更新日:2026.10.28

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固定資産台帳とは、会社や個人事業主が保有する固定資産について、取得価額や減価償却の状況、売却・除却などの履歴を記録する帳簿です。資産ごとの情報を管理し、決算や税務申告、現物確認に活用します。
固定資産は長期間にわたって管理するため、購入時の記録だけでは、その後の残高や所在を把握できません。取得後の変更や処分まで、継続して記録することが大切です。
本記事では、固定資産台帳の役割や作成・保存の考え方を整理し、記載例をもとに作り方を解説します。固定資産課税台帳との違いや、日常管理で確認したいポイントも紹介します。
固定資産台帳とは、建物・機械・車両・パソコン・ソフトウェアなどの固定資産を、資産ごとに記録・管理する帳簿です。取得日や取得価額、償却方法、毎期の減価償却費、帳簿価額などを確認できます。
会計帳簿で「工具器具備品」の合計額を確認できても、それだけでは、どのパソコンをいつ購入し、現在いくらの残高があるかまではわかりません。固定資産台帳は、こうした勘定科目の内訳を明らかにする役割を担います。
関連記事:資産とは?会計上の意味や種類、財産との違いをわかりやすく解説
固定資産台帳と名称が似たものに「固定資産課税台帳」があります。固定資産台帳は事業者が自社の資産を管理する帳簿ですが、固定資産課税台帳は固定資産税を課税するために自治体が備える台帳です。
主な違いは、以下の通りです。
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比較項目 |
固定資産台帳 |
固定資産課税台帳 |
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作成・管理する主体 |
会社・個人事業主 |
原則として市町村。東京23区では東京都 |
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主な目的 |
資産管理、減価償却、決算・申告への対応 |
固定資産税の課税 |
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主な記録内容 |
取得価額、償却額、帳簿価額、所在など |
土地・家屋・償却資産の所有者や価格など |
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利用方法 |
自社の経理・資産管理で使用する |
所有者などが所定の手続きで閲覧・証明を申請する |
固定資産課税台帳に登録される価格は、固定資産評価基準に基づくものであり、自社の固定資産台帳の帳簿価額と一致するとは限りません。名称が似ていても、管理主体と目的、金額の意味が異なります。
なお、自治体が公会計のために作成する「固定資産台帳」もあります。税務上の固定資産課税台帳とは、こちらも別のものです。
固定資産台帳は、会計上の金額と実際の資産を結び付けるための帳簿です。主に、次の3つの目的で使用します。
減価償却費は、資産の取得価額や耐用年数、償却方法、使用開始時期などによって変わります。これらの条件を台帳に記録しておくことで、毎期の計算や確認を進めやすくなります。
また、当期の償却額だけでなく、取得後の減価償却累計額や期末帳簿価額も管理することが可能です。会計帳簿の残高と照合すれば、償却の計上漏れや金額の誤りを発見する手がかりになります。
関連記事:減価償却費とは?対象資産・計算方法・仕訳・注意点をわかりやすく解説
固定資産台帳に設置場所や管理部署、使用者などを記録すると、資産の所在を確認しやすくなります。
たとえば、同じ型番のパソコンが複数ある場合でも、管理番号や製造番号があれば、どの部署で誰が使用しているかを特定できます。現物と照合することで、所在不明の資産や、廃棄済みなのに帳簿に残っている資産の発見にもつながります。
固定資産台帳は、決算書や減価償却に関する申告明細を作成する際の基礎資料になります。取得価額や償却額の根拠を確認できるよう、請求書・契約書などの資料と関連付けて管理しましょう。
また、償却資産税の申告では、資産の取得年月や取得価額、耐用年数などの情報を使用します。たとえば、ソフトウェアなどの無形固定資産や、自動車税・軽自動車税の課税対象となる車両は、償却資産申告の対象外です。一方、少額減価償却資産の特例で全額を費用化した資産は、原則として申告対象になります。
固定資産台帳には、すべての事業者に共通する指定様式があるわけではありません。ただし、様式が自由であることと、固定資産に関する記録や保存が不要であることは別です。
法人には、取引を帳簿に記録し、帳簿書類を保存する義務があります。国税庁も、保存対象となる帳簿の例として固定資産台帳を挙げています。また、個人事業主の青色申告では、標準的な簡易帳簿のひとつとして固定資産台帳が示されています。
そのため、「固定資産台帳という名前の書類に作成義務があるか」だけで判断せず、必要な情報を記録・保存できているかを確認することが重要です。Excelや会計ソフトの台帳機能などを使い、自社の記帳方法に合った形で整備しましょう。
法人の税務上の保存期間は、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間です。青色申告で欠損金額が生じた事業年度などは、10年間となる場合があります。個人事業主の青色申告における帳簿も、原則7年間の保存が必要です。
なお、保有中の資産については、古い記録も取得価額や償却履歴を確認するために使用します。法定の保存期間だけでなく、資産管理に必要な期間も考慮して保管しましょう。
固定資産台帳には、資産を特定する情報と、取得・償却・処分に関する情報を記録します。主な項目は、次のとおりです。
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項目 |
記載する内容 |
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資産名・管理番号 |
名称、型番、製造番号など、資産を特定する情報 |
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資産の種類・勘定科目 |
建物、機械装置、車両運搬具、工具器具備品など |
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取得年月日 |
資産を取得した日 |
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事業供用日 |
事業で使用を開始した日 |
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取得価額 |
購入代金や取得に直接要した付随費用など |
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耐用年数 |
償却計算に使用する年数 |
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償却方法・償却率 |
定額法・定率法などの方法と適用する率 |
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当期償却額 |
当期に計上する減価償却費 |
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減価償却累計額 |
取得後に計上した減価償却費の累計 |
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期末帳簿価額 |
当期末時点の帳簿上の残高 |
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設置場所・管理部署 |
所在地、部署、使用者など |
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異動・処分の履歴 |
移設、売却、除却などの日付と内容 |
取得日と事業供用日は、必ずしも一致しません。購入・納品後に据付や設定作業を行う場合などは、実際に事業で使い始めた時期を確認して記録します。
また、会計上と税務上で耐用年数や償却額が異なる場合は、それぞれの数値を区別して管理します。減損損失などの調整がある場合も、帳簿価額の変動理由を追えるようにしておきましょう。
個人事業主が私用と兼用する資産を管理する場合は、事業専用割合や、その根拠も記録しておくと便利です。
関連記事:【図解】減価償却累計額とは?減価償却との違いや仕訳方法を簡単に解説
ここでは、3月決算の会社がパソコンを購入した架空の例で、記載方法を確認します。本例では税抜経理を採用し、取得価額240,000円は税抜額とします。
前提条件は、次のとおりです。
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項目 |
設定 |
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資産名・管理番号 |
営業用パソコン/PC-001 |
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資産の種類 |
工具器具備品 |
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取得日・事業供用日 |
2024年4月1日 |
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取得価額 |
240,000円 |
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耐用年数 |
4年 |
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償却方法・償却率 |
定額法・0.250 |
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設置場所・管理部署 |
本社・営業部 |
新品のパソコンで、サーバー用ではないものを想定しています。少額資産に関する特例は適用せず、通常の減価償却を行い、会計上も税務上の償却額と同額を計上する前提です。税務上も定額法を適用するために必要な選定・届出等が済んでいるものとします。
1年間使用した場合の償却額は、次のように計算します。
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240,000円×0.250=60,000円 |
この条件で、売却や減損などがなければ、毎期の記録は次のようになります。
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事業年度 |
当期償却額 |
減価償却累計額 |
期末帳簿価額 |
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2025年3月期 |
60,000円 |
60,000円 |
180,000円 |
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2026年3月期 |
60,000円 |
120,000円 |
120,000円 |
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2027年3月期 |
60,000円 |
180,000円 |
60,000円 |
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2028年3月期 |
59,999円 |
239,999円 |
1円 |
この例では、最終年度に帳簿価額が1円になるよう償却額を調整します。期の途中から使い始めた場合は、使用月数に応じた計算が必要です。
また、減価償却が終わっても、使用を続けているパソコンを台帳から削除するわけではありません。処分するまで、所在や使用状況を管理します。
固定資産台帳は、Excelや会計ソフト、固定資産管理システムなどで作成できます。資産数や拠点数、会計システムとの連携の必要性に合わせて方法を選びましょう。
新たに整備する場合は、次の3段階で進めます。
決算書や総勘定元帳、既存の資産一覧を確認し、管理対象となる固定資産を洗い出します。請求書・契約書・納品書など、取得内容を確認できる資料も集めましょう。
対象を「10万円以上の購入品」だけで機械的に決めることは避けます。土地などの非償却資産に加え、少額資産の特例を適用したものなども、税務申告や現物管理のために記録が必要になる場合があります。
すでに使用している資産を登録する際は、購入金額だけでなく、過年度の償却額や現在の帳簿価額も引き継ぎます。
取得資料をもとに、資産名や取得日、取得価額、事業供用日などを登録します。購入代金と運搬費・据付費などの内訳を確認し、取得価額へ含める範囲を判断しましょう。
耐用年数は、資産の種類・構造・用途などに応じて確認します。税務上の償却方法は、資産の種類や取得時期によって選択できる範囲が異なるため、届出済みの方法や法定の方法を確認して設定します。なお、土地などの非償却資産には、減価償却の設定を行いません。
登録した条件から、当期償却額・減価償却累計額・期末帳簿価額を計算します。会計ソフトで自動計算する場合も、取得価額や使用開始月、償却方法などの設定に誤りがないか確認しましょう。
その後、台帳を勘定科目ごとに集計し、会計帳簿の固定資産残高や減価償却費と照合します。
差額がある場合は、登録漏れや二重登録、処分の反映漏れ、会計上と税務上の処理の違いなどを確認します。台帳と会計帳簿の関係を説明できる状態にして、作成を完了させましょう。
固定資産台帳は、作成後も実際の資産の状態に合わせて更新します。日常の運用では、次の3点が重要です。
新規取得だけでなく、部署間の移動や拠点の変更、売却、廃棄なども台帳へ反映します。現場から経理部門へ情報が届くよう、報告する担当者・期限・必要資料を決めておきましょう。
売却や除却では、処分日や対象資産、売却代金などを記録し、契約書や廃棄記録などの資料と関連付けます。
処分済みの資産は、履歴を消さずに「売却済み」「除却済み」などと区分し、いつ、どのように帳簿から除いたかを確認できるようにします。
資産ごとに管理番号を付け、現物にラベルを貼ると、台帳との照合がしやすくなります。ラベルを貼れない資産では、製造番号や設置場所などを使って特定します。
決算前などに定期的な現物確認を行い、台帳上の資産が実在するか、記録した場所で使用されているかを確認しましょう。確認頻度は、資産の数や重要性、持ち運びの有無などに応じて決めます。
所在不明の資産があった場合は、移動や貸出し、廃棄の記録を調べ、原因を確認したうえで台帳や会計処理へ反映します。
会計上の帳簿価額、法人税・所得税の償却計算、償却資産税の評価は、同じ計算になるとは限りません。台帳に区分欄を設けるなどして、それぞれに必要な情報を管理します。
たとえば、少額減価償却資産の特例で全額を費用化した資産でも、原則として償却資産税の申告対象になります。また、減価償却が終わった資産も、事業で使用できる状態であれば申告対象になる場合があります。
帳簿価額が少なくなったことだけを理由に申告対象から外さず、適用した処理方法や資産の使用状況を確認しましょう。
関連記事:設備投資の請求書処理は通常経費と何が違う?|検収・資産判定・拠点統制を解説
ここでは、固定資産台帳の整備や運用で迷いやすい疑問に回答します。
固定資産台帳は、Excelで作成しても問題ありません。資産の取得情報や償却履歴、処分の状況を継続して記録できるようにしましょう。
計算式の誤変更やファイルの上書きを防ぐため、入力欄と計算欄を分け、更新担当者やバックアップ方法も決めておくと管理しやすくなります。
ただし、税務上保存が必要な帳簿を電子データのまま保存する場合は、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。Excelで作成する方法と、作成後の保存方法を分けて確認してください。
法人の固定資産台帳には、すべての会社に共通する指定様式はありません。自社の資産管理や減価償却の計算に必要な情報を記録できる形式で作成します。
Excelや会計ソフトなどを使い、取得価額・事業供用日・償却方法・帳簿価額などを管理しましょう。現物確認にも活用する場合は、管理番号や設置場所、使用部署などの項目も設けます。
過去の決算書や申告書の減価償却明細、請求書、契約書などから、取得価額や償却履歴を確認します。現物の調査も行い、現在保有する資産と帳簿残高を照合しましょう。
過去の情報を確認せず、現在の中古価格などで登録すると、帳簿との整合性が取れなくなるおそれがあります。資料が不足している場合は、過去の申告内容も含めて税理士などに確認しましょう。
固定資産台帳は、固定資産の取得情報や減価償却、移動・処分の履歴を管理する帳簿です。決算書の金額を裏付けるとともに、資産の所在確認や税務申告にも役立ちます。
取得時に必要な情報を登録し、会計帳簿との照合と、現物に合わせた更新を続けましょう。会計上の帳簿価額と税務上の計算、償却資産税の申告対象を区別して管理することも重要です。
固定資産の管理や、決算に向けた経理業務の効率化を検討している方は、以下の資料もぜひご活用ください。