更新日:2026.10.28

ー 目次 ー
耐用年数とは、減価償却資産の取得価額を何年にわたって費用に配分するかを決めるための期間です。税務では、建物や車両、パソコンなどの種類・用途に応じて定められた「法定耐用年数」を使います。
ただし、法定耐用年数は、資産が実際に使える期間と同じではありません。中古資産の取得や設備の更新では、税務上の年数と実際の使用状況を分けて確認しましょう。
この記事では、耐用年数の意味や減価償却との関係、主な資産の年数と調べ方を解説します。中古資産の計算方法や間違えやすいポイントも紹介するので、固定資産の取得時や決算時にお役立てください。
耐用年数とは、減価償却を通じて資産の取得価額を費用配分する期間です。税務上は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表で定められた法定耐用年数を基準に計算します。
例えば、事務用のパソコンは、サーバー用を除き法定耐用年数が4年となる点を押さえましょう。通常の減価償却では、この年数に対応する償却率などを使って、取得価額を各年・各事業年度の費用へ配分します。
なお、土地のように減価償却しない資産もあり、すべての固定資産に耐用年数を当てはめるわけではありません。まずは減価償却の対象かを確認し、資産に合う区分を選んでください。
関連記事:減価償却費とは?対象資産・計算方法・仕訳・注意点をわかりやすく解説
法定耐用年数は税務上の減価償却に使う年数であり、資産が実際に使える期間を保証するものではありません。実際の寿命は、使用頻度、設置環境、保守の状況などによって変わります。
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比較項目 |
法定耐用年数 |
実際の寿命・耐久年数 |
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意味 |
税務上、費用配分の基準となる年数 |
資産を実際に使用できる期間 |
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決まり方 |
省令の別表で種類・構造・用途などに応じて定める |
製品の性能、使い方、環境などで異なる |
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主な用途 |
減価償却費の計算 |
保守や更新時期の検討 |
例えば、法定耐用年数4年のパソコンを、5年目以降も業務で使うことは可能です。年数が過ぎたことだけを理由に処分せず、性能や安全性、保守対応も踏まえて更新時期を判断しましょう。
減価償却は、資産の取得価額を一定の方法で各年・各事業年度の費用に配分する処理です。定額法では、取得価額に耐用年数ごとの償却率を掛けて計算します。
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定額法の年間償却額=取得価額×定額法の償却率 |
例えば、取得価額24万円、耐用年数4年のパソコンを、少額資産の特例などを使わず通常の減価償却で処理する場合を確認しましょう。1年間使用したときの償却額は、償却率0.250を使い「240,000円×0.250=60,000円」となります。
年の途中で使い始めた場合は、使用月数に応じた月割計算が必要です。また、最終年は残すべき帳簿価額に合わせて調整するため、毎年必ず同じ額になるとは限らない点に注意してください。
同じ取得価額でも、耐用年数や償却方法によって年間の償却額は変わります。資産を登録するときに年数と方法を確認し、会計ソフトの初期設定をそのまま使わないようにしましょう。
耐用年数は、国税庁の耐用年数表や、耐用年数省令の別表で調べられます。次の順番で対象を絞り込むと、分類を間違えにくくなるでしょう。
購入先の商品名と、耐用年数表の名称が一致するとは限りません。仕様書や契約書などをもとに実態を確認し、該当区分がわからない場合は税務署や税理士へ相談してください。
法定耐用年数は、同じ名称の資産でも、構造や用途などによって異なります。以下は代表例のため、実際の処理では購入した資産の仕様と耐用年数表を照合してください。
建物は、木造・金属造・鉄筋コンクリート造などの構造と、事務所・住宅・店舗などの用途で区分します。金属造の場合は、骨格材の肉厚も確認しましょう。
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構造 |
用途・条件 |
法定耐用年数 |
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木造・合成樹脂造 |
事務所用 |
24年 |
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木造・合成樹脂造 |
店舗用・住宅用 |
22年 |
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鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 |
事務所用 |
50年 |
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鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 |
住宅用 |
47年 |
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金属造 |
事務所用・骨格材の肉厚が4mm超 |
38年 |
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金属造 |
事務所用・骨格材の肉厚が3mm超4mm以下 |
30年 |
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金属造 |
事務所用・骨格材の肉厚が3mm以下 |
22年 |
上記は、国税庁が公表する耐用年数表に基づく区分です。
登記事項証明書や設計図、購入時の資料などを使い、構造と用途を確認してください。名称が似ていても、木造と木骨モルタル造などは別の区分となるため、推測で決めないことが大切です。
備品は材質や機能、車両は用途や車種などによって年数が変わります。事務所で使う主な資産の例を確認しましょう。
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資産 |
区分・条件 |
法定耐用年数 |
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パソコン |
サーバー用を除く |
4年 |
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サーバーなどの電子計算機 |
上記以外のもの |
5年 |
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事務机・事務いす・キャビネット |
主として金属製 |
15年 |
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事務机・事務いす・キャビネット |
その他 |
8年 |
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エアコン |
器具備品に該当する冷房用・暖房用機器 |
6年 |
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一般用の乗用車 |
軽自動車などの小型車を除く |
6年 |
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一般用の軽自動車 |
総排気量0.66リットル以下 |
4年 |
排気量が0.66リットルを超える車を、すべて6年とするわけではありません。貨物自動車や運送事業用の車両などは区分が異なるため、用途まで確認してください。
また、建物全体を空調する設備は、器具備品のエアコンとは別の取り扱いになります。設置状況や機能に応じて、建物附属設備に該当するかを判断しましょう。
ソフトウェアは無形固定資産に該当し、税務上の耐用年数は用途によって異なります。「自社で使うものはすべて5年」と判断せず、研究開発用かどうかも確認してください。
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用途 |
法定耐用年数 |
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複写して販売するための原本 |
3年 |
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研究開発用 |
3年 |
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その他(通常の自社利用など) |
5年 |
購入したソフトウェアの取得価額には、使用に必要な設定や、自社の仕様に合わせる付随的な修正の費用も含まれます。導入に関する支出を一律に経費とせず、契約内容や作業の内訳を確認しましょう。
中古の減価償却資産は、法定耐用年数を使うほか、取得後の使用可能期間を見積もった年数によることもできます。「中古だから必ず耐用年数を短くする」と考えないようにしましょう。
建物や車両などで使用可能期間の見積もりが難しい場合は、次の簡便法で算定できます。ただし、ソフトウェアなどの無形減価償却資産や生物には、簡便法を使えません。
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経過状況 |
簡便法の計算式 |
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法定耐用年数の全部を経過している |
法定耐用年数×20% |
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法定耐用年数の一部を経過している |
(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20% |
計算結果の1年未満の端数は切り捨て、2年未満となる場合は2年とします。例えば、法定耐用年数6年の一般用乗用車を、経過年数がちょうど3年の中古で取得した場合の耐用年数は以下のようになります。
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(6年-3年)+3年×20%=3.6年 → 耐用年数は3年 |
ただし、使用開始のための資本的支出が中古資産の取得価額の50%を超える場合は、簡便法を使えません。さらに、同等の新品を取得する場合の価額の50%を超える資本的支出を行う場合は、法定耐用年数によります。
見積もりや簡便法による年数の算定は、事業で使用し始めた年・事業年度に行ってください。購入後に改修する場合も、取得費と工事内容を整理してから判断しましょう。
耐用年数が同じでも、定額法と定率法では費用を計上するペースが異なります。
以下は、原則として2007年4月1日以後に取得した資産に適用される定額法・定率法の比較です。それ以前に取得した資産は、旧定額法・旧定率法などの適用を確認してください。
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比較項目 |
定額法 |
定率法 |
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基本的な計算 |
取得価額×償却率 |
未償却残高×償却率 |
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償却額の推移 |
原則として毎年一定 |
一般に初めの年ほど大きく、その後小さくなる |
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計算上の注意 |
期中取得や最終年は調整する |
通常の計算額が償却保証額を下回ると、改定取得価額×改定償却率による計算に切り替える |
選択できる方法は、資産の種類や取得時期によって決まる点を押さえましょう。例えば、一般的な建物は1998年4月1日以後の取得分から定額法系に限られ、2016年4月1日以後に取得した建物附属設備・構築物も原則として定額法です。
届出をしない場合に適用される法定償却方法は、法人と個人でも異なります。法定の方法以外を選ぶ場合や方法を変更する場合は、必要な届出・承認手続きを確認してください。
法定耐用年数を過ぎても、使える資産を廃棄・売却する必要はありません。一方、期中に使用を始めた場合などは、耐用年数と同じ数の決算期を迎えただけでは償却が終わらないこともあります。
2007年4月1日以後に取得した一般的な有形減価償却資産では、通常、備忘価額1円まで償却します。償却を終えた後の取り扱いは、次の表で確認しましょう。
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状況 |
主な処理 |
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そのまま使用する |
帳簿価額1円と台帳の記録を残し、通常の減価償却は行わない |
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廃棄する |
残っている帳簿価額を取り崩し、固定資産除却損などで処理する |
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売却する |
売却額と帳簿価額との差額を売却損益などとして処理する |
ソフトウェアなどの無形固定資産や一括償却資産は、1円を残す取り扱いとは異なります。資産の種類と採用した処理方法を確認し、現物がある間は管理記録も残してください。
耐用年数を誤ると、減価償却費や課税所得に影響し、申告内容の修正が必要になる場合があります。資産の分類と少額資産の処理方法を、取得時に確認しましょう。
「パソコンだから4年」「自動車だから6年」と、名称だけで判断せず、細目まで確認することが大切です。サーバー用か、貨物用かなど、機能や用途によって適用年数は変わります。
メーカーの仕様書や車検証などで区分を確認し、判断の根拠を残してください。同じ種類の資産は共通のルールで登録すると、担当者による判断のばらつきも防げます。
建物に付属する電気設備や給排水設備、空調設備などは、建物本体とは別の耐用年数になる場合があります。例えば、一般的な給排水・衛生設備やガス設備の法定耐用年数は15年です。
建物と設備をまとめて購入・工事した場合も、契約書や見積書の内訳を確認しましょう。器具備品に当たる機器もあるため、取り付けられていることだけで建物附属設備と決めないようにしてください。
取得価額10万円未満の資産は、一定の要件を満たせば、事業に使い始めた年・事業年度に全額を費用にできます。また、20万円未満の一括償却資産は、個別の法定耐用年数によらず原則3年間で償却する制度です。
青色申告をしている一定の中小企業者等は、少額減価償却資産の特例も利用できます。2026年4月1日以後に取得等した資産は、取得価額40万円未満が対象です。
一定の要件を満たし、2029年3月31日までに取得等して事業に使用した場合、原則として年間合計300万円まで全額を損金または必要経費に算入できます。対象事業者や貸付用資産の制限なども確認してください。
関連記事:少額減価償却資産とは?2026年度改正で40万円未満に|特例の要件を解説
ここでは、耐用年数の意味や実際の寿命との違い、調べ方についてよくある疑問に回答します。
減価償却資産の取得価額を、何年にわたって費用に配分するかを決めるための期間です。税務では原則として、資産の種類や用途に応じた法定耐用年数を基準に計算します。
中古資産などには別の算定方法もあるため、取得した資産の状態と適用要件を確認してください。
耐久年数は一般に資産が実際に使える期間を表し、法定耐用年数は税務上の減価償却の基準となる年数です。実際の使用状況によっては、法定耐用年数を超えて使える場合もあります。
償却期間と設備の更新時期を同じものと考えず、性能や保守の状況も踏まえて管理しましょう。
国税庁の耐用年数表や省令の別表で、資産の種類、構造、用途、細目を確認します。表の名称だけで判断せず、仕様書などと照らし合わせて該当区分を選んでください。
機械装置は設備の種類による区分などもあるため、判断に迷う場合は税務署や税理士へ確認しましょう。
耐用年数は、減価償却資産の取得価額を費用配分する期間です。税務では、資産の種類・構造・用途などに応じた法定耐用年数を使いますが、実際の寿命とは区別しましょう。
建物は構造や用途、備品・車両は機能や細目まで確認する必要があります。中古資産は使用可能期間の見積もりや簡便法を利用できる場合もあるため、適用条件と計算方法を確認してください。
取得時に年数と償却方法を正しく設定し、根拠資料とともに固定資産台帳へ記録することが大切です。償却済みの資産も、使用・廃棄・売却の状況に応じて管理を続けましょう。
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