更新日:2026.10.27

ー 目次 ー
小切手とは、振出人が銀行に対し、記載された金額を受取人などへ支払うよう委託する有価証券です。現金を持ち運ばずに支払いができるため、企業間取引などで利用されてきました
現在は、紙の手形・小切手から電子的な決済手段への移行が進んでいます。2027年3月31日には電子交換所での手形・小切手の交換が終了するため、取引銀行の期限を確認し、支払い・回収方法を見直す必要があります。
本記事では、小切手の仕組みや約束手形との違い、種類、書き方、仕訳例を解説します。廃止に向けたスケジュールと代替手段も確認し、経理実務に役立ててください。
小切手とは、当座預金の契約者などが、銀行に対して一定の金額の支払いを委託する有価証券です。小切手を作成して相手へ交付することを振り出すといいます。
特徴は、原則として銀行へ呈示(支払いを求めて提示)すると支払いの対象になる一覧払いである点です。後日の満期日まで支払いを待つ約束手形とは異なり、現金に代わる支払手段として使われます。
ただし、一覧払いとは、どの銀行でも即座に現金を受け取れるという意味ではありません。小切手の種類や銀行の取り扱いによって手続きが異なり、資金化までに日数がかかる場合もあります。
また、小切手自体が銀行による支払いを保証するものではありません。振出人の資金不足などで支払われない可能性があるため、受け取る側も決済が完了したか確認することが重要です。
小切手の取引には、主に振出人・受取人・支払人の3者が関わります。
|
当事者 |
役割 |
|
振出人 |
小切手を振り出し、銀行へ支払いを委託する |
|
受取人 |
小切手を受け取り、支払いや取立(銀行を通じた代金の回収)を求める |
|
支払人 |
小切手に基づいて支払いを行う銀行 |
一般的な決済の流れは、次のとおりです。
電子交換所では、銀行が小切手の画像データを送受信して決済を行います。「電子交換所」という名称でも、利用者が振り出す紙の小切手を電子記録債権に変える仕組みではありません。
国内で振り出され、国内で支払われる小切手の呈示期間は、原則として振出日の翌日から暦日で10日以内です。末日が休日の場合は翌営業日となります。銀行への持ち込みから支払銀行への呈示までの時間も考え、受取後は早めに手続きしましょう。
小切手と約束手形の主な違いは、支払時期です。小切手は一覧払いの支払手段、約束手形は将来の支払いを約束する信用取引の手段として使われます。
ここでは、支払日を指定する一般的な約束手形と比較します。
|
比較項目 |
小切手 |
約束手形 |
|
支払時期 |
原則として呈示時 |
原則として記載された満期日 |
|
主な役割 |
現金に代わる支払い |
将来の支払いの約束 |
|
資金の準備 |
振出時から支払いに備える |
満期日に備えて準備する |
|
支払日までの猶予 |
原則として設けられない |
満期日までの期間がある |
たとえば、代金10万円を小切手で支払った場合、受取人は原則としてすぐに支払いを求められます。一方、満期日が翌月末の約束手形なら、その日を基準に決済されます。
小切手に将来の日付を書いても、約束手形と同じように支払いを先延ばしできるわけではありません。資金を用意できる時期と、相手が支払いを求められる時期を区別して理解しましょう。
小切手には、支払先の制限や振出人などに着目した、いくつかの呼び方があります。
|
種類 |
内容 |
|
線引小切手 |
表面に2本の平行線を引き、支払先を一定の銀行や支払銀行の取引先などに制限したもの |
|
先日付小切手 |
実際に交付する日より後の日付を、振出日として記載したもの |
|
自己宛小切手(預金小切手) |
銀行が自ら振出人と支払人になるもの |
これらは分類の観点が異なるため、重なる場合があります。たとえば、自己宛小切手に線引を付すこともあります。
先日付小切手は、記載された日付より前でも、呈示されれば支払いの対象です。「日付が来るまで支払われない」と考えて振り出さないよう注意しましょう。
また、簿記では、他者が振り出したものを「他人振出小切手」、自社が振り出したものを「自己振出小切手」と呼びます。
小切手を作成するときは、銀行所定の用紙と記入方法に従います。ただし、すでに振出期限を過ぎた銀行もあるため、作成する前に利用できるか確認してください。
小切手法で定められた主な記載事項は、次のとおりです。
銀行所定の用紙には、支払銀行名などがあらかじめ印刷されています。金額・振出日・振出人の記名押印など、必要な箇所を埋めましょう。
特に振出日は、呈示期間や銀行の最終振出期限を確認するうえで重要です。記載がない小切手について、原則として受付・支払いを行わない銀行もあります。
金額は、チェックライターを使った算用数字や、銀行が指定する漢数字などで記入します。金額の前後に付ける記号や文字、使用できる字体も、銀行の案内に従いましょう。
たとえば、三菱UFJ銀行では、算用数字はチェックライターを使い、先頭に「¥」、末尾に終止符号を付ける方法などを定めています。金額を誤記した場合は訂正せず、新しい用紙を使うよう案内しています。
未記入の小切手用紙や銀行への届出印は適切に管理し、作成者と確認者を分けるなど、誤記や不正な振出しを防ぐ運用も整えましょう。
小切手の仕訳は、受け取った場合と振り出した場合で異なります。ここでは、各取引の金額を10万円とする架空の例で説明します。
通常の他人振出小切手で売掛金10万円を回収した場合は、通貨代用証券として「現金」で処理します。
|
借方 |
貸方 |
||
|
現金 |
100,000円 |
売掛金 |
100,000円 |
その後、当座預金へ入金した場合は、次のように振り替えます。
|
借方 |
貸方 |
||
|
当座預金 |
100,000円 |
現金 |
100,000円 |
ここでいう「現金」は、紙幣や硬貨だけを意味するものではありません。ただし、先日付小切手を受け取った場合は、一般的に「受取手形」で処理します。通常の他人振出小切手とは区別し、自社の会計方針に沿って処理しましょう。
買掛金10万円を小切手で支払った場合は、振出時に「当座預金」を減額します。
|
借方 |
貸方 |
||
|
買掛金 |
100,000円 |
当座預金 |
100,000円 |
銀行が実際に支払う前でも、帳簿上は振出時に処理します。そのため、まだ銀行に持ち込まれていない小切手があると、帳簿と銀行残高に差が生じます。決算時などには、未決済の小切手を含めて残高を照合しましょう。
以前に自社が振り出した小切手を、売掛金10万円の回収として受け取った場合は、「当座預金」で処理します。
|
借方 |
|
貸方 |
|
|
当座預金 |
100,000円 |
売掛金 |
100,000円 |
これは、振出時に減額した帳簿上の当座預金を戻す処理です。銀行へ現金を預け入れたことを意味するわけではありません。
また、単に振出しを取り消して返却を受けた場合などは、相手勘定が異なります。小切手が戻った理由を確認して仕訳しましょう。
関連記事:仕訳帳とは?総勘定元帳との違いと書き方をわかりやすく解説 | 請求ABC
小切手には、現金の持ち運びを減らせる利点がある一方、紙の管理や取立の負担があります。代替手段を選ぶ際にも、従来の運用で何に手間がかかっていたか整理すると役立ちます。
小切手を使えば、支払いのために多額の紙幣を準備し、数えて持ち運ぶ負担を減らせます。高額の取引でも、小切手を交付する方法で対応できる点が利点です。
線引などによって支払先を制限すれば、現金と比べて第三者による換金のリスクを抑えられる場合もあります。ただし、紛失・盗難の危険がなくなるわけではなく、用紙や印章の管理は必要です。
受取人は、小切手の記載内容を確認し、銀行へ持ち込むなどの手続きを行います。銀行の取り扱いや持込時期によっては、すぐに資金化できない場合もあります。
また、資金不足などで支払いが行われない「不渡り」が生じると、受取人の資金繰りにも影響します。振出人側は支払資金を確保し、受取人側は入金が確定するまで管理する必要があります。
銀行振込などへ切り替える際は、こうした取立・保管・照合の作業を、どこまで減らせるか確認しましょう。
2027年3月31日に終了するのは、電子交換所における手形・小切手の交換です。翌4月1日から、小切手が法律上一律に使用できなくなるという意味ではありません。
ただし、交換終了に先立ち、銀行ごとに用紙の発行や振出し、預金入金・取立の受付が縮小されています。
|
時期 |
主な動き |
|
2026年9月30日 |
期限を公表した金融機関の多くが設定した最終振出日 |
|
2026年10月1日以降 |
上記の金融機関では、期限後に振り出された小切手による当座勘定からの支払いが原則できない |
|
2027年3月31日 |
電子交換所での手形・小切手の交換が終了 |
|
2027年4月1日以降 |
電子交換所を介さない決済となり、取り扱い可否などは各金融機関の判断による |
全国銀行協会は、交換終了後は郵送などによる金融機関間の相対決済が必要となり、取り扱いが変更される可能性があると説明しています。従来どおり利用できると考えず、振出銀行と取立を依頼する銀行の双方へ確認しましょう。
たとえば、三菱UFJ銀行は、2026年9月30日で振出しを終了しています。また、他行を支払銀行とする手形・小切手の預金入金扱いは、同年3月31日に終了しています。振出期限と入金受付の終了日は、必ずしも同じではありません。
関連記事:【2027年3月末まで】手形・小切手廃止で属人化リスク 経理が備える5つのポイント | 請求ABC
小切手の代替手段には、銀行振込や電子記録債権があります。取引先と支払日・手数料負担・入金確認方法を取り決め、自社の承認手続きや会計システムの設定も見直しましょう。
銀行振込は、取引先の指定口座へ代金を送金する方法です。インターネットバンキングを利用すれば、小切手の作成や交付、銀行への持ち込みを減らせます。
現金払いに近い小切手の代替として検討しやすい一方、振込先の登録や承認、振込限度額の設定などが必要です。着金時期も、金融機関や受付時間などによって異なります。
切替時は、振込先を正規の連絡経路で確認し、請求内容との照合や二重払いの確認も行いましょう。
関連記事:請求書の手数料は原則どちらが払う?負担をお願いする際の例文やルールを解説!
電子記録債権(でんさい)は、債権の発生や譲渡を電子的に記録する決済手段です。支払期日には、原則として口座間で決済されます。
小切手から切り替えることもできますが、一覧払いの小切手とは異なり、電子記録債権では支払期日を設定します。でんさいネットも、取引先と支払時期を調整したうえでの切り替えを案内しています。
電子記録債権の導入時は、自社と取引先の双方で利用環境を確認します。利用手数料や入金手数料、支払期日の条件も比較し、取引先の入金が一方的に遅くならないよう協議しましょう。
関連記事:【中小受託取引適正化法】 経理実務の注意点 | 手形廃止・支払期日厳格化で経理はどう変わる? | 請求ABC
ここでは、振出期限後に受け取った場合や紛失時の対応など、小切手の取り扱いで迷いやすい疑問に回答します。
最終振出期限後に振り出された小切手を受け取ったら、振出人と振出銀行に、実際の振出日と支払いの可否を確認します。銀行の最終振出期限後に振り出され、支払いを受けられない場合は、振出人へ銀行振込などへの変更を依頼しましょう。
期限までに振り出された小切手でも、銀行の受付期限や呈示期間の確認が必要です。券面の日付だけを書き換えず、銀行の案内に従って対応してください。
直ちに取引銀行へ連絡し、小切手番号・金額・振出日など、分かる情報を伝えて必要な手続きを確認します。受取人が紛失した場合は、振出人にも連絡しましょう。
紛失の連絡だけで必ず支払いを防げるとは限らないため、銀行の案内に従って速やかに対応します。
銀行への返却や買戻しの対象になる場合があるため、処分前に取引銀行へ確認します。
たとえば、三菱UFJ銀行では、一定の未使用用紙について買戻しを実施しています。対象や受付期限、処分方法は銀行によって異なる点に注意しましょう。
小切手は、銀行へ一定額の支払いを委託する有価証券で、現金に代わる支払手段として利用されてきました。一覧払いですが、必ず即日資金化できるわけではなく、取立や決済状況の確認が必要です。
2027年3月31日には電子交換所での手形・小切手の交換が終了します。銀行ごとに振出期限や入金受付日が異なるため、現在の取り扱いを確認し、取引先と銀行振込・電子記録債権(でんさい)などへの移行を進めましょう。
支払い・回収方法の変更に合わせて、請求書処理や入金管理の効率化を検討している方は、以下の資料もご活用ください。