更新日:2026.10.22

ー 目次 ー
取引先を訪問する際や来客時に手土産を用意する機会はよくあります。しかし、どの勘定科目で処理するべきか、迷っている経理担当者の方もいるのではないでしょうか。
手土産代の勘定科目は一律ではなく、相手先や目的によって変わります。特に取引先への手土産は交際費等に該当するため、法人では損金算入額にも注意が必要です。
この記事では、手土産代の勘定科目や仕訳例、経費にできないケース、会計処理上の注意点などをわかりやすく解説します。
手土産代の勘定科目は、渡す相手や目的によって次の4つに分かれます。
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手土産の種類 |
勘定科目 |
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取引先への手土産 |
交際費 |
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会議・打ち合わせで提供する茶菓子・軽食 |
会議費 |
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宣伝を意図した手土産 |
広告宣伝費 |
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社内向けの手土産 |
福利厚生費 |
以下で、勘定科目の使い分けについて詳しく解説します。
取引先への手土産は、関係を円滑にするための支出として、交際費で処理するのが基本です。
租税特別措置法では、得意先や仕入先、その他事業に関係のある者に対する接待・供応・慰安・贈答などのための支出を「交際費等」と定めています。そして、取引先への手土産は、このうちの「贈答」にあたるため、交際費に区分されます。
交際費として処理する手土産代の例は、次のとおりです。
手土産を配送した場合の送料も、品物の代金とあわせて交際費に計上します。
なお、法人が支出した交際費は、損金に算入できる金額(税務上の費用として認められる金額)に上限があります。上限は期末の資本金の額によって異なるため、税法上のルールを踏まえて適切に処理してください。
会議の際に出す茶菓子・軽食代は、一般的な範囲内であれば会議費として処理できます。ただし、会議費として処理するには、以下の要件を満たしている必要があります
なお、取引先への手土産は、打ち合わせの場で渡しても会議費ではなく交際費で処理してください。あくまでも、会議で提供するために用意した茶菓子などが会議費の対象です。
多数の人に配る宣伝目的の品は、広告宣伝費として処理しましょう。広告宣伝費として処理できる品には、次のようなものがあります。
一方、特定の取引先だけに渡す菓子折りは、社名入りの包装であっても関係づくりが目的となるため交際費です。多数の人に配ることを目的とし、主に広告宣伝の効果を狙った少額の品かどうかを基準に判断しましょう。
従業員への差し入れなど、従業員全体の福利厚生を目的とした支出は、福利厚生費で処理できる場合があります。たとえば、部署や従業員全体に対して、社会通念上相当な金額の菓子や飲み物を提供するケースです。
一方、特定の役員や従業員だけを対象とした高額な贈答品などは、福利厚生費として認められず、給与として扱われる場合があります。支給対象や目的、金額を踏まえて判断しましょう。
私的な目的で購入した手土産や、事業との関連性を説明できない手土産は経費にできません。経費として認められるのは、事業のために支出したことを客観的に示せる費用に限られます。
たとえば、社長や役員が個人的な付き合いで渡す手土産の代金を法人が負担すると、役員給与とみなされ、原則として損金に算入できなくなるおそれがあります。さらに、源泉所得税の徴収漏れを指摘され、不納付加算税などが課される可能性も出てくるでしょう。
また、渡した相手や目的を記録していない場合も注意が必要です。事業との関連性を立証できず、税務調査で経費計上を否認されるリスクが高まります。
ここでは、税込経理方式を前提に手土産代の仕訳例を紹介します。
取引先を訪問する際に、菓子折り5,400円(税込)を現金で購入した場合の仕訳例は以下のとおりです。
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借方 |
貸方 |
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交際費 |
5,400円 |
現金 |
5,400円 |
社内の打ち合わせで出す茶菓子2,160円(税込)を、現金で購入した場合の仕訳例は以下のとおりです。
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借方 |
貸方 |
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会議費 |
2,160円 |
現金 |
2,160円 |
展示会で配る社名入りのうちわ33,000円(税込)を、普通預金から支払った場合の仕訳例は以下のとおりです。
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借方 |
貸方 |
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広告宣伝費 |
33,000円 |
普通預金 |
33,000円 |
従業員全員への差し入れとして、菓子10,800円(税込)を現金で購入した場合の仕訳例は以下のとおりです。
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借方 |
貸方 |
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福利厚生費 |
10,800円 |
現金 |
10,800円 |
なお、税抜経理方式を採用している場合は、消費税額を仮払消費税等として区分します。たとえば、取引先への菓子折り5,400円(税込、軽減税率8%)を現金で購入した場合の仕訳例は以下のとおりです。
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借方 |
貸方 |
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交際費 |
5,000円 |
現金 |
5,400円 |
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仮払消費税等 |
400円 |
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勘定科目選びに迷いやすい支出は、手土産代のほかにも数多くあります。主要な科目の仕訳例などを一覧で確認したい方は、以下の資料をご活用ください。
この一冊で完結!勘定科目ガイド B/S・P/L・仕訳が迷わずわかる
手土産代を会計処理する際は、次の4点に注意しましょう。
手土産代の会計処理で押さえておくべきポイントを詳しく解説します。
法人の場合、交際費として処理した手土産代は損金に算入できる金額に上限があります。交際費等は原則として損金不算入とされ、期末の資本金の額に応じて一定額の算入が認められる仕組みになっているためです。
なお、この制限の対象となる「交際費等」にあたるかどうかは、勘定科目の名称ではなく支出の実態で判断されます。会議費や福利厚生費で処理していても、中身が取引先への接待や贈答であれば交際費等として扱われる点に注意しましょう。
法人の期末資本金の額ごとの損金不算入額は、以下のとおりです。
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期末の資本金の額 |
損金不算入額 |
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1億円以下(資本金5億円以上の法人の完全子法人などを除く) |
次のいずれかを選択 1.交際費等のうち、定額控除限度額である年800万円を超える部分(事業年度が12ヶ月未満の場合は800万円を月数で按分する) 2.交際費等のうち、接待飲食費の50%を超える部分 |
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1億円超100億円以下 |
交際費等のうち、接待飲食費の50%を超える部分 |
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100億円超 |
交際費等の全額 |
(参照:国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」)
たとえば、資本金1,000万円の法人が年間900万円の交際費等を支出し、年800万円までの定額控除を選択した場合、800万円を超える100万円が損金不算入額となります。接待飲食費の50%を損金に算入する方法の方が有利になるのは、基本的に接待飲食費が年1,600万円を超える場合です。
資本金1億円超の法人や、資本金1億円以下で接待飲食費の50%損金算入を選択した法人の場合、訪問時に持参する菓子折りなどの手土産代は、原則として全額が損金不算入となります。菓子折り代は取引先への贈答にあたり、損金算入が認められる接待飲食費に含まれないからです。
ただし、取引先と飲食したあとに、その飲食店で提供している料理などを持ち帰り用のお土産として渡す費用は接待飲食費に含められます。
交際費等の損金不算入制度は期限付きの措置であり、現行では2027年3月31日までに開始する事業年度が対象です。延長の有無など今後の税制改正の動向は、国税庁のホームページで確認してください。
なお、個人事業主の場合は、交際費に上限はなく、事業との関連性を説明できれば全額を必要経費に算入できます。
税務上、手土産代1件あたりの金額に上限はありません。ただし、取引規模に比べて明らかに高額で、事業との関連性や金額の妥当性を説明できない場合は、役員への経済的利益(役員給与)や寄附金と認定される可能性があります。
高額な手土産を贈ることが想定される場合は、次の対応を取りましょう。
なお、国家公務員倫理規程では、利害関係者から金銭や物品の贈与を受けることが禁止されています。地方公務員も、各自治体の条例や規則で同様の制限が設けられている場合があります。公務員への贈答は、内容によっては刑法上の贈賄罪に問われるおそれもあるため、官公庁との取引がある企業は注意しましょう。
また、取引先によっては、社内規程で贈答品の受け取りを禁止している場合もあります。相手に迷惑をかけないためにも、事前に確認しておくと安心です。
会社用の手土産と個人的な手土産は、購入時点で会計を分けましょう。税務調査で経費部分を説明できなければ、経費として認められなくなるおそれがあります。
たとえば、取引先用の菓子折り5,000円と自宅用の菓子1,000円を同時に購入すると、領収書やレシート上では会社用と私用の区別が分かりにくくなる場合があります。明細や用途の記録が十分でなければ、税務調査の際に事業用の支出であることを説明しにくくなるため注意が必要です。
私的な支出と混同しないよう、次の3つを徹底してください。
個人事業主の場合も、事業用と家計用の支払いを分けることで家事費との区別が明確になります。
手土産代を経費として処理する際は、領収書やレシートを保存し、相手先や用途も記録しておきましょう。税務調査では、支出が事業のためであることを書類で示す必要があるためです。メモには、手土産を渡した日付や相手先の会社名・担当者名、目的などを書いておきましょう。
また、消費税の仕入税額控除を受けるには、原則としてインボイス(適格請求書)の保存が必要です。菓子店や百貨店などの小売店が発行するレシートも、記載要件を満たしていれば適格簡易請求書として扱えます。
なお、基準期間の課税売上高が1億円以下などの事業者は、2029年9月30日までに行う1回の取引の合計額が税込1万円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくても帳簿の記載のみで仕入税額控除を受けられます(少額特例)。
領収書をもらい忘れた場合は、出金伝票で支出の事実を記録しておきましょう。ただし、出金伝票はインボイスの代わりにはならないため、少額特例の対象外の場合は仕入税額控除を受けられない点に注意が必要です。
帳簿書類の保存期間は、法人の場合は原則7年(欠損金の繰越控除を受ける場合は10年)です。ECサイトで手土産を購入した際の電子領収書は、電子帳簿保存法にもとづき、電子データのまま保存しなければなりません。
関連記事:出金伝票の書き方とは?記載項目・勘定科目・領収書がない場合の注意点を解説
最後に、手土産代の勘定科目に関するよくある質問をまとめました。
取引先へ渡す場合は交際費として計上するのが基本です。会議の茶菓子代であれば会議費、多数の人に配る宣伝用の品であれば広告宣伝費、従業員への差し入れであれば福利厚生費で処理します。
事業との関連性が説明できれば経費にできます。一方、私的な目的の手土産や事業に無関係な相手への贈答品は経費にできません。
なお、取引先へ贈る一般的な菓子折りなどは「接待飲食費」には含まれません。法人では交際費等の損金算入限度額によって、会計上は費用に計上していても、税務上は一部または全部が損金にならない場合があります。
手土産代の勘定科目は一律ではなく、相手先・目的に応じて使い分ける必要があります。たとえば、取引先向けなら交際費、会議の茶菓子代なら会議費、宣伝目的で多数に配る品なら広告宣伝費、従業員への差し入れなら福利厚生費です。
事業との関連性を説明できる記録を残しつつ、交際費として処理する場合は損金算入限度額にも注意しておきましょう。
手土産代のように、相手や目的によって勘定科目が変わる支出では、科目の誤りや証憑の保存漏れが起こりがちです。
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