて経費になるわけではありません。経費として認められるのは、原則として事業に関連する支出に限られます。
関連記事:経費とは?税金との関係や精算するときの注意点をわかりやすく解説
個人事業主が経費にできる支出は、事業内容によって異なります。ここでは、多くの個人事業主に共通する代表的な経費を、勘定科目ごとに整理します。
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勘定科目 |
主な内容 |
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地代家賃 |
事務所・店舗の家賃、駐車場代 |
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水道光熱費 |
事務所の電気・ガス・水道代 |
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通信費 |
電話・インターネット回線・切手・宅配便の費用 |
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旅費交通費 |
打ち合わせや出張のための電車・バス・タクシー・宿泊費 |
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消耗品費 |
文房具や事務用品、10万円未満の備品・パソコン |
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車両費 |
業務で使用する車のガソリン代、修理費 |
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接待交際費 |
取引先との飲食代、お中元・お歳暮などの贈答品 |
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会議費 |
打ち合わせの際の飲み物・軽食代 |
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広告宣伝費 |
広告掲載料、名刺・チラシの作成費など |
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外注費 |
業務の一部を他者に委託した際の報酬 |
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新聞図書費 |
業務に関連する書籍・雑誌・新聞代 |
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研修費 |
業務に必要な知識を得るためのセミナー・講座の受講料 |
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租税公課 |
事業税、事業用の固定資産税、印紙税など |
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損害保険料 |
事業用の建物・車両にかける火災保険・自動車保険など |
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減価償却費 |
パソコン・機械・車両などの取得価額を、耐用年数等に応じて配分した費用 |
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支払手数料 |
振込手数料、各種サービスの手数料 |
表は代表的な分類例です。支出の内容によっては、資産として計上し、減価償却などを通じて必要経費に算入します。また、仕事と私生活で兼用する費用は、事業に使用する部分に限って計上します。
勘定科目の使い分けに迷う場合は、各科目の解説記事も参考にしてください。
関連記事:
消耗品費とは?勘定科目や仕訳例、雑費・工具器具備品との違いを解説
旅費交通費とは?交通費との違いは勤務地外か勤務地の移動かで変わる。
通信費の平均とは?経費処理する際の勘定科目や仕訳例、月額の平均相場を紹介
個人事業主であっても、事業に直接関係しないプライベートの支出や、法律上必要経費として認められない費用は、経費に計上できません。
主な例は、以下のとおりです。
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経費にできないもの |
具体例・理由 |
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プライベートの生活費・娯楽費 |
家庭の食費や日用品代、家族への生活費、私的な旅行費用、普段着や美容院代など |
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所得税・住民税 |
個人に課される所得税や住民税は必要経費にならない |
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国民健康保険料・国民年金保険料 |
必要経費ではなく、原則として社会保険料控除の対象になる |
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事業主自身への給与 |
個人事業主が自分自身に支払う給与は必要経費にならない |
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借入金の元本返済 |
借りたお金の返済は必要経費にならない。ただし、事業用借入金の利息は経費にできる場合がある |
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罰金・科料など |
法令違反に伴う罰金や科料などは必要経費にならない |
なお、国民健康保険料や国民年金保険料は事業の必要経費にはなりませんが、社会保険料控除として所得から差し引ける場合があります。
また、生計を一にする配偶者やその他の親族に支払う給与は、原則として必要経費になりません。ただし、青色申告では、届出などの要件を満たす青色事業専従者給与を必要経費に算入できます。白色申告では、一定の要件のもとで事業専従者控除が認められます。
個人事業主が支出を経費にできるかどうかは、事業との関連性や使用目的、購入金額などによって判断します。
特に確認しておきたいポイントは、以下の3つです。
それぞれの判断基準について、詳しく解説します。
経費にできるかどうかを判断する際は、その支出が事業に必要なものかを確認することが重要です。
例えば、Webライターが記事制作のために購入した専門書や、デザイナーが業務で使用するデザインソフトの利用料などは、経費として認められる場合があります。一方、仕事に関係のない趣味の買い物や私的な飲食代などは、原則として経費にできません。
また、同じ支出でも、事業内容や使用目的によって経費として認められるかどうかが異なります。
そのため、支出の名称だけで判断せず、事業との関連性や必要性を確認しましょう。領収書などに使用目的を記録しておくと、経費として計上した理由を説明しやすくなります。
仕事とプライベートの両方で使用する費用は、事業で使用した割合に応じて家事按分することで、事業に必要な部分を経費に計上できます。
家事按分とは、家賃や通信費などの支出を、事業用と私用に分けて計算することです。
例えば、月額10万円の自宅家賃について、床面積や使用状況などから事業利用割合を30%と合理的に算定できる場合、月3万円を経費に計上できます。
ただし、按分割合は自由に決められるわけではありません。使用面積や使用時間など、客観的な根拠に基づいて算定する必要があります。
また、業務に必要な部分を明確に区分できるよう、計算根拠や使用状況を記録しておくことが重要です。
関連記事:按分とは?意味や計算方法、家事按分の割合の決め方をわかりやすく解説
パソコンや機械などの備品を購入した場合は、取得価額や使用可能期間に応じて、減価償却が必要かどうかを確認しましょう。
減価償却とは、資産の取得費用を、耐用年数などに応じて各年の必要経費に配分する処理です。原則として、使用可能期間が1年以上で取得価額が10万円以上の備品は、購入した年に全額を経費にするのではなく、減価償却を行います。
ただし、一定の要件を満たす場合は、以下の制度を利用できます。
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制度 |
対象となる取得価額 |
必要経費への計上方法 |
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一括償却資産の制度 |
10万円以上20万円未満 |
事業に使用し始めた年から3年間、毎年3分の1ずつ計上 |
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少額減価償却資産の特例 |
10万円以上40万円未満※ |
一定の青色申告者は、年間合計300万円を限度に、事業に使用し始めた年に全額を計上 |
※40万円未満の基準は、2026年4月1日から2029年3月31日までに取得した対象資産に適用されます。2026年3月31日までの取得分は、30万円未満が対象です。
なお、取得価額は、税込経理では税込金額、税抜経理では税抜金額で判定します。消費税の免税事業者は、税込金額で判定します。購入金額だけでなく、取得日や各制度の適用要件も確認しましょう。
関連記事:
少額減価償却資産とは?2026年度改正で40万円未満に|特例の要件を解説
減価償却費とは?対象資産・計算方法・仕訳・注意点をわかりやすく解説
経費を計上するには、支出の事実を示す書類を保管しておく必要があります。領収書やレシート、請求書、クレジットカードの利用明細などが代表的です。
領収書が発行されない電車・バスの運賃などは、利用日・金額・目的・区間を出金伝票や帳簿に記録します。利用履歴などの資料があれば、併せて保存しましょう。
保存期間は、帳簿や書類の種類、青色申告か白色申告かによって異なり、原則として5年から7年です。メールやWebサイトで受け取った領収書などは、電子帳簿保存法に沿って、電子データのまま保存する必要があります。
経費の計上に必要な書類と保存期間は、以下の表を参考にしてみてください。
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申告区分 |
帳簿・書類 |
所得税上の保存期間 |
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青色申告 |
帳簿・決算関係書類 |
7年 |
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青色申告 |
領収書・預金通帳などの現金預金取引等関係書類 |
原則7年※ |
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青色申告 |
上記以外の請求書・見積書・契約書など |
5年 |
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白色申告 |
収入・必要経費を記録した法定帳簿 |
7年 |
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白色申告 |
任意帳簿・請求書・領収書など |
5年 |
※青色申告の現金預金取引等関係書類は、前々年分の事業所得と不動産所得の合計額が300万円以下の場合、5年です。
関連記事:
電子帳簿保存法の保存期間は何年?法人・個人事業主別に5年・7年・10年を解説
出金伝票の書き方とは?記載項目・勘定科目・領収書がない場合の注意点を解説
個人事業主が経費を計上するには、事業に必要な支出を確認し、領収書などの証憑を整理したうえで、帳簿に記録する必要があります。
基本的な流れは、以下の4ステップです。
それぞれの手順について、詳しく解説します。
まずは、事業で発生した支出を洗い出し、必要経費として計上できるものを確認しましょう。
経費に該当するかどうかは、支出の内容や使用目的、事業との関連性などをもとに判断します。
また、仕事とプライベートで兼用している費用については、事業で使用した部分を合理的に区分する必要があります。
経費にできるか判断に迷う支出がある場合は、使用目的や事業との関連性を確認し、必要に応じて税理士などの専門家に相談しましょう。
経費に該当する支出を確認したら、領収書や請求書などの証憑を整理しましょう。証憑とは、取引が実際に行われたことや、支払金額などを確認できる書類のことです。
領収書のほか、レシートや請求書、クレジットカードの利用明細なども取引内容を確認する資料になります。
証憑は、日付や取引先、金額、支出内容などを確認し、月別や取引内容別に整理しておくと管理しやすくなります。
また、電子メールで受け取った請求書やWebサイトからダウンロードした領収書などは、電子帳簿保存法に基づく電子取引データの保存要件にも注意が必要です。
証憑を整理したら、支出の内容に応じた勘定科目を選び、帳簿に記録します。帳簿には、取引日や金額、勘定科目、取引先、取引内容などを記録しましょう。
なお、同じような支出については、原則として継続して同じ勘定科目を使用すると、経費の管理や集計がしやすくなります。
会計ソフトを活用すれば、取引の記録や勘定科目ごとの集計を効率化できるため、経理業務の負担軽減にもつながります。
帳簿に記録した経費は、年間の金額を集計し、確定申告に必要な書類へ反映させます。青色申告の場合は青色申告決算書、白色申告の場合は収支内訳書に、勘定科目ごとの必要経費などを記載しましょう。
そのうえで、年間の総収入金額から必要経費を差し引いて事業所得を計算し、確定申告書を作成します。
なお、確定申告では、原則として領収書や請求書を申告書に添付する必要はありません。ただし、税務調査などで確認を求められる場合があるため、法令で定められた期間は適切に保存する必要があります。
申告前には、経費の計上漏れや重複、金額の入力ミスがないか確認しましょう。
関連記事:確定申告で領収書は必要?提出・保存期間やない場合の対処法を解説
個人事業主が経費を計上する際は、支出の内容を正確に記録し、税務上のルールに沿って処理することが重要です。
特に注意したいポイントは、以下の2つです。
それぞれの注意点について、詳しく解説します。
経費を計上する際は、実際に代金を支払った日ではなく、原則として費用が発生した年に計上しなければなりません。
例えば、12月に業務で使用したサービスの料金を翌年1月に支払う場合、原則として12月が属する年の経費として計上します。一方、翌年分のサービス料金を前払いした場合は、原則として支払った年の経費にはならず、翌年以降の費用として処理します。
計上する年を誤らないよう、取引内容やサービスの提供時期を確認しましょう。
経費を不正に計上すると、税務調査などで指摘され、追加の税金や加算税などを課される可能性があります。
例えば、プライベートの飲食代を事業の接待交際費として計上したり、実際には発生していない経費を架空計上したりする行為は、不正計上に該当するおそれがあります。
経費を過大に計上して所得を少なく申告した場合、修正申告などによって不足する税額を納めなければなりません。また、状況に応じて過少申告加算税や延滞税が発生することもあります。
さらに、事実の隠蔽や仮装を伴う悪質なケースでは、重加算税が課される可能性があります。
単純な記帳ミスと意図的な不正は区別されますが、いずれの場合も正確な申告が重要です。経費の判断に迷う場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。
個人事業主の経費についてよくある質問に回答します。
個人事業主の必要経費には、原則として一律の金額上限はありません。
ただし、事業との関連性や必要性を説明できる支出に限られます。また、備品などは、取得価額や適用制度によって、一度に経費にできる金額や計上時期が異なります。
経費の金額が大きい場合でも、事業との関連性を説明できるようにしておくことが重要です。
領収書がなくても、事業に必要な支出であることを確認できれば、経費に計上できる場合があります。
例えば、請求書や銀行口座の入出金履歴、クレジットカードの利用明細などが取引の証拠となることがあります。
ただし、これらの資料だけでは取引内容を十分に確認できない場合もあるため、領収書やレシートはできる限り保管しましょう。
なお、消費税の仕入税額控除を受けるには、原則として帳簿とインボイス等の保存が必要です。カード会社の利用明細や自作の出金伝票だけでは、要件を満たさない場合があります。
開業前に支払った費用も、事業を開始するために必要な支出であれば、経費として処理できる場合があります。
例えば、開業準備のための広告費や打ち合わせ費用などは、開業費として繰延資産に計上し、償却する方法があります。
ただし、すべての開業前の支出が開業費になるわけではありません。固定資産の購入費などは別の処理が必要になるため、支出内容に応じて判断しましょう。
個人事業主の経費とは、事業で収入を得るために必要な支出のことです。経費を適切に計上することで、課税対象となる所得が減り、税負担を軽減できる可能性があります。
ただし、すべての支出を経費にできるわけではありません。事業との関連性を確認し、仕事とプライベートで兼用する費用は家事按分するなど、適切に処理することが重要です。
また、領収書や請求書などの証憑を保存し、正しい勘定科目で帳簿に記録する必要があります。
経費にできるもの・できないものを正しく理解し、日頃から適切な経費管理を心がけましょう。
経費を正しく計上するには、支出ごとに適切な勘定科目を選び、証憑を保管することが欠かせません。 勘定科目の選び方や仕訳に迷う方は、以下の資料もぜひご活用ください。