更新日:2026.10.22

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地代家賃とは、事業用の土地や建物の賃料を処理する勘定科目です。事務所や店舗の家賃、月極駐車場の賃料などが該当し、OA機器や車両を借りる賃借料とは区別して計上します。
地代家賃は、借りる対象や支払いの内容によって処理方法が異なります。勘定科目を誤ると、費用の分析や予算管理が正確に行えなくなる可能性があります。また、消費税の課税・非課税区分を誤ると、仕入税額控除の計算や申告税額に影響するため注意が必要です。
本記事では、地代家賃の意味や賃借料との違い、消費税の扱い、よくある仕訳例などを解説します。地代家賃の処理に迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
地代家賃とは、事業のために借りた土地や建物の賃料を処理する勘定科目です。事務所・店舗の家賃、工場・倉庫の賃料、社用車や来客用の駐車場として土地を借りた場合の賃料も、地代家賃に含まれます。
地代家賃は継続的に発生しやすく、金額も大きくなりやすい科目です。科目や税区分を一度誤ると、大きな差額が生じる可能性もあるため、取扱いには十分注意する必要があります。
なお、地代家賃は、損益計算書の販売費及び一般管理費に表示するのが一般的です。ただし、製造業で製品の製造に使う工場の賃料は、製造原価(製造経費)に区分します。科目名は地代家賃のまま、製造原価報告書の経費として計上しましょう。
また、法人の場合は決算時に、勘定科目内訳明細書の「地代家賃等の内訳書」に支払先や賃借物件を記載します。個人事業主は、青色申告の場合は青色申告決算書の「地代家賃の内訳」欄、白色申告の場合は収支内訳書に記載してください。
関連記事:販売費及び一般管理費(販管費)とは?売上原価との違いや内訳、削減方法をわかりやすく解説
地代家賃と賃借料は、借りる対象が不動産か動産かによって使い分けます。
借りる対象・具体例・消費税の扱いの3つの観点で比較した表は以下の通りです。
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項目 |
地代家賃 |
賃借料 |
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借りる対象 |
土地・建物(不動産) |
OA機器・車両・機械など(動産) |
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具体例 |
・事務所家賃 ・店舗家賃 ・土地の賃料 ・月極駐車場代 |
・複合機のレンタル料 ・レンタカー代 ・イベント機材のレンタル料 |
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消費税 |
・土地:原則非課税(駐車場など施設の利用や1ヶ月未満の貸付けは課税) ・建物:事務所・店舗は課税、住宅は非課税 |
原則課税 |
注意点として、レンタルオフィスやコワーキングスペースは、契約内容によって勘定科目が異なります。専有する事務所スペースの賃借が中心であれば地代家賃、設備やワークスペースの利用サービスとして契約している場合は賃借料や支払手数料などで処理することがあります。契約書や請求書の内容を確認して判断しましょう。
一方、会議室を数時間だけ借りるなどの一時的な利用は、会議目的であれば会議費、それ以外は賃借料で処理するのが一般的です。
また、住所や郵便受取のみを利用するバーチャルオフィスは、建物を借りるわけではないため、基本的には支払手数料などで処理します。
地代家賃に計上できるのは、事業に使う土地や建物を借りるために支払う費用です。基本的には、以下の3つが該当します。
それぞれの費用を計上する際のポイントについて詳しく解説します。
事務所や店舗、倉庫などの家賃は地代家賃の代表例です。
家賃と一緒に支払う管理費や共益費も、建物を使うための費用として地代家賃に含めます。家賃と一体で請求される場合は、家賃と区別せずに処理してかまいません。
ただし、電気・ガス・水道の使用量に応じた実費精算分は、管理費の名目でも水道光熱費で処理するのが一般的です。請求書の内訳を確認し、賃料部分と使用量に応じた部分を分けて計上しましょう。
関連記事:【科目解説】経理部の共通教科書──水道光熱費の定義・仕訳・手間解放をまとめて習得
事業で使用する土地の賃料は、地代家賃に計上します。たとえば、資材置き場や店舗の敷地として土地を借りた場合には、地代家賃で処理するのが原則です。
また、社員用の駐車場で使用する土地を借りた場合の賃料も、地代家賃に含まれます。
ただし、外出先で一時的に利用するコインパーキング代は、基本的に旅費交通費で処理します。継続的な賃貸借契約がなく、移動にともなう費用と考えられるためです。
関連記事:旅費交通費とは?交通費との違いは勤務地外か勤務地の移動かで変わる。
礼金や更新料、返還されない敷金・保証金などは、支出の効果が1年以上に及ぶ場合、原則として税法上の繰延資産に該当します。ただし、支出額が20万円未満であれば、支払った年・事業年度に全額を必要経費または損金として処理できます。
なお、20万円未満かどうかは、礼金や更新料といった支出ごとに、1回に支払う金額で判定する点に注意してください。
1回の支払額が20万円以上の場合は、原則として税法上の繰延資産として資産計上し、償却期間にわたって費用化します。一般的な建物賃借に伴う権利金等の償却期間は原則5年です。会計上は「長期前払費用」などの勘定科目を使用する場合があります。
関連記事:繰延資産とは?具体例・償却方法と固定資産との違いをわかりやすく解説
土地や建物に関する支払いでも、性質によっては地代家賃以外の勘定科目で処理します。
地代家賃に含めない主な費用と勘定科目は以下のとおりです。
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費用 |
勘定科目の例 |
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返還される敷金・保証金 |
差入保証金 |
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20万円以上の礼金・更新料 |
長期前払費用 |
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不動産会社に支払う仲介手数料 |
支払手数料 |
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火災保険料 |
保険料(複数年分の一括払いは前払費用・長期前払費用) |
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電気・ガス・水道代 |
水道光熱費 |
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退去時の原状回復費用 |
修繕費 |
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生計を一にする親族に支払う家賃(個人事業主) |
事業主貸(必要経費不算入) ※親族が負担したその物件の固定資産税や減価償却費などは、事業主の必要経費に算入できる |
実務では、契約時に支払う初期費用の処理に注意しましょう。敷金・礼金・仲介手数料などは1枚の請求書にまとめて記載されることがあるため、合計額をそのまま地代家賃に計上せず、内訳ごとに科目を分けてください。
地代家賃の消費税は、以下のように借りる対象によって課税・非課税が分かれます。
それぞれの取り扱いと例外的な処理について詳しく解説します。
土地の貸付けは、消費税法で非課税取引と定められています。土地は使用によって消耗・消費されるものではなく、モノやサービスの消費に課税する消費税の性格になじまないとされているためです。
ただし、次の2つのケースは土地の貸付けでも課税対象となります。
また、駐車場の場合は、地面の舗装、フェンス・区画の設置、車両の管理のいずれかがあれば「施設の利用」として課税されます。たとえば、屋根のない駐車場でも、アスファルト舗装や白線の区画があれば課税です。
一方、更地のまま借りる資材置き場や、借主が自ら建物を建てる借地(店舗・工場の敷地など)の地代は非課税となります。
事務所や店舗、倉庫など事業用の建物の賃料は、消費税の課税対象です。請求書で土地部分と建物部分が分かれていても、総額が課税仕入れとなります。
一方、住宅の家賃は、契約書に用途の記載がなくても、居住用であることが明らかであれば非課税です。従業員の社宅として借り上げる住宅も非課税で、従業員から受け取る社宅使用料も非課税売上となります。
自宅の一部を事務所として使う場合も、住宅として契約していれば家賃は全額非課税のため、仕入税額控除は受けられません。ただし、「事務所兼住宅」として事業用部分に消費税が課されている契約なら、その部分は課税仕入れになります。
なお、事業用の家賃で仕入税額控除を受けるには、原則としてインボイスの保存が必要です。家主がインボイス発行事業者でない場合、2026年10月1日から2028年9月30日までは70%のみ控除でき、その後も控除割合は段階的に縮小します。
関連記事:家賃の請求書には原則インボイスは不要!ポイントや例外をわかりやすく解説
実務でよくある地代家賃の仕訳は、以下の3パターンです。
ここでは、上記それぞれの仕訳例を税抜経理方式で紹介します。なお、税込経理方式を採用している場合や免税事業者の場合は、仮払消費税等を使わず税込金額で地代家賃に計上してください。
事務所家賃を銀行振込で支払った場合は、借方に地代家賃と仮払消費税等、貸方に普通預金を記入します。家賃と一緒に支払う管理費や共益費も、家賃に合算して地代家賃で処理してかまいません。
たとえば、事務所の家賃330,000円と管理費55,000円(いずれも税込)を普通預金から振り込んだ場合の仕訳は以下のとおりです。
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借方 |
貸方 |
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地代家賃 |
350,000円 |
普通預金 |
385,000円 |
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仮払消費税等 |
35,000円 |
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なお、振込手数料を借主が負担した場合は、地代家賃に含めず支払手数料として計上します。
自宅の一部を事務所として使う場合は、家賃のうち事業で使う割合だけを地代家賃に計上します。必要経費にできるのは、業務に直接必要であったことを明らかに区分できる部分だけです。
按分割合は、事業で使う部屋の床面積の割合など、第三者に説明できる基準で決めましょう。たとえば、月額家賃120,000円(非課税)の住宅60㎡のうち、18㎡の仕事部屋を事業専用で使う場合、事業割合は30%です。
事業用口座から家賃を支払ったときの仕訳は以下のとおりです。
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借方 |
貸方 |
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地代家賃 |
36,000円 |
普通預金 |
120,000円 |
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事業主貸 |
84,000円 |
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住宅として契約している家賃は非課税のため、事業分にも仮払消費税等は計上しません。
また、期中は全額を地代家賃とし、決算で私用分を事業主貸に振り替える方法でもかまいません。確定申告では、青色申告決算書の地代家賃の内訳欄に、支払先や賃借物件、年間の賃借料と必要経費算入額を記載します。
当期中に支払った家賃のうち翌期分は、原則として前払費用(資産)に計上します。なお、毎月末に翌月分を支払う場合に、前払費用として区分が必要になるのは、決算月に支払う翌期分の家賃のみです。
たとえば、3月決算の会社が3月25日に4月分の事務所家賃110,000円(税込)を支払った場合の仕訳は以下のとおりです。
■3月25日(支払時)
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借方 |
貸方 |
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前払費用 |
110,000円 |
普通預金 |
110,000円 |
■4月1日(対象月の開始時)
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借方 |
貸方 |
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地代家賃 |
100,000円 |
前払費用 |
110,000円 |
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仮払消費税等 |
10,000円 |
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ただし、対象期間が支払日から1年以内であることや、支払時に費用計上する処理を毎期継続していることなどの要件を満たせば、支払時に地代家賃として計上できます。
これは「短期前払費用の特例」と呼ばれる取扱いで、毎月末に翌月分の家賃を支払うケースも対象です。特例を適用する場合は、消費税の課税仕入れも支払時に計上してかまいません。
関連記事:短期前払費用の要件とは?1年以内の判定・対象になる費用・仕訳を解説
地代家賃について、経理実務でよく寄せられる質問に回答します。
家賃は、建物の賃料を指す一般的な言葉です。一方、地代家賃は、地代(土地)と家賃(建物)をまとめて処理する勘定科目の名称です。会計上は、事務所や店舗の家賃を地代家賃という1つの科目で記帳します。
地代家賃は、何に使ったお金かを表す「費用」の科目です。一方、前払費用は代金を支払ったものの、まだ使っていない期間の分を一時的に記録しておく「資産」の科目です。
同じ家賃でも、支払った時点でまだ使っていない期間の分は前払費用とし、その期間が来たら地代家賃に振り替えます。たとえば、3月決算の会社が3月中に4月分の家賃を支払った場合、3月末時点では前払費用、4月になったら地代家賃として処理します。
地代家賃とは、事業のために借りた土地や建物の賃料を処理する勘定科目です。一般的には、OA機器や車両などの動産を借りた費用を処理する「賃借料」と使い分けます。
地代家賃は、借りる対象や用途によって消費税の扱いが異なります。また、契約時の礼金・更新料や自宅兼事務所の家賃にも、それぞれ処理のルールがあるため、注意が必要です。契約書や請求書の内容を確認し、支払いごとに勘定科目と税区分を判断しましょう。
以下の資料では、勘定科目の基本と仕訳の考え方をまとめているため、ぜひご活用ください。