更新日:2026.09.11

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決算整理仕訳を進めることになったものの、「何から手をつければよいかわからない」と悩む経理担当者は少なくありません。
決算整理仕訳は、帳簿の数字と実態のズレを修正するための仕訳です。日々の記帳だけでは反映しきれない売上原価の計算や減価償却などを、決算のタイミングでまとめて処理します。
この記事では、決算整理仕訳の意味や期中仕訳との違い、進め方・手順、仕訳項目の主な種類などをわかりやすく解説します。本記事を読めば、決算整理仕訳の全体像と各処理のポイントを把握できるため、ぜひ参考にしてください。
関連記事:【概要解説】年次決算とは?月次との違いと「手間のかかる業務」を減らす実務ポイント
決算整理仕訳とは、期中に記帳した帳簿上の数字と、決算時点における状況とのズレを修正するために、事業年度末に行う仕訳のことです。
日々の記帳だけでは反映しきれない、売上原価の計算や固定資産の減価償却費の計上といった処理を、決算のタイミングでまとめて行います。
決算整理仕訳を行うことで、正確な決算書(貸借対照表・損益計算書)を作成するための土台が整います。反対に不備・不足があると、利益や税額を正しく算出できない可能性があるため、慎重に作業を進めましょう。
決算整理仕訳と期中仕訳との主な違いは、以下のとおりです。
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決算整理仕訳 |
期中仕訳 |
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目的 |
帳簿と実態のズレを修正する |
日々の取引を記録する |
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タイミング・頻度 |
主に決算時 |
取引が発生するたび |
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記載例 |
・減価償却 ・棚卸資産の計上 ・経過勘定の振替 |
・現金の入出金 ・売上・仕入の記帳 |
期中仕訳は日々の取引をその都度記録する通常の記帳で、決算整理仕訳は決算時だけに行う特別な調整です。期中に積み上げた記帳の仕上げとして、決算時に帳簿を実態へ合わせるのが決算整理仕訳の役割といえます。
決算整理仕訳は、以下の手順で処理を進めます。
具体的な手順を詳しくみていきましょう。
決算整理仕訳は、決算整理前残高試算表を作成することから始めます。
決算整理前残高試算表は、総勘定元帳の各勘定科目の残高を一覧にまとめた表です。借方と貸方の合計が一致しない場合は、転記や集計などに誤りがないか確認します。ただし、合計が一致していても、勘定科目の誤りや取引の記帳漏れまでは発見できないため、証憑との照合も必要です。
試算表の作成は、法的に定められたものではありません。しかし、期中の正しい残高を把握したうえで決算整理を進められるため、作成することが推奨されています。
売上や費用の計上漏れがないかもあらためて確認しましょう。具体的には、納品書・請求書と仕訳帳・総勘定元帳を照合していくことになります。
なお、売上は入金時ではなく、商品やサービスに関する履行義務を充足した時点など、適用する収益認識基準に沿って計上します。たとえば3月に商品を引き渡し、その時点で収益認識の要件を満たしている場合、入金が4月でも3月の売上として計上するのが一般的です。
また、費用は、支払いの時期だけでなく、当期に発生した費用かを確認して計上します。
関連記事:請求書を年度またぎで経費精算できる?処理方法や計上まで解説
売上・費用の確認が終わったら、各種決算整理仕訳に取り掛かりましょう。棚卸資産の計上、固定資産の減価償却、貸倒引当金の計上など、決算特有の仕訳を行います。
仕訳をすべて終えたら、仕訳帳に反映し、総勘定元帳へ転記してください。
最後に、決算整理後残高試算表を作成し、金額に誤りがないかを確認します。
決算整理後残高試算表とは、決算整理仕訳を反映したあとの各勘定残高をまとめた表です。借方と貸方の合計が一致していれば、仕訳や転記に大きな誤りがないと判断できます。反対に合計が一致しない場合は、どこかにミスがあるサインです。
決算整理後残高試算表を用いたチェックが完了すれば、損益計算書や貸借対照表の作成に進めます。
決算整理仕訳の代表的な項目は以下のとおりです。
上記はあくまで一般的な例です。実際に必要となる仕訳は、企業の業種や規模、取引内容によって異なります。
決算時には、棚卸資産(期末時点の在庫)の金額を確定させ、当期の売上原価を計算します。売上原価の計算式は「期首商品棚卸高+当期仕入高-期末商品棚卸高」です。
棚卸資産をミスなく計上するためにも、期末在庫の数量・金額を正確に把握しておくことが大切です。
固定資産の減価償却は、固定資産の取得費用を分割して費用計上する処理です。建物や機械などの固定資産は、使用するにつれて少しずつ価値が減っていきます。そのため、価値の減少分を決算にも正確に反映させる必要があります。
たとえば、取得価額600,000円、耐用年数6年、残存価額0円と仮定し、期首から1年間使用する例では、毎年100,000円ずつ費用配分する考え方です。
実際の減価償却額は、取得時期や採用する償却方法、会計・税務上の取扱いなどによって異なります。
関連記事:減価償却費とは?対象資産・計算方法・仕訳・注意点をわかりやすく解説
減価償却の仕訳方法は直接法と間接法の2種類に分類され、それぞれ以下のような違いがあります。
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仕訳方法 |
処理内容 |
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直接法 |
固定資産の帳簿価額から減価償却費を直接差し引く |
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間接法 |
減価償却累計額を別の勘定科目として計上する |
たとえば、取得価額100,000円、耐用年数5年、定額法による1年分の減価償却20,000円は、以下のように表示されます。
【直接法の例】
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借方 |
貸方 |
||
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減価償却費 |
20,000円 |
備品 |
20,000円 |
【間接法の例】
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借方 |
貸方 |
||
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減価償却費 |
20,000円 |
減価償却累計額 |
20,000円 |
決算整理仕訳では、売掛金などの債権のうち、将来回収できない可能性がある金額をあらかじめ見積もり、貸倒引当金繰入額として当期の費用に計上します。
計上する額は、債権の性質や規模に応じて個別評価または一括評価で算出します。
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算定方法 |
特徴 |
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個別評価 |
取引先の財務状況などにもとづいて算出する |
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一括評価 |
貸倒実績率や期末の債権残高にもとづいて算出する |
貸倒リスクが高いものは個別評価、比較的リスクが低いものは一括評価を用いるケースが一般的です。
関連記事:【引当金とは?】仕訳・計上判断と退職給付で変わる実務
当期と翌期にまたがって効果が及ぶ費用・収益は、正しい期間に金額を割り振る経過勘定の処理が必要です。経過勘定は、主に以下の4種類に分類されます。
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種類 |
概要 |
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前払費用 |
翌期分をすでに支払っている費用 |
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未払費用 |
当期分でまだ支払っていない費用 |
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前受収益 |
翌期分をすでに受け取っている収益 |
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未収収益 |
当期分でまだ受け取っていない収益 |
契約期間が1年単位の保険料や家賃などは、経過勘定の対象になりやすいといえます。決算月をまたぐ契約の有無を漏れなく確認しておきましょう。
保有している株式や債券などの有価証券は、決算時点の時価にもとづいて評価を見直し、評価損益を計上する必要があります。
ただし、以下のように保有目的によって評価方法が異なる点に注意が必要です。
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区分 |
評価方法 |
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売買目的有価証券 |
期末時価で評価し、評価差額を当期の損益に計上する |
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満期保有目的の債券 |
原則として取得原価で評価する ※取得価額と債券金額との差額が金利調整と認められる場合は償却原価法 |
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子会社・関連会社株式 |
原則として取得原価で評価する |
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その他有価証券 |
原則として時価評価し、評価差額は純資産の部に計上する |
なお、時価が著しく下落し回復の見込みがないと判断される場合には、減損処理(強制評価減)が必要になるケースもあります。
関連記事:【科目解説】有価証券の勘定科目は「保有目的」で判断|区分・仕訳・決算評価まで整理
期中に一時的な処理として使っていた「仮払金」「仮受金」などの仮勘定は、決算時に内容を精査し、本来の勘定科目へ振り替える必要があります。
たとえば、出張前に概算で渡していた仮払金は、精算後に旅費交通費などへ振り替えます。入金理由が不明だった仮受金も内容を特定し、売掛金の回収や前受金などに振り替えましょう。
仮勘定を残したまま決算を迎えると、整合性や説明責任の面で問題が生じます。不明な点は、関係部署に確認するなどして解消することが重要です。
決算時には、現金と預金の残高を確認し、帳簿との差異があれば調整を行います。
現金は、金庫や手許にある紙幣・硬貨を数える「現金実査」を行い、帳簿残高と突き合わせます。預金は、銀行発行の残高証明書や通帳の記帳内容と帳簿残高を照合していくのがよいでしょう。
現金や預金は、記帳漏れや二重記帳、金種の数え間違いが起こりやすい項目です。帳簿の数字をそのまま決算書に反映すると、貸借対照表の資産額が実態とずれるおそれがあるため、丁寧に処理を進めましょう。
消費税や法人税などの税金については、期中に仮払・仮受処理や中間納付などを行う場合があります。決算時には、当期に負担すべき税額を算定し、期中に計上・納付した金額を踏まえて未払額などを整理する仕組みです。
消費税は、税抜経理か税込経理かによって決算時の処理方法が異なります。
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経理方式 |
処理方法 |
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税抜経理 |
仮払消費税と仮受消費税を相殺し、差額を「未払消費税等」または「未収消費税等」に振り替える |
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税込経理 |
納付税額を確定させて「租税公課」として費用計上し、同額を「未払消費税等」に計上する |
法人税は、類似する勘定科目が複数あるため適切に使い分けましょう。
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勘定科目 |
概要 |
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法人税、住民税及び事業税 |
当期に負担する税額を算定して費用を計上 |
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未払法人税等 |
決算計上、翌期納付の金額を計上 |
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仮払法人税等 |
中間申告や予定納税などで納付した金額を計上 |
関連記事:法人税の勘定科目や仕訳方法|記載箇所や中間納付時の対処法を解説。
決算整理仕訳を行う際は、以下の2点を意識しておくとよいでしょう。
決算整理仕訳は項目が多く、抜け漏れも起こりやすいため、正確性と効率を両立させる工夫が必要です。
前期の決算整理仕訳を振り返れば、今期も同様に必要な処理が漏れていないかをチェックできます。
とくに減価償却などの毎期発生する定型的な仕訳は、前期の記録が参考になります。
会計ソフトを活用すると、減価償却費の自動計算や棚卸資産の登録にもとづく自動仕訳など、決算整理仕訳の一部を効率化できます。手作業によるミスを減らすうえでも有効です。
また、上流にあたる請求書処理や仕訳連携の段階を自動化すれば、決算前の経理負担も軽減できます。
以下では、一括請求サービスを導入し、請求書処理業務を効率化した事例を紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
【製造業】月4,000件の請求処理がわずか2時間で完了。「社員1名分以上」のコストを圧縮した、人を増やさないバックオフィス戦略
最後に、決算整理仕訳に関するよくある質問を紹介します。
同様の疑問を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
決算整理仕訳とは、期中に作成した帳簿上の数字と決算日時点の状況とのズレを修正するために行う、特別な仕訳のことです。売上原価の計算や減価償却など、日々の記帳では反映しきれない処理を決算時にまとめて行います。
決算整理仕訳は、主に事業年度末の決算時に行います。
ただし、決算日当日にすべての作業を終える必要はありません。実務では、決算日を迎えたあとに決算整理前残高試算表の作成から始め、数日から数週間かけて順に処理を進めるケースが一般的です。
決算整理仕訳とは、決算時にのみ行う、帳簿と実態のズレを修正するための仕訳です。棚卸資産の計上、固定資産の減価償却、貸倒引当金の計上、経過勘定の振替など複数の項目があります。決算整理前残高試算表の作成から始め、順を追って丁寧に処理を進めましょう。
なお、会計ソフトを活用すれば、漏れのない正確な決算整理仕訳を作成しやすくなるため、導入してみるのも選択肢のひとつです。
経理業務の効率化については、以下の資料もご覧ください。