更新日:2026.10.23

ー 目次 ー
事業のために加入した社会保険・生命保険・損害保険などの保険料は、経費(損金・必要経費)として処理できる場合があります。
ただし、保険料の勘定科目は一律ではなく、保険の種類や貯蓄性の有無、保険金の受取人などによって変わります。そのため、保険証券や設計書で契約内容を確認したうえで、適切に判断することが大切です。
本記事では、保険料の勘定科目や保険金を受け取ったときの処理方法、実務でよくあるケースの仕訳例などを解説します。
保険料とは、保険契約や法律にもとづき、保険会社や国などへ支払うお金です。事業で支払う保険料は、主に社会保険・生命保険・損害保険の3つに分けられます。
それぞれの主な保険の種類と内容は、以下のとおりです。
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主な保険の種類 |
内容 |
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社会保険 |
・健康保険 ・介護保険 ・厚生年金保険 ・雇用保険 ・労災保険 |
病気やけが、老後、失業、仕事中の事故などに備える公的な保険 |
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生命保険 |
・定期保険 ・終身保険 ・養老保険 |
被保険者が死亡したときや、満期まで生存したときなどに保険金が支払われる保険 |
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損害保険 |
・火災保険 ・自動車保険 ・賠償責任保険 |
偶然の事故による建物や車両などの損害や、第三者への賠償を補償する保険 |
勘定科目は、保険の種類に加え、貯蓄性の有無や保険金の受取人によって変わります。とくに生命保険は、掛け捨て型か貯蓄型かで処理が大きく異なるため、取り扱いには注意が必要です。
法人が支払う保険料は、主に以下の4つの勘定科目で処理します。
勘定科目の振り分け方について詳しくみていきましょう。
社会保険料のうち会社が負担する部分は、法定福利費として処理します。法定福利費に含まれる主な保険料と会社の負担は、以下のとおりです。
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保険料 |
会社の負担 |
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健康保険料・介護保険料 |
原則として従業員と折半 |
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子ども・子育て支援金 |
原則として従業員と折半 |
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厚生年金保険料 |
従業員と折半 |
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子ども・子育て拠出金 |
全額 |
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雇用保険料 |
従業員より多く負担 |
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労災保険料 |
全額 |
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一般拠出金 |
全額 |
健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料は、毎月の納付が必要です。一方、雇用保険料と労災保険料は、一般拠出金とともに、年1回の年度更新でまとめて納付するのが原則です。
なお、2026年4月分の保険料(5月納付分)から、健康保険料とあわせて子ども・子育て支援金の徴収が始まりました。会社負担分は法定福利費、従業員負担分は預り金として処理しましょう。
関連記事:法定福利費とは?仕訳・計算方法・福利厚生費との違いを図解で解説
給与から天引きした社会保険料の従業員負担分は、預り金として処理します。
天引きした保険料は、会社が従業員に代わって年金事務所などへ納付するものです。そのため、会社の費用ではなく、預り金(負債)として処理します。
健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料の従業員負担分は、原則として前月分の保険料を当月の給与から差し引く仕組みです。差し引いた保険料は会社負担分とあわせて、保険料の対象月の翌月末(給与から差し引いた月の月末)までに納付します。納付した時点で、帳簿上もその分の預り金を減らし、負債を消す処理を行うのが通常の流れです。
なお、労働保険料(労災保険料・雇用保険料)は原則として年度更新で1年分の概算額を先に納付します。労災保険料は全額会社負担のため、従業員負担分があるのは雇用保険料のみです。
納付時は、会社負担分を法定福利費、従業員負担分を立替金で処理し、毎月の給与控除で精算する方法があります。
事業用の建物や車両にかける火災保険料・自動車保険料・賠償責任保険料などは、原則として保険料で費用に計上します。役員や従業員を被保険者とし、法人が受取人となる掛け捨ての生命保険料(定期保険・医療保険など)も、原則として保険料で処理します。
ただし、掛け捨てに見える保険でも、解約返戻金のある定期保険や医療保険には注意が必要です。保険期間3年以上で最高解約返戻率が50%を超える定期保険・第三分野保険は、原則として保険料の一部を資産に計上します。これは2019年の法人税基本通達改正で定められたルールであり、原則として2019年7月8日以後の契約が対象です。
最高解約返戻率ごとの資産計上ルールは、以下の表のとおりです。
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最高解約返戻率 |
資産計上期間 |
資産計上額 |
取崩期間 |
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50%以下 |
なし |
なし(全額を費用) |
なし |
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50%超70%以下 |
保険期間の当初4割の期間 |
支払保険料の40% |
保険期間の100分の75相当期間の経過後から均等に取り崩す |
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70%超85%以下 |
保険期間の当初4割の期間 |
支払保険料の60% |
保険期間の100分の75相当期間の経過後から均等に取り崩す |
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85%超 |
原則として最高解約返戻率となる期間まで |
支払保険料×最高解約返戻率×90%(保険期間の開始から11年目以降は×70%) |
解約返戻金がもっとも高くなる期間の経過後から均等に取り崩す |
資産に計上する部分は、前払保険料で処理するのが一般的です。ただし、保険積立金や長期前払費用で処理する会社もあるため、社内ルールに合わせましょう。
最高解約返戻率が70%以下で、被保険者1人あたりの年換算保険料(同じ被保険者を対象とする保険の合計額)が30万円以下の場合は、例外的に全額を費用計上できます。
なお、役員など特定の人だけを対象とし、遺族を受取人とする保険の保険料は、給与として扱われる場合があります。
満期保険金や解約返戻金を受け取れる貯蓄性の高い生命保険の保険料は、支払っても価値が会社に残るため、受取人が法人の場合は保険積立金として資産に計上します。
代表的な保険の処理方法は、以下のとおりです。
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保険の種類(受取人) |
主な処理方法 |
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終身保険(保険金の受取人が法人) |
全額を保険積立金 |
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養老保険(死亡保険金・満期保険金とも法人が受取人) |
全額を保険積立金 |
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養老保険(死亡保険金は遺族、満期保険金は法人が受取人) |
2分の1を保険積立金として資産計上し、残り2分の1を福利厚生費など |
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養老保険(死亡保険金・満期保険金とも被保険者や遺族が受取人) |
全額を給与 |
養老保険の2分の1を福利厚生費にできるのは、原則として全従業員を対象に加入している場合です。役員や部課長など特定の人だけが対象の場合は、2分の1の部分が給与となります。
なお、満期返戻金のある積立型の損害保険も、積立部分の保険料は保険積立金として資産に計上します。
法人が保険金や解約返戻金を受け取ったときは、以下のように雑収入または雑損失で処理するケースが一般的です。
具体的な振り分け方について解説します。
保険金や解約返戻金の受取額が資産計上した保険積立金を上回る場合は、差額を雑収入として計上します。受け取ったお金のうち、保険積立金を上回る部分は保険契約から生じた利益にあたり、本業以外の収益になるためです。
一般的には営業外収益に計上しますが、役員の死亡保険金など金額が大きく臨時的なものは、特別利益(受取保険金など)に計上する場合もあります。
保険金の受取額が決算日までに確定し、入金が翌期になる場合は、確定した期に未収入金として計上します。なお、保険金や解約返戻金は資産の譲渡等の対価ではないため、消費税の課税対象外です。
関連記事:【未収入金とは?】売掛金との違い・仕訳・決算時の管理方法
受取額が保険積立金を下回る場合は、差額を雑損失として計上します。たとえば、保険積立金が2,000,000円ある終身保険を解約し、解約返戻金1,800,000円を受け取った場合は、差額の200,000円が雑損失です。
解約や満期の際は、保険会社から届く支払明細と保険積立金の残高を照合しましょう。一部を資産計上している定期保険を解約した場合は、残っている資産計上額(前払保険料)を取り崩し、受取額との差額を雑収入または雑損失とします。
次に、個人事業主の保険料に関する勘定科目について、保険料を支払った場合と保険金・解約返戻金を受け取った場合に分けて解説します。
個人事業主が支払う保険料のうち、必要経費にできるのは事業に関係する保険料です。事業主本人の保険料は必要経費にならず、事業用の口座から支払った場合は事業主貸で処理します。
主な保険料の種類ごとの勘定科目は、以下のとおりです。
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保険料の種類 |
勘定科目 |
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店舗や事務所、事業用の設備にかける火災保険料 |
損害保険料 |
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事業用の車両にかける自動車保険料 |
損害保険料 |
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事業に関する賠償責任保険料 |
損害保険料 |
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従業員の社会保険料の事業主負担分 |
法定福利費 |
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事業主本人の生命保険料 |
事業主貸 |
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国民健康保険料・国民年金保険料 |
事業主貸 |
事業主貸で処理するのは、事業用の口座から支払った場合です。個人の口座から支払った場合は、帳簿への記帳は不要です。
自宅の一部を事務所として使う場合や、車両を私用と兼用している場合などは、事業で使う割合に応じて按分(家事按分)します。また、生計を一にする親族だけを対象とする生命保険などの保険料は、原則として必要経費にできません。
なお、事業主本人が支払った生命保険料は、要件を満たせば生命保険料控除の対象になります。国民健康保険料や国民年金保険料は、社会保険料控除の対象です。
関連記事:確定申告で領収書は必要?提出・保存期間やない場合の対処法を解説
個人事業主が保険金や解約返戻金を受け取ったときは、保険金の性質や事業との関係によって処理が異なります。
商品などの棚卸資産の損害に対する保険金や、事業上の収益・必要経費を補てんする保険金は、原則として事業所得の総収入金額に含めます。事業用の口座に入金された場合は、雑収入などの勘定科目で処理するのが一般的です。
一方、建物や車両など事業用の固定資産が損害を受け、その損害に対して保険金を受け取った場合は、原則として保険金そのものを事業所得の収入には含めません。固定資産の損失額から受け取った保険金を差し引き、残った損失額を必要経費に算入します。
また、事業主本人が病気やけがで働けなくなった際に受け取る所得補償保険の保険金は、身体の傷害に基因する保険金として原則非課税です。そのため、事業所得の雑収入には計上しません。
事業主本人が契約している生命保険の満期保険金や解約返戻金なども、事業とは直接関係しないため、事業所得の収入には含めません。事業用の口座に入金された場合は、事業主借で処理します。
保険金は名称だけで判断せず、「何の損害や収入を補てんするために支払われたのか」を確認したうえで処理することが重要です。
一般的に、保険料を複数年分まとめて支払った場合は、以下の勘定科目を使用します。
前払費用と長期前払費用への振り分け方について、詳しく解説します。
支払った保険料のうち、決算日の翌日から1年以内に経過する期間分は、前払費用として流動資産に計上します。
前払費用は、継続的なサービスへの前払いに使う科目です。商品代金などの前払いに使う前払金とは別の科目であるため、混同しないように注意しましょう。
たとえば、3月決算の会社が1月1日に1年分の火災保険料120,000円を支払ったとします。当期の費用は1月~3月の30,000円のため、4月~12月分の90,000円は決算時に前払費用へ振り替えます。
ただし、支払日から1年以内に保障を受ける保険料を毎期継続して支払時に費用計上している場合は、税務上、短期前払費用として扱うことが可能です。この場合、前払費用への振替は必要ありません。
関連記事:短期前払費用の要件とは?1年以内の判定・対象になる費用・仕訳を解説
決算日の翌日から1年を超える期間分の保険料は、長期前払費用として固定資産(投資その他の資産)に計上します。1年以内に費用になるかどうかで流動資産と固定資産を分ける、1年基準(ワンイヤールール)にもとづく処理です。
たとえば、3月決算の会社が4月1日に3年分の自動車保険料360,000円を支払った場合、決算時点の区分は以下のとおりです。
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期間 |
金額 |
決算時の科目 |
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1年目(当期) |
120,000円 |
保険料(費用) |
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2年目(翌期) |
120,000円 |
前払費用(流動資産) |
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3年目(翌々期) |
120,000円 |
長期前払費用(固定資産) |
ここでは、実務でよく発生する以下のケースについて、保険料の仕訳例を紹介します。
通常、社会保険料を納付したときは、従業員負担分を預り金、会社負担分を法定福利費として処理します。
たとえば、4月分の健康保険料・厚生年金保険料120,000円を、5月末に普通預金から納付したとします。従業員負担分60,000円は給与支給時に預り金として計上済みとすると、仕訳は以下のとおりです。(全額会社負担の子ども・子育て拠出金は省略)
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借方 |
貸方 |
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預り金 |
60,000円 |
普通預金 |
120,000円 |
|
法定福利費 |
60,000円 |
|
|
社会保険料は当月分を翌月末に納付するため、決算月分の会社負担分は決算時点で未納です。決算時には、未納の会社負担分を法定福利費として計上し、相手科目を未払費用または未払金とします。
事業用の建物にかける掛け捨ての火災保険料を支払ったときは、保険料として費用に計上します。
たとえば、12月決算の会社が10月1日に1年分の火災保険料120,000円を普通預金から支払った場合の仕訳は、以下のとおりです。
【支払時】
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借方 |
貸方 |
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保険料 |
120,000円 |
普通預金 |
120,000円 |
決算時には、翌期分にあたる1月~9月の9ヶ月分90,000円を前払費用へ振り替えます。具体的な仕訳方法は以下のとおりです。
【決算時】
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借方 |
貸方 |
||
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前払費用 |
90,000円 |
保険料 |
90,000円 |
短期前払費用の特例を継続して適用している場合は、決算時の振替は不要です。
関連記事:決算整理仕訳とは?進め方の手順と仕訳の種類一覧をわかりやすく解説
役員や従業員を被保険者とし、法人を受取人とする掛け捨ての定期保険の保険料は、原則として保険料で費用に計上します。
たとえば、最高解約返戻率が50%以下の定期保険で、月額30,000円の保険料を普通預金から支払った場合の仕訳は、以下のとおりです。
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借方 |
貸方 |
||
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保険料 |
30,000円 |
普通預金 |
30,000円 |
最高解約返戻率が50%を超える定期保険は、原則として保険料の一部を資産に計上します。
たとえば、最高解約返戻率60%、月額保険料30,000円(年換算360,000円)のケースを想定してみましょう。
この場合、保険期間の当初4割の期間は、支払保険料の40%にあたる12,000円を前払保険料として計上します。具体的な仕訳例は以下のとおりです。
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借方 |
貸方 |
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保険料 |
18,000円 |
普通預金 |
30,000円 |
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前払保険料 |
12,000円 |
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養老保険の保険料は、保険金の受取人によって処理が変わります。
ここでは、月額100,000円の保険料を普通預金から支払った場合を想定してみましょう。死亡保険金と満期保険金の受取人がいずれも法人の場合は、以下のように、全額を保険積立金として資産に計上します。
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借方 |
貸方 |
||
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保険積立金 |
100,000円 |
普通預金 |
100,000円 |
死亡保険金の受取人が従業員の遺族、満期保険金の受取人が法人の場合は取り扱いが異なります。原則として全従業員を対象に加入していれば、2分の1を保険積立金、残りの2分の1を福利厚生費とするのが一般的です。この場合の仕訳は以下のとおりです。
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借方 |
貸方 |
||
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保険積立金 |
50,000円 |
普通預金 |
100,000円 |
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福利厚生費 |
50,000円 |
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役員や特定の従業員だけが加入している場合、2分の1の部分は給与として扱われます。
法人を受取人とする終身保険の保険料は、全額を保険積立金として資産に計上します。たとえば、月額50,000円の終身保険料を普通預金から支払った場合の仕訳は、以下のとおりです。
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借方 |
貸方 |
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保険積立金 |
50,000円 |
普通預金 |
50,000円 |
なお、保険積立金は、解約や保険金の受け取りまで費用になりません。
法人が受取人となっている生命保険から、役員や従業員の死亡保険金を受け取った場合は、一般的に雑収入として計上します。資産計上している保険積立金がある場合は、取り崩して差額を雑収入(受取額が下回る場合は雑損失)とします。
たとえば、資産計上額のない掛け捨ての定期保険から、死亡保険金20,000,000円が普通預金に入金された場合の仕訳は以下のとおりです。
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借方 |
貸方 |
||
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普通預金 |
20,000,000円 |
雑収入 |
20,000,000円 |
保険積立金が8,000,000円ある終身保険から、死亡保険金20,000,000円が入金された場合は、保険積立金を取り崩します。仕訳方法は以下のとおりです。
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借方 |
貸方 |
||
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普通預金 |
20,000,000円 |
保険積立金 |
8,000,000円 |
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雑収入 |
12,000,000円 |
死亡保険金は、原則として保険会社から支払通知を受けた日の属する事業年度の収益として計上します。決算日までに支払いが確定し、入金が翌期になる場合は、未収入金で処理しましょう。
最後に、保険料の勘定科目に関してよくある質問に回答します。
法人の場合、事業用の火災保険料や自動車保険料、掛け捨ての生命保険料などは保険料で処理します。ただし、解約返戻金のある定期保険などは、保険料の一部を前払保険料として資産に計上する場合があります。
従業員の社会保険料は、会社負担分を法定福利費、従業員負担分を預り金で処理しましょう。
貯蓄性のある養老保険や終身保険の保険料は、受取人が法人の場合、保険積立金として資産に計上するのが基本です。個人事業主の場合、事業に関係する保険料は損害保険料などの勘定科目で必要経費にできます。
一方、事業主本人の生命保険料や国民健康保険料は経費にならず、事業用の口座から支払った場合は事業主貸で処理します。
2年分の保険料を支払った場合は、当期分を保険料、決算日の翌日から1年以内に経過する分を前払費用に区分します。決算日の翌日から1年を超える分がある場合は、長期前払費用とします。
なお、2年分の一括払いは支払日から1年を超えるため、短期前払費用の特例は使えません。
国民年金保険料や国民健康保険料は、個人事業主本人や家族のための保険料のため、必要経費にはなりません。事業用の口座から支払った場合は、事業主貸で処理します。
なお、支払った保険料は、確定申告で社会保険料控除として全額を所得から差し引けます。国民年金保険料は、日本年金機構から届く控除証明書の添付または提示が必要です。なお、e-Taxで証明書の内容を入力して申告する場合は添付を省略できますが、証明書の保存は必要になります。
一方、国民健康保険料は証明書の添付は不要です。市区町村から届く納付通知書や領収書で1年間の支払額を確認し、申告書に記入しましょう。
保険料の主な勘定科目は、法定福利費・預り金・保険料・保険積立金などです。個人事業主本人の生命保険料や国民健康保険料は経費にできず、事業用の口座から支払った場合は事業主貸で処理します。
複数年分をまとめて支払った場合は、前払費用・長期前払費用への振り替えも忘れずに行いましょう。
勘定科目の判断に悩んだときは、以下の資料もあわせてご活用ください。 よく使う勘定科目の仕訳例をB/S・P/Lの基本とあわせて確認できます。