更新日:2023.07.26
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インボイス制度とは、2023年10月より新たに導入されることになった、消費税の仕入税額を控除する際に必要となる手続きのことです。
本制度が導入されることにより、個人事業主や中小企業など、多くの事業者の経営にが大きな影響を受けることが予想されています。
今回は、インボイス制度の概要について説明するとともに、インボイス制度が導入されることになった背景や制度導入により変更となること、
その他注意点や制度開始前に準備しておくべき点について紹介します。
インボイス制度とは、取引内容や消費税率・消費税額といった所定の要件を記載した請求書・納品書を発行し、保存しておく制度です。
別名「適格請求書等保存方式」とも呼ばれており、制度運用開始後は請求書や納品書を交付する際に、以下に挙げる6つの記載事項をもれなく記載した
「適格請求書」を準備する必要があります。
インボイス制度対応の適格請求書に記載する6つの事項は以下の通りです。[注1]
● 氏名または名称、登録番号(適格請求書発行事業者のもの)
● 取引の年月日
● 取引の内容(軽減税率の対象品目についてはその旨の記載)
● 税率ごとの合計対価金額、適用税率
● 消費税額
● 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
なお、インボイス制度導入後に仕入税額控除を受ける際は、前もって税務署から「適格請求書発行事業者」の登録を受けた事業者が発行する適格請求書を
保存することが条件となりますので、注意が必要です。
[注1]国税庁|適格請求書保存方式リーフレット
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/300416.pdf
1. 納税額を正確に把握するため
2. 益税問題の解決を図るため
以下、具体的にこれら2つのインボイス制度導入の背景について説明します。
具体的には、消費税率が8%と10%の2つの税率が混在していることから、より正確な納税額を把握するために、税率および税額の正確な記載が求められるようになりました。
その結果、請求書に記載する仕入税額についても記載する内容を定めたうえで、消費税の税額控除を了承するという形となったのです。
また、取引先の事業者についても、課税事業者であるかどうかについて確認をしておく必要があります。
1. インボイス発行事業者は課税事業者のみとなる
2. 課税事業者に変更するかどうかの判断が必要となる
3. 再び免税事業者に変更したい場合の手続きが煩雑となる
以下、具体的にこれら3つのインボイス制度導入による注意点について解説します。
インボイスを発行するためには、課税事業者となる必要があります。
インボイス発行事業者となるには、課税事業者としての登録をしなければならないことを念頭においておきましょう。
そのため、現時点で免税事業者である場合、
● 課税事業者に変更して事業を行う
● そのまま免税事業者として事業を継続する
● 課税事業者となった場合は適格請求書発行事業者の登録を実施する
といった3つのパターンからどのような形をとるか、判断をせまられることになります。
なお、免税事業者が、インボイス制度開始日から適格請求書発行事業者となる場合には、制度開始半年前までの申請が必要となりますので、注意が必要です。
そのため、免税事業者に変更するためには、さらに「課税事業者の選択不適用届出書」の提出および手続きが必要となりますので、あらかじめ認識しておきましょう。
1. 適格請求書発行事業者の登録申請
2. 使用している会計ソフトの再確認
3. 課税事業者への変更の検討
以下、具体的にこれら3つのインボイス制度に対応するための準備について解説します。
「適格請求書発行事業者」の登録申請を行う際は、所轄の税務署長あてに書類を提出、審査を経て問題がなければ、登録番号の通知という流れとなります。
制度に対応していない古くからの会計ソフトを使用している場合は、新たな経理システムを準備する必要があると認識しておきましょう。
課税事業者となれば、消費税の納税義務が生じますが、免税事業者のままであれば取引先とのビジネスにおいて不利益となる可能性もあります。
そのため、免税事業者が課税事業者に変更する場合は、今後の事業への影響を考慮し、どちらで事業を継続するのがよいのか、十分に検討する必要があります。
インボイス制度の全てを知りたいなら
2023年10月に備える!インボイス制度ガイドブックインボイス制度導入により、今後消費税の納付義務が免除されていた免税事業者が、大きな影響を受けることが予想されます。
そのため、免税事業者は事業への影響を考え、課税事業者に変更するかどうかの判断が必要となるでしょう。
なお、制度開始日からインボイス制度に対応する場合には、半年前までの手続きが必要となります。
スムーズな手続きのためにも、早めの準備をしておくと安心です。