更新日:2026.10.27

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領収書の但し書きとは、支払われた代金が何の対価かを示すものです。「飲食代として」「書籍代として」のように、取引の内容が記載されます。
但し書きがあいまいだと、取引内容の確認や税務調査での説明が難しくなります。また、インボイス制度のもとでは、但し書きにあたる取引内容が適格簡易請求書の記載事項のひとつです。
本記事では、領収書の但し書きの意味や書き方、費目別の記載例、避けた方がよい書き方などを解説します。発行・受領それぞれの立場での注意点もまとめているため、領収書を扱う際にはぜひ参考にしてください。
領収書の但し書きとは、支払われた代金が何の対価かを示すものです。金額欄の下に「但し ○○代として」と書く形式が一般的に用いられています。たとえば、飲食店の領収書には「飲食代として」、書店の領収書には「書籍代として」と記載します。
そもそも領収書は、代金の授受があった事実を証明する書類です。しかし、金額と日付だけでは、何のための支払いかまではわかりません。但し書きを添えることで、取引の当事者だけでなく第三者も、取引内容を確認できるようになります。
関連記事:領収書とは?発行する目的や記載が必要な項目、発行時の注意点などを徹底解説
領収書の記載項目は、法律で一律に定められているものではありません。しかし、多くの会社・店舗では以下のような記載項目を設けており、但し書きもそのうちのひとつに位置づけられています。
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項目 |
記載する内容 |
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宛名 |
代金を支払った人・会社の正式名称 |
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金額 |
支払われた代金の額(改ざん防止のため「¥10,000-」のように記載) |
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但し書き |
何に対する支払いかを示す内容 |
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発行日 |
代金の授受があった日付 |
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発行者 |
領収書を発行した事業者の名称・住所など |
但し書きが重要な理由は、その代金が何の取引に対するものかを当事者以外にも示せるためです。支払った側では経費精算の承認や勘定科目の判断に用いられ、税務調査では事業に関連する支出かを説明する材料にもなります。
発行した側にとっても、後日の問い合わせや入金との照合の際に、どの取引の代金かを特定する手がかりとして、但し書きが役立ちます。
関連記事:領収書の正しい書き方とは?初心者でも迷わない記載例と注意点を解説
領収書の但し書きは、取引の内容に応じて書き方が変わります。経費精算でよく見られる費目別の記載例は、以下のとおりです。
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取引の内容 |
但し書きの例 |
勘定科目の例 |
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飲食店での食事 |
飲食代として |
会議費・交際費 |
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書籍・雑誌の購入 |
書籍代として |
新聞図書費 |
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文房具・事務用品の購入 |
事務用品代として |
消耗品費 |
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ホテルなどの宿泊 |
宿泊代として |
旅費交通費 |
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駐車場の利用 |
駐車料金として |
旅費交通費・車両費 |
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設備・備品の修理 |
修理代として |
修繕費 |
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セミナー・講座の受講 |
受講料として |
研修費 |
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取引先への贈答品 |
贈答品代として |
交際費 |
勘定科目は、会社の経理ルールや支出の目的によって異なる場合があります。たとえば同じ「飲食代として」でも、社内会議に伴う飲食なら会議費、取引先の接待なら交際費で処理するのが一般的です。
ただし、「飲食代として」という但し書きだけでは、会議か接待かといった支出の目的まではわかりません。勘定科目を判断しやすくするため、領収書の裏面や精算書には、目的や参加者をメモしておくとよいでしょう。
なお、修理代でも、設備の価値を高めたり使用可能期間を延ばしたりする部分は、修繕費ではなく資産として計上する場合があります。
関連記事:【早見表付】「勘定科目」完全一覧|科目一覧や仕訳の進め方について解説。
領収書の但し書きは、第三者が見ても支払いの内容がわかるように書くことが基本となります。
書き方のポイントは、以下の3つです。
但し書きには、実際に取引した商品やサービスの内容を具体的に書きます。何に対する支払いかが一目でわかれば、取引内容の確認や勘定科目の判断がスムーズに進むためです。
具体的には、ボールペンやファイルの代金であれば「事務用品代として」、パソコンの代金であれば「パソコン代として」と記載します。品目がわかる程度に具体的であれば、取引の内容を説明しやすくなるでしょう。
一方、実際の取引と異なる内容を書くことは避けなければなりません。たとえば、私的な飲食代を業務上の支出と偽って経費に計上すると、税務調査で否認されるおそれがあります。さらに、事実の隠蔽・仮装に基づいて税額を過少に申告した場合などは、重加算税の対象となる可能性があります。発行者は、依頼を受けても実際と異なる取引内容を書かないようにしましょう。
複数の商品やサービスの代金を1枚の領収書にまとめる場合は、全体を表す総称で記載しましょう。領収書の但し書き欄のスペースは限られており、すべての品目を並べるのは現実的ではありません。
たとえば、コピー用紙・ボールペン・付箋の代金をまとめる場合は「事務用品代として」と記載します。国税庁は、インボイスに記載する商品名について、個々の名称ではなく包括的な記載とする方法も認めています。ただし、課税対象の取引であることがわかり、軽減税率の対象品目がある場合は、その旨も確認できる記載が必要です。
異なる種類の商品を購入し、ひとつの総称では取引内容を示しにくい場合は、「プリンター・事務用品代として」のように、主な商品の種類を併記します。但し書き欄に書ききれない場合は、領収書に明細書の番号を記載するなどして、商品明細と対応関係がわかるようにしましょう。
軽減税率と標準税率の商品が混在する場合は、領収書全体で軽減税率の対象品目がわかるように記載します。但し書き欄で示す場合は、「食料品代※・日用品代として(※は軽減税率対象)」などと記載できます。商品明細で対象品目を示している場合は、但し書き欄に重ねて記載する必要はありません。
簡易インボイスとして発行する場合は、あわせて税率ごとの合計金額と、税率ごとの消費税額または適用税率を、領収書の内訳欄などに記載しましょう。
関連記事:軽減税率とインボイス制度の関係性とは?請求書の書き方や注意点を解説
領収書の但し書きの文末は、「飲食代として」「書籍代として」のように「として」で結ぶのが一般的です。
市販の領収書用紙には、あらかじめ「但し」「として」が印字されているものもあります。その場合は、間に「飲食代」「宿泊代」などの内容を記入します。なお、「として」は必須の表現ではなく、「書籍代」「受講料」など、取引内容がわかる記載でも問題ありません。
なお、「○○代」は慣用的な表現であり、「○○料」「○○費」と書いても意味は変わりません。「駐車料金として」「受講料として」など、取引内容に合った自然な表現を選びましょう。
領収書の但し書きの書き方に一律の決まりはありません。ただし、内容が不明確な但し書きは取引の根拠として弱くなり、税務調査で説明を求められるおそれがあります。
領収書の但し書きで注意したいポイントは、以下の3つです。
用途を特定できない但し書きの書き方は、避けるのが望ましいといえます。たとえば、「お品代として」といった記載だけでは、事業に関係する支出かどうかを第三者が判断できません。
法人税では領収書の記載だけでなく、取引の実態で経費性が判断されます。説明資料が乏しいと経費性を否認されるおそれがあります。また、インボイス制度では取引内容が記載事項のひとつであり、軽減税率の対象品目がある場合はその旨の記載も必要です。
受け取る側も、「お品代」と書かれそうな場面では、その場で具体的な品目を伝えましょう。
領収書の但し書きには、勘定科目名ではなく、実際の取引内容を書きます。勘定科目は代金を支払った会社が自社の経理ルールに沿って決めるものであり、但し書きで指定するものではないためです。
とくに雑費は、ほかの勘定科目に当てはまらない費用をまとめる科目です。「雑費として」と書かれていても、何の取引なのかを判断できません。
たとえば、取引先との会食であれば「飲食代として」、文房具の代金であれば「事務用品代として」と書くのが適切です。但し書きには、取引の実態がわかる表現を選びましょう。
領収書を発行する際は、但し書きや明細欄に、実際の取引内容を記載しましょう。どこにも取引内容が書かれていないと、何に対する支払いかを確認しにくくなります。また、空欄に実際とは異なる内容を追記され、不正な経費精算に使われるおそれもあります。
ただし、商品名などが明細欄に記載されていれば、但し書き欄に同じ内容を重ねて書く必要はありません。インボイスとして発行する場合も、必要なのは取引内容の記載であり、但し書き欄を埋めること自体が要件ではないためです。
受け取る人から「但し書きは空欄でよい」と言われた場合も、明細欄などで取引内容を確認できるかを確かめましょう。取引内容の記載がなければ、「飲食代として」「事務用品代として」など、実際の内容を記入して渡してください。
関連記事:インボイス制度で一般消費者相手の取引はどう変わる?知らないと損するポイントまとめ
領収書の但し書きが空欄だった場合は、まず明細欄などに取引内容が記載されているかを確認します。対応する明細書や納品書を含めても取引内容がわからない場合は、発行者に記入や修正を依頼しましょう。
インボイスの記載事項に不足がある場合、買手が発行者に確認せず追記・修正することは原則としてできません。
対応の流れは、以下のとおりです。
依頼を受けた発行者は、元の取引内容を確認したうえで対応することが大切です。
再発行する際は、二重発行とならないよう元の領収書を回収しましょう。回収できない場合は、「再発行」と明記するなどの対応も検討してください。
なお、適格簡易請求書の記載事項に誤りや漏れがあった場合、買手は原則として自ら追記や修正を行えません。基本的な対応は、売手に修正した書類をあらためて交付してもらうことです。または、買手が修正内容を記載した仕入明細書等を作成し、売手の確認を受ける方法もあります。
インボイス制度では、取引内容が適格請求書・適格簡易請求書(簡易インボイス)の記載事項のひとつです。領収書を簡易インボイスとして扱う場合は、但し書きや明細欄などで取引内容を示すとともに、登録番号や税率ごとの金額など、所定の事項を記載する必要があります。
簡易インボイスを交付できるのは、小売業・飲食店業・写真業・旅行業・タクシー業などです。また、駐車場業(不特定かつ多数の者に対するもの)や、これらに準ずる事業で、不特定多数の者を相手とするものも含まれます。
簡易インボイスの記載事項と記載例は、以下のとおりです。
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記載事項 |
記載例 |
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発行者の氏名または名称および登録番号 |
株式会社○○ 登録番号Tから始まる13桁の番号 |
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取引年月日 |
2026年10月21日 |
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取引内容(軽減税率の対象品目である旨) |
食料品代※・日用品代として(※は軽減税率対象) |
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税率ごとに区分して合計した対価の額 |
10%対象 5,500円、8%対象 3,240円(いずれも税込) |
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税率ごとに区分した消費税額等または適用税率 |
10%対象の消費税500円、8%対象の消費税240円 |
簡易インボイスでは、宛名の記載を省略でき、消費税額等と適用税率はいずれか一方の記載で足ります。一方、簡易インボイスを交付できない事業者が領収書をインボイスとして発行する場合は、宛名と適用税率・消費税額等の両方の記載が必要です。
仕入税額控除の適用を受けるには、原則として帳簿と、インボイス(適格請求書または適格簡易請求書)の保存が必要です。
関連記事:インボイスと領収書の違いとは?使い分けや注意点までわかりやすく解説!
領収書の但し書きに関してよくある質問に回答します。
領収書の但し書きには、実際の取引内容を「○○代として」の形で具体的に書きます。たとえば、食事なら「飲食代として」、本や雑誌なら「書籍代として」、ペンやファイルなら「事務用品代として」と記載します。複数の品目をまとめる場合は、全体を表す総称を記載するとよいでしょう。
領収書の但し書きの記載は、すべての領収書に一律に義務づけられているわけではありません。
ただし、インボイスとして扱う場合は、取引内容の記載が必要です。明細欄などで取引内容を確認できれば、但し書き欄が空欄でも、その点だけで不備になるわけではありません。
領収書の但し書きに「お品代」とだけ書くことはおすすめしません。何の取引かがわからず、経費の根拠として弱くなるためです。
また、インボイスでは取引内容の記載が求められるため、「事務用品代として」など品目がわかる書き方にしておくと安心です。
領収書の但し書きとは、支払われた代金が何の対価かを示すものです。取引の内容を説明する根拠になるため、「○○代として」の形で具体的に記載しましょう。
複数の品目をまとめる場合は、「事務用品代として」など、取引内容がわかる総称を使います。ひとつの総称では表しにくい場合は、主な商品の種類を併記するか、対応関係がわかる明細書を添えましょう。税率が異なる商品が混在する場合は、領収書全体で軽減税率の対象品目と税率ごとの金額がわかるように記載してください。
一方、「お品代」や勘定科目名など、取引内容がわからない書き方は避けるのが望ましいといえます。また、領収書を簡易インボイスとして扱う場合は、登録番号や税率ごとの金額などの記載も必要です。
但し書きの確認や証憑の保存、勘定科目の判断は、件数が増えるほど担当者の負担も大きくなります。 経理業務全体の効率化を検討している方は、以下の資料もぜひご活用ください。