更新日:2026.09.30

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電子帳簿保存法に対応して帳簿や請求書を電子保存するとき、「データは7年間残せばよいのか」「10年間保存する必要があるのはどのケースか」と迷う方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、電子帳簿保存法に「すべての電子データを一律○年間保存する」という独自の保存期間があるわけではありません。
保存期間は、法人税法、所得税法、消費税法など、その帳簿・書類に適用される元の保存義務によって決まります。
紙をスキャンして電子保存した場合や、メール・Web等で受け取った電子取引データを保存する場合も、原則として元の帳簿・書類に適用される法定保存期間を引き継ぎます。
この記事では、2026年9月時点の制度に沿って、法人・個人事業主・インボイス関係書類の保存期間、正しい起算日、10年を超えて保存しているように見える理由、保存期限を誤らないための実務上のポイントまで解説します。
電子帳簿保存法は、帳簿・書類を電子データで保存する方法や、電子取引データを保存するときの要件などを定める法律です。
電子化したという理由だけで、法人税法や所得税法などで定められた保存期間が短くなったり、別の期間へ置き換わったりするわけではありません。
| 事業者・書類 | 主な保存期間 | 起算日・ポイント |
|---|---|---|
| 法人の帳簿・書類 | 原則7年 | 法人税の確定申告書の提出期限の翌日から7年間 |
| 法人の一定の欠損年度等 | 10年 | 青色繰越欠損金が生じた事業年度等。一定の古い事業年度は9年 |
| 青色申告の個人事業主 | 5年または7年 | 帳簿・決算関係書類等は7年、その他の取引関係書類は5年など |
| 白色申告の個人事業主 | 5年または7年 | 法定帳簿は7年、その他の帳簿・書類は5年 |
| インボイス関係の帳簿・請求書等 | 原則7年 | 課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日を基準に保存 |
| 株式会社の会計帳簿・計算書類等 | 10年 | 会社法による別の保存義務。会計帳簿と計算書類では起算点も異なる |
電子化した日やファイル作成日から5年・7年・10年を数えるとは限りません。複数の法律による保存義務が同じ書類に重なる場合は、必要となる最も長い期間を満たすように管理しましょう。
法人税法上、法人は帳簿を備え付けて取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成・受領した書類を保存する必要があります。
保存期間は原則として、その事業年度の法人税の確定申告書の提出期限の翌日から7年間です。
対象には、仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳などの帳簿のほか、棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などが含まれます。
法人税の帳簿・書類の保存期間を数えるときは、取引日や事業年度末だけを見るのではなく、確定申告書の提出期限を確認します。
3月31日決算・通常の申告期限の場合
事業年度末:2026年3月31日
法人税の確定申告期限:2026年5月31日
保存期間の起算:2026年6月1日
↓
原則としてここから7年間保存
「事業年度終了日の翌日から2か月を経過した日から7年間」という説明を見かけることがありますが、これは通常の申告期限を前提とした説明です。
申告期限の延長特例を受けている法人では起算点が変わるため、自社に適用される実際の申告期限を基準にしましょう。
次のような事業年度では、法人税上の帳簿書類を10年間保存します。
青色申告書を提出した事業年度で青色繰越欠損金が生じた事業年度
青色申告書を提出していない事業年度で災害損失金額が生じた事業年度
平成30年4月1日前に開始した対象事業年度については、保存期間が9年間となります。
「現在、欠損金の繰越控除を利用している法人は、すべての年度を10年保存する」という意味ではありません。10年保存の対象となる事業年度へフラグを付け、通常の7年保存年度と分けて管理すると安全です。
個人事業主は、青色申告か白色申告か、さらに帳簿・書類の種類によって保存期間が異なります。
紙を電子化した場合や電子取引データとして保存した場合も、基本的な保存期間は変わりません。
| 保存するもの | 主な例 | 保存期間 |
|---|---|---|
| 帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など | 7年 |
| 決算関係書類 | 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など | 7年 |
| 現金預金取引等関係書類 | 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など | 原則7年 一定の場合5年 |
| その他の書類 | 請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など | 5年 |
現金預金取引等関係書類については、前々年分の事業所得と不動産所得の金額が300万円以下の場合、5年間の保存でよいとされる例外があります。
ただし、同じ領収書・請求書について消費税法上の保存義務が別にある場合は、その保存期間も確認してください。
| 保存するもの | 主な例 | 保存期間 |
|---|---|---|
| 法定帳簿 | 収入金額・必要経費を記載した帳簿 | 7年 |
| 任意帳簿 | 業務に関して作成した上記以外の帳簿 | 5年 |
| 決算関係書類 | 棚卸表など | 5年 |
| 取引関係書類 | 請求書、納品書、送り状、領収書など | 5年 |
社内ルールとしてすべて7年間保存すること自体は、法定期間を上回る保存となるため可能です。
一方、電子データには個人情報・取引先情報・機密情報が含まれることもあります。必要以上に保存し続けることによる情報管理リスクもあるため、法定期間を把握したうえで保存・削除ルールを決めるとよいでしょう。
所得税上は5年間の保存で足りる請求書等でも、消費税の仕入税額控除に利用する場合は、別途消費税法上の保存ルールを確認する必要があります。
本則課税で仕入税額控除を受けるために保存する帳簿・適格請求書等は、原則として7年間保存します。
請求書等については、その受領日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日を基準として7年間です。
なお、現行の消費税法では、保存期間の6年目・7年目については帳簿または請求書等のいずれか一方を保存すればよい取扱いがあります。実務を単純化するため、請求書等も7年間まとめて保存する運用にしても構いません。
また、消費税の確定申告期限の延長特例を適用している法人では、保存期間の起算に「2か月」ではなく「3か月」を用いる場合があります。
適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書等の写しや、提供した電子インボイスに係る電磁的記録を保存します。
保存期間は、交付・提供した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間です。
| 立場 | 保存するもの | 保存期間の考え方 |
|---|---|---|
| 買手 | 仕入税額控除のための帳簿・適格請求書等 | 帳簿の閉鎖日・請求書等の受領日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から原則7年 |
| 売手 | 交付した適格請求書等の写し・提供した電子インボイスの電磁的記録 | 交付・提供日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年 |
個人事業主について、所得税上は5年保存で足りる請求書でも、消費税の仕入税額控除に必要な適格請求書等として保存する場合は、消費税法上の期間も満たすように管理しましょう。
電子帳簿保存法には「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3つの区分があります。
ただし、どの保存区分に該当するかを理由として、元の法定保存期間が延びたり短くなったりするわけではありません。
| 保存区分 | 対象 | 保存期間の考え方 |
|---|---|---|
| 電子帳簿等保存 | 会計ソフト等で最初から一貫して電子的に作成した帳簿・書類 | 法人税法・所得税法等の法定期間 |
| スキャナ保存 | 紙で受領・作成した請求書・領収書等を画像化して保存 | 元の紙書類に適用される法定期間 |
| 電子取引データ保存 | メール、ECサイト、クラウド等で電子的に授受した取引情報 | その取引情報に対応する法定期間 |
途中で紙をスキャンしたり、保存システムを変更したりしても、保存期間がそこからリセットされるわけではありません。元の法定起算日と保存期限を引き継ぎます。
紙で受け取った請求書・領収書等を電子帳簿保存法のスキャナ保存要件に従って保存した場合は、原則として紙原本を法定保存期間中ずっと残しておく必要はありません。
ただし、スキャンした直後に無条件で廃棄するのは避けましょう。
すべてのページが読み取られているか
文字・金額等が明瞭に確認できるか
解像度・色調などの読取要件を満たしているか
入力期間・検索・訂正削除管理など必要な保存要件を満たしているか
要件を満たしたデータであることを確認してから紙原本を廃棄する社内フローにしておくと安全です。
メール添付のPDF請求書、ECサイトからダウンロードした領収書など、電子取引で授受した保存対象データは、原則として電子データのまま保存します。
紙へ印刷し、社内の確認・承認作業に利用すること自体は問題ありません。
しかし、印刷した紙を保存していることを理由に、元の電子データを法定保存期間が満了する前に削除することはできません。
電子データ + 印刷した紙を保存 → 可
法定期間前に電子データを削除 + 紙だけ保存 → 原則不可
「電子帳簿保存法では11年間保存しなければならない場合がある」といった説明を見かけることがあります。
ただし、法人税法上の保存期間そのものが一律11年になるわけではありません。
たとえば10年保存が必要な事業年度でも、その10年間は帳簿・書類の作成日からではなく、法人税の確定申告書の提出期限の翌日から数えます。
そのため、事業年度の初日に作成した帳簿・書類から見れば、次の期間が加わります。
その事業年度が終了するまでの期間
法人税の申告期限までの期間
法定保存期間の10年間
通常の1年間の事業年度で考えると、作成日から実際に廃棄できるまでの経過期間が11年を超えて見えることがあります。
自動削除を「ファイル作成日から10年」で設定すると、法定保存期間が満了する前に削除するおそれがあります。年度と法定起算日を基準に保存期限を管理しましょう。
株式会社では、税法とは別に会社法上の保存義務も確認する必要があります。
| 会社法上の書類 | 保存期間 | 起算点 |
|---|---|---|
| 会計帳簿・事業に関する重要資料 | 10年 | 会計帳簿の閉鎖の時から |
| 計算書類・その附属明細書 | 10年 | 計算書類を作成した時から |
そのため、法人税法上は7年間保存すればよい年度であっても、同じデータが会社法上10年間の保存対象となっていれば、7年経過時点で削除すると会社法の保存義務を満たせません。
法人の文書保存規程を設計するときは、法人税法だけではなく、会社法や業法、契約で定められた保存義務なども確認しましょう。
「帳簿は全部7年」のような一律管理ではなく、必要な保存期間ごとに区分します。
法人税|通常年度|7年
法人税|一定の欠損年度等|10年
消費税|適格請求書関係|原則7年
会社法|会計帳簿・計算書類等|10年
年度単位で廃棄判定できるようにすると、ファイル単位で保存期限を設定するよりミスを減らしやすくなります。
取引日やファイル作成日だけではなく、適用法令上の起算日と保存期間満了日を管理します。
申告期限の延長を行った年度などでも正しく廃棄日を判定できるようにしましょう。
同じ書類について複数の法令上の保存義務が適用される場合は、短い方の期間が終わったからといって削除できるとは限りません。
たとえば、所得税上5年・消費税上7年の保存が必要な場合は7年、法人税上7年・会社法上10年であれば10年を満たすように管理します。
紙を途中からスキャンしたり、クラウドサービスや文書管理システムを変更したりしても、法定保存期間がその日から再スタートするわけではありません。
旧システムから新システムへ移行するときは、少なくとも次の情報を引き継ぎましょう。
対象年度
法定起算日
保存期限・廃棄可能日
必要な訂正・削除履歴や管理情報
クラウドストレージや文書管理システムには、一定期間を経過したデータを自動削除する機能があります。
便利な機能ですが、「作成から7年」「作成から10年」のような単純な設定では法定起算日とずれる可能性があります。
また、欠損年度や会社法上の10年保存対象書類まで一括削除しないように注意してください。
削除前の承認、保留設定、削除ログ、一定期間の復元機能なども確認すると安全です。
原則として、電子化したという理由だけで保存期間が延びるわけではありません。
法人税法、所得税法、消費税法など、その帳簿・書類に適用される元の保存期間に従います。
法人税上の原則的な保存期間は7年間で、一定の欠損年度等について10年間です。
一方、株式会社には会社法上10年間保存する会計帳簿・計算書類等があります。
すべてを10年以上保存する社内ルールにすることはできますが、保存コスト、個人情報、取引先情報、営業秘密などを必要以上に保持するリスクも考慮し、書類区分ごとに保存期限を定める方法があります。
申告区分と書類の性質によって異なります。
白色申告者の一般的な取引関係書類は5年間です。
青色申告者の現金預金取引等関係書類は原則7年間ですが、前々年分の事業所得・不動産所得の金額が300万円以下の場合は5年間となります。
さらに、消費税の仕入税額控除に使う適格請求書等として保存する場合は、消費税法上の保存期間も確認してください。
「PDFだから7年」といった一律のルールはありません。
そのPDFが法人税・所得税上どの帳簿・書類に当たるのか、消費税上の適格請求書等として保存する必要があるのかなどを確認します。
該当する複数の保存義務がある場合は、必要となる最長の期間を満たすように保存しましょう。
同じ電子データについて複数のバックアップコピーを法定保存期間中ずっと保持することが一律に義務付けられているわけではありません。
ただし、システム障害、誤削除、ランサムウェアなどによって法定保存データを失えば、保存義務を履行できなくなる可能性があります。
適切なバックアップと復元手順を用意し、定期的にデータを復元できるか確認することをおすすめします。
該当する税法上の保存期間だけでなく、会社法、業法、契約上の保存義務、訴訟・監査対応なども確認してから削除します。
法的な保存停止や社内調査等によって削除してはいけないデータがある場合に除外できるよう、削除対象・承認者・削除記録を決めておくと安全です。
電子帳簿保存法で電子保存した帳簿・書類の保存期間は、電子帳簿保存法だけで一律に決まるものではありません。
法人税法、所得税法、消費税法など、元の帳簿・書類に適用される保存義務に従うのが基本です。
法人税上は原則7年間、一定の欠損年度等は10年間です。個人事業主は青色・白色申告や書類の種類によって5年または7年に分かれます。
インボイス関係では、仕入税額控除に利用する帳簿・適格請求書等や、売手が保存する適格請求書の写し等について、原則7年間の保存ルールがあります。
また、株式会社では会社法上、会計帳簿・重要資料や計算書類等を10年間保存する義務があるため、税法だけを見て削除時期を決めないことも重要です。
保存期間は、ファイル作成日やスキャン日から単純に数えるとは限りません。
対象年度、適用法令、法定起算日、保存期限を管理し、システム移行や自動削除の際にも元の保存期限を引き継ぎましょう。
複数の保存義務が重なる場合は必要な最長期間を確認し、早すぎる削除と不要な長期保有の両方を防げる文書保存ルールを整えることが大切です。