更新日:2026.11.05

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債権者とは、特定の相手に対して、金銭の支払いや商品の引き渡しなどを請求できる権利(債権)を持つ人や企業のことです。商品を後払いで販売した会社や、お金を貸した人などが該当します。
本記事では、債権者の意味や債務者との違い、債権者が持つ主な権利についてわかりやすく解説します。
債務者が支払わない場合に債権者ができることや、債権者として注意したいポイントも紹介するので、売掛金の回収や契約書の確認に役立ててください。
債権者とは、特定の相手に対して、金銭の支払いや物の引渡しなど、一定の行為を請求する権利を持つ人や企業のことです。
債権者が持つ権利を債権といい、売掛金や貸付金などが代表的な例です。債権は金銭の支払いに限らず、契約などに基づいて商品やサービスの提供を求める権利も含まれます。
なお、債権者になれるのは金融機関や企業だけではありません。個人も、契約などによって債権を取得すれば債権者となります。
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債権者は金銭の支払いや物の引渡しなどを請求する権利を持ち、債務者はその請求に応じて義務を履行する立場にあります。同じ取引でも、どちらの立場から見るかによって呼び方が変わります。
債権者と債務者の主な違いは以下のとおりです。
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項目 |
債権者 |
債務者 |
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立場 |
特定の給付を請求する権利を持つ側 |
その給付を行う義務を負う側 |
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売買代金の支払い |
売主 |
買主 |
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商品の引渡し |
買主 |
売主 |
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貸付金の返済 |
貸主 |
借主 |
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会計上の勘定科目 |
売掛金・貸付金など |
買掛金・借入金など |
なお、同じ取引において、債権者と債務者の両方の立場になることもあります。
例えば、商品の売買契約では、売主は代金を請求する債権者である一方、商品を引き渡す債務者でもあります。
債権者は、お金の貸し借りだけでなく、商品やサービスの取引、不動産の賃貸借など、さまざまな場面で発生します。
債権者にあたる主な例は、以下のとおりです。
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取引の種類 |
債権者の具体例 |
請求できる内容 |
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金銭の貸し借り |
お金を貸した金融機関や個人 |
貸付金の返済 |
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商品の掛け売り |
商品を販売した企業 |
商品の販売代金 |
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サービスの提供 |
サービスを提供した事業者 |
サービスの利用料金や報酬 |
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不動産の賃貸借 |
不動産の賃貸人(大家など) |
契約に基づく家賃の支払い |
例えば、企業が取引先に100万円の商品を掛け売りした場合、販売した企業は100万円の売掛債権を持つ債権者となります。
また、銀行が企業に融資した場合は、銀行が貸付金の返済を請求する債権者となります。
このように、債権者は取引の種類に応じて決まり、必ずしも金融機関や貸金業者に限られるわけではありません。
債権者は、担保権や法律上の優先権の有無によって、債権回収の際の立場が異なります。
ここでは、以下の3つの種類について解説します。
なお、これらは法律上の統一された分類ではなく、担保債権者と優先債権者のように、概念が重なる場合もあります。
一般債権者とは、担保権や法律上の優先弁済権を持たない債権者のことです。
例えば、取引先に商品を掛け売りした企業が、担保を設定せずに売掛金を保有している場合などが該当します。
一般債権者は、原則としてほかの一般債権者よりも優先して弁済を受けることはできません。
また、債務者が破産した場合は、原則として破産手続きの中で配当を受けることになります。ただし、債務者の財産が不足している場合は、債権の全額を回収できない可能性があります。
そのため、取引先の信用状況や支払状況を日頃から確認し、未回収リスクを抑えることが重要です。
担保債権者とは、債権を担保する抵当権や質権などの担保権を持つ債権者のことです。
例えば、銀行が企業に融資する際、企業が所有する不動産に抵当権を設定した場合、その銀行は担保債権者に該当します。
担保債権者は、債務者が返済できなくなった場合、一定の要件のもとで担保権を実行し、担保財産の売却代金などから優先的に弁済を受けられます。
ただし、担保が設定されていれば必ず全額を回収できるわけではありません。担保財産の価値が債権額を下回る場合は、未回収分が生じる可能性があります。
優先債権者とは、法律上の規定などにより、ほかの債権者に優先して弁済を受けられる債権を持つ債権者のことです。
例えば、一定の賃金債権を持つ従業員や、先取特権が認められる債権を持つ人などが該当します。先取特権とは、法律で定められた特定の債権について、債務者の財産から優先的に弁済を受けられる権利です。
ただし、優先して弁済を受けられる範囲や順位は、債権の種類や適用される法律によって異なります。また、担保債権者も担保権に基づく優先弁済権を持つため、優先債権者と完全に区別されるわけではありません。
債権者は、契約などに基づいて債務の履行を請求できるほか、一定の条件を満たせば、債権を保全・回収するための法的手段を利用できます。
ここでは、以下の4つについて解説します。
それぞれの権利の内容や行使できる条件について、詳しく見ていきましょう。
債権者は、契約などに基づき、債務者に対して債務の履行を請求する権利を持っています。
債務の履行とは、契約などによって定められた義務を果たすことです。例えば、商品の売買契約では代金の支払い、金銭消費貸借契約では借入金の返済などが該当します。
債務者が約束した期限までに義務を果たさない場合、債権者は支払いなどを求めることができます。
また、債務不履行によって損害が生じた場合は、民法上の要件を満たせば、損害賠償を請求することも可能です。
債権者は、債務者が任意に支払いに応じない場合、一定の条件を満たすことで強制執行を申し立てられます。
強制執行とは、裁判所の手続きを通じて債務者の財産を差し押さえるなどして、債権の回収を図る制度です。
例えば、売掛金が支払われない場合、債権者は債務者の銀行預金や不動産などを対象に強制執行を申し立てることがあります。
ただし、強制執行を行うには、原則として確定判決や仮執行宣言付支払督促などの債務名義が必要です。また、債務者に差押え可能な財産がなければ、強制執行を行っても十分に回収できない場合があります。
債権者代位権とは、債務者が自らの権利を行使しない場合に、一定の要件のもとで債権者が代わりにその権利を行使できる制度です。
例えば、債務者が第三者に貸したお金の返還を求めていない場合が考えられます。債権者は、自己の債権を保全する必要性などの要件を満たせば、債務者に代わって返還を請求し、回収の原資となる財産の確保を図れます。
ただし、債権者代位権は、原則として債務者の財産を保全するための制度であり、行使した債権者が必ずしも優先的に弁済を受けられるわけではありません。
詐害行為取消権とは、債務者が債権者を害することを知りながら行った財産処分などについて、一定の要件のもとで裁判所に取消しを請求できる権利です。
例えば、債務者が借入金の返済を免れるため、所有する不動産を第三者に無償で譲渡し、債権者が回収できる財産を減らした場合などが考えられます。このような行為について、法律上の要件を満たせば、債権者は裁判所に取消しを請求できます。
ただし、詐害行為取消権には行使期間の制限があるため、早めに対応することが重要です。
債務者が期限までに支払いを行わない場合、債権者は未払いの状況に応じて、支払いの請求や法的手続きを進めることができます。
主な対応方法は、以下の3つです。
それぞれの方法について、詳しく解説します。
債務者が支払期限を過ぎても支払わない場合は、電話やメール、督促状などで未払いの理由や支払予定日を確認し、支払いを求めます。連絡の際は、請求金額や支払期限、振込先を明確に伝えましょう。
こうした支払いを促す連絡は一般に「督促」と呼ばれ、その内容によっては、法律上の「催告」に当たります。催告とは、債務者に債務の履行を求める意思表示のことです。
請求内容や相手への到達を証拠として残したい場合は、配達証明付きの内容証明郵便を利用する方法があります。内容証明は差し出した文書の内容などを、配達証明は郵便物を配達した事実を証明します。
また、民法第150条により、催告があった時から6か月を経過するまでは、消滅時効の完成が猶予されます。ただし、この猶予期間中に再び催告しても、さらに猶予されるわけではありません。時効の完成が迫っている場合は、早めに弁護士へ相談し、訴訟などの対応を検討しましょう。
関連記事:督促状とは?催促状との違いや書き方・例文、送付時の注意点を解説
督促や催告を行っても支払いがない場合は、裁判所を通じた支払督促や民事訴訟を検討できます。
支払督促とは、債権者の申立てに基づき、裁判所書記官が債務者に金銭の支払いなどを命じる手続きです。原則として書類審査で進められるため、通常の訴訟よりも簡易に利用できます。
ただし、債務者が適法に督促異議を申し立てると、通常の訴訟手続きに移行します。そのため、債権の存在や請求金額について争いが予想される場合は、訴訟への対応も見込んで検討する必要があります。
どちらを利用するかは、請求金額や債務者との争いの有無などを踏まえて判断しましょう。
裁判所の手続きを経ても債務者が支払わない場合は、強制執行による債権回収を検討できます。
強制執行とは、裁判所の手続きを通じて債務者の財産を差し押さえるなどして、債権の回収を図る制度です。例えば、債務者の銀行預金や給与、不動産などが差押えの対象になる場合があります。
ただし、強制執行を申し立てるには、原則として確定判決や仮執行宣言付支払督促などの債務名義が必要です。また、債務者に差押え可能な財産がない場合は、強制執行を行っても十分に回収できない可能性があります。
そのため、手続きにかかる費用や回収の見込みを確認したうえで、必要に応じて弁護士などの専門家に相談しましょう。
債権を適切に管理するには、未回収が発生してから対応するだけでなく、日頃から回収リスクを把握し、必要な対策を講じることが重要です。
ここでは、債権者が注意すべき以下の3つのポイントを解説します。
民法第166条では、一般的な債権について、次のいずれか早い時点で消滅時効が完成すると定めています。
ただし、債権の種類や契約時期によっては、異なる時効期間が適用されます。
消滅時効が完成し、債務者が時効を援用すると、原則として債権を行使できなくなります。そのため、債権ごとに支払期日や時効の起算点を管理し、未払いが長期化していないか定期的に確認しましょう。
また、時効の完成が近い場合は、催告や裁判上の請求など、時効の完成猶予・更新につながる措置を検討する必要があります。
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取引先の経営状態が悪化すると、売掛金などの支払いが遅れたり、回収できなくなったりする可能性があります。そのため、新規取引を開始する際は、企業情報や財務状況、過去の取引実績などを確認し、支払能力を判断しましょう。
また、取引開始後も入金の遅延が増えていないか、取引額が急激に増加していないかなどを確認することが大切です。
信用状況に不安がある場合は、取引限度額の設定や前払いへの変更、担保の確保などを検討することで、未回収リスクの軽減につながります。
債権を適切に管理するには、取引先との支払条件を契約書などの書面で明確にしておくことが重要です。支払金額や支払期日、支払方法などが曖昧なまま取引を進めると、認識の違いによって支払いの遅延やトラブルが発生するおそれがあります。
そのため、契約書や発注書などに、代金の金額、支払期限、振込先、遅延損害金の取り扱いなどを明記しましょう。また、取引条件を変更する場合も、口頭だけで済ませず、変更内容をメールや書面で記録することが大切です。
契約書や請求書などの関連書類を適切に保管しておけば、未払いが発生した際にも請求内容を確認しやすくなり、債権回収を円滑に進められます。
債権者について、以下の3つの質問に回答します
債権者は、債権譲渡や相続などによって変更されることがあります。
例えば、企業が保有する売掛債権を別の企業に譲渡した場合、譲受人が新たな債権者となります。
ただし、債権を譲り受けた人が債務者に対して新たな債権者であると主張するには、原則として、元の債権者である譲渡人から債務者への通知、または債務者の承諾が必要です。
同じ債務者に対して複数の債権者がいる場合、各債権者は自分の債権について履行を求められます。
ただし、債務者の財産が不足すると、全員が全額を回収できるとは限りません。破産手続きで配当が行われる場合、原則として、同順位の債権者は債権額に応じた割合で配当を受けます。担保権や法律上の優先権がある場合は、取扱いが異なります。
債務者が破産した場合、債権者は原則として破産手続きを通じて債権の回収を図ることになります。
ただし、債務者の財産が不足している場合は、債権の全額を回収できない可能性があります。また、担保権の有無や債権の種類によって取り扱いが異なるので注意しましょう。
債権者とは、債務者に対して、金銭の支払いや商品の引き渡しなどを請求できる権利(債権)を持つ人や企業のことです。債務者とは表裏一体の関係にあり、1つの会社が取引内容によって両方の立場になることもあります。
債権を回収する際の立場は、担保権や法律上の優先権の有無によって異なります。また、債権者は履行を請求できるほか、要件を満たせば、強制執行や債権者代位権、詐害行為取消権などの法的手段を利用できます。
債権を確実に回収するには、時効の期限管理や、入金状況の把握が欠かせません。 債権管理を含めた経理業務全体の効率化を検討している方は、以下の資料もぜひご活用ください。