更新日:2026.10.27

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収支内訳書とは、白色申告で事業所得・不動産所得などを申告する方が、1年間の収入金額と必要経費の内訳を記載し、確定申告書に添付して提出する書類です。 確定申告書に記載した所得金額が、どのような収入と経費から計算されたのかを示す根拠になります。
収支内訳書の金額に誤りや漏れがあると、所得金額や税額を正しく計算できません。帳簿の記録と食い違いがあると、税務署から問い合わせを受けたり、税務調査で説明を求められたりする可能性があります。
本記事では、収支内訳書の種類や提出が必要なケース、青色申告決算書との違いを整理したうえで、具体的な書き方を解説します。収支内訳書の入手方法や提出方法、保存時のルールなども整理しているため、ぜひ参考にしてください。
収支内訳書とは、白色申告で事業所得や不動産所得などがある方が、その年の総収入金額と必要経費の内容を記載し、確定申告書に添付する書類です。
確定申告では、売上などの収入金額から、売上原価や必要経費を差し引いて所得金額を計算します。収支内訳書は、この計算過程を勘定科目ごとに示し、確定申告書に記載した所得金額の根拠を明らかにする役割を担います。
収支内訳書を作成する際のもとになるのは、日々の取引を記録した帳簿です。取引の年月日や相手先、金額などを記帳しておき、年末に科目ごとに集計して収支内訳書に転記します。
なお、帳簿そのものを確定申告書に添付する必要はありません。ただし、帳簿は収支内訳書の金額の根拠となるため、白色申告者にも記帳と一定期間の保存が義務付けられています。
収支内訳書には、申告する所得の種類に応じて様式が分かれています。以下の3種類があるため、自分の所得に合った様式を選んで作成しましょう。
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種類 |
対象となる所得 |
主な利用者 |
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一般用 |
事業所得(農業所得を除く)、業務に係る雑所得 |
小売業・サービス業などの個人事業主、フリーランス |
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不動産所得用 |
不動産所得 |
アパート・貸家・貸地などの賃貸収入がある方 |
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農業所得用 |
農業所得(事業所得のうち農業から生じるもの) |
米作・野菜栽培・果樹栽培・畜産などを営む方 |
複数の所得がある場合は、所得ごとに収支内訳書を作成します。たとえば、飲食店を営みながらアパートを貸している方は、一般用と不動産所得用の2種類が必要です。また、医師・歯科医師向けには、一般用とあわせて使用する付表も用意されています。
収支内訳書は、すべての確定申告で必要になるわけではありません。以下は、所得税の確定申告書を提出する場合の添付要否です。確定申告自体が必要かどうかは、所得金額や所得控除などに応じて別途判断します。
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区分 |
該当するケース |
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提出が必要 |
・白色申告で、事業所得(農業所得を含む)や不動産所得がある場合 ・前々年の業務に係る雑所得の収入金額が1,000万円を超える場合(令和4年分以後) |
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提出は不要 |
・青色申告をする場合(原則として青色申告決算書を添付する) ・給与所得や公的年金等の所得のみの場合 ・業務に係る雑所得の前々年の収入金額が1,000万円以下の場合(任意で添付することは可能) |
事業所得・不動産所得の場合、収支内訳書を提出するかどうかは事業の規模ではなく、所得の種類と申告方法で決まります(業務に係る雑所得は前々年の収入金額で判定)。
たとえば、駐車場や貸家1軒だけの貸付けで事業的規模に満たない場合でも、白色申告で不動産所得を申告するなら、収支内訳書(不動産所得用)を添付します。
また、その年から新たに青色申告を始めようとしても、青色申告承認申請書を期限までに提出しなかった場合は、原則として白色申告になります。この場合は青色申告決算書ではなく、収支内訳書を添付するのが原則です。
関連記事:【超入門】雑所得とインボイス制度のキホン|個人事業主・副業の確定申告、具体的な手続きは?
収支内訳書は白色申告、青色申告決算書は青色申告で確定申告書に添付する書類です。どちらも所得金額の計算内容を示す点は共通しています。一方、記帳の方法や作成する書類、受けられる税制上の特典などに以下のような違いがあります。
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項目 |
収支内訳書(白色申告) |
青色申告決算書(青色申告) |
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事前の手続き |
不要 |
青色申告承認申請書の提出が必要 |
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記帳の方法 |
簡易な方法による記帳でよい |
正規の簿記(複式簿記)または簡易簿記 |
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書類の内容 |
収入金額・必要経費の内訳 |
損益計算書。55万円・65万円控除(令和9年分以後は65万円・75万円控除)を受ける場合は貸借対照表も添付 |
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特別控除 |
なし |
青色申告特別控除(令和8年分までは最高65万円、令和9年分以後は最高75万円) |
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赤字の繰越し |
原則として不可(変動所得の損失・被災事業用資産の損失を除く) |
純損失を翌年以後3年間繰り越せる(前年も青色申告の場合は繰戻し還付も可能) |
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家族への給与 |
事業専従者控除(配偶者は86万円、その他の親族は1人50万円が上限。ただし「専従者控除前の所得金額÷(専従者の数+1)」の方が少ない場合はその金額) |
青色事業専従者給与(届け出た範囲内で、労務の対価として相当な金額を必要経費に算入) |
収支内訳書の記載内容は収入と経費の内訳が中心であり、青色申告決算書よりも作成時の負担は軽くなります。ただし、青色申告特別控除は受けられず、純損失の繰越控除も原則として適用できません。手続きの手軽さと税負担の軽減効果を比べて、申告方法を選ぶことが大切です。
関連記事:決算書とは?財務諸表との違いや個人事業主の必要書類を解説
収支内訳書(一般用)は2ページで構成されています。各ページの記載項目は以下のとおりです。
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ページ |
主な記載項目 |
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1ページ目 |
住所・氏名・業種名・屋号、区分(営業等・雑(業務))、収入金額、売上原価、経費、専従者控除、所得金額、給料賃金の内訳、税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳、事業専従者の氏名等 |
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2ページ目 |
売上(収入)金額の明細、仕入金額の明細、減価償却費の計算、地代家賃の内訳、利子割引料の内訳(金融機関を除く)、本年中における特殊事情 |
1ページ目の経費欄には、以下の科目があらかじめ印字されています。
印字されていない経費は、空欄に科目名を記入します。
また、2ページ目の売上先・仕入先の明細には、相手先の登録番号(適格請求書発行事業者の登録番号)または法人番号を記入する欄があります。番号を記入した場合は、基本的に相手先の名称・所在地の記入を省略することが可能です。
関連記事:経費とは?税金との関係や精算するときの注意点をわかりやすく解説
収支内訳書は、帳簿をもとに1年間の取引を集計し、明細欄を埋めてから合計欄に転記する流れで作成します。ここでは、以下の3パターンに分けて収支内訳書の書き方を解説します。
一般用は、2ページ目の明細を先に作成し、その金額を1ページ目に転記して所得金額を計算します。主な手順は以下のとおりです。
売上は原則として、代金を受け取っていない掛け売りも含め、本年中に売り上げたものをすべて計上します。また、商品の自家消費や贈与も売上(収入)に含めます。
店舗兼住宅の家賃や水道光熱費などの家事関連費は、使用面積や使用時間などの合理的な基準で按分し、業務に必要な部分だけを経費にしましょう。
関連記事:按分とは?意味や計算方法、家事按分の割合の決め方をわかりやすく解説
不動産所得用は、賃貸物件ごとの収入の内訳と、賃貸に関する経費を記入する様式です。1ページ目の「不動産所得の収入の内訳」欄に、物件や賃借人の情報を記入します。
主な記載項目は以下のとおりです。
保証金・敷金のうち、返還を要しないこととなった部分は、その返還を要しないことが確定した年の収入金額に含めます。必要経費には、固定資産税や損害保険料、修繕費、減価償却費、借入金利子などを記入します。借入金の返済額のうち、元本部分は必要経費になりません。
2ページ目には、減価償却費の計算や借入金利子・地代家賃の内訳を記入します。なお、専従者控除は、不動産の貸付けが事業的規模(一般的に「5棟10室基準」が目安)で行われている場合に限り適用できます。
関連記事:減価償却費とは?対象資産・計算方法・仕訳・注意点をわかりやすく解説
農業所得用は、農産物の販売金額や家事消費などを収入として集計し、農業特有の経費を差し引いて所得を計算する様式です。2ページ目の収入金額の明細を作成してから、1ページ目に転記します。
収入金額と経費には、主に以下の項目があります。
自家消費した農産物は、原則として収穫時の生産者販売価額(農協への出荷価額など)で収入金額に計上します。 農作物などに係る受取共済金や価格差補塡金、農作業受託料などは雑収入に記入しましょう。
また、育成中の果樹や牛馬などにかかった費用は、2ページ目の「果樹・牛馬等の育成費用の計算」欄で計算します。計算した金額は、1ページ目で経費から差し引いてください。
収支内訳書は、以下の方法で入手・作成できるため、自分の環境や記帳の方法に合ったものを選びましょう。
国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の案内に従って金額を入力するだけで収支内訳書を作成できます。合計額や所得金額は自動で計算されるため、計算誤りを防ぎやすい点がメリットです。また、収支内訳書で計算した所得金額は、確定申告書の該当欄に引き継がれるため、転記の手間もかかりません。
作成したデータは、マイナンバーカード方式でe-Tax送信できます。カードと電子証明書の有効期限を事前に確認しましょう。
なお、ID・パスワード方式の新規発行は、2025年10月1日から停止されています。既に届け出ている方は利用できますが、令和9年分の確定申告からは利用できなくなる予定です。
e-Taxを利用しない場合は、作成した書類を印刷して税務署に提出しましょう。
国税庁のWebサイトでは、年分ごとに収支内訳書の様式をPDFで公開しています。印刷して手書きで記入すれば、パソコン操作に不慣れな方でも作成できます。
様式は「確定申告書等の様式・手引き等」のページから入手可能です。一般用・不動産所得用・農業所得用それぞれの書き方や決算の手引きも掲載されています。記載例や経費科目の具体例を確認しながら作成すると、記入漏れを防げるでしょう。
ただし、手書きの場合は、合計額や所得金額を自分で計算する必要があります。検算を行い、確定申告書に転記する金額とも一致しているかを確認しましょう。
なお、収支内訳書の用紙は、税務署の窓口でも入手できる場合があります。
日々の取引を会計ソフトに入力しておけば、仕訳の内容から収支内訳書の数値が自動で集計されます。帳簿付けから収支内訳書の作成までを一貫して行えるため、集計や転記のミスを減らせるでしょう。
銀行口座やクレジットカードと連携できるソフトを使えば、入力の手間も軽減できます。勘定科目ごとの集計がそのまま経費欄に反映されるため、決算期にまとめて領収書を集計する負担も小さくなります。
ただし、会計ソフトのなかには、業務に係る雑所得の収支内訳書(区分欄で「雑(業務)」を選ぶもの)を作成できない製品もあります。対応していない場合は、国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成するか、様式をダウンロードして手書きで作成しましょう。
関連記事:【2026年度版】会計ソフト比較一覧|企業規模別の違いと失敗しない選び方【請求書処理まで解説】
収支内訳書は、確定申告書とあわせて税務署へ提出します。提出期限は確定申告の期限と同じで、原則として翌年3月15日です(土日祝日に当たる場合は、その翌日以後の最初の平日)。
収支内訳書の提出方法は以下の3つです。
提出後は、収支内訳書の根拠となる帳簿や書類を保存する必要があります。白色申告に関する帳簿・書類の保存期間は、以下のとおりです。
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保存書類 |
保存期間 |
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収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) |
7年 |
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法定帳簿以外の業務に関して作成した帳簿(任意帳簿) |
5年 |
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棚卸表、請求書・領収書などの書類 |
5年 |
保存期間は、帳簿はその閉鎖の日が属する年分の確定申告期限の翌日から、書類は作成・受領した日が属する年分の確定申告期限の翌日から起算します。
なお、業務に係る雑所得がある方も、前々年の収入金額が300万円を超える場合は、請求書・領収書などの書類を5年間保存する必要があります。また、白色申告者であっても、電子取引で受け取った請求書などのデータは、電子帳簿保存法にもとづき原則として電子データのまま保存しなければなりません。
関連記事:電子帳簿保存法の保存期間は何年?法人・個人事業主別に5年・7年・10年を解説
収支内訳書を使う白色申告は手続きが簡単な一方で、青色申告と比べて税制上の特典は限られます。事業が軌道に乗ってきたら、青色申告への切り替えを検討しましょう。青色申告の主なメリットは、以下のとおりです。
青色申告特別控除は、令和9年分以後の所得税から見直されます。見直し後は、正規の簿記(複式簿記)で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添付してe-Taxで期限内に申告すると、65万円の控除を受けられます。さらに、優良な電子帳簿の保存、またはデジタルシームレス保存の要件を満たし、所定の届出を行うと、最高75万円の控除を受けられます。なお、これらの控除の対象は事業所得または事業的規模の不動産所得がある方で、控除前の所得金額が上限です。
上記の要件を満たさない場合の控除額は、原則として10万円です。ただし、簡易な簿記で記帳しており、前々年の事業所得等に係る収入金額が1,000万円を超える場合は、一定の場合を除き、10万円控除の対象外となります。詳しくは、国税庁の最新情報を確認しましょう。
青色申告をしたい場合は、原則として適用を受けたい年の3月15日までに、所得税の青色申告承認申請書を納税地の所轄税務署へ提出しなければなりません。1月16日以後に新たに業務を始めた場合は、業務開始日から2ヶ月以内が期限です。
最後に、収支内訳書に関してよくある質問に回答します。
収支内訳書とは、白色申告で事業所得・不動産所得などを申告する方が、確定申告書に添付して提出する書類です。 1年間の収入金額と必要経費を勘定科目ごとに集計し、所得金額の計算過程を示します。
様式には、一般用・不動産所得用・農業所得用の3種類があります。青色申告で添付する青色申告決算書に相当する書類であり、確定申告書に記載する所得金額の根拠となるため、正確に作成しましょう。
収支内訳書の添付が必要なのは、白色申告で事業所得や不動産所得がある場合です。業務に係る雑所得については、前々年の収入金額が1,000万円を超える場合に、収支内訳書などを添付します。
一方、青色申告を行う場合は、原則として収支内訳書ではなく青色申告決算書を添付します。 また、給与所得や公的年金等の所得のみの場合は、収支内訳書の提出は不要です。
収支内訳書は、国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成できます。作成したデータは、e-Taxで送信するか、印刷して提出しましょう。
ほかにも、国税庁のWebサイトから様式をダウンロードして手書きで作成する方法や、会計ソフトで作成する方法があります。
収支内訳書は、白色申告で確定申告書に添付し、1年間の収入金額と必要経費の内訳を示す書類です。様式は一般用・不動産所得用・農業所得用の3種類があり、所得の種類ごとに作成します。
いずれの様式も、帳簿に記録した1年間の取引をもとに作成するのが基本です。日頃から取引を記帳しておけば、申告の時期に慌てずに収支内訳書を仕上げられるでしょう。
収支内訳書を正確に作成するには、日々の記帳と勘定科目の正しい選択が欠かせません。 経費をどの科目に計上すべきか迷いやすい方や、青色申告を見据えて複式簿記を学びたい方は、以下の資料もぜひご活用ください。