更新日:2026.10.28

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自動車税の勘定科目は、一般的に「租税公課」です。車の維持費をまとめて管理するために「車両費」を使う場合もありますが、税金とその他の支出は区別して記帳します。
また、納付方法によって貸方の科目が変わり、還付を受けた場合には元の計上内容に応じた処理が必要です。
本記事では、自動車税の勘定科目の選び方から、納付・還付時の仕訳、関連費用の処理、経費計上の注意点まで解説します。個人事業主が私用と兼用する車の家事按分も紹介します。
自動車税は、国や地方自治体へ納める税金などを記録する「租税公課」で処理するのが一般的です。国税庁も、必要経費となる租税公課の例として、事業に関する自動車税を挙げています。
一方、車に関する支出をまとめて把握するため、「車両費」で管理する会社もあります。どちらを使うかは、集計したい情報や自社の経理方針に合わせて決めましょう。
租税公課は、自動車税や固定資産税、印紙税など、事業に関する税金をまとめて把握しやすい科目です。
自動車税をほかの維持費と区別できるため、税金の支払額を確認したい場合に適しています。補助科目に「自動車税」「自動車重量税」などを設ければ、税目ごとの集計も可能です。
ただし、租税公課に記帳した支出が、すべて税務上の経費になるわけではありません。勘定科目と、必要経費・損金にできるかどうかは分けて判断します。
車両費は、ガソリン代や整備代など、車の維持に関する支出をまとめる科目です。自動車税も含めて管理すれば、車にかかった費用の総額を把握しやすくなります。
ただし、車両費には消費税の取り扱いが異なる支出が含まれます。同じ科目を使っていても、税金・保険料・整備代などの内訳を区別しましょう。
複数台の車を管理する場合は、車両番号などの補助科目や管理項目も設けます。同じ内容の取引は原則として継続した方法で処理し、変更する場合は理由と適用時期を記録します。
自動車税は、原則として毎年4月1日現在の自動車の所有者などに課される都道府県税です。税額は、車種・用途・排気量などによって異なります。
車に関する主な税金は、次のとおりです。
|
税金 |
主な課税のタイミング |
納める先 |
|
自動車税 |
毎年4月1日現在の所有者などに課税 |
都道府県 |
|
軽自動車税 |
毎年4月1日現在の軽自動車などの所有者に課税 |
市区町村 |
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自動車重量税 |
新規登録・車検などの際に課税 |
国 |
2026年4月1日から、「自動車税種別割」は「自動車税」、「軽自動車税種別割」は「軽自動車税」に名称が変わりました。古い納税通知書や解説では「種別割」という名称が残っている場合があります。
自動車税は例年5月ごろに納税通知書が届くことが多いものの、納期限や利用できる納付方法は自治体の案内を確認してください。
ここでは、事業専用車の自動車税を「租税公課」で処理する例を紹介します。金額は説明用の架空例です。
以下は、納付時に費用計上する場合を想定しています。すでに未払金を計上している場合は、納付時にその未払金を消し込み、費用を二重に計上しないようにしましょう。
自動車税36,000円を普通預金から納付した場合は、次のように仕訳します。
|
借方 |
貸方 |
||
|
租税公課 |
36,000円 |
普通預金 |
36,000円 |
現金で納付した場合は、貸方を「現金」にします。自動車税本体の消費税区分は「対象外(不課税)」です。
自動車税をクレジットカードで納付すると、納付手続きと口座引き落としの時期が異なるため、いったん「未払金」を計上します。
自動車税36,000円と、仮にシステム利用料300円を支払った場合の例は、次のとおりです。利用料は税込経理を前提としています。
【納付手続き時】
|
借方 |
貸方 |
||
|
租税公課 |
36,000円 |
未払金 |
36,300円 |
|
支払手数料 |
300円 |
― |
― |
【カード代金の引き落とし時】
|
借方 |
貸方 |
||
|
未払金 |
36,300円 |
普通預金 |
36,300円 |
システム利用料は、税額とは別の支出です。実際の金額は納付サービスの明細で確認し、税金本体と分けて記帳しましょう。
年度途中で抹消登録をすると、抹消登録した月の翌月から年度末までの自動車税が月割りで減額されます。年税額を納付済みの場合は、原則として差額が還付されます。
同じ年・事業年度に費用計上した自動車税の還付について、租税公課を減額する例を示します。
|
借方 |
貸方 |
||
|
普通預金 |
12,000円 |
租税公課 |
12,000円 |
前期以前に費用計上した分の還付では、「雑収入」などで処理する場合もあります。科目は、元の計上内容や還付の原因、会社の処理方針を踏まえて判断し、租税公課の残高がマイナスになるかどうかだけで決めないようにします。
また、還付通知を受けた時点ですでに「未収入金」を計上している場合、入金時の貸方は未収入金です。
なお、軽自動車税には月割課税の制度がなく、年度途中で廃車しても、そのことによる月割還付はありません。
自動車にかかる支出は、内容によって使う勘定科目が異なります。代表的な処理例は、次のとおりです。
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支出の内容 |
勘定科目の例 |
|
自動車税・軽自動車税 |
租税公課 |
|
自動車重量税 |
租税公課 |
|
自賠責保険料・任意保険料 |
保険料・損害保険料 |
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車検整備費・通常の修理代 |
修繕費・車両費 |
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ガソリン代 |
燃料費・車両費 |
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月極駐車場代 |
地代家賃・車両費 |
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高速道路料金 |
旅費交通費・車両費 |
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車の購入代金 |
車両運搬具などの固定資産 |
自動車重量税は、通常、納付時に租税公課として処理します。車検で複数年に対応する額を納めた場合も、車検期間だけを理由に、税額を機械的に月割りするものではありません。
一方、保険料は保険期間に応じた費用配分が必要になる場合があります。車検費用を一括で支払っても、税金・保険料・整備代の明細を確認しましょう。
車の購入代金は、原則として資産に計上し、減価償却によって費用化します。修理であっても、性能向上などに当たる支出は資産計上が必要になる場合があります。
関連記事:減価償却費とは?対象資産・計算方法・仕訳・注意点をわかりやすく解説
自動車の取得時に課されていた自動車税・軽自動車税の環境性能割は、2026年3月31日をもって廃止されました。2026年4月1日以降の取得については、環境性能割は課されません。
ただし、廃止前の取得に関する申告や会計処理が不要になるわけではありません。取得時期を確認し、当時の支出と現在の税金を区別します。
廃止前に納付した環境性能割は、法人では車の取得価額に含めず、費用処理することもできます。取得時に支払ったという理由だけで、必ず車両運搬具へ含めるわけではありません。
すでに取得価額に含めたものは、その後に税額部分を抜き出して重ねて費用計上しないよう注意しましょう。
自動車税を正しく処理するには、勘定科目に加えて、計上時期・消費税区分・支出の負担者を確認しましょう。
自動車税を経費にするときの注意点は、以下の通りです。
法人税上、自動車税は、原則として賦課決定のあった事業年度に損金算入します。ただし、納期開始日や実際の納付日が属する事業年度に損金経理した場合の取り扱いも定められています。
納税通知書を受けて費用と未払金を計上した場合、実際の納付時は未払金を消し込みます。「通知時」と「納付時」の両方で租税公課を計上しないようにしましょう。
個人事業主も、原則として納付すべき税額が具体的に確定した時期を踏まえて処理します。法人と個人で適用するルールを混同せず、年末・決算期末をまたぐ場合は特に確認します。
自動車税本体は消費税の対象外ですが、クレジットカード納付のシステム利用料は、税金とは異なるサービスの対価です。手数料の明細に従って消費税区分を設定します。
また、納付が遅れて生じた延滞金は、自動車税本体と同じように経費・損金へ算入できるとは限りません。通常の納付遅延に伴う延滞金などは、税務上の経費から除外する必要があります。
支払総額だけで処理せず、本税・手数料・延滞金を分け、納税通知書や納付記録と対応させて管理しましょう。
法人が役員などの私的な車両費を負担した場合は、通常の業務用車両にかかる費用と区別して処理します。会社の経費となるか、本人へ請求するか、給与などとして扱うかを、契約や使用実態に応じて判断しましょう。
車の名義だけで判断せず、誰のための支出か、会社が負担する根拠は何かを確認することが大切です。
個人事業主の場合は、車を事業専用で使うか、私用と兼用するかによって、経費にできる金額が異なります。事業と私用の両方で使う場合、必要経費になるのは事業で使用した部分だけです。
事業用と私用に共通する支出を、使用実態に応じて分けることを「家事按分」といいます。ここでは、事業使用割合の決め方と、支払口座に応じた仕訳を解説します。
車の使用割合は、走行距離や使用状況など、その車の実態を説明できる基準で決めます。代表的な方法は、次のとおりです。
同じ日に事業と私用の両方で走ることが多い場合、日数だけでは実態を表しにくいため、距離なども確認します。
たとえば、年間走行距離10,000kmのうち、事業で走った距離が6,000kmなら、事業使用割合は60%です。税額36,000円にこの割合を適用すると、経費にする金額は21,600円になります。
運転日報などに日付・行き先・目的・走行距離を記録し、割合を説明できるようにしておきましょう。
同じ自動車税でも、事業用口座と私用口座のどちらから納付したかで仕訳が異なります。
ここでは、税額36,000円、事業使用割合60%の例で確認します。
【事業用口座から全額を納付した場合】
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借方 |
貸方 |
||
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租税公課 |
21,600円 |
普通預金 |
36,000円 |
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事業主貸 |
14,400円 |
― |
― |
帳簿に含めていない私用口座から納付した場合は、経費となる事業分だけを記録します。私用口座から支払ったという理由で、事業に関する支出を経費にできなくなるわけではありません。
【帳簿に含めていない私用口座から納付した場合】
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借方 |
貸方 |
||
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租税公課 |
21,600円 |
事業主借 |
21,600円 |
還付を受けた場合も、納付時に経費にした事業分と私用分を区別して処理します。
なお、「事業主貸」「事業主借」は個人事業主が使用する科目であり、法人では使用しません。
関連記事:経費とは?税金との関係や精算するときの注意点をわかりやすく解説
ここでは、売却時の還付やカード納付の記録など、自動車税の処理で迷いやすい疑問に回答します。
車を売却し、名義変更しただけでは、自動車税は原則として還付されません。抹消登録に伴う還付とは区別します。
売却時に買い手や販売店から受け取る未経過期間の自動車税相当額は、自治体からの還付金ではなく、車両の売却代金の一部です。事業として行う課税対象の車両売却では、この精算金も消費税の課税対象に含まれます。契約書や精算書で内訳を確認しましょう。
自動車税をクレジットカードで納付し、領収書がない場合は、納税通知書に加え、納付サービスの手続き完了画面・履歴や、カード利用明細などを保存します。
税金の種類・金額・納付手続き日・支払状況を確認できるよう、複数の記録を関連付けて管理しましょう。銀行口座の引き落とし日だけでなく、納付手続きの記録も残すことが大切です。
自動車税を12か月に分けて税務上の経費にする必要はありません。一方、月次の維持費を比較するため、社内管理上は月割りで配分する場合があります。月次管理のための配分と、決算・税務申告上の計上時期を区別しましょう。
自動車税は、一般的に租税公課で処理します。車両費で管理する場合も、税金とその他の維持費を区別し、消費税区分を正しく設定しましょう。
納付方法に応じた仕訳に加え、費用の二重計上や還付金の処理にも注意が必要です。計上時期を確認し、税金本体・手数料・延滞金を分けて管理しましょう。
個人事業主が事業と私用で車を兼用する場合は、合理的な基準で家事按分し、事業使用割合の根拠を記録します。
自動車税を含む経費の科目選びや仕訳を整理したい方は、以下の資料もご活用ください。