更新日:2026.10.21

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売上総利益とは、売上高から売上原価を差し引いた利益のことで、商品やサービスの収益性を把握するための重要な指標です。
しかし、「売上総利益はどのように計算するのか」「営業利益や経常利益とは何が違うのか」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか
本記事では、売上総利益の意味や計算方法、ほかの利益との違いについてわかりやすく解説します。
業種別の売上総利益率(粗利率)の目安や、売上総利益を増やす方法、予算管理への活用方法も紹介するので、自社の収益性の分析や利益改善に役立ててください。
売上総利益とは、売上高から売上原価を差し引いた利益のことで、粗利益や粗利とも呼ばれます。企業が商品やサービスの販売によって、どれだけの利益を生み出しているかを示す指標です。
売上総利益は、損益計算書(P/L)において、売上高から売上原価を差し引いて算出されます。ただし、販売費や一般管理費などは差し引かれていないため、売上総利益がそのまま企業の最終的な利益になるわけではありません。
売上総利益を把握することで、商品やサービスの収益性を確認でき、販売価格の見直しや原価管理などの経営判断に活用できます。
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売上総利益は、売上高から売上原価を差し引いて計算します。
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売上総利益=売上高-売上原価 |
例えば、売上高が1,000万円、売上原価が600万円の場合、売上総利益は400万円です。
売上原価には、販売した商品の仕入費用や、製品の製造にかかった費用などが含まれます。一方、広告宣伝費や販売部門の人件費などの販売費・一般管理費は、原則として売上原価には含まれません。
また、商品を仕入れて販売する場合、売上原価は一般的に以下の計算式で求めます。
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売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高 |
売上総利益を正確に算出するには、売上高と売上原価の集計期間をそろえ、売れ残った商品を在庫として適切に計上することが重要です。
関連記事:販売費及び一般管理費(販管費)とは?売上原価との違いや内訳、削減方法をわかりやすく解説
売上総利益を確認することで、商品やサービスの収益性や、販売価格と売上原価のバランスを把握できます。
具体的には、以下の2つの観点から分析することが重要です。
それぞれ詳しく解説します。
売上総利益を分析することで、商品やサービスがどれだけの利益を生み出しているかを把握できます。
例えば、商品Aと商品Bの売上高・売上原価・売上総利益を比較すると、以下のようになります。
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項目 |
商品A |
商品B |
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売上高 |
100万円 |
200万円 |
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売上原価 |
50万円 |
140万円 |
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売上総利益 |
50万円 |
60万円 |
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売上総利益率 |
50% |
30% |
この場合、商品Bは売上総利益額が60万円と大きく、利益額の面では商品Aよりも貢献しています。一方、商品Aは売上総利益率が50%と高く、売上高に対して多くの利益を確保できていることがわかります
商品ごとの利益への貢献度を確認する際は売上総利益額を、売上高に対する収益性を比較する際は売上総利益率を活用しましょう。
ただし、商品ごとの販売費用などは含まれていないため、最終的な利益への貢献度を判断する際は、関連する費用も確認することが重要です。
売上総利益の推移を分析することで、販売価格と売上原価のバランスがどのように変化しているかを把握できます。
例えば、販売価格が1,000円、売上原価が600円の商品は、1個当たりの売上総利益が400円、売上総利益率は40%です。その後、販売価格を据え置いたまま売上原価が750円に上昇すると、売上総利益は250円、売上総利益率は25%に低下します。
この場合、販売価格に占める原価の割合が高まり、商品1個当たりに確保できる利益が減少していることがわかります。
このように、売上総利益額と売上総利益率の変化を確認することで、販売価格と売上原価のバランスが崩れていないかを把握でき、収益性の低下を早期に発見する手がかりになるでしょう。
関連記事:【原価とは?】分類ルールと判断軸をわかりやすく解説|原価・販管費・非原価の違い
損益計算書には、売上総利益のほかにも営業利益や経常利益、当期純利益などが記載されており、それぞれ計算対象となる収益や費用が異なります。
ここでは、売上総利益と以下の3つの利益との違いについて解説します。
売上総利益が売上高から売上原価を差し引いた利益であるのに対し、営業利益は売上総利益から販売費・一般管理費を差し引いて算出します。
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営業利益=売上総利益-販売費・一般管理費 |
販売費・一般管理費には、広告宣伝費や販売部門の人件費、事務所の賃借料などが含まれます。
例えば、売上総利益が500万円、販売費・一般管理費が300万円の場合、営業利益は200万円です。
売上総利益が商品やサービスの収益性を示すのに対し、営業利益は販売活動や管理業務にかかる費用も考慮した、本業の収益力を示す指標となります。
関連記事:営業利益とは?計算方法や経常利益との違い・営業利益率をわかりやすく解説
売上総利益が商品やサービスの販売によって得られる利益を示すのに対し、経常利益は財務活動なども含めた、企業の通常の事業活動全体における収益力を示す指標です。
経常利益は、営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いて算出します。
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経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用 |
営業外収益には受取利息や受取配当金などが、営業外費用には支払利息などが含まれます。
例えば、営業利益が300万円、営業外収益が50万円、営業外費用が100万円の場合、経常利益は250万円です。
売上総利益が商品やサービスの収益性を示すのに対し、当期純利益は一定期間の経営活動の結果として、最終的に残った利益を示す指標です。
当期純利益は、経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引いた「税引前当期純利益」から、法人税等を差し引いて算出します。
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当期純利益=税引前当期純利益-法人税等(法人税等調整額がある場合はこれも考慮) |
特別損益には、固定資産の売却損益や災害による損失などが該当する場合があります。
売上総利益だけでは把握できない特別損益や税負担も反映されるため、企業の最終的な利益を確認する際に用いられます。
売上総利益率(粗利率)とは、売上高に占める売上総利益の割合のことです。商品やサービスの収益性を示す指標であり、以下の計算式で求められます。
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売上総利益率(%)=売上総利益÷売上高×100 |
例えば、売上高が1,000万円、売上総利益が400万円の場合、売上総利益率は40%です。
また、売上総利益率と原価率の合計は100%になるため、売上総利益率が40%であれば原価率は60%となります。
売上総利益率が高いほど、売上高に対して多くの売上総利益を確保できていることを意味します。
売上総利益率の目安は、業種によって異なります。
中小企業庁「令和7年中小企業実態基本調査(令和6年度決算実績)」の売上高と売上原価をもとに算出した業種別の売上総利益率は、以下のとおりです。
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業種 |
売上総利益率 |
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製造業 |
20.94% |
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小売業 |
29.52% |
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卸売業 |
14.45% |
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建設業 |
25.05% |
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宿泊業・飲食サービス業 |
65.98% |
出典:中小企業庁「令和7年中小企業実態基本調査(令和6年度決算実績)」をもとに算出
上記の5業種を比較すると、宿泊業・飲食サービス業の売上総利益率が65.98%と最も高く、卸売業が14.45%と最も低い結果となっています。
ただし、売上総利益率は取り扱う商品やサービス、事業形態などによって異なります。そのため、業種別の数値はあくまで参考値とし、自社の過去実績や同業他社の水準などと比較して判断することが重要です。
売上総利益を増やすには、売上高を伸ばすとともに、売上原価を適切に管理することが重要です。
具体的には、以下の3つの方法が挙げられます。
それぞれの方法について詳しく解説します。
売上総利益を増やす方法の一つは、商品やサービスの販売数量を増やし、売上高を伸ばすことです。
例えば、1個当たりの販売価格が1,000円、売上原価が600円の商品を100個販売した場合、売上総利益は4万円です。同じ条件で販売数量が150個に増えると、売上総利益は6万円となります。
販売数量を増やすには、新規顧客の獲得や既存顧客への再購入の促進、販売チャネルの拡大などが効果的です。
ただし、売上拡大に伴って広告宣伝費や人件費などが増加する場合もあります。そのため、売上総利益だけでなく、営業利益への影響も確認しながら施策を検討することが重要です。
販売価格の適正化や商品構成の見直しも、売上総利益を増やすために有効な方法です。
販売価格が原価に対して低すぎる場合は、仕入価格や製造コスト、競合他社の価格などを踏まえて、値上げを検討しましょう。ただし、値上げによって販売数量が減少する可能性もあるため、価格変更後の売上高や利益額を予測することが重要です。
また、売上総利益率の高い商品の販売比率を増やすことで、全体の売上総利益率を改善できる場合があります。ただし、売上総利益率が高くても、販売数量が少なければ十分な利益額を確保できません。
商品別の売上総利益額と売上総利益率を比較し、販売数量や需要も踏まえたうえで、販売戦略や商品構成を見直しましょう。
売上原価を削減することも、売上総利益を増やすための重要な方法です。
仕入コストを抑えるには、複数の仕入先から見積もりを取得したり、仕入数量や取引条件を見直したりする方法があります。製造業では、生産工程の効率化や材料の使用量の適正化なども有効です。
また、需要予測に基づいた発注や定期的な在庫確認によって、過剰在庫や商品の廃棄ロスを減らすことも大切です。廃棄ロスの削減は、損失の計上方法によって売上総利益や営業利益の改善につながります。
ただし、過度なコスト削減は商品・サービスの品質低下につながるおそれがあります。品質や顧客満足度を維持しながら、無駄なコストを削減することが重要です。
売上総利益は、目標利益の設定や予算と実績の比較に活用できます。
まず、目標売上高と目標売上総利益率をもとに、目標とする売上総利益額を設定します。そのうえで、月次や四半期ごとに実績と比較し、目標との差額を確認しましょう。
例えば、目標売上高が1,000万円、目標売上総利益率が40%の場合、目標売上総利益は400万円です。実績が350万円だった場合は、売上高の不足や売上総利益率の低下など、差が生じた要因を分析します。
このように、売上総利益を定期的に確認することで、収益性の変化を早期に把握し、経営上の課題への対応につなげられます。
売上総利益に関するよくある質問に回答します。
売上原価が売上高を上回ると、売上総利益はマイナスとなり、売上総損失が発生します。
例えば、売上高が100万円、売上原価が120万円の場合、売上総損失は20万円です。
売上総損失が発生した場合は、販売価格や売上原価、商品構成などを確認し、原因を把握することが重要です。
売上総利益が高いからといって、必ずしも経営状態がよいとは限りません。
売上総利益には販売費・一般管理費などが反映されていないため、売上総利益が大きくても営業利益が赤字になる場合があります。
経営状態を判断する際は、売上総利益だけでなく、営業利益や経常利益、キャッシュフローなどもあわせて確認することが重要です。
売上総利益と限界利益の違いは、売上高から差し引く費用の範囲です。
売上総利益は売上高から売上原価を差し引いて算出するのに対し、限界利益は売上高から変動費を差し引いて算出します。
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限界利益=売上高-変動費 |
変動費とは、材料費や販売手数料など、売上高や販売数量に応じて変動する費用のことです。
限界利益は、損益分岐点の分析や販売計画の策定などに活用されます。
売上総利益とは、売上高から売上原価を差し引いた利益のことで、商品やサービスの収益性を把握するための重要な指標です。
売上総利益を増やすためには、販売数量や販売価格の見直しに加え、仕入・製造コストの削減などに取り組みましょう。また、売上総利益だけで経営状態を判断せず、売上総利益率や営業利益などもあわせて確認することが重要です。
売上総利益の計算方法や分析のポイントを理解し、適切な原価管理と収益性の改善につなげましょう。
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