更新日:2025.11.28

ー 目次 ー
資金繰りに不安を感じたとき、「もう少し早く入金があれば助かるのに」と思われた経験はありませんか?請求書の買取は、売掛金の入金を待たずに早期に資金を得られる便利な方法です。
本記事では、請求書買取の仕組みや利用の流れといった基礎から、メリット・デメリット、ファクタリングとの違いまでを整理して解説いたします。読んでいただければ、ご自身の状況に合った資金調達方法が見つかるはずです。
請求書買取とは、企業や個人事業主が保有している「入金待ちの請求書(売掛債権)」を専門のサービス会社に売却することで、支払期日よりも早く現金化する資金調達方法です。
この章では、請求書買取の基本的な仕組みと、実際に利用する際の具体的な流れをわかりやすく解説します。
請求書買取の仕組みは、「利用者」「取引先(売掛先)」「請求書買取サービス会社(ファクタリング会社)」の3者間で成り立っています。利用者が取引先に対して発行した請求書を、ファクタリング会社が買い取るというシンプルな構造です。
ファクタリング会社は、請求書の額面から所定の手数料を差し引いた金額を利用者に支払います。その後、取引先から支払期日に代金が支払われることで取引が完了します。
これにより、利用者は取引先からの入金を待つことなく、スピーディーに事業資金を確保できるのです。
請求書買取サービスを利用する際の、申し込みから入金までの一般的な流れをステップごとに解説します。
ステップ1:申し込み
ステップ2:書類提出と審査
ステップ3:契約手続き
ステップ4:買取代金の入金
ステップ5:取引先からの入金と支払い
近年はオンラインで手続きが完結するサービスも増えており、より手軽に利用できるようになっています。
特に急いで資金が必要な場合、申し込みから入金までのスピードが重要なポイントとなります。サービスを選ぶ際は、各ステップがどれくらいの期間で完了するのかも確認しておくと良いでしょう。
ここでは、知っておくべき請求書買取のメリットとデメリットを詳しく解説します。
請求書買取の最大の魅力は、そのスピード感と利用のしやすさにあります。主なメリットを4つ見ていきましょう。
銀行融資の場合、審査から入金までに数週間から1ヶ月以上かかることも珍しくありません。しかし、請求書買取サービスは申し込みから入金までのスピードが非常に速く、最短即日、遅くとも数営業日以内には資金を手にすることが可能です。
請求書買取の審査で最も重視されるのは、サービス利用者(自社)の信用力や財務状況よりも、請求書の発行先である「売掛先の支払能力」です。
そのため、赤字決算や税金の滞納、創業間もないといった理由で銀行融資を断られた事業者でも、売掛先の信用力が高ければ審査に通る可能性が十分にあります。担保や保証人も原則不要なため、利用のハードルが低い資金調達方法と言えます。
請求書買取は、銀行からの借入とは異なり、売掛債権という「資産」を売却する取引です。そのため、貸借対照表(B/S)上で負債が増えることはありません。
むしろ、売掛金が現金化されることで資産のオフバランス化が図れ、自己資本比率の改善につながる場合もあります。これにより、今後の金融機関からの融資審査において有利に働く可能性も期待できます。
請求書買取には、利用者とサービス会社の2社間で行う「2社間ファクタリング」という方法があります。この方法を選択すれば、売掛先に債権を譲渡したことを通知する必要がありません。
そのため、取引先に資金繰りの状況を知られることなく、今後の取引関係に影響を与える心配をせずに資金を調達できます。
多くのメリットがある一方で、請求書買取には手数料の負担や利用条件などのデメリットも存在します。利用後に後悔しないよう、注意点をしっかり確認しましょう。
請求書買取の最大のデメリットは、銀行融資の金利と比べて手数料率が高い点です。手数料はサービス会社や契約形態(2社間・3社間)によって異なりますが、売掛金の数%から十数%が一般的です。
頻繁に利用すると利益を圧迫する可能性があるため、計画的な利用が求められます。
メリットの裏返しになりますが、審査では売掛先の信用力が重視されるため、取引先の経営状況が不安定であったり、個人事業主であったりする場合には、審査に通らず買取を断られるケースがあります。
すべての請求書が必ず買い取ってもらえるわけではないことを理解しておく必要があります。
残念ながら、ファクタリング業者の中には、法外な手数料を請求したり、実質的に貸金業登録が必要な取引を行ったりする悪質な業者が存在します。
業者選びを誤ると、かえって資金繰りを悪化させる事態になりかねません。契約内容を十分に確認し、信頼できる業者を慎重に選ぶことが極めて重要です。会社の基本情報や手数料体系が明確に開示されているかなどを必ずチェックしましょう。
手数料は主に「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」という契約形態によって大きく異なります。ここでは、それぞれの相場と手数料を安く抑えるためのポイントを解説します。
2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社の2社間のみで契約が完結する取引形態です。
売掛先(取引先)への通知や承諾が不要なため、ファクタリングの利用を知られずに迅速な資金調達が可能です。この手軽さの一方で、ファクタリング会社が負う売掛金の未回収リスクが高くなるため、手数料は高めに設定される傾向にあります。
2社間ファクタリングの手数料相場は、一般的に債権額の8%〜18%程度です。例えば、100万円の請求書を買い取ってもらう場合、8万円から18万円程度が手数料として差し引かれます。
手数料には審査費用や事務手数料などが含まれていることがほとんどですが、契約前には必ず内訳を確認しましょう。
3社間ファクタリングは、利用者、ファクタリング会社、そして売掛先の3社間で契約を結ぶ取引形態です。
この方法では、売掛先に対して債権を譲渡する旨を通知し、承諾を得る必要があります。売掛先がファクタリングの利用を承諾し、売掛金の支払いをファクタリング会社に直接行うため、ファクタリング会社にとって未回収リスクが大幅に低減されます。
そのため、手数料は2社間ファクタリングに比べて格段に安く、相場は債権額の2%~9%程度です。コストを最優先に考えるのであれば、3社間ファクタリングが非常に有効な選択肢となります。
ただし、売掛先の理解と協力が必要不可欠であり、取引関係への影響を考慮して慎重に検討する必要があります。
|
契約形態 |
手数料相場 |
特徴 |
|
2社間ファクタリング |
8% ~ 18% |
売掛先に知られずに利用可能。入金スピードが速い。 |
|
3社間ファクタリング |
2% ~ 9% |
手数料が安い。売掛先の承諾が必要。 |
少しでもコストを抑えて請求書買取サービスを利用するためには、いくつかのポイントがあります。以下の点を意識して、自社にとって最適な条件のサービスを選びましょう。
「請求書買取」と「ファクタリング」、この2つの言葉は資金調達の方法を調べる際によく目にしますが、違いがわからず混乱してしまう方も少なくありません。
結論から言うと、請求書買取はファクタリングの一種であり、本質的には同じ仕組みを指します。ここでは、言葉のニュアンスの違いや、ご自身の状況に合わせた最適なサービスの選び方を解説します。
請求書買取とファクタリングは、どちらも企業や個人事業主が保有する「売掛債権(入金前の請求書)」を専門業者に売却し、早期に資金化する金融サービスです。法的には「債権譲渡」契約にあたります。
一般的に、「請求書買取」はより手軽でスピーディーなオンライン完結型のサービスを指す際に使われる傾向があります。一方で、「ファクタリング」は金融機関などが提供する、より広範な売掛債権の買取サービス全般を指す言葉として使われます。
請求書買取はファクタリングという大きな枠組みの中の、特に個人や小規模事業者に特化したサービスを指す言葉として浸透しつつあります。
ここでは代表的な2つのケースに分けて、おすすめの選び方を解説します。
フリーランスや個人事業主の方には、オンライン完結型の2社間ファクタリング(請求書買取サービス)がおすすめです。理由は以下の通りです。
中小企業の場合、資金調達の目的によって選択肢が変わります。状況に応じて最適な方法を選びましょう。
請求書買取サービスは数多く存在し、どの業者を選ぶかによって手数料や入金までのスピードが大きく異なります。ここでは、後悔しないための請求書買取サービスの正しい選び方を具体的に解説します。
まずは、サービスの基本的なスペックを比較検討しましょう。特に「手数料」「入金スピード」「買取可能額」の3点は、資金繰りに直接影響する重要な要素です。これらのポイントを下記の表で確認し、自社の希望条件と照らし合わせてみてください。
手数料やスピードといった条件面だけでなく、安心して取引できる信頼性の高い業者を選ぶことも極めて重要です。悪質な業者とのトラブルを避けるため、以下の点を確認しましょう。
契約前に、契約書の内容をしっかりと確認しましょう。特に以下の点は重要です。
公式サイトなどで運営会社の情報を確認し、信頼できる企業かを見極めます。
初めて利用する場合や、手続きに不安がある場合、サポート体制が充実していると安心です。問い合わせ時の対応などを通じて、以下の点を確認してみてください。
請求書買取サービスを利用するにあたって、多くの方が抱える疑問や不安について、Q&A形式でわかりやすく解説します。サービスを検討する際の参考にしてください。
契約方式によって異なります。請求書買取には主に「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があり、それぞれで取引先への通知の有無が変わります。
2社間ファクタリングの場合
利用者(あなた)とファクタリング会社の2社間のみで契約が完結するため、原則として取引先に知られることはありません。売掛金の入金も、一度利用者の口座を経由してファクタリング会社へ支払う流れが一般的です。取引先との関係性を維持したまま、秘密裏に資金調達を行いたい場合に適しています。
3社間ファクタリングの場合
利用者、ファクタリング会社、そして取引先(売掛先)の3社間で契約を結びます。この際、ファクタリング会社が売掛債権を譲り受けたことについて、取引先からの承諾を得る必要があります。そのため、取引先には必ず利用の事実が伝わります。取引先の協力が必要ですが、その分手数料が低く設定されているのが特徴です。
赤字決算や税金滞納がある場合でも、請求書買取サービスを利用できる可能性は十分にあります。なぜなら、請求書買取の審査で最も重視されるのは、申込者であるあなたの経営状況ではなく、請求書の発行先である「取引先(売掛先)の支払能力や信用力」だからです。
これは、銀行融資が申込者の返済能力を審査するのとは大きく異なる点です。請求書買取は融資ではなく「売掛債権の売買」という取引のため、売掛金が期日通りに支払われる見込みが高ければ、あなたの会社の財務状況が赤字であっても審査に通ることがあります。
ただし、税金を滞納している場合、売掛金が差し押さえられるリスクがあるため、審査が慎重になったり、対応できないサービスもあったりします。利用を検討する際は、現在の状況を正直にファクタリング会社へ相談することが重要です。
はい、すべての請求書が買取対象となるわけではありません。一般的に、以下のような請求書は買取を断られるケースが多いです。
これらの条件はファクタリング会社によって異なるため、お持ちの請求書が買取可能かどうかは、事前に各サービスに確認することをおすすめします。
取引先が個人(個人事業主含む)や海外企業の場合、買取が難しいケースが多くなります。それぞれの理由と可能性について解説します。
|
取引先の種類 |
買取の可否と理由 |
|
個人・個人事業主 |
原則として買取対象外とするサービスが多いです。理由としては、法人に比べて与信審査が難しく、支払能力を正確に把握しにくいためです。また、個人への債権回収は貸金業法に抵触するリスクも考慮されます。ただし、一部には個人事業主宛の請求書に対応しているファクタリング会社も存在します。 |
|
海外企業 |
こちらも多くのサービスで対象外となります。海外企業の信用調査は国内企業に比べて困難であり、万が一支払いが滞った際の債権回収に、国による法律や商習慣の違いといった障壁があるためです。海外企業との取引債権については、国際ファクタリングを専門に扱う金融機関などに相談する必要があります。 |
請求書買取は、最短即日で現金化できるスピード感が魅力であり、特に急な資金需要に対応したいときには心強い選択肢となります。ただし、手数料の負担や業者選びには注意が必要です。サービスを検討される際は、「手数料率」「入金スピード」「買取可能額」「運営会社の信頼性」といったポイントを必ず確認なさってください。安さだけで決めず、安心して長く付き合える業者を見つけることが、資金繰り改善を成功させる秘訣です。