更新日:2026.10.21

ー 目次 ー
町内会や自治会の会計担当になり、「会計報告書には何を書けばよいのか」「収入や支出をどのようにまとめればよいのか」と悩んでいる方もいるでしょう。
会計報告書とは、町内会・自治会・PTA・サークルなどの団体が、一定期間の収入や支出、年度末の残高を会員へ報告するための書類です。会計担当者は、帳簿や領収書、預金通帳などを確認し、団体のお金が何に使われたかをわかりやすくまとめます。
この記事では、会計報告書に必要な記載項目や作成手順、具体的な記入例、会計監査報告書との違い、作成時の注意点を解説します。
会計報告書とは、町内会・自治会などの団体が、会計年度中の収入と支出、その結果として残った金額を会員へ報告する書類です。収支決算書や収支報告書と呼ばれることもあります。
主な目的は、会費や補助金、寄付金などが適切に管理・使用されたことを明らかにすることです。通常は会計年度の終了後に作成し、監査を経て総会で会員へ報告します。
町内会・自治会は自主的に組織される団体であり、運営方法や会計処理は、それぞれの会則や総会の決議などに基づいて決められます。そのため、一般の任意団体に全国共通の会計報告書の様式が定められているわけではありません。
会計報告書を作成する際は、まず団体の会則や過去の総会資料を確認しましょう。自治体の補助金を受けている場合は、交付要綱や自治体指定の様式も確認する必要があります。
会計報告書の様式は団体によって異なりますが、一般的には次の項目を記載します。
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記載項目 |
内容 |
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表題・団体名 |
「2026年度○○町内会会計報告書」など |
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会計期間 |
収支を集計した開始日と終了日 |
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前年度繰越金 |
前年度から引き継いだ現金・預金 |
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収入の内訳 |
会費、補助金、寄付金、雑収入など |
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支出の内訳 |
行事費、防災費、消耗品費、通信費など |
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収入・支出の合計 |
各項目を集計した金額 |
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当期収支差額 |
当期収入から当期支出を差し引いた金額 |
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次年度繰越金 |
年度末に残り、次年度へ引き継ぐ金額 |
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作成日・作成者 |
報告書を作成した日付と担当者名 |
次年度繰越金は、次のように計算します。
必要に応じて「予算額」「決算額」「増減額」の列を設けると、当初の計画と実績の違いも確認しやすくなります。
なお、会計監査の結果は、会計報告書とは別に会計監査報告書としてまとめる場合があります。監査結果の記載方法や提出書類は、団体の会則や従来の運用に従ってください。
集計を始める前に、次の資料やルールを確認しましょう。
前年度の繰越金と当年度の期首残高が一致していないと、その後の計算もすべてずれてしまいます。最初に金額を照合してから集計を始めることが重要です。
自治体の補助金を受けている場合は、通常の会計報告とは別に、指定された収支決算書や事業報告書の提出を求められることがあります。実際に、補助金を受けた自治会へ実績報告書や収支決算書の提出を求めている自治体もあります。
会計報告書は、次の流れで作成します。
年度末にまとめて処理するのではなく、日頃から記録と証憑管理を続けておくと、短時間で正確に作成できます。
最初に、会計期間中のお金の動きを確認できる資料をそろえます。主な資料は次のとおりです。
資料が不足している場合は、支出の目的や金額を確認できる書類を担当者から回収します。領収書がない支出については、支払先や目的、承認者などを記載した支払証明書を作成するなど、団体のルールに沿って根拠を残しましょう。
関連記事:【記入例あり】現金出納帳の書き方|記載項目・仕訳例・残高が合わない時の対処法
現金の入出金を基準に作成する会計報告書では、通常、次年度繰越金と年度末時点の現金・預金残高の合計が一致します。
金額が合わない場合は、記帳漏れや二重計上、金額の入力ミスなど、次の点を確認しましょう。
差額を雑費や雑収入で処理して無理に一致させるのではなく、原因を調べて修正することが重要です。
関連記事:残高確認とは?方法・差異の調べ方・残高確認書の書き方まで実務を解説
残高を確認したら、帳簿の記録を項目別に集計しましょう。
収入は、会費・補助金・寄付金・事業収入・雑収入などに分類します。支出は、行事費・防災費・環境美化費・消耗品費・通信費など、支出の目的がわかる名称でまとめましょう。
項目を細かく分けすぎると全体像がわかりにくくなります。一方、雑費に多くの支出をまとめると、何に使ったのか伝わりません。金額や活動内容に応じて、会員が理解しやすい分類にすることが大切です。
前年度と同じ内容の支出には、原則として同じ項目名を使用します。毎年分類を変更すると、年度ごとの比較が難しくなるためです。
集計した金額を所定の様式へ入力し、収入・支出の合計と次年度繰越金を計算します。作成後は、会計担当者以外の監事などに帳簿や通帳、領収書と照合してもらいます
監査で誤りが見つかった場合は、内容を確認し、必要な箇所を修正しましょう。帳簿の記帳ミスであれば帳簿と報告書を確認し、報告書への転記ミスであれば報告書を修正します。
修正後は再度金額を照合し、必要に応じて監査担当者による確認を受けます。監査が完了したら、会則に定められた手続きに従って総会へ提出し、会員へ報告しましょう。
以下は、自治体が公開している収支決算書の様式を参考に作成した架空の記入例です。金額は説明のために設定したもので、実際の自治会の会計実績ではありません。
会計報告書を作成する際は、団体の会則や従来の様式、自治体の補助金交付条件などを確認してください。
【収入の部】
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項目 |
金額 |
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前年度繰越金 |
120,000円 |
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会費 |
480,000円 |
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自治体補助金 |
150,000円 |
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寄付金・協賛金 |
30,000円 |
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雑収入 |
500円 |
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合計 |
780,500円 |
【支出の部】
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項目 |
金額 |
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夏祭り費 |
210,000円 |
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防災活動費 |
130,000円 |
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清掃・環境美化費 |
85,000円 |
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会議費 |
42,000円 |
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通信・印刷費 |
38,500円 |
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備品・消耗品費 |
50,000円 |
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合計 |
555,500円 |
この場合、次年度繰越金は次のように計算します。
収入総額780,500円から支出総額555,500円を差し引いても、同じく225,000円になります。最終的に、この金額が年度末時点の現金・預金残高と一致していることを確認します。
会計報告書は、会計の専門知識がない会員でも内容を理解できるように作成することが大切です。次の点を意識しましょう。
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ポイント |
具体的な対応 |
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具体的な項目名を使う |
「イベント費」ではなく「夏祭り費」と記載する |
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項目を増やしすぎない |
少額で性質の近い支出は適切にまとめる |
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予算との差を示す |
予算額・決算額・増減額を並べる |
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大きな増減に説明を付ける |
備品購入や行事中止などの理由を注記する |
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補助金を区分する |
使用目的が決まっている補助金は対象支出と対応させる |
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単位を統一する |
原則として円単位で記載し、端数を省略しない |
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合計を明確にする |
収入合計・支出合計・次年度繰越金を目立たせる |
会費の未納者や支援対象者などの個人情報は、会員全員へ配布する会計報告書には掲載せず、詳細な管理簿で別に管理するのが適切です。
会計報告書と会計監査報告書は、作成者と役割が異なります。
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比較項目 |
会計報告書 |
会計監査報告書 |
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作成者 |
会計担当者 |
監事・会計監査担当者 |
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主な内容 |
収入、支出、残高の実績 |
会計処理を確認した結果 |
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確認資料 |
帳簿や通帳をもとに作成 |
報告書、帳簿、通帳、領収書など |
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目的 |
会員へ収支を報告する |
会計報告の正確性・適正性を確認する |
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提出時期 |
通常は年度終了後の総会 |
会計報告書とあわせて総会へ提出 |
監査担当者は、計算が合っているかだけでなく、支出が会則や予算、団体の活動目的に沿っているかも確認します。会計監査報告書には、たとえば次のように記載します。
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2027年○月○日、2026年度の帳簿、預金通帳、領収書その他の関係書類を監査した結果、本会の収支が適正に処理されていることを認めます。 |
その下に監査日、監査担当者の氏名などを記載します。押印の要否は、団体の会則や従来の運用に従いましょう。監査で未修正の問題が見つかった場合は、問題の内容や対応状況を明らかにする必要があります。
会計報告書を作成・保管する際は、次の点に注意しましょう。
一般の任意団体について、会計資料の保存期間が全国一律に定められているわけではありません。
ただし、自治体の補助金を受けている場合や、税務申告を必要とする収益事業を行っている場合などは、所定の保存期間が適用されることがあります。団体の会則に加え、補助金の交付要綱や税務上の規定を確認しましょう。
担当者の交代時には、現金・預金残高だけでなく、未収会費、未払金、補助金の未使用額なども引き継ぎます。引継書を作成し、新旧担当者が一緒に残高を確認するとトラブルを防ぎやすくなります。
ここでは、会計報告書の様式や会計監査報告書との違いなど、町内会・自治会の会計報告についてよくある疑問に回答します。
一般の任意団体に共通する全国一律の様式はありません。団体の会則や従来の様式に従い、収入・支出の内訳と繰越金がわかる形で作成します。
自治体の補助金を受けている場合は、指定様式や必要な添付書類が定められていることがあるため、交付要綱も確認しましょう。
会計報告書は、会計担当者が収入・支出・残高をまとめた書類です。会計監査報告書は、監査担当者が帳簿や通帳、領収書などを確認し、会計処理が適正かどうかを報告する書類です。
記帳漏れや重複記録、金額の入力ミス、未精算の立替金などを確認します。差額を雑費や雑収入へ振り替えて形式的に合わせるのではなく、原因を特定し、帳簿と報告書を修正しましょう。
団体の会則や補助金の提出要件に反しなければ、Excelで作成できます。
計算式を設定すると集計ミスを防ぎやすくなりますが、数式の上書きや行の削除に備えて、元データと完成版を分けて保存しましょう。
会計報告書は、町内会・自治会などの団体が、会費や補助金の使い道を会員へ説明するための重要な書類です。会計年度、収入・支出の内訳、当期収支差額、次年度繰越金を記載し、帳簿や通帳、領収書と金額を照合して作成します。
全国共通の様式があるわけではないため、団体の会則や総会の決議、補助金の交付条件を確認することも欠かせません。作成後は会計担当者とは別の監査担当者が内容を確認し、総会で報告することで、透明性のある団体運営につなげられます。
会計報告書の作成も含めた経理作業を効率化したい方は、以下の資料もご覧ください。