更新日:2026.11.05

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経常利益とは、企業が通常の事業活動によって得た利益を示す指標です。本業の儲けを示す営業利益に、受取利息や支払利息といった財務活動の損益を加減して求めます。
本記事では、経常利益の意味や計算方法、営業外収益・営業外費用の内訳、営業利益・当期純利益との違いをわかりやすく解説します。
売上高経常利益率の計算方法や、経常利益が赤字になる原因、経常利益を改善する方法も紹介するので、自社の収益力を分析する際の参考にしてください。
経常利益とは、本業に財務活動などの営業外損益を加えた、通常の企業活動による利益です。損益計算書(P/L)では、営業利益の次に記載されます。
営業利益は本業だけの利益ですが、企業は本業のほかにも、預金の利息を受け取ったり、借入金の利息を支払ったりしています。経常利益は、こうした財務活動などの損益まで含めて計算するため、通常の企業活動全体の収益力を把握する指標といえます。ただし、為替差損益などの影響も受けるため、収益の安定性は内訳や複数年度の推移とあわせて判断することが大切です。
一方で、災害による損失や固定資産の売却益など、特別損益に区分される臨時的な損益は、原則として経常利益に含まれません。そのため、経常利益は「通常の企業活動で稼ぐ力」を表す指標として、金融機関の融資審査や経営分析でも重視されます。
関連記事:損益計算書の見方が変わる|5つの利益と販管費でわかる会社のリアル
経常利益は、営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いて計算します。計算式は以下のとおりです。
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経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用 |
営業利益は、売上高から売上原価と販売費及び一般管理費を差し引いて求めるため、売上高から計算する場合は以下の式になります。
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経常利益=売上高-売上原価-販売費及び一般管理費+営業外収益-営業外費用 |
例えば、営業利益が300万円、営業外収益が50万円、営業外費用が80万円の場合、経常利益は270万円です。
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300万円+50万円-80万円=270万円 |
このように、営業外費用が営業外収益を上回ると、経常利益は営業利益よりも小さくなります。反対に、営業外収益のほうが大きければ、経常利益は営業利益を上回ります。
関連記事:販売費及び一般管理費(販管費)とは?売上原価との違いや内訳、削減方法をわかりやすく解説
経常利益を正しく計算するには、営業外収益と営業外費用に含まれる項目を理解しておくことが重要です。
ここでは、以下の2つに分けて、それぞれの具体例を紹介します。
営業外収益とは、企業の本業以外の活動から経常的に発生する収益のことです。
主な営業外収益には、以下のようなものがあります。
営業外収益が増えると、ほかの条件が同じであれば経常利益も増加します。ただし、収益の内容によっては継続的に発生するとは限らないため、金額だけでなく内訳も確認することが重要です。
営業外費用とは、企業の本業以外の活動に伴って発生する費用のことです。
主な営業外費用には、以下のようなものがあります。
営業外費用が増えると、ほかの条件が同じであれば経常利益は減少します。
特に借入金が多い企業では、支払利息が経常利益に与える影響が大きくなる場合があるため、営業外費用の内訳を定期的に確認することが重要です。
損益計算書には、経常利益のほかにも複数の利益があります。
それぞれの利益との違いは、以下のとおりです。
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利益の種類 |
計算式 |
主にわかること |
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営業利益 |
売上総利益-販売費及び一般管理費 |
本業の収益性 |
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経常利益 |
営業利益+営業外収益-営業外費用 |
通常の企業活動全体の収益性 |
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税引前当期純利益 |
経常利益+特別利益-特別損失 |
臨時的な損益を含めた税金控除前の利益 |
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当期純利益 |
税引前当期純利益-法人税等 |
最終的に残った利益 |
それぞれの違いを正しく理解しておくと、企業がどの段階で利益を生み出しているのか、反対にどこで利益が圧迫されているのかを把握しやすくなります。
ここでは、経常利益と混同しやすい2つの利益との違いを解説します。
営業利益は本業の収益性を示し、経常利益は本業に加えて財務活動などの損益も含む収益性を示します。
営業利益は黒字なのに、経常利益が赤字という場合は、本業は順調でも、借入金の利息などの営業外費用が利益を圧迫している状態です。反対に、営業利益が小さくても、受取利息や配当金が大きければ、経常利益が営業利益を上回る場合もあります。
関連記事:営業利益とは?計算方法や経常利益との違い・営業利益率をわかりやすく解説
当期純利益は、経常利益に特別利益・特別損失を加減し、法人税等を差し引いて求める、最終的な利益です。
経常利益には、固定資産の売却損益や災害損失など、特別損益に区分される損益は原則として含まれません。当期純利益には、こうした特別損益や法人税等も反映されます。
そのため、経常利益は「通常の企業活動で稼ぐ力」を、当期純利益は「その期の最終的な成果」を示します。
関連記事:利益とは?5つの利益の種類と違い、計算方法をわかりやすく解説
経常利益は、企業の経営状況を分析するうえで重要な指標の一つです。ただし、金額の大小だけでなく、利益の内訳や推移にも注目する必要があります。
ここでは、経常利益からわかる以下の3つのポイントについて解説します。
経常利益からは、本業だけでなく、財務活動なども含めた企業全体の収益力を把握できます。
例えば、営業利益が500万円でも、支払利息などの営業外費用が200万円、営業外収益が50万円あれば、経常利益は350万円です。
このように、営業利益が黒字でも、営業外費用の負担によって経常利益が大きく減少する場合があります。
そのため、経常利益を確認することで、本業以外の活動も含めて企業がどの程度の利益を確保できているかを判断できます。
経常利益と営業利益を比較すると、本業以外の収益・費用が企業の利益にどの程度影響しているかを把握できます。
例えば、営業利益よりも経常利益が大幅に少ない場合は、借入金の支払利息など、営業外費用の負担が大きい可能性があります。一方、経常利益が営業利益を上回っている場合は、受取利息や受取配当金などの営業外収益が利益を押し上げている可能性があるでしょう。
ただし、営業外収益が多いからといって、必ずしも本業の収益力が高いとは限りません。
経常利益と営業利益の差額だけでなく、営業外収益・営業外費用の内訳も確認することで、利益の増減要因をより正確に分析できます。
経常利益の推移を確認することで、企業の経営状況の変化や収益の安定性を把握する手がかりになります。
例えば、経常利益が数年間にわたって増加している場合は、企業全体の収益力が改善している可能性があります。一方、経常利益が減少傾向にある場合は、売上の減少やコストの増加、支払利息の負担増などが影響していることが考えられるでしょう。
また、複数年度の経常利益を比較するとともに、営業利益や営業外損益の推移も確認することで、一時的な変動なのか、継続的な経営課題なのかを分析しやすくなります。
売上高経常利益率とは、売上高に対する経常利益の割合を示す指標です。企業の規模にかかわらず、通常の事業活動全体での収益性を比較できます。
売上高経常利益率について、以下の点を解説します。
売上高経常利益率は、経常利益を売上高で割って計算します。
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売上高経常利益率(%)=経常利益÷売上高×100 |
例えば、売上高が3,000万円、経常利益が270万円の場合、売上高経常利益率は9%です。
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270万円÷3,000万円×100=9% |
売上高経常利益率は、企業の収益性を分析したり、経営改善の効果を確認したりする際に活用できます。
例えば、売上高が増加していても、売上高経常利益率が低下している場合は、売上原価や販売費、支払利息などの負担が増えている可能性があります。
また、複数年度の売上高経常利益率を比較することで、収益性が改善しているのか、悪化しているのかを把握することが可能です。
ただし、売上高経常利益率だけでは利益の増減要因までは判断できないため、営業利益率や営業外損益の内訳などもあわせて確認しましょう。
経常利益を改善するには、売上の拡大だけでなく、費用の見直しにも取り組むことが重要です。
具体的には、以下の3つの方法があります。
それぞれの方法について、詳しく解説します。
経常利益を改善する方法の一つは、売上高や売上総利益を増やすことです。
売上総利益は、売上高から売上原価を差し引いた利益であり、経常利益の基礎となります。そのため、売上総利益を増やすことで、経常利益の改善につながります。
具体的には、新規顧客の獲得や既存顧客への追加提案、商品・サービスの価格見直しなどを検討すると良いでしょう。また、仕入先との価格交渉や製造工程の効率化によって売上原価を削減することも有効です。
ただし、売上高が増えても、それ以上に原価や経費が増加すると利益は改善しません。売上高だけでなく、売上総利益率や費用の増減も確認しながら施策を進めましょう。
関連記事:
売上高とは?売上・年商・利益との違いと計算方法をわかりやすく解説
売上総利益(粗利益)とは?計算方法や営業利益との違い、粗利率の目安を解説
経常利益を改善するには、販売費及び一般管理費を見直すことも重要です。販売費及び一般管理費とは、商品の販売や企業の管理活動にかかる費用のことで、人件費や広告宣伝費、地代家賃、通信費などが含まれます。
これらの費用を削減できれば、営業利益が増加し、結果として経常利益の改善につなげることが可能です。
具体的には、利用頻度の低いサービスの解約や広告費の費用対効果の検証、業務のデジタル化による作業時間の削減などが挙げられます。
ただし、過度なコスト削減は従業員の生産性や商品・サービスの品質低下につながるおそれがあります。事業への影響を考慮しながら、無駄な支出を優先的に見直しましょう。
関連記事:販売費及び一般管理費(販管費)とは?売上原価との違いや内訳、削減方法をわかりやすく解説
営業外費用は営業利益から差し引かれるため、営業外費用を減らすことで、ほかの条件が同じであれば経常利益が増加します。
例えば、借入金の金利が高い場合は、金融機関との金利交渉や、より低金利の融資への借り換えを検討すると良いでしょう。また、資金繰りに余裕がある場合は、借入金の一部を繰り上げ返済することで、将来の支払利息を減らせる可能性があります。
ただし、借り換えには手数料が発生する場合があり、繰り上げ返済によって手元資金が不足するリスクもあります。資金繰りへの影響を確認したうえで判断しましょう。
経常利益を分析する際は、金額の大小だけでなく、ほかの利益との関係や過去の実績なども確認することが重要です。
ここでは、経常利益を正しく評価するための以下の3つのポイントを解説します。
営業利益は本業の収益力を示すのに対し、経常利益は営業外収益や営業外費用も反映した利益です。そのため、両者を比較することで、本業以外の活動が企業全体の利益に与える影響を把握できます。
例えば、営業利益が黒字でも経常利益が赤字の場合は、支払利息などの営業外費用が利益を圧迫している可能性があるでしょう。
一方、営業利益が赤字でも経常利益が黒字の場合は、受取配当金などの営業外収益によって利益を確保していると考えられます。
経常利益だけで判断せず、営業利益との差額や営業外損益の内訳を確認しましょう。
経常利益を分析する際は、単年度の数値だけでなく、複数年度の推移を確認しましょう。
経常利益は、売上高や費用の増減、営業外損益の変動などによって変化します。そのため、ある年度の経常利益が高くても、それだけで収益性が安定しているとは判断できません。
また、経常利益が減少している場合は、営業利益や営業外収益・営業外費用の推移も確認し、減少の原因を分析することが重要です。
過去の実績と比較することで、経営上の課題や改善の兆候を早期に把握しやすくなります。
企業の利益水準は、業種や事業規模、設備投資の状況などによって異なるため、経常利益を評価する際は、同業種・同規模の企業と比較することも重要です。
例えば、売上高が大きい企業は経常利益の金額も大きくなりやすいため、売上高経常利益率を用いて比較すると、収益性の違いを把握しやすくなります。
また、業種によって原価率や人件費、借入金の負担などが異なる点にも注意が必要です。
比較する際は、同業種・同規模の企業を対象とし、経常利益の金額だけでなく、売上高経常利益率などもあわせて確認しましょう。
経常利益に関してよくある質問に回答します。
経常利益がマイナスの場合は、企業の通常の事業活動において損失が発生している状態を意味し、経常損失と呼ばれます。
経常損失が続く場合は、売上の減少や費用の増加など、損失の原因を分析し、経営改善に取り組むことが重要です。
営業利益が黒字でも、経常利益が赤字になることはあります。
例えば、営業利益が100万円でも、営業外収益が20万円、支払利息などの営業外費用が150万円ある場合、経常利益はマイナス30万円です。
このように、本業で利益が出ていても、営業外費用の負担によって経常損失が発生する場合があります。
経常利益が黒字であっても、必ずしも経営状態が良好とは限りません。
例えば、本業の営業利益が赤字でも、営業外収益によって経常利益が黒字になっている場合があります。
また、経常利益が黒字でも資金繰りが悪化している可能性があるため、営業利益やキャッシュフローなどもあわせて確認することが重要です。
経常利益とは、営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いた、通常の事業活動全体での利益です。本業の儲けを示す営業利益や、最終的な成果を示す当期純利益とは、含まれる損益の範囲が異なります。
経常利益を分析する際は、金額だけでなく売上高経常利益率や推移、同業他社との比較も確認しましょう。営業利益との差が大きい場合は、借入金の利息などの営業外費用が利益を圧迫している可能性があります。
損益計算書の各項目を正しく理解するには、勘定科目と仕訳の知識も欠かせません。 勘定科目の選び方や仕訳に迷う方は、以下の資料もぜひご活用ください。