更新日:2026.10.28

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掛け売りとは、商品の引渡しやサービスの提供を先に行い、代金を後日受け取る取引方法です。企業間取引では一般的な方法で、「掛売り」と表記されることもあります。
掛け売りでは、代金を受け取る前に売上を計上し、入金までの間は売掛金として管理します。回収が遅れたり貸倒れが起きたりすると資金繰りに直結するため、債権管理を適切に行うことが重要です。
本記事では、掛け売りの意味やメリット・デメリット、基本的な流れ、仕訳例などを解説します。リスクを抑える方法や消費税・インボイスの扱いもわかりやすくまとめているため、ぜひ参考にしてください。
掛け売りとは、商品の引渡しやサービスの提供を先に行い、代金を後日受け取る取引方法です。
企業間取引では、掛け売りが広く使われています。取引のたびに代金を精算すると、請求や振込、入金確認などの手間が増えるためです。掛け売りを行い、一定期間の取引をまとめて請求すれば、売り手と買い手の双方の事務負担を減らせます。
たとえば、メーカーが小売店へ「月末締め翌月末払い」の条件で商品を納品する取引は、掛け売りにあたります。10月5日と10月20日に納品した商品の代金は、10月末に締めて請求し、11月末にまとめて入金を受ける流れです。
このように、掛け売りは継続的な取引を円滑に進めるための方法といえます。ただし、入金までの間は代金を回収できないなど、リスクが伴う点も理解しておきましょう。
「掛け売り」「売掛」「売掛金」は似た言葉ですが、指しているものが異なります。3つの言葉の違いは、以下のとおりです。
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用語 |
意味 |
分類 |
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掛け売り(掛売り) |
代金を後日受け取る約束で、商品やサービスを販売すること |
取引の方法 |
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売掛(売り掛け) |
掛け売りと同じ意味。掛け売りで生じた代金(売掛金)を略して指す場合もある |
取引の方法/代金 |
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売掛金 |
掛け売りによって生じた、代金を受け取る権利 |
勘定科目(資産) |
3つの言葉の関係を整理すると、「商品を掛け売り(売掛)した結果、売り手の帳簿に売掛金が計上される」となります。
売掛金は、原則として貸借対照表の流動資産に計上される勘定科目です。代金を回収した時点で減少し、全額を回収すればその取引の売掛金は消滅します。回収不能が確定した場合は、貸倒損失の計上などにより売掛金を減らします。貸倒引当金がある場合は、先に引当金を取り崩すのが一般的です。
関連記事:【科目解説】売掛金・買掛金とは? | 月次締めで押さえるべきポイントを徹底解説
掛け売りと似た言葉に「掛け払い」「掛取引」があります。いずれも後払いの取引に関する言葉ですが、見る立場や指しているものが異なります。それぞれの違いは、以下のとおりです。
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用語 |
主な視点 |
意味 |
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掛け売り |
売り手 |
代金を後日受け取る約束で販売すること |
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掛け払い |
買い手 |
代金を後日支払う約束で購入し、後払いで決済すること(締め日ごとにまとめて支払うのが一般的) |
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掛取引 |
売り手・買い手の双方 |
掛け売りと掛け払い(掛け買い)を合わせた、後払い取引形態の総称 |
たとえば、卸売業者が小売店へ月末締め翌月末払いで商品を販売する場合、卸売業者は掛け売りをしていることになります。一方、小売店は、10月中に仕入れた商品の代金を11月末にまとめて支払うため、掛け払いで決済している状態です。
なお、掛け払いは請求書払いとも呼ばれ、売り手が「掛け払いに対応しています」のように、受け付ける決済手段の名称として使う場合もあります。
関連記事:掛け払いとは?仕組みや後払いとの違い、メリット・デメリットをわかりやすく解説
掛け売りには、以下のようなメリット・デメリットがあります。
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メリット |
デメリット |
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・企業間取引で一般的な支払条件に対応でき、取引の機会を逃しにくい ・一定期間(月単位など)の取引をまとめて請求でき、請求書の発行や入金確認の回数を減らせる ・継続的な取引になりやすく、取引先との関係を強化できる |
・取引先の倒産や支払遅延により、代金を回収できない場合がある ・入金までの間、売上代金が手元にない状態が続き、資金繰りに影響する ・請求書の発行、入金確認、督促などの債権管理の業務が増える |
メリットとデメリットについて、それぞれ詳しくみていきましょう。
掛け売りの主なメリットは、次の3つです。
とくに大きいのは、取引の機会を逃しにくくなる点です。企業間取引では、月末締め翌月末払いなどの後払いが一般的な支払条件として定着しています。都度払いや前払いしか受け付けない売り手は、取引先の候補から外れてしまうおそれもあるでしょう。
事務作業の面では、請求や入金確認の回数を減らせます。たとえば、週に数回納品する取引先でも、月末締めにすれば請求書の発行と入金確認は月1回で済みます。
また、締め日と支払期日を決めて取引を続けるため、取引先と継続的な関係を築きやすい点もメリットです。掛け売りは、売上と業務効率の両面で売り手にメリットのある販売方法といえます。
掛け売りの主なデメリットは、次の3つです。
とくに注意すべきは、代金を回収できなくなる貸倒れのリスクを負う点です。掛け売りでは、取引先が倒産したり支払いが滞ったりすると、売上として計上した代金が入金されません。
資金繰りへの影響にも注意が必要です。たとえば、月末締め翌月末払いの場合、月初に納品した商品の代金は、入金まで2ヶ月近くかかります。その間も仕入代金や人件費は支払う必要があるため、売上が伸びるほど手元資金が不足しやすくなるでしょう。
さらに、現金取引や前払いと比べると、債権管理の業務が増えます。請求書の発行や入金確認、期日に遅れた取引先への督促などが代表例です。
掛け売りは、取引を始める前の審査から代金の回収まで、一連の流れで進みます。各段階で必要な対応を押さえておくことが、貸倒れを防ぐポイントです。
売り手から見た掛け売りの流れは、次のとおりです。
与信審査では、取引先の財務状況や支払実績、信用調査会社の評価などを確認します。審査結果に応じて与信限度額を設定し、その範囲内で取引するのが一般的です。与信限度額は、取引先の業績変化に応じて定期的に見直しましょう。
取引条件では、締め日や支払期日、支払方法、振込手数料の負担者などを書面で定めます。支払遅延時の遅延損害金や期限の利益喪失条項も、あわせて定めておくと安心です。条件をあいまいにしたまま取引を始めると、請求額や期日をめぐるトラブルの原因になりかねません。
支払期日を迎えたら、請求額と入金額を照合し、一致していれば売掛金を消し込みます。入金がない場合や金額が合わない場合は、すぐに取引先へ確認しましょう。連絡しても支払われないときは、督促状や内容証明郵便を送るなど、段階的に対応を強めます。
なお、現行民法では、売掛金などの債権の消滅時効は、原則として「権利を行使できることを知った時から5年」と「権利を行使できる時から10年」のいずれか早い方で完成します。通常の売掛金では、支払期日から5年が目安です。ただし、2020年4月1日より前に締結された契約に基づく債権などには、改正前の時効期間が適用される場合があります。
関連記事:【売掛債権とは?】業務の流れ・仕訳・回収管理のポイントを経理実務で解説
掛け売りの仕訳では、商品を引き渡した時点で売上と売掛金を計上し、代金を回収した時点で売掛金を減らします。入金前でも売上を計上する点がポイントです。
ここでは、以下の場面を想定し、仕訳例を解説します。
なお、仕訳例は法人が税抜経理方式を採用し、標準税率10%の商品を販売した場合を前提としています。
商品を掛け売りしたときは税込金額で売掛金を計上し、本体価格を売上、消費税額を仮受消費税等とします。
たとえば、税抜500,000円の商品を掛け売りした場合、消費税額は50,000円となり、売掛金は550,000円です。仕訳は次のとおりです。
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借方 |
貸方 |
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売掛金 |
550,000円 |
売上 |
500,000円 |
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仮受消費税等 |
50,000円 |
税込経理方式の場合は、仮受消費税等を区分せず、売上550,000円として計上します。ただし、勘定科目の名称は会社によって異なり、売上の代わりに売上高、仮受消費税等の代わりに仮受消費税を用いるケースも少なくありません。
なお、売上は入金日や請求書の発行日ではなく、商品の引渡しなど、売上を認識する要件を満たした時点で計上します。サービスでは提供完了時に計上するケースのほか、契約内容や適用する会計基準に応じて、提供期間にわたって計上する場合もあります。
締め日と決算日がずれる場合は、締め日の翌日から決算日までに納品した分の計上漏れに注意しましょう。
代金を回収したときは、入金された金額だけ売掛金を減らします。売掛金550,000円の全額が普通預金に入金された場合の仕訳は、次のとおりです。
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借方 |
貸方 |
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普通預金 |
550,000円 |
売掛金 |
550,000円 |
取引先から一部だけ入金された場合も、考え方は同じです。たとえば300,000円が入金された場合は、借方を普通預金、貸方を売掛金とし、それぞれ300,000円で仕訳します。
入金額と請求額が合わないときは、差額の理由を取引先に確認してから処理してください。振込手数料が差し引かれて入金された場合は、手数料を誰が負担する契約かで処理方法が変わります。自社負担の契約であれば、差額を支払手数料として計上し、売掛金を全額消し込みましょう。なお、消費税の処理を簡便にするため、差額を売上値引きとして処理する方法もあります。
売掛金の回収不能が確定した場合は、原則として貸倒損失として処理します。なお、取引先が倒産しても、直ちに回収不能が確定するとは限りません。破産手続の配当額が確定するまで、貸倒処理を待つケースもあります。
前期末に貸倒引当金を設定している場合は、まず引当金を取り崩します。引当金で不足する分を貸倒損失とするのが一般的です。ただし、税務上の貸倒引当金を損金算入できる法人は、中小法人等などに限られます。
ここでは、課税事業者が税抜経理方式を採用し、標準税率10%の課税売上に係る売掛金について、貸倒れに係る消費税額控除の要件を満たした場合を示します。貸倒引当金がなく、売掛金550,000円の全額が貸倒れとなった場合の仕訳は、次のとおりです。
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借方 |
貸方 |
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貸倒損失 |
500,000円 |
売掛金 |
550,000円 |
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仮受消費税等 |
50,000円 |
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消費税相当額の50,000円は、要件を満たせば、後述する貸倒れに係る消費税額の控除の対象です。
ただし、売掛金の入金が遅れているだけでは、税務上の貸倒損失として扱えません。法人税の計算で損金(税務上の費用)に算入するには、法的手続きによる債権の切捨てや、取引先の資産状況から全額の回収が不可能と明らかになった場合など、一定の要件を満たす必要があります。
貸倒れの理由によって、処理できる金額や時期は異なります。取引先との契約書や督促の記録など、判断の根拠となる資料を整理し、具体的な処理は税理士に確認しましょう。
関連記事:貸倒損失とは?計上できる3つのケースと仕訳・判断ステップを解説
掛け売りのリスクを抑える主な方法としては、以下の5つが挙げられます。
それぞれの方法について詳しく解説します。
掛け売りの未回収リスクを抑えるには、取引先ごとに与信限度額と支払条件を設定し、継続的に見直すことが重要です。与信限度額とは、取引先に対して認める未回収代金の上限額を指します。
たとえば、与信限度額が100万円で、未回収の売掛金が80万円ある場合、追加で認める掛け売りは原則として20万円までです。新規取引では限度額を低めに設定し、支払実績を確認しながら取引額を増やす方法もあります。
取引先の業績悪化や支払遅延が見られた場合は、限度額の引下げや支払期日までの期間短縮、前払いへの変更などを検討しましょう。
売掛金は、取引先ごとの残高と支払期日を一覧で管理し、入金遅延を早期に把握できる状態にしましょう。請求書を発行するだけでは、未入金や一部入金の見落としを防げません。
管理表や会計システムには、取引先名・請求額・支払期日・入金額・未回収額を記録します。支払期日を過ぎた売掛金は、経過日数ごとに整理すると、優先して確認すべき取引先を把握しやすくなります。
入金遅延が見つかった場合は、担当者が取引先に理由と入金予定日を確認してください。対応履歴を社内で共有し、遅延が続く取引先への追加の掛け売りは慎重に判断しましょう。
請求業務の負担が大きい場合は、請求代行サービスの活用を検討しましょう。
請求代行サービスとは、請求書の発行・送付や入金確認などの請求業務を、外部の事業者が代行するサービスです。サービスによっては、与信審査や督促、未回収時の保証まで含まれます。
保証付きのサービスでは、事業者が与信審査を行い、承認された取引について所定の範囲で未回収リスクを負担します。自社だけでは判断しにくい取引先についても、審査結果や利用限度額を基に掛け売りを検討可能です。また、請求業務にかけていた時間を本業に充てられます。
一方で、請求代行サービスを導入すると、請求件数や代行範囲に応じた手数料がかかります。また、請求書の送付元や振込先が変わる場合は、取引先へ事前に説明して理解を得ることも欠かせません。
なお、保証付きのサービスには、売掛金を事業者が買い取る形態もあります。この場合、売掛金が譲渡されるため、会計処理も変わる点に注意しましょう。
関連記事:請求書代行サービスとは?|料金相場や法律的観点から気をつけるべきこと
貸倒れへの備えを強化したい場合は、売掛保証サービスを活用する方法があります。
売掛保証サービスとは、売掛金を回収できなくなった場合に、保証会社が保証金額を支払うサービスです。利用する際は、売り手が保証料を支払い、取引先ごとに保証する金額の上限を決めて契約するのが一般的です。貸倒れによる損失を保証額の範囲内で補てんしてもらえるため、新規の取引先や取引額の大きい取引先とも掛け売りしやすくなります。
ただし、保証料は取引先の信用状況や保証額などによって異なり、取引先によっては保証を引き受けてもらえない場合もあります。保証の対象となる事由や、支払遅延の報告期限などの条件も契約ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。
入金を待たずに資金を確保したい場合は、ファクタリングを活用する方法があります。ファクタリングとは、売掛金をファクタリング会社に譲渡し、支払期日より前に現金化する仕組みです。主に以下の契約形態が存在します。
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契約形態 |
仕組み |
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2社間ファクタリング |
自社とファクタリング会社の間で契約する。取引先は通常どおり自社に支払い、自社が回収した代金をファクタリング会社へ支払う |
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3社間ファクタリング |
取引先の承諾を得て契約し、取引先がファクタリング会社へ直接支払う |
償還請求権とは、取引先が支払えなかった場合に、ファクタリング会社が自社に代金の返還を求めることができる権利です。この権利がない契約であれば、取引先が支払えなくなっても、原則として自社が買い戻す必要はありません。資金繰りの改善と回収リスクの移転を同時に図れる点がファクタリングのメリットです。
一方、売掛金の額から手数料が差し引かれるため、受け取る金額は売掛金より少なくなります。一般的に、2社間ファクタリングは3社間ファクタリングより手数料が高い傾向にあるため注意してください。
なお、金融庁では、ファクタリングを装った違法な貸付に注意を呼びかけています。手数料の水準や償還請求権の有無など、契約内容を十分に確認しましょう。
関連記事:請求書の買取とは?仕組み・手数料・ファクタリングとの違いまでわかりやすく解説!
掛け売りは違法ではありません。代金の支払時期を当事者の合意で後日とすることは、売買契約の内容として認められています。
ただし、取引の内容によっては、支払条件に法律上の規制が設けられている点に注意が必要です。2026年1月1日に施行された中小受託取引適正化法(取適法)は、その代表例です。
取適法では、製造委託や修理委託、役務提供委託などの取引について、発注側の委託事業者に次の義務や禁止事項を定めています。
取適法の対象は、取引の内容と、資本金や従業員数による規模の要件の両方を満たす取引に限られます。既製品を販売するだけの取引は、原則として対象外です。
また、2027年4月1日からは、独占禁止法上の「支払告示」が施行されます。取適法の対象外の製造委託などでも、原則として受領日から60日以内の支払いが求められます。ただし、取引上の地位が委託事業者に劣っていない受託事業者との取引などは対象外です。
2027年3月31日をもって、電子交換所における手形・小切手の交換が廃止されます。最終振出期限を公表している金融機関の多くは、2026年9月30日を期限に設定しています。取扱いは金融機関によって異なるため、取引銀行の案内を確認し、取引先と振込などへの切り替えを協議しましょう。
関連記事:【2026年1月1日施行】中小受託取引適正化法と経理実務の注意点 手形廃止・支払期日厳格化で経理はどう変わる?
掛け売りの売上は、代金を受け取っていなくても、原則として商品を引き渡した日に消費税の課税売上となります。未回収の売掛金も、その課税期間の申告対象です。
売掛金が貸倒れとなった場合、課税事業者は、貸倒れとなった金額に含まれる消費税額を貸倒れが生じた課税期間の売上に係る消費税額から控除できます。控除後に貸倒れとなった売掛金を回収した場合は、回収した課税期間の消費税額に加算します。なお、控除を受けるには、貸倒れの事実を明らかにする書類の保存が必要です。
インボイス制度のもとでは、適格請求書発行事業者は、課税事業者である取引先から求められた場合に適格請求書を交付しなければなりません。一定期間分をまとめて請求する場合は、請求書に次の事項を記載します。
なお、1つの適格請求書につき税率ごとに1回行います。月締めの請求書だけで適格請求書の要件を満たす場合は、原則として、その請求書に記載する税率別の合計額を基に計算します。一方、納品書と請求書を組み合わせて要件を満たす場合は、記載方法によって納品書ごとに端数処理できるケースもある点に注意しましょう。
掛け売りの請求書を適格請求書の要件に沿って作成したい方は、以下で配布している無料のテンプレートをご活用ください。
汎用的な適格請求書(インボイス制度対応)のテンプレートを無料ダウンロード
掛け売りに関してよくある質問に回答します。
掛け売りとは、商品の引渡しやサービスの提供を先に行い、代金を後日受け取る取引方法です。企業間取引では、月末締め翌月末払いなどの条件で行われるケースが一般的といえます。
掛売(掛け売り)と売掛(売り掛け)は、どちらも代金を後日受け取る約束で販売することを指し、同じ意味で使われます。ただし、売掛には「掛け売りによって生じた代金」という意味もあり、売掛金を略して売掛と呼ぶ場合があります。
掛け売りとは、商品やサービスを先に提供し、代金を後日受け取る販売方法です。企業間取引では広く使われており、売り手は掛け売りを取り入れることで取引の機会を広げやすくなります。一方で、貸倒れや資金繰りのリスクも伴う点には注意が必要です。
売上と売掛金は、入金時ではなく、商品の引渡しやサービスの提供が完了した時点で計上するのが原則です。回収できなくなった場合の貸倒損失の損金算入や消費税の控除には、それぞれ要件があります。
掛け売りの取引先が増えるほど、請求書の発行や入金確認、消込、督促といった業務も増え、手作業では処理の遅れや消込漏れが起きやすくなります。負担を減らすには、請求から消込までの業務フローを見直し、ムダを洗い出すことが大切です。
経理業務の効率化に向けて何から見直すべきかを見極めたい方は、以下の資料もぜひご活用ください。