
南海電気鉄道株式会社 様
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南海電鉄は組織再編に伴い、バックオフィス業務の安定運営を揺るがしかねない大きな課題に直面していた。そうした危機感の背景には、2025年4月に実施した泉北高速鉄道との合併時の経験があった。
同社では口座振替明細特定サービスを活用し、鉄道部門235件、不動産・コーポレート部門333件の合計568件に及ぶ引き落としデータを会計システムへ自動連携する仕組みを構築していた。これにより、「口座振替をベースにした仕組みを構築していたので、確認作業のみで対応できる環境になっていました」と経理サービス部の網代氏は語る。
しかし、この仕組みは口座振替を継続して利用できることを前提としている。泉北高速鉄道との合併時には口座名義の相違によりその前提が崩れ、通信料金や公共料金の口座振替が正常に引き継がれず、一時的に紙の納付書による支払対応を余儀なくされた経緯があった。
網代氏は、「泉北高速鉄道との合併後、納付書が当社へ送付され伝票を起票することになりましたが、納付書対応に関する社内連携がスムーズに進まず、混乱が発生しました」と当時を振り返る。
そして2026年4月の鉄道事業分社化では、再び口座名義や契約主体の変更が発生する。対応が遅れれば、再び紙の納付書払いが発生し、手入力による伝票の起票が大量に増加する恐れがあった。網代氏は「もし今回の分社化で支払いを引き継げず、一時的にすべての請求が納付書払いに逆戻りして手入力で伝票を起票することになれば、業務量は合併時の増加どころではなく、現場が立ち行かなくなるのは確実であり、強い危機感がありました」と振り返る。過去の経験を教訓に、鉄道事業の安定運営を支えるバックオフィス部門では、組織再編という大きな変化の中でも支払業務を滞りなく継続できる仕組みづくりが求められていた。
こうした課題を解決するため、南海電鉄は複数の支払手段や移行方法を検討した。しかし、いずれの方法にも運用面や工数面で課題があり、現実的な解決策とはなり得なかった。
例えば、自社で納付書を回収して支払う運用に切り替えた場合、窓口での支払手数料の高騰や取扱金融機関の窓口縮小といった環境変化もあり、多数の駅や拠点に散在する紙の納付書を管理・処理する負荷が大きかった。
口座振替の引き落とし口座を新会社へ変更する案も検討されたが、水道局や電力会社、通信会社等の各収納機関に対し、数百件に及ぶ名義変更や口座変更手続きを個別に行う必要があった。加えて、会計システムの仕訳設定も見直さなければならず、限られた人員で対応することは難しかった。
また、その他の支払方法への移行も選択肢の一つだったが、高圧電力や一部の水道料金等は決済方法が限られており、支払方法を一元化できないという課題が残った。
どの方法を選んでも課題が残る状況の中で、南海電鉄が選択したのはインボイス社が提供する一括請求サービス(Gi通信・OneVoice公共)への切り替えだった。
西上氏は、「煩雑な契約変更手続きや口座変更手続きをインボイスへ任せることで、バックオフィス部門は分社化対応という本来注力すべき業務に集中できる点が、導入の大きな決め手となりました」と語る。
鉄道事業の分社化という大規模かつ期限の決まった組織再編の中、バックオフィス部門が煩雑な変更手続きに多くの工数を割くことなく、本来注力すべき分社化実務にリソースを集中できる点が導入の大きな決め手となった。
インボイス社のサービス導入により、南海電鉄は当初懸念していた支払業務への影響を最小限に抑えながら鉄道事業分社化を円滑に進め、名義不一致や手続き漏れによる納付書払いへの逆戻りを回避できた。
分社化に伴う移行手続きにおいては、インボイス社のカスタマーサクセスチームが大きな役割を果たした。「分社化にあたり契約範囲が二転三転しましたが、カスタマーサクセスチームが一連の手続きを全て代行してくれたため、安心してお任せすることができました」と西上氏は評価する。数百枚に及ぶ押印作業や収納機関ごとの個別対応が不要となり、新会社である南海電鉄においても支払業務はスムーズに軌道に乗った。
現在は、インボイス社のポータルサイトからExcel形式で請求データをダウンロードし、必要な加工を行ったうえで、南海電鉄が利用するERP会計システムへインポートすることでスムーズな仕訳データ連携を実現している。
さらに支払業務の効率化に加え、データ活用の面でも新たな効果が生まれた。これまで各駅や各拠点に散在していた電気・水道・ガス等のエネルギー使用量データが、OneVoice Portal上に集約されたことで、サステナビリティ推進部門が求める環境負荷低減や脱炭素経営に必要なデータの集計業務が効率化された。西上氏は、「各鉄道現業部門に分散していたエネルギーデータを一括で回収し、非財務情報の開示等に活用できる仕組みが構築できたことは非常に有益です」と評価している。

経理サービス部 西上氏/網代氏
南海電鉄が成し遂げた鉄道事業分社化と、それを支えたバックオフィス業務の移行は、まさに組織再編時における守りのバックオフィスDXの好事例といえる。
合併や分社化といった組織再編では、表面的な組織の変更だけでなく、その裏側で多数の契約や支払いに関する変更手続きが発生する。こうした移行業務はバックオフィス部門に大きな負荷をもたらし、業務継続上のリスクとなるケースも少なくない。南海電鉄は過去の教訓をもとに、一括請求サービスという外部リソース(BPO)を活用することで支払業務の安定運営を実現した。
現在は、さらなる業務効率化に向けて会計システムとのデータ連携の自動化も検討している。インボイス社が新たにリリースした会計システム自動連動プラットフォーム「OneVoicePalette」等の最新提案についても、次の業務改善につながるソリューションとして期待を寄せている。
最後に、網代氏は「今回の取り組みは、組織再編時における支払業務の安定運営だけでなく、将来を見据えたデータ活用基盤の整備という点でも大きな成果となりました。多数の拠点を抱え、通信料金や公共料金の支払事務が分散している企業、とりわけ将来的に組織再編や合併・統合が想定される企業には、一括管理の仕組みを早い段階で整備しておくことをお勧めしたいです」と締めくくった。

南海なんば駅
| 名称 | 南海電気鉄道株式会社 |
|---|---|
| 本社 | 大阪市浪速区敷津東二丁目1番41号 |
| 代表者 | 代表取締役社長 梶谷 知志 |
| サイト | https://www.nankai.co.jp/ |