更新日:2026.10.21

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試算表とは、総勘定元帳に記録された勘定科目ごとの合計額や残高を一覧にまとめた表のことです。帳簿の記録内容を確認するだけでなく、決算書の作成や経営状況の把握にも活用できます。
しかし、「試算表にはどのような種類があるのか」「借方・貸方の金額をどう見ればよいのか」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、試算表の目的や3つの種類、貸借対照表・損益計算書との違いについてわかりやすく解説します。
試算表の基本的な見方や作り方も紹介するので、日々の経理業務や決算業務に役立ててください。
試算表とは、総勘定元帳に記録された各勘定科目の借方・貸方の合計額や残高を一覧にまとめた表のことです。
複式簿記では、一つの取引について借方と貸方に同じ金額を記録します。そのため、仕訳や転記、集計が適切に行われていれば、試算表の借方合計と貸方合計は一致します。
ただし、合計額が一致していても、勘定科目の誤りや取引の記録漏れなどを発見できない場合がある点に注意が必要です。
関連記事:総勘定元帳とは?仕訳帳との違い・書き方・保存期間をわかりやすく解説
試算表は、経理処理の正確性を確保し、企業の財務情報を適切に管理するために作成します。
主な作成目的は、以下の3つです。
それぞれの目的について詳しく解説します。
試算表を作成する主な目的は、仕訳や総勘定元帳への転記、集計が正しく行われているかを確認することです。
複式簿記では、借方と貸方に同じ金額を記録するため、試算表の借方合計と貸方合計は原則として一致します。
例えば、総勘定元帳への転記時に金額を誤って記入したり、借方・貸方の一方だけを転記し忘れたりすると、合計額に差が生じる場合があります。このような場合は、仕訳帳や総勘定元帳と照合し、誤りが発生した箇所を特定することが可能です。
関連記事:仕訳とは?借方・貸方の基本ルールや勘定科目、やり方について解説
試算表は、貸借対照表や損益計算書などの決算書を作成するための基礎資料としても活用されます。
試算表には、現金・預金や売掛金、借入金、売上高、各種費用などの勘定科目が一覧でまとめられています。決算時には、減価償却などの決算整理仕訳を反映し、各勘定科目の金額を確定させます。
そのうえで、資産・負債・純資産に関する情報を貸借対照表に、収益・費用に関する情報を損益計算書に反映します。
試算表は、決算書に必要な勘定科目や金額を整理するための重要な基礎資料です。
関連記事:決算書とは?財務諸表との違いや個人事業主の必要書類を解説
試算表は、月次の売上や費用、資産・負債の状況を把握するためにも活用できます。
例えば、毎月試算表を作成すれば、売上高や仕入高、各種経費の推移を確認でき、前月や前年同月と比較して業績の変化を分析することが可能です。また、現金・預金や売掛金、買掛金などの残高を確認することで、資金繰りに関する課題を発見する手がかりにもなります。
さらに、売上高が増加しているにもかかわらず利益が伸びていない場合は、仕入原価や経費の増加が影響している可能性もあるでしょう。
このように、試算表を定期的に確認することで、経営上の課題を早期に把握し、コスト削減や資金繰りの改善など、具体的な対策の検討につなげられます。
試算表には、記載する金額や確認できる内容によって、以下の3つの種類があります。
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種類 |
概要 |
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合計試算表 |
勘定科目ごとの借方・貸方の合計額を一覧にまとめた表 |
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残高試算表 |
勘定科目ごとの借方・貸方の差額(残高)を一覧にまとめた表 |
|
合計残高試算表 |
勘定科目ごとの借方・貸方の合計額と残高を一覧にまとめた表 |
それぞれの特徴や違いについて詳しく解説します。
合計試算表とは、総勘定元帳に記録された勘定科目ごとの借方合計額と貸方合計額を一覧にまとめた表です。各勘定科目について、一定期間に借方・貸方それぞれで発生した取引金額の合計を確認できます。
合計試算表は、仕訳帳から総勘定元帳への転記漏れや、集計ミスなどを確認する際に活用することが可能です。ただし、借方・貸方の両方を転記し忘れた場合など、合計額が一致していても発見できない誤りがあります
また、借方・貸方の合計額を比較することで、勘定科目ごとの取引金額の動きも把握できます。
残高試算表とは、総勘定元帳に記録された勘定科目ごとの借方残高または貸方残高を一覧にまとめた表です。借方合計額と貸方合計額の差額を残高として記載するため、各勘定科目にどれだけの金額が残っているかを確認できます。
例えば、普通預金の借方合計額が100万円、貸方合計額が70万円の場合、残高試算表には借方残高30万円を記載します。
残高試算表は、現金・預金や売掛金、買掛金などの残高を把握する際に活用することが可能です。また、勘定科目ごとの残高を確認できるため、貸借対照表や損益計算書を作成する際の基礎資料としても活用されます。
合計残高試算表とは、合計試算表と残高試算表の両方の情報をまとめた表です。勘定科目ごとに借方・貸方の合計額と残高を記載するため、一定期間の取引金額と各勘定科目の残高を一度に確認できます。
例えば、普通預金の借方合計額が100万円、貸方合計額が70万円の場合、借方合計100万円、貸方合計70万円、借方残高30万円をそれぞれ記載します。
合計残高試算表は、取引金額の動きと残高の両方を確認できるため、帳簿のチェックや月次決算、決算書の作成などに幅広く活用することが可能です。
合計試算表と残高試算表を別々に確認する必要がなく、勘定科目ごとの状況を効率的に把握できる点が特徴です。
試算表と貸借対照表・損益計算書は、作成する目的や記載する情報が異なります。ここでは、試算表と貸借対照表・損益計算書の違いについて解説します。
|
項目 |
試算表 |
貸借対照表 |
損益計算書 |
|
主な目的 |
帳簿の確認・経営管理 |
財政状態の把握 |
経営成績の把握 |
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主な内容 |
勘定科目の合計額・残高 |
資産・負債・純資産 |
収益・費用・利益 |
|
作成タイミング |
月次・決算時など |
決算時・月次など |
決算時・月次など |
|
主な用途 |
帳簿の検証、決算資料 |
財務分析・報告 |
業績分析・報告 |
試算表は、総勘定元帳の勘定科目ごとの合計額や残高を一覧にまとめたもので、資産・負債・純資産だけでなく、収益や費用に関する情報も含まれます。
一方、貸借対照表は、決算日時点の資産・負債・純資産の状況を示す決算書です。企業がどのような資産を保有し、その資金を負債や純資産によってどのように調達しているかを把握できます。
試算表は、月次や決算時などに作成され、帳簿の集計内容や勘定科目ごとの残高を確認するために使用されます。
一方、貸借対照表は、決算時だけでなく月次決算などでも作成され、特定の時点における企業の財政状態を示す書類です。
関連記事:貸借対照表とは?見方・作り方・決算チェックのポイントまでわかりやすく解説
試算表には、資産・負債・純資産・収益・費用に関する勘定科目が記載され、帳簿の集計内容や残高を確認するために使用されます。
一方、損益計算書は、一定期間の収益と費用をまとめ、企業がどれだけの利益または損失を計上したかを示す決算書です。売上高や売上原価、販売費・一般管理費などをもとに、売上総利益や営業利益、経常利益、当期純利益などを算出します。
試算表が帳簿全体の記録状況を確認する資料であるのに対し、損益計算書は一定期間の経営成績を把握するための書類という違いがあります。
関連記事:損益計算書とは?見方や5つの利益・経営分析のポイントをわかりやすく解説
試算表を見る際は、借方・貸方の金額や勘定科目ごとの残高を確認することが重要です。
具体的には、以下の3つのポイントを押さえましょう。
それぞれの確認方法について詳しく解説します。
試算表を見る際は、まず借方と貸方に記載されている金額を確認しましょう。
借方は表の左側、貸方は右側に配置されます。ただし、借方・貸方のどちらに金額が記載されるかは、勘定科目の種類や取引内容によって異なります。
勘定科目ごとの基本的なルールは、以下のとおりです。
|
勘定科目の種類 |
借方(左側) |
貸方(右側) |
|
資産(現金・預金など) |
増加 |
減少 |
|
負債(借入金・買掛金など) |
減少 |
増加 |
|
純資産(資本金など) |
減少 |
増加 |
|
収益(売上など) |
減少 |
増加 |
|
費用(仕入・広告宣伝費など) |
増加 |
減少 |
例えば、現金が増えた場合は借方に、借入金が増えた場合は貸方に記録します。
このように、勘定科目ごとのルールを理解することで、試算表に記載された金額の意味を把握しやすくなります。
試算表では、勘定科目ごとの残高を確認することで、企業の資産や負債、収益・費用の状況を把握できます。
例えば、主な勘定科目の残高からは、以下のような情報を読み取れます。
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勘定科目 |
残高からわかること |
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現金・預金 |
帳簿上の現金や預金の金額 |
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売掛金 |
基準日時点で未回収となっている売上代金の帳簿上の残高 |
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買掛金 |
仕入先などに支払っていない代金 |
|
売上高 |
対象期間の売上金額 |
|
広告宣伝費 |
対象期間に計上した広告宣伝費の金額 |
残高試算表や合計残高試算表では、借方と貸方の金額の差額が残高として表示されます。
また、資産や費用は原則として借方、負債・純資産・収益は貸方に残高が表示されます。例えば、現金勘定が貸方残高になっている場合は、記帳ミスなどがないか確認しましょう。
試算表では、借方合計と貸方合計が一致しているかを確認することが重要です。複式簿記では、取引を借方と貸方に同じ金額で記録するため、正しく集計されていれば両者の合計額は一致します。
例えば、借方合計が500万円であれば、貸方合計も500万円になるのが原則です。
合計額が一致しない場合は、総勘定元帳への転記漏れや金額の入力ミス、集計間違いなどが発生している可能性があります。その際は、仕訳帳や総勘定元帳と照合して原因を確認しましょう。
試算表は、日々の取引を仕訳帳に記録し、総勘定元帳に転記したうえで、勘定科目ごとの金額を集計して作成します。
基本的な作成手順は、以下の4ステップです。
それぞれの手順について詳しく解説します。
なお、会計ソフトを利用すれば、入力した仕訳をもとに総勘定元帳や試算表を自動で作成できます。ただし、自動集計された試算表にも、勘定科目の設定ミスや取引の入力漏れが反映される可能性があります。試算表を作成した後は、預金口座の残高や請求書などの証憑と照合し、内容を確認することが重要です。
試算表を作成するには、まず日々の取引を仕訳帳に記録します。
仕訳帳とは、企業で発生した取引を日付順に記録する帳簿のことです。取引内容に応じて勘定科目を選び、借方と貸方に分けて金額を記入します。
例えば、商品を現金で5万円販売した場合、以下のように仕訳します。
|
借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
|
現金 |
50,000円 |
売上 |
50,000円 |
このように、一つの取引について借方と貸方に同じ金額を記録することが基本です。
仕訳の段階で勘定科目や金額を誤ると、その後の総勘定元帳や試算表にも影響するため、請求書や領収書などの証憑と照合しながら正確に記録しましょう。
関連記事:仕訳帳とは?総勘定元帳との違いと書き方をわかりやすく解説
仕訳帳に記録した取引は、勘定科目ごとに総勘定元帳へ転記します。
総勘定元帳とは、現金や売上、仕入などの勘定科目ごとに取引を整理して記録する帳簿のことです。
例えば、商品を現金で5万円販売した場合は、仕訳帳の内容をもとに「現金」勘定の借方に5万円、「売上」勘定の貸方に5万円を記録します。
これにより、勘定科目ごとに取引の増減や残高を確認できるようになります。
転記する際は、金額だけでなく、借方・貸方の区分や勘定科目を間違えないよう注意が必要です。また、転記漏れや二重転記を防ぐため、仕訳帳と総勘定元帳の記録を照合することも重要です。
総勘定元帳への転記が完了したら、勘定科目ごとの借方合計額・貸方合計額と残高を集計します。
まず、各勘定科目について、対象期間中に記録された借方と貸方の金額をそれぞれ合計します。次に、借方合計額と貸方合計額の差額を計算し、残高を求めましょう。
例えば、現金勘定の借方合計額が30万円、貸方合計額が20万円の場合、借方残高は10万円です。なお、残高を計算する際は、期首からの記録を含めて集計するか、期首残高に当期の増減額を反映する必要があります。
合計試算表では借方・貸方の合計額を、残高試算表では残高を使用するため、作成する試算表の種類に応じて必要な金額を整理しましょう。
勘定科目ごとの集計が完了したら、作成する試算表の形式に合わせて金額を記入します。
合計試算表には借方・貸方の合計額、残高試算表には各勘定科目の残高を記載しましょう。合計残高試算表の場合は、合計額と残高の両方を記入します。
すべての勘定科目を記載したら、借方と貸方の合計額を計算し、両者が一致しているか確認しましょう。一致しない場合は、総勘定元帳の集計額や試算表への転記内容を見直し、誤りを修正します。
なお、会計ソフトを利用している場合は、入力した仕訳をもとに試算表を自動作成できます。
試算表に関するよくある質問に回答します。
試算表と決算書は異なる書類です。
試算表は、総勘定元帳の勘定科目ごとの合計額や残高を一覧にまとめたもので、帳簿の確認や決算書の作成に使用します。
一方、決算書は企業の財政状態や経営成績を示す書類で、貸借対照表や損益計算書などが該当します。
試算表は、一般的に月次や決算時に作成します。
月次で作成すれば、売上高や費用、資産・負債の状況を定期的に確認することが可能です。また、決算時には決算整理仕訳の前後で試算表を作成し、決算書の作成に活用します。
作成頻度は企業によって異なり、必要に応じて四半期ごとなどに作成する場合もあります。
関連記事:決算整理仕訳とは?進め方の手順と仕訳の種類一覧をわかりやすく解説
試算表の借方と貸方が一致していても、すべての記帳内容が正しいとは限りません。
例えば、取引自体の記録漏れや勘定科目の選択ミス、同じ金額の二重計上などは、借方と貸方が一致していても発見できない場合があります。
そのため、試算表の合計額だけでなく、仕訳帳や総勘定元帳、請求書などの証憑と照合して確認することが重要です。
試算表とは、総勘定元帳に記録された勘定科目ごとの合計額や残高を一覧にまとめた表のことです。仕訳や転記の誤りを確認するほか、決算書の作成や月次の経営状況の把握にも活用されます。
試算表には、合計試算表・残高試算表・合計残高試算表の3種類があり、それぞれ記載する情報や用途が異なります。また、借方と貸方の合計額が一致していても、記帳ミスが残っている可能性があるため、勘定科目ごとの内容も確認することが重要です。
以下の資料では、経理業務に欠かせない基礎知識をまとめて確認できます。勘定科目や仕訳の理解を深めたい方は、ぜひご活用ください。