更新日:2026.07.27

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減価償却費を実際に処理しようとすると「どの資産が対象になるのか」「計算方法や仕訳はどうすればよいのか」と迷う人も多いでしょう。
この記事では、減価償却費の基本的な意味や対象資産、取得価額・法定耐用年数の考え方、定額法・定率法による計算方法をわかりやすく解説します。あわせて、固定資産を購入したときの仕訳、直接法・間接法の違い、法人や個人事業主が注意したい処理のポイント、よくある疑問も紹介します。
減価償却費の処理で迷っている経理担当者や個人事業主の方は、ぜひ参考にしてください。
減価償却費とは、パソコンや車、機械、建物など、長期間にわたって使う資産の購入費用を、使用する期間に分けて経費計上するための会計・税務上の処理です。
たとえば、業務用のパソコンを購入した場合、購入した年に全額を経費にするのではなく、一定のルールに沿って複数年に分けて費用化します。ここで重要になるのが、「いくらから減価償却の対象になるのか」「どの計算方法を使うのか」「何年で経費にするのか」という3つの視点です。
まずは、減価償却費を理解するうえで基本となる、取得価額と法定耐用年数の考え方を整理しましょう。
取得価額とは、減価償却の計算のもとになる資産の金額です。単に本体価格だけを指すのではなく、購入手数料、運搬費、据付費など、その資産を事業で使える状態にするために直接かかった費用も含めて考えます。
また、減価償却は「購入した日」ではなく、原則として「事業の用に供した日」から始めます。たとえば、機械を購入して工場に搬入しただけではなく、据付や試運転が終わり、実際に生産へ使える状態になった日が基準です。
そのため、決算前に資産を購入していても、まだ業務で使い始めていない場合は、その期の減価償却費にできないことがあります。購入日、納品日、使用開始日を分けて管理しておくことが大切です。
法定耐用年数とは税務上減価償却資産を何年にわたって償却計算するかを定めた年数です。実際にその資産を使える年数ではなく、資産の種類、構造、用途、業種などに応じて法令上決められています。
たとえば、同じ「設備」でも、建物、建物附属設備、機械装置、車両、器具備品では耐用年数が異なります。パソコンやコピー機のような備品と、店舗内装や製造設備では、費用化する期間が変わるということです。
減価償却費を正しく計算するには、まず資産の種類を確認し、該当する法定耐用年数を選ぶ必要があります。判断に迷う場合は、固定資産台帳の登録前に税理士や会計担当者へ確認しておくと安心です。

減価償却が必要かどうかは、主に「使用可能期間」と「取得価額」「事業者の区分」「少額資産の特例の適用可否」で判断します。たとえば、使用可能期間が1年未満のものや、取得価額が10万円未満のものは、原則として購入時に経費処理が可能です。
一方、10万円以上で長期間使う資産は、減価償却の対象になる可能性があります。
以下のまとめをご利用ください。
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取得価額・条件 |
主な処理方法 |
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使用可能期間が1年未満 |
原則として取得年度に費用処理 |
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10万円未満 |
原則として取得年度に全額を損金・必要経費に算入 |
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10万円以上20万円未満 |
通常の減価償却、一括償却資産として3年で均等償却、または少額減価償却資産の特例を検討 |
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20万円以上40万円未満 |
少額減価償却資産の特例または通常償却を検討 |
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上記に該当しない固定資産 |
原則として法定耐用年数に応じて減価償却 |
なお、取得価額を税込で判定するか税抜で判定するかは、会社が採用している消費税の経理処理方式によって変わります。税抜経理なら税抜金額、税込経理なら税込金額を基準にします。
また、少額減価償却資産の特例は、一定の中小企業者等に該当する青色申告法人などが利用できる制度です。2026年4月1日以後に取得、製作または建設した減価償却資産については、取得価額40万円未満までが対象となります。
ただし、年間300万円の上限があり、常時使用する従業員数が400人を超える法人は対象外となります。貸付用資産についても制限があるため、適用前に要件を確認しましょう。
減価償却費の対象になるかどうかは、「事業で使う資産か」「事業の用に供され、時間の経過や使用によって価値が下がるか」「取得価額が一定以上か」という観点で判断します。
ここでは、対象になる資産、具体例、対象とならない資産を順に見ていきましょう。
減価償却費の対象になるのは、事業のために使用し、時間の経過や使用によって価値が減少していく固定資産です。
ただし、事業用であることが前提です。個人の私物として使うパソコンや車は、原則として事業の減価償却費にはできません。自宅兼事務所や事業用兼私用の車のように用途が混在する場合は、事業で使う割合に応じて経費計上する必要があります。
また、取得価額の判定では、税込経理か税抜経理かによって金額が変わります。10万円未満かどうか、特例の対象額に収まるかどうかを確認するときは、自社の経理方式もあわせて確認しましょう。
減価償却費の対象資産としては以下のようなものが挙げられます。
※クラウドサーバー利用料は通常「システム利用料」として費用計上されます。
たとえば、事務所で使うパソコンを15万円で購入した場合、取得価額が10万円以上であり、通常は1年以上使用するため、減価償却や一括償却資産の処理を検討します。社用車や店舗設備のように金額が大きい資産は、法定耐用年数に沿って毎年少しずつ経費化するのが基本です。
一方、同じ備品でも、1個あたりの取得価額が10万円未満であれば、少額資産として購入時に経費処理できる場合があります。資産ごとに、金額、用途、使用期間を確認しましょう。
減価償却の対象とならない代表例は、土地や借地権、一定の美術品・骨とう品など、時間の経過によって価値が減少しないと考えられる資産です。建物は減価償却できますが、その敷地である土地は減価償却できません。
また、棚卸資産も減価償却の対象ではありません。販売目的で仕入れた商品や原材料は、固定資産ではなく、売上原価や棚卸資産として処理します。事業で使うために購入したパソコンは固定資産になる可能性がありますが、販売するために仕入れたパソコンは商品として扱うという違いです。
そのほか、個人利用のみの資産や、事業との関連性を説明できない支出も減価償却費にはできません。購入前に、事業用資産かどうかを明確にしておくことが重要です。

減価償却費の計算方法には、主に定額法と定率法があり、どちらを使うかによって、毎年計上する減価償却費の金額が変わります。
ここでは、それぞれの特徴を実務でイメージしやすいように整理します。
定額法は、毎年ほぼ同じ金額を減価償却費として計上する方法です。計算の考え方がわかりやすく、費用が毎期大きく変動しにくいため、損益の見通しを立てやすい点が特徴です。
たとえば、取得価額が100万円で耐用年数が5年の資産であれば、単純化すると毎年20万円ずつ費用化することになります。実際の税務計算では償却率を使い、取得時期によっては月割り計算も行います。
建物や建物附属設備などは、定額法が基本となる資産です。毎年一定額を経費にしたい場合や、計算をシンプルに管理したい場合に向いていますが、資産の種類によって選べる償却方法が異なる点には注意が必要です。
定率法は、取得初期に多くの減価償却費を計上し、年数が経つにつれて費用が少なくなる方法です。毎年、期首の未償却残高に一定の償却率を掛けて計算するため、使い始めの年度ほど償却費が大きくなります。
新しい設備や機械は、導入直後のほうが収益への貢献度が高いこともあるため、早い段階で費用化したい場合に選ばれることがあります。ただし、建物など一部の資産では定率法を選べず、資産の種類や取得時期によって取り扱いが変わる点は注意しましょう。
また、定率法を自由に資産ごとに選べるわけではありません。法人・個人事業主ともに、資産の種類ごとに選べる償却方法が決まっており、届出をしていない場合は法定償却方法が適用されます。
定率法は定額法よりも計算が複雑になりやすく、償却保証額や改定取得価額を使う場面もあります。会計ソフトや固定資産台帳で計算根拠を残しておきましょう。
固定資産を購入したときは、まず購入額を費用ではなく資産として計上します。たとえば、業務用の車両を100万円で購入し、普通預金で支払った場合は、次のように処理します。
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借方 |
貸方 |
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車両運搬具 |
1,000,000円 |
普通預金 |
1,000,000円 |
そのうえで、決算時に減価償却費を計上します。減価償却費の仕訳方法には、直接法と間接法があります。
直接法は、減価償却費を計上するたびに、固定資産の帳簿価額を直接減らす方法です。たとえば、購入した車両運搬具の当期償却費が20万円の場合は、貸方に車両運搬具20万円を記載し、資産残高を減少させます。
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借方 |
貸方 |
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減価償却費 |
200,000円 |
車両運搬具 |
200,000円 |
この方法では、貸借対照表に表示される固定資産の金額が、減価償却後の帳簿価額になります。資産ごとの現在価値を把握しやすい一方で、もともとの取得価額や、これまでにいくら償却したかは帳簿上わかりにくくなります。
そのため、直接法を採用する場合でも、取得価額や償却累計額、未償却残高を固定資産台帳で管理しておくことが大切です。
間接法は、固定資産の取得価額を帳簿に残したまま、減価償却累計額という勘定科目で、これまでに計上した償却額を管理する方法です。車両運搬具の当期償却費が20万円の場合は、次のように仕訳します。
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借方 |
貸方 |
||
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減価償却費 |
200,000円 |
減価償却累計額 |
200,000円 |
この方法では、貸借対照表上で取得価額と減価償却累計額を分けて確認することが可能です。資産をいくらで取得し、これまでにどれだけ費用化したかを把握しやすいため、固定資産の管理や決算資料の作成にも向いています。
ただし、帳簿上に取得価額が残るため、実際の帳簿価額は「取得価額から減価償却累計額を差し引いた金額」として確認する必要があります。
減価償却費は、計算方法だけでなく、会計と税務の違い、資産の種類、使用割合、使用開始月などによって処理が変わります。
ここでは、実務で特に確認しておきたい注意点を紹介します。
法人が減価償却費を処理する際は、会計上の償却費と税務上の償却限度額を分けて確認する必要があります。会計上は、資産の使用実態に応じて合理的に費用配分することが求められますが、税務上は損金に算入できる金額に上限があります。
たとえば、会計上の減価償却費が税務上の償却限度額を超える場合、超過した部分は法人税の計算上、損金にできません。この差額は申告調整の対象になります。
また、税務上の損金算入には、原則として損金経理をしていることが必要です。会計処理をせず、申告書だけでは減価償却費を増やすことは原則としてできないため、決算時に固定資産台帳と会計仕訳を確認しましょう。
不動産を購入した場合、建物や建物附属設備は減価償却できますが、土地は減価償却できません。土地は、通常、時間の経過によって価値が減少する資産とは考えられないためです。
たとえば、事務所用に土地付き建物を購入した場合、購入総額をそのまま建物として減価償却することはできません。売買契約書や固定資産税評価額などをもとに、土地部分と建物部分を合理的に区分する必要があります。
また、建物と内装設備、電気設備、空調設備などでは、耐用年数が異なる場合があります。すべてを一括で処理すると、償却年数を誤る原因になります。不動産や店舗設備を購入したときは、資産の内訳を明確にしておきましょう。
自宅兼事務所、個人所有の車、スマートフォン、パソコンなど、私用と事業用が混在する資産は、全額を減価償却費にすることはできません。事業で使っている割合に応じて、経費にできる金額を按分します。
たとえば、自宅の一部を事務所として使っている場合は、事業用スペースの面積割合や使用時間などをもとに、合理的な割合を決めましょう。車の場合は、走行距離や使用日数などを記録しておくと、事業利用分を説明しやすくなります。
重要なのは、割合の根拠を残すことです。なんとなく半分という処理ではなく、客観的に説明できる基準を決め、継続して同じ方法で計算するようにしましょう。
減価償却費は、資産を事業の用に供した日から計算します。そのため、期首から1年間使っていた資産と、期の途中で使い始めた資産では、その年に計上できる減価償却費が異なります。
たとえば、3月決算の会社が10月に機械を使用開始した場合、その期に使用した期間は10月から3月までの6か月です。この場合、1年分の減価償却費をそのまま計上するのではなく、使用月数に応じて月割り計算します。
なお、月の途中で使用開始した場合の月数計算は、税務上のルール(※)に沿って処理する必要があります。購入日だけで判断せず、納品日、設置日、使用開始日を記録しておくと、決算時の確認がスムーズです。※税務上、業務供用月数は暦に従って計算し、1か月未満の端数は切り上げます。
ここでは、減価償却費の実務上の処理についてよくある質問をまとめました。ぜひ参考にしてください。
中古資産を購入した場合は、新品と同じ法定耐用年数をそのまま使うのではなく、使用可能期間を見積もって耐用年数を決めるのが原則です。ただし、実務では簡便法によって耐用年数を計算することがあります。
ここで、簡便法による耐用年数の判定は、その中古資産を事業の用に供した事業年度に行う必要があります。翌年度以後に変更することはできない点には留意が必要です。
法定耐用年数をすでに全部経過している中古資産は、法定耐用年数の20%に相当する年数を使います。一部だけ経過している場合は、法定耐用年数から経過年数を差し引き、経過年数の20%を加えて計算しましょう。
計算した年数に1年未満の端数がある場合は切り捨てますが、2年未満になる場合は2年とします。中古車や中古パソコンを購入したときは、購入時点の経過年数を確認しておきましょう。
業務用ソフトウェアを購入した場合は、無形固定資産として減価償却の対象になることがあります。たとえば、自社で使う業務システムや会計ソフトを購入し、1年以上利用する場合は、取得価額や用途に応じて固定資産として処理するかを判断します。
一方、クラウドサービスの月額利用料やサブスクリプション費用は、サービスを利用するための支払いであり、通常は利用期間に応じて通信費や支払手数料、システム利用料などで処理することが多いです。
初期設定費用や導入費用の資産計上の可否は、将来の収益獲得または費用削減への寄与、支出内容、ソフトウェアの取得・制作との一体性、導入作業の内容などで判断します。契約内容や請求書の内訳を確認して判断しましょう。
車をローンで購入した場合でも、減価償却の対象になるのは車両本体の取得価額です。ローンの返済額そのものを全額経費にするのではなく、車両は固定資産として計上し、法定耐用年数に応じて減価償却費を計上します。
一方、ローンに含まれる利息部分は、車両の取得価額とは分けて支払利息として処理します。元本返済部分は借入金の返済であり、経費ではありません。この区分を誤ると、経費を過大に計上してしまう可能性があります。
ローン契約書や返済予定表には、元本と利息の内訳が記載されています。車両購入時は、取得価額、借入金、支払利息を分けて仕訳できるよう、資料を保管しておきましょう。
赤字だからといって、減価償却費を安易に計上しない判断をするのは避けたほうがよいでしょう。会計上は、資産の価値減少を期間に応じて費用化することで、正しい損益を把握できます。
個人事業主の場合、減価償却費は原則として必要経費に算入する考え方です。法人の場合は、税務上、損金経理をした金額をもとに償却限度額の範囲で損金算入しますが、会計処理と税務処理の関係を確認しておく必要があります。
赤字を小さく見せたい、利益を調整したいという理由だけで処理を変えると、翌期以降の帳簿価額や税務申告に影響することがあります。継続的な会計方針として、適切に処理しましょう。
減価償却費を計上し忘れた場合、対応方法は個人事業主か法人か、過年度の申告か当期中の処理かによって変わります。当期中に気づいた場合は、決算整理仕訳で正しく計上すれば対応できることが多いです。
すでに申告済みの年度で計上漏れがあった場合は、更正の請求などができる場合があります。
一方、法人では、税務上の損金算入に損金経理が関係するため、過年度の処理を単純に後から追加できない場合があります。計上漏れに気づいたときは、固定資産台帳、申告書、会計帳簿を確認し、税理士に相談しながら対応しましょう。
減価償却費とは、長期間にわたって使う固定資産の取得費用を、使用する期間に分けて経費計上するための勘定科目です。パソコン、車、機械、建物、ソフトウェアなどは、取得価額や使用期間、資産の種類によって、減価償却の対象になるかどうかを判断しましょう。
減価償却費を正しく処理するには、購入日だけでなく、事業の用に供した日、法定耐用年数、償却方法、使用割合を記録しておくことが大切です。固定資産台帳を整備し、会計ソフトや請求書・領収書の情報と連携して管理すれば、決算時の確認や申告作業を効率化しやすくなります。
減価償却費を含む経理業務を効率化したい場合は、請求書管理や支払管理、仕訳に必要な証憑管理の流れを見直すことも重要です。日々の取引情報を整理し、決算時に慌てない体制を整えておきましょう。
減価償却費の扱いも含めた経理業務の効率化については、以下の資料もご覧ください。
