更新日:2026.09.28

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利益とは、収益から費用を差し引いて残る金額です。企業の経営状態を把握するための重要な数値ですが、利益には複数の種類があり、それぞれ意味や計算方法が異なります。
本記事では、利益の基本的な意味や売上・粗利との違い、損益計算書における5つの利益と計算方法をわかりやすく解説します。
利益率の計算式や利益を増やす方法、経営分析で確認するポイントも紹介するため、自社の収益性や経営状態を把握する際の参考にしてください。
利益とは、企業が得た収益から費用を差し引いて残る金額です。企業が一定期間の活動によって、どの程度の成果を上げたかを示す重要な数値で、損益計算書(P/L)で確認できます。
利益を継続的に確保することは、事業の維持や成長につながります。また、利益の金額や推移を確認することで、自社の収益性を把握し、価格設定やコストの見直しなどを検討する際の判断材料にもなります。
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利益と売上・粗利は、それぞれ意味が異なります。売上は、商品やサービスの販売・提供によって得た金額であり、費用を差し引く前の金額です。一方、利益は収益から費用を差し引いて残った金額を指します。
また、粗利は利益の一種で、正式には売上総利益と呼ばれ、売上高から売上原価を差し引いて計算します。
売上が大きくても、原価や経費が多ければ十分な利益が残るとは限りません。そのため、企業の経営状況を確認する際は、売上と利益を区別して見ることが大切です。
関連記事:【原価とは?】分類ルールと判断軸をわかりやすく解説|原価・販管費・非原価の違い
損益計算書(P/L)では、収益から費用などを段階的に差し引くことで、以下の5つの利益を算出します。
それぞれ計算に含める費用や損益が異なるため、意味と計算方法を理解しておきましょう。
売上総利益とは、売上高から売上原価を差し引いた利益で、粗利とも呼ばれます。商品やサービスそのものから、どの程度の利益を得られたかを示します。
計算式は以下の通りです。
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売上総利益=売上高-売上原価 |
たとえば、売上高が1,000万円、売上原価が600万円なら、売上総利益は400万円です。
売上原価には、販売した商品の仕入原価や製品の製造にかかった費用などが含まれます。売上総利益を見ることで、商品の販売価格や仕入価格、製造コストなどを踏まえた収益性を確認できます。
営業利益とは、売上総利益から販売費及び一般管理費(販管費)を差し引いた利益です。企業が本業によってどの程度の利益を得たかを示します。
計算式は以下の通りです。
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営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費 |
販管費には、商品の販売や企業の管理にかかる人件費、広告宣伝費、事務所の賃料などが含まれます。
たとえば、売上総利益が400万円、販管費が300万円なら、営業利益は100万円です。営業利益を確認することで、本業による収益力や、事業運営にかかるコストを含めた採算性を把握できます。
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経常利益とは、営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いた利益です。本業の損益に、受取利息や支払利息など経常的に発生する本業以外の損益を加味した利益を示します。
計算式は以下の通りです。
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経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用 |
営業外収益には受取利息や受取配当金など、営業外費用には支払利息などが含まれます。
たとえば、営業利益が100万円、営業外収益が20万円、営業外費用が30万円なら、経常利益は90万円です。本業の損益に財務活動などの損益を加えることで、企業の経常的な収益力を確認できます。
税引前当期純利益とは、経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引いた、法人税等を控除する前の利益です。
計算式は以下の通りです。
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税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失 |
特別利益・特別損失には、固定資産の売却損益など、臨時的に発生した損益が計上されることがあります。
経常利益との違いを確認することで、通常の事業活動による損益だけでなく、臨時的な要因が当期の業績に与えた影響も把握できます。
当期純利益とは、税引前当期純利益に法人税等の税金費用を反映して算出する、最終的な利益です。
計算式は以下の通りです。
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当期純利益=税引前当期純利益-法人税等の税金費用 |
損益計算書の最終段階に示される利益であり、1年間の事業活動を通じて最終的にどの程度の利益を確保したかを表します。
売上総利益や営業利益などとあわせて確認すれば、売上から最終的な利益に至るまで、どの段階で利益が増減しているかを把握できます。
損益計算書に表示される5つの利益とは別に、経営分析や意思決定で活用される利益があります。代表的なものは、以下の2つです。
どちらも商品や事業の採算性を分析する際などに活用されます。それぞれの意味と計算方法を確認しましょう。
限界利益とは、売上高から売上の増減に応じて変化する変動費を差し引いた利益です。商品やサービスの販売によって、固定費の回収や利益の確保にどの程度貢献しているかを把握できます。
計算式は以下の通りです。
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限界利益=売上高-変動費 |
たとえば、売上高が1,000万円、変動費が600万円の場合、限界利益は400万円です。
また、売上高に占める限界利益の割合を限界利益率と呼びます。限界利益や限界利益率は、損益分岐点の計算や、販売数量・価格を検討する際などに活用されます。
関連記事:固定費と変動費の違いを解説!分類に迷ったときの対処法や削減方法を紹介
貢献利益とは、商品や事業、部門などが企業全体の利益にどの程度貢献しているかを把握するための指標です。定義は企業や分析方法によって異なり、限界利益と同じ意味で使われる場合もあります。
限界利益と区別する場合は、限界利益から商品や部門に直接ひもづく固定費(個別固定費)を差し引いて求めます。
計算式は以下の通りです。
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貢献利益=限界利益-個別固定費 |
たとえば、限界利益が400万円、特定の事業にかかる個別固定費が100万円なら、貢献利益は300万円です。商品別・事業別などに算出することで、どの事業が全社共通の固定費の回収や利益の確保に貢献しているかを分析できます。
企業の収益性を見る際に使われる利益率は、一般的に売上高に対する利益の割合を示します。
基本的な計算式は、以下の通りです。
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利益率(%)=利益÷売上高×100 |
たとえば、売上高が1,000万円、利益が200万円の場合、利益率は20%です。
計算に用いる利益によって、売上高総利益率や売上高営業利益率、売上高経常利益率など、さまざまな指標があります。利益額だけでなく利益率を確認することで、売上高に対してどの程度効率よく利益を確保できているかを把握できます。
関連記事:売上高とは?売上・年商・利益との違いと計算方法をわかりやすく解説
利益を正確に把握することは、企業の経営状態を理解し、今後の経営方針を決めるうえで重要です。主な理由は、以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
利益を種類ごとに確認することで、企業の収益性だけでなく、利益を圧迫している要因も把握しやすくなります。
たとえば、売上高が増えていても、仕入価格や人件費などの費用がそれ以上に増加していれば、十分な利益を確保できているとは限りません。また、売上総利益が低下していれば仕入価格や製造コスト、営業利益が低下していれば販管費などに課題がある可能性があります。
売上総利益や営業利益、経常利益などを段階ごとに確認することで、どこで利益が減っているのかを把握し、見直すべき項目を特定しやすくなります。
現在どの程度の利益を確保できているかがわかれば、将来に向けてどこに資金や人員を配分すべきかを検討しやすくなります。
たとえば、商品別・事業別の利益を確認すれば、収益性の高い分野への投資を増やしたり、採算性の低い事業を見直したりする際の判断材料になります。
利益を継続的に把握し、予算策定や事業計画などに反映することで、数値に基づいた経営判断につなげられるでしょう。
利益を増やすには、売上を伸ばすだけでなく、売上原価や販売費・一般管理費(販管費)などのコストを適切に管理することが重要です。
主な方法は、以下のとおりです。
自社の利益を圧迫している要因を把握したうえで、改善効果が期待できる項目から取り組みましょう。
原価や経費の増加を抑えながら売上高を増やせれば、その分利益の増加につながります。
売上高を増やすには、新規顧客の獲得や既存顧客の購入頻度向上、商品・サービスの単価見直しなどが考えられます。
ただし、売上を伸ばすために広告費や人件費などを過度に増やすと、売上高が増えても利益が十分に残らない場合がある点は注意が必要です。
売上高だけでなく、施策にかかる費用や利益への影響も確認しながら取り組むことが大切です。
売上原価を抑えることで、売上高が変わらなくても利益を増やせる可能性があります。
具体的には、仕入先や仕入条件の見直し、製造工程の効率化、廃棄や材料ロスの削減などが挙げられます。商品別に原価や粗利を確認すれば、どの商品でコスト改善が必要なのかも把握しやすくなるでしょう。
ただし、過度なコスト削減によって品質が低下しないよう、商品・サービスへの影響も考慮して見直すことが大切です。
販売費・一般管理費を見直すことも、利益を増やす方法のひとつです。販管費には、人件費や広告宣伝費、事務所の賃料、通信費など、商品の販売や会社の管理にかかる費用が含まれます。
まずは費用の内訳を確認し、利用していないサービスや重複している契約、費用対効果の低い支出がないかを洗い出しましょう。また、定型業務の効率化によって作業時間を短縮することも、コストの見直しにつながります。
利益から企業の経営状態を把握するには、金額だけを見るのではなく、さまざまな観点から分析することが重要です。
利益を見る際は、以下のポイントを押さえましょう。
利益を見る際は、利益額だけでなく、売上高に対してどの程度の利益を確保できているかを示す利益率も確認しましょう。利益額が増えていても、売上高がそれ以上に増えていれば、利益率は低下している可能性があります。
たとえば、売上高が大きく異なる企業同士では、利益額だけを比較しても収益性を適切に判断できません。
売上高総利益率や売上高営業利益率などを確認することで、売上高に対する利益の割合を把握できます。利益額と利益率の両方を確認し、収益性を分析することが大切です。
利益は一時点の金額だけで判断せず、複数年度の推移を確認することが重要です。単年度では好調に見えても、一時的な売上増加や費用の減少によって利益が増えている可能性があるためです。
過去数年間の売上総利益や営業利益、経常利益などを並べて確認すれば、利益が継続的に増えているのか、減少傾向にあるのかを把握しやすくなります。大きな増減があった場合は、売上高や原価、販管費などの変化も確認し、その要因を分析しましょう。
利益を評価する際は、自社の数値だけでなく、同業種・同規模の企業と比較することも大切です。利益の水準やコスト構造は、業種や企業規模によって大きく異なるためです。
たとえば、仕入原価の割合が高い小売業と、人件費の割合が高いサービス業では、利益率の水準も異なります。同業他社や業界平均と比較することで、自社の収益性を客観的に捉えやすくなります。比較する際は、業種や規模だけでなく、対象年度や利益の種類など、できるだけ条件をそろえましょう。
ただし、同じ業種でも事業構成や企業規模によって利益率は異なるため、業界平均はあくまで参考値として活用しましょう。
会計上の利益と、実際に手元にある現金(キャッシュ)は異なるため、分けて確認することが重要です。売上と代金の受け取りが、同じタイミングとは限らないためです。
たとえば、商品を10万円で販売し、代金を翌月に受け取る場合、売上を計上しても、その時点では現金が入っていません。このような取引が多いと、利益が出ていても手元の現金が不足する可能性があります。
経営状態を把握する際は、損益計算書の利益だけでなく、資金繰りやキャッシュ・フローもあわせて確認しましょう。
関連記事:キャッシュフロー分析完全ガイド|やり方や必要な指標について徹底解説。
利益に関するよくある質問に回答します。
利益は、一般的に「儲け」と呼ばれるものです。ただし、会計上の利益には売上総利益や営業利益、経常利益、当期純利益など複数の種類があります。
どの段階の利益を指しているのかによって金額や意味が異なるため、決算書などを確認する際は利益の種類を区別しましょう。
特定の利益だけが重要なのではなく、目的に応じて複数の利益を確認することが大切です。
たとえば、本業の収益力を確認するなら営業利益、通常の事業活動全体の収益力を見るなら経常利益、最終的な経営成績を確認するなら当期純利益が参考になります。
売上が増えても、利益が減ることはあります。仕入価格や人件費、広告宣伝費などの費用が、売上の増加以上に増える場合があるためです。
そのため、業績を確認する際は売上の増減だけでなく、利益額や利益率、原価・経費の変化もあわせて確認しましょう。
利益とは、企業が得た収益から事業にかかった費用を差し引いて残る金額です。損益計算書では、売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益が示され、それぞれ異なる視点から企業の収益性を確認できます。
経営状態を把握する際は、利益額だけでなく利益率や過去からの推移、同業他社との比較なども行うことが大切です。
利益を確保するには、売上を伸ばすだけでなく、売上原価や販管費などのコストを適切に管理することも重要です。
経理部門におけるコスト削減の実態や課題を詳しく知りたい方は、以下の資料もあわせてご覧ください。