更新日:2026.08.31

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Amazonで備品を買ったあと、「経費精算に出すのは請求書か、領収書か」で手が止まった経験はないでしょうか。
結論から言えば、経理実務で本当に必要なのはそのどちらでもなく、適格請求書(インボイス)です。しかもAmazonの場合、同じ手順を踏んでも適格請求書が出る注文と出ない注文があります。分かれ目は、その商品をAmazon本体が売っているか、マーケットプレイスの出品者が売っているかです。
この記事では、Amazonで表示される3種類の書類の違いを整理したうえで、経費精算と仕入税額控除でそれぞれ何を取ればよいか、発行手順と注意点まで解説します。
請求書と領収書は、そもそも役割が違う書類です。請求書は代金を請求するために支払前に発行され、領収書は代金を受け取った事実を証明するために支払後に発行されます。したがって請求書は領収書の代わりにはなりません。
ただしAmazonでの買い物は、注文と同時に決済が完了する取引がほとんどです。そのため請求書が発行される場面自体がほぼなく、通常の個人アカウントで注文履歴から出せるのは領収書側の書類になります。
「Amazonでは請求書が出せない」と感じるのは、そもそも請求書を発行する取引形態になっていないためです。
例外的に請求書が発行されるのは、法人向けのAmazonビジネスで請求書払い(後払い)を利用している場合です。この場合は月次でまとめた請求書が発行されます。
ただし注意が必要で、この月次の請求書はインボイスではありません。仕入税額控除に使うには、注文ごとの適格請求書を別途取得する必要があります。請求書払いにしているから安心、とはならない点は押さえておいてください。
Amazonの注文履歴から出せる書類は、実際には次の3種類に分かれます。ここを混同していると、経費精算は通ったのに仕入税額控除ができない、という事態になります。
| 書類 | どんな書類か | 仕入税額控除 |
|---|---|---|
| 領収書 | 支払いを受けた事実を証明する書類。注文履歴から発行する。 | 登録番号の記載がなければ不可 |
| 購入明細書 | 注文内容と金額の内訳を示す書類。発行日が記載されない。 | 単体では不可 |
| 適格請求書 | 登録番号・適用税率・税率ごとの消費税額を満たした書類。 | 可 |
見た目が似ているため取り違えやすいのですが、判別方法はシンプルです。ダウンロードした書類の右上に「適格請求書」の表示があるか、そしてTから始まる13桁の登録番号が記載されているか。この2点を確認してください。
後述のとおり支払方法によっては領収書が発行できません。その場合は購入明細書が発行できます。購入明細書には発行日の記載がありませんが、注文日・購入商品・支払金額・配送先が記載されているため、社内の経費精算では代替として認められることが多いです。
ただしこれはあくまで社内精算の話で、消費税の仕入税額控除の証憑としては要件を満たしません。
ここがAmazon特有の、そして経理担当者が最もつまずくポイントです。
Amazon本体(Amazon.co.jp)が販売・発送している商品であれば、適格請求書を取得できます。一方、マーケットプレイスの出品者から購入した商品は、その出品者が適格請求書発行事業者として登録しているかどうかで結論が変わります。登録していない出品者から購入した場合、適格請求書は発行されません。
同じAmazonの画面で、同じように注文して、同じように注文履歴から書類を出しても、片方は控除でき、片方はできないということが起こります。
| 販売元 | 適格請求書の可否 | 確認方法 |
|---|---|---|
| Amazon.co.jp | 取得できる | 注文履歴から発行し、登録番号の記載を確認 |
| マーケットプレイス出品者(登録あり) | 取得できる | 商品ページで発行対象かを確認、または出品者に直接問い合わせ |
| マーケットプレイス出品者(登録なし) | 取得できない | 経過措置による控除、または他の仕入先への切り替えを検討 |
免税事業者などからの仕入れについては、一定割合を控除できる経過措置が設けられています。ただしこの控除割合は段階的に引き下げられており、2026年10月1日以降の取引は控除できる割合が下がります。
少額な備品購入であればそこまで神経質になる必要はありませんが、Amazonでの購入が常態化していて金額もまとまっているなら、経過措置の縮小に合わせて仕入先を見直す価値はあります。
マーケットプレイス出品者の商品は、購入前に商品詳細ページで適格請求書の発行対象かを確認しておくのが確実です。経費として買うものについては、この一手間で後の処理が大きく変わります。
書類の発行は、ブラウザ版の注文履歴から行うのが確実です。スマートフォンからでもブラウザでアクセスすれば発行できます。
アプリ内でも書類を表示できる場合がありますが、注文の種類や販売元によって表示されないことがあります。確実に発行したい場合はブラウザを使ってください。
| 手順 | 操作 |
|---|---|
| 1 | ブラウザでAmazonにアクセスし、ログインする |
| 2 | アカウントメニューから注文履歴を開く |
| 3 | 対象の注文を選び、注文内容の詳細を表示する |
| 4 | 領収書または適格請求書を表示するリンクを選択する |
| 5 | 表示された書類を印刷、またはPDFとして保存する |
スマートフォンにAmazonアプリが入っていると、ブラウザでURLを開こうとしてもアプリが起動してしまうことがあります。この場合はリンクを長押ししてURLをコピーし、ブラウザのアドレスバーに直接貼り付けてアクセスしてください。
Amazon上で領収書を発行できる支払方法と、できない支払方法があります。
| 区分 | 支払方法 |
|---|---|
| 発行できる | クレジットカード、携帯決済、あと払い(ペイディ)、PayPay、Amazonギフトカード、Amazonポイント、パートナーポイント |
| 発行できない | コンビニ払い、ATM払い、ネットバンキング払い、電子マネー払い |
コンビニ払いを選んだ場合は、Amazon側から領収書は出せません。レジで受け取った領収書をそのまま保管してください。
注文が完了していても、商品が発送されるまで書類は発行できません。月末に注文して月をまたいで発送された場合、書類の発行タイミングもずれます。期末の経費計上では注意してください。
Amazonの領収書は何度でも発行できますが、2回目以降は再発行として扱われ、その旨が書類に記載されます。発行日も再発行した日付に更新されます。
社内で受理されるかは経理規程によるため、二重発行を避けたい場合は、最初の発行時にPDFで保存しておくのが確実です。
Amazonの書類は宛名が空欄で発行されます。発行済みの書類に宛名を書き足す行為は避けてください。書類には注文者の氏名と住所が記載されているため、空欄のままでも問題ないという扱いが一般的です。
一度の注文で複数の商品を購入した場合、書類にはその注文の全商品がまとめて記載されます。商品ごとに分割することはできません。
経費で落とす商品と私物を同じ注文にまとめてしまうと、精算時に説明が必要になります。経費用の購入はカートを分けて注文する、あるいは経費専用のアカウントを分けるのが実務的です。法人での購入が多いなら、Amazonビジネスのアカウントを用意すると管理がしやすくなります。
AmazonからPDFでダウンロードした書類は、電子取引データに該当します。電子帳簿保存法の要件に沿って、電子データのまま保存する必要があります。印刷して紙で保管し、データを削除するという運用は認められません。
保存にあたっては、日付・取引先・金額で検索できる状態にしておくことが求められます。ファイル名にこれらの情報を含めるルールを社内で決めておくと、後から探す手間も減ります。
アカウントサービスのメンバーシップ管理画面から発行できます。通常の商品購入とは発行場所が異なるため、注文履歴を探しても見つかりません。
領収書の発行自体は可能です。ただしギフトカードの購入時点では課税仕入れとならず、実際に商品を購入した時点で処理する点に注意してください。
社内の支払処理には使えますが、仕入税額控除の証憑としては不足します。注文ごとの適格請求書を別途取得して保存してください。
Amazonの請求書と領収書は発行タイミングが違い、請求書は領収書の代わりにはなりません。ただし実務で本当に確認すべきなのは、その書類が適格請求書の要件を満たしているかどうかです。
特にマーケットプレイスの出品者から購入した商品は、出品者の登録状況によって適格請求書が発行されません。経費として購入するものは、注文前に発行対象かを確認しておくのが確実です。
免税事業者からの仕入れに対する経過措置は段階的に縮小していきます。Amazonでの購買が積み上がっている企業ほど、いま一度、仕入先ごとの登録状況を棚卸ししておく価値があります。