更新日:2025.11.28

ー 目次 ー
請求書を送るとき、「ご査収ください」と書くのは正しいのかな...と迷ったことはありませんか?
実はこの表現、目上の相手や取引先にも安心して使える丁寧な敬語です。
この記事では、「ご査収」の正しい意味や「ご確認」「ご検収」との違い、場面に応じた言い換え表現をご紹介します。さらに、請求書を受け取ったときの自然で失礼のない返信例も紹介します。
「ご査収(ごさしゅう)」とは、「内容をよく調べて受け取ってください」という意味を持つ、丁寧な依頼の言葉です。ビジネスシーンにおいて、請求書や見積書、契約書といった重要書類を送付する際に用いられます。
「査」という漢字には「調べる、検査する」、「収」には「取り入れて自分のものにする、受け取る」という意味があります。この二つの漢字が組み合わさることで、単に目を通すだけでなく、内容を精査した上で、確かに受け取ってほしいというニュアンスが生まれます。そのため、金銭や契約が関わる書類の送付時に最適な表現とされています。
「ご査収」と混同されやすい言葉に「ご確認」や「ご検収」があります。それぞれ意味や使われる場面が異なるため、正しく使い分けることが重要です。違いを以下の表にまとめました。
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言葉 |
意味 |
主な対象 |
ポイント |
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ご査収 |
内容をよく調べて受け取ること |
請求書、見積書、契約書、納品書など金銭や契約に関わる重要書類 |
「受領」のニュアンスが最も強い。相手に受け取った事実を明確にしてもらいたい場合に使用する。 |
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ご確認 |
内容を確かめること |
メール本文、添付ファイル、スケジュール、資料全般など幅広く使える |
最も汎用性が高い表現。内容に目を通してほしい、間違いがないか見てほしいといった場面で使う。 |
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ご検収 |
納品物が発注通りか検査して受け取ること |
商品、製品、システム、成果物など |
主に物品やサービスなどの「納品物」に対して使う専門的な言葉。請求書そのものではなく、納品されたモノの状態を確認する際に用いる。 |
このように、「ご確認」は幅広く使える便利な言葉ですが、請求書のような重要書類に対しては「ご査収」を用いることで、より丁寧で適切な印象を相手に与えることができます。「ご検収」は納品された物品のチェックを依頼する場合に限定して使いましょう。
結論から言うと、「請求書をご査収ください」はビジネスシーンで使える正しい敬語表現です。
相手に金銭の支払いを依頼する重要な書類だからこそ、「ご確認ください」よりも「ご査収ください」を使うことで、より丁寧で正確なニュアンスを伝えることができます。そのため、請求書を送付する際には自信を持って使用して問題ありません。
「ご査収」は、上司や役員といった目上の人はもちろん、大切な取引先に対しても失礼にあたることはありません。むしろ、ビジネスマナーとして適切な言葉遣いであると認識されます。
誰にでも使える丁寧な表現ですが、同僚・部下に対してはより簡潔に「ご確認ください」でも十分な場合がほとんどです。
実際にメールで請求書を送る際に使える例文を紹介します。件名を見ただけで、誰から何の書類が送られてきたのかが分かるように記載するのがポイントです。
件名:
【株式会社〇〇】請求書送付のご連絡(2023年10月分)
本文:
株式会社△△
経理部 〇〇様
いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の佐藤です。
2023年10月分の請求書(No.20231031-001)を添付ファイルにてお送りいたします。
お忙しいところ恐れ入りますが、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。
なお、本メールと行き違いでお支払いが完了しておりましたら、何卒ご容赦ください。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお申し付けください。
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署名
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このように、「ご査収ください」を「ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます」といったクッション言葉を交えた表現にすると、より柔らかく丁寧な印象になります。
「ご査収」は状況や相手との関係性によっては、別の表現がより適切な場合があります。ニュアンスに合わせて言葉を使い分けることで、より丁寧で円滑なコミュニケーションが可能になります。
ここでは、「ご査収」の代表的な言い換え表現を、それぞれの意味や使い方とあわせて解説します。
「ご確認ください」は、「ご査収」の言い換えとして最も使いやすく、汎用性の高い表現です。
「内容をよく見て、確かめてください」という意味を持ち、請求書はもちろん、見積書、契約書、企画書など、あらゆるビジネス書類の送付時に使用できます。「ご査収」が金銭や物品が関わる重要書類に使われることが多いのに対し、「ご確認ください」はより広い範囲の書類に使えるのが特徴です。相手や状況を選ばずに使えるため、どの表現を使うか迷った際には「ご確認ください」を選ぶと良いでしょう。
【例文】
請求書を添付ファイルにてお送りいたしました。
お手数ではございますが、内容をご確認いただけますと幸いです。
「お目通し(おめどおし)ください」は、「全体をざっと見ておいてください」というニュアンスで使われる言葉です。
「ご査収」や「ご確認ください」ほど厳密なチェックを求めるのではなく、内容を把握しておいてほしい場合に使用します。そのため、金額や支払期日など、詳細な確認が必須となる請求書の送付時に単体で使うのはあまり適切ではありません。参考資料や議事録の共有など、相手に負担をかけずに目を通してもらいたいシーンで活用しましょう。
【例文】
先日の会議の議事録でございます。
ご多忙のところ恐縮ですが、一度お目通しください。
「ご検収(ごけんしゅう)ください」は、納品した物品やサービスが、仕様書や発注内容と合っているかを確認してもらう際に用いる専門的な表現です。主に、成果物に対して「検査して収めてもらう」ことを依頼する際に使います。
通常、請求書は納品物の検収が完了した後に発行されるため、請求書送付のタイミングで「ご検収ください」を使うケースは多くありません。しかし、納品物と請求書を同時に送付する場合には、「納品物とあわせて請求書をご確認ください」という意味で使うことができます。
【例文】
本日、発注いただきました商品を納品いたしました。
あわせて請求書を添付いたしましたので、ご検収のほどよろしくお願い申し上げます。
これらの表現は似ているようで、それぞれニュアンスが異なります。
請求書をメールなどで受け取った際、どのように返信すれば良いのでしょうか。ここでは、返信の必要性から具体的なメールの書き方まで、ビジネスマナーに沿った対応方法を例文付きで解説します。
「請求書 ご査収ください」という連絡に対して返信は義務ではありませんが、無事に請求書を受け取ったことを相手に伝えるためにも、返信するのがビジネスマナーの基本です。
返信をすることで、送信者は「確かに届いたか」「内容は合っているか」といった不安を解消できます。特別な理由がない限り、できるだけ早く返信することを心がけましょう。
請求書受領のメールに返信する際は、件名と本文の書き方にポイントがあります。ここでは、状況に応じた3つのパターンの例文をご紹介します。
受け取った請求書の内容に何も問題がなかった場合の返信です。請求書を確かに受け取ったこと、内容を確認したこと、そして感謝の気持ちを伝えましょう。
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項目 |
記載内容のポイント |
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件名 |
「Re:」を付けたまま返信する。もしくは「請求書受領のご連絡(株式会社〇〇)」のように、用件と社名が分かりやすいように変更する。 |
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本文 |
①請求書を受け取ったこと(拝受・受領) ②内容を確認し、問題なかったこと ③送付いただいたことへの感謝 |
【例文】
件名:Re: 〇月分請求書送付のご案内
株式会社〇〇
経理部 〇〇様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の佐藤です。
この度は、請求書をお送りいただき、誠にありがとうございます。
添付にて拝受し、内容も確認いたしました。
迅速なご対応に感謝申し上げます。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
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株式会社△△
営業部 佐藤 〇〇
(連絡先などを記載)
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請求書の金額や項目に不明な点や誤りがあった場合は、その旨を速やかに連絡する必要があります。相手を責めるような表現は避け、確認を依頼するという丁寧な姿勢で問い合わせましょう。
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項目 |
記載内容のポイント |
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件名 |
「Re:」のままでも構いませんが、「請求書の件でのご確認(株式会社〇〇)」のように、質問があることが分かる件名にすると親切です。 |
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本文 |
①請求書を受け取ったことへの感謝 ②どの部分にどのような不明点があるのかを具体的に記載 ③確認をお願いしたい旨を丁寧に伝える |
【例文】
件名:〇月分請求書の件でのご確認(株式会社△△)
株式会社〇〇
経理部 〇〇様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の佐藤です。
請求書をお送りいただき、ありがとうございます。
拝見したところ、1点確認させていただきたい項目がございます。
お手数をおかけし大変恐縮ですが、項目「〇〇」の費用(〇〇円)の詳細について、ご教示いただけますでしょうか。
お忙しいところ申し訳ございませんが、ご確認のほど、よろしくお願い申し上げます。
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株式会社△△
営業部 佐藤 〇〇
(連絡先などを記載)
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受領連絡とあわせて支払予定日を伝えると、相手は入金の見通しが立つため、より丁寧な印象を与えます。経理担当者と連携し、支払日が確定している場合に活用しましょう。
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項目 |
記載内容のポイント |
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件名 |
「Re:」を付けたまま返信する形で問題ありません。 |
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本文 |
①請求書を受け取り、内容を確認したこと ②具体的な支払予定日 ③手続き完了後に再度連絡する旨(任意) |
【例文】
件名:Re: 〇月分請求書送付のご案内
株式会社〇〇
経理部 〇〇様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の佐藤です。
請求書を拝受し、内容を確認いたしました。
誠にありがとうございます。
つきましては、請求書の金額を〇月〇日(〇)に、指定の口座へお振込み手続きをさせていただきます。
お手続きが完了いたしましたら、改めてご連絡いたします。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
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株式会社△△
営業部 佐藤 〇〇
(連絡先などを記載)
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「ご査収ください」は、かしこまりすぎず、それでいて相手に敬意を伝えられる便利な言葉です。請求書のやり取りは、金額だけでなく信頼のやり取りでもあります。だからこそ、丁寧な一言が大切です。相手の立場を思いやる言葉遣いを意識するだけで、仕事の印象はぐっと良くなります。この記事をきっかけに、あなたのメールにも心のこもった敬語を、添えてみてください。