更新日:2026.10.22

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振込手数料や決済手数料、税理士への顧問料など、手数料の支払いは毎月のように発生します。一方で、どこまでを支払手数料で処理するべきか、雑費とどう使い分けるべきかなど、適切な会計処理の仕方がわからず、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、勘定科目「支払手数料」について、対象となる費用や雑費との違い、消費税区分などを解説します。実際に仕訳例もあわせて紹介するため、ぜひ参考にしてください。
支払手数料とは、事業活動に伴う取引や各種手続きに関連して支払う手数料を計上するための勘定科目です。具体的には、銀行の振込手数料やクレジットカードの決済手数料、専門家への報酬などが該当します。支払手数料にまとめて計上すれば、事業運営に付随するコストを1つの科目で把握できます。
ただし、手数料という名目の支払いでも、資産の購入に伴う手数料や借入れの利息など、支払手数料以外の科目で処理するものもあります。「手数料」という名称だけで判断せず、何に対する支払いなのかを確認したうえで勘定科目を選びましょう。
なお、損益計算書では、支払手数料を販売費及び一般管理費(販管費)に区分します。なお、借入れに伴う事務手数料などは、費用の性質や企業の会計方針に応じて営業外費用として区分する場合もあります。
関連記事:販売費及び一般管理費(販管費)とは?売上原価との違いや内訳、削減方法をわかりやすく解説
支払手数料の対象となる主な費用は、以下の4つです。
支払手数料の対象となる費用について、それぞれ詳しくみていきましょう。
支払手数料に該当する代表的な費用は、金融機関の振込手数料やクレジットカード会社などに支払う決済手数料です。また、両替手数料や海外送金手数料なども支払手数料で処理します。
なかでも振込手数料は支払いのたびに発生し、支払先や支払回数が多い企業ほど総額が膨らみやすい費用です。そのため、支払手数料として独立集計しておけば、支払回数の見直しや請求書の一本化など、コスト削減を検討する際の判断材料にできます。
なお、同じ手数料でも、内容によって消費税の取り扱いが異なります。国内の振込手数料は課税ですが、クレジットカード会社に支払う加盟店手数料や、海外送金手数料、外貨両替の手数料は原則として非課税です。
一方、国内で円の硬貨・紙幣を金種両替する際の手数料は課税となります。会計ソフトに入力する際は、税区分を正しく選択しているか確認しましょう。
事務所や店舗を借りる際に不動産会社へ支払う仲介手数料は、支払手数料で処理します。また、クラウド会計ソフトや経費精算システムなど、業務で利用するシステムの月額利用料も支払手数料に含めるのが一般的です。
ただし、土地や建物を購入する際の仲介手数料は、支払手数料ではなく土地・建物の取得価額に含めます。
システム利用料は、通信費で処理する企業もあります。どちらも誤りではありませんが、一度決めた科目は毎期継続して使いましょう。また、月額制ではなく買い切り型のソフトウェアを購入した場合は、取得価額によって無形固定資産(ソフトウェア)として計上する必要があります。
なお、国外事業者が提供するクラウドサービスの利用料は「電気通信利用役務の提供」に該当します。一般的なクラウドサービスのような消費者向けの役務は、国外事業者が適格請求書発行事業者であれば仕入税額控除を受けられます。
一方、広告配信などの事業者向けの役務は、受け手が消費税を申告・納付するリバースチャージ方式の対象です。ただし、課税売上割合が95%以上の課税期間や、簡易課税制度を適用している課税期間は、当分の間リバースチャージ方式による申告は不要とされています。
関連記事:リバースチャージ方式とは?対象取引・対象事業者・仕訳やインボイス制度での注意点を解説
専門家への報酬も支払手数料で処理するケースが一般的です。具体的には、税理士・弁護士の顧問料や司法書士に対する登記手続きの報酬などが該当します。専門家への報酬が多い企業では、支払報酬(支払報酬料)という独立した科目を設けている場合もあります。
注意したいのは、個人の専門家に報酬を支払う場合、源泉徴収が必要になる点です。支払額から所得税および復興特別所得税を差し引き、原則として支払った月の翌月10日までに納付します。
税理士や弁護士への報酬の場合、税率は1回の支払金額のうち100万円以下の部分が10.21%、100万円を超える部分が20.42%です。なお、請求書で報酬と消費税額が明確に区分されている場合は、税抜金額を基準に計算できます。
司法書士への報酬は計算方法が異なり、1回の支払金額から1万円を差し引いた額に10.21%を乗じて計算します。このとき、登録免許税などの立替金は支払金額に含めません。
一方、税理士法人や弁護士法人など、法人への支払いは原則として源泉徴収の対象外です。
また、司法書士の請求書に含まれる登録免許税など、司法書士が依頼者に代わって支払った金額は、専門家への報酬とは区分して処理します。登録免許税は租税公課として処理し、消費税の課税対象にはなりません。請求書に報酬と立替金が含まれている場合は、それぞれの税区分を確認しましょう。
代金引換で商品を受け取る際の代引手数料や、銀行の残高証明書の発行手数料など、各種の事務手数料も支払手数料で処理します。
一方、登記事項証明書や印鑑証明書の発行手数料など、法令に基づいて国や地方公共団体に支払う手数料は、租税公課で処理する場合もあります。いずれの科目で処理する場合も、法令に基づく行政手数料は消費税が非課税です。
会計ソフトの初期設定のまま入力すると、消費税額を誤って計算する原因になります。行政手数料を支払った際は、税区分が非課税になっているか確認しましょう。
支払手数料と雑費には、費用の性質や発生頻度などに関して、以下のような違いがあります。
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項目 |
支払手数料 |
雑費 |
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性質 |
取引・契約・各種手続きに関連して支払う手数料 |
ほかの勘定科目に当てはまらない、少額かつ臨時的な費用 |
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発生頻度 |
多くの場合は継続的に発生する |
臨時的・単発で発生する |
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具体例 |
振込手数料、決済手数料、税理士への顧問料 |
臨時の清掃代、事務所移転時の不用品処分費 |
振込手数料のように継続して発生する費用を雑費で処理すると、どの費用にいくらかかっているかを把握しにくくなります。
また、雑費に多くの支出をまとめると、帳簿だけでは費用の内容を把握しにくくなります。取引内容を説明できるよう、適切な勘定科目を使い分け、領収書や請求書などの証憑を保存しておきましょう。
雑費は何でも計上できる科目と思われがちですが、ほかのどの勘定科目にも当てはまらない支出に限定して使うことが大切です。社内で勘定科目の判断基準をマニュアルにまとめておくと、担当者による処理のばらつきを防げます。
支払手数料は、支払報酬や通信費などの勘定科目と混同されやすい科目です。以下の表で、各勘定科目の違いをまとめました。
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勘定科目 |
対象となる主な費用 |
支払手数料との違い |
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販売手数料 |
販売代理店への手数料、ECモールの販売手数料 |
商品・サービスの販売に直接関連する手数料を区分する場合に使う |
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支払報酬 |
税理士・弁護士などへの報酬 |
専門家への報酬を独立して管理する場合に使う |
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通信費 |
電話料金、インターネット回線料、郵便料金 |
通信サービスそのものの利用料を処理する |
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租税公課 |
固定資産税、印紙税、登記事項証明書などの行政手数料 |
国や地方公共団体に納める税金・公的な手数料を処理する(法人税・住民税などは含まない) |
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支払利息 |
借入金の利息 |
資金を借りた対価であり、営業外費用に区分する(借入時の事務手数料は支払手数料で処理) |
ただし、どの勘定科目で処理するかは、取引の実態によって決めるのが基本です。取引によっては、複数の勘定科目が認められる場合もあります。その場合は社内で使う科目を決め、毎期同じ科目で処理しましょう。
支払手数料の多くは消費税の課税取引ですが、内容によっては非課税・不課税になります。主な手数料の消費税区分は以下のとおりです。
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区分 |
主な手数料 |
理由 |
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課税 |
・国内の銀行振込手数料 ・ATM利用手数料 ・賃貸物件の仲介手数料 ・専門家への報酬 ・国内事業者のシステム利用料 ・代引手数料 |
国内で事業者が対価を得て行うサービスの提供にあたるため |
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非課税 |
・クレジットカード会社に支払う加盟店手数料 ・海外送金手数料 ・法令に基づく行政手数料 |
消費税法上の非課税取引にあたるため |
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不課税 |
海外の金融機関が国外で差し引く中継銀行手数料など |
国外で行われる取引で、消費税の課税対象にならないため |
非課税の手数料を課税で処理すると、仕入税額控除が過大になり、税務調査で本税に加えて過少申告加算税や延滞税を課されるおそれがあります。反対に、課税の手数料を非課税で処理すると控除漏れとなり、本来より多く消費税を納めることになります。
とくに間違えやすいのが、クレジットカードの加盟店手数料です。基本的には、カード会社への売上債権の譲渡に伴うものとされるため、非課税になります。ただし、決済代行会社を経由する場合や、QRコード決済・電子マネー決済を利用する場合は、契約内容によって課税となることがあります。決済事業者から届く精算書で税区分を判断しましょう。
なお、課税取引であっても、支払先が適格請求書発行事業者でない場合は、原則として仕入税額控除を受けられません。
なお、適格請求書発行事業者以外からの課税仕入れについては経過措置があります。2026年10月1日から2028年9月30日までは、一定の要件を満たせば仕入税額相当額の70%を控除できます。経過措置には適用要件や上限があるため、対象となる場合は最新の制度を確認しましょう。
ここでは、実務で発生しやすい以下のケースに分けて、支払手数料の仕訳例を解説します。
なお、本章で紹介する仕訳例は、すべて税込経理方式による記載です。
買掛金110,000円を普通預金から振り込み、振込手数料440円を自社で負担した場合の処理は以下のとおりです。
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借方 |
貸方 |
||
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買掛金 |
110,000円 |
普通預金 |
110,440円 |
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支払手数料 |
440円 |
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|
振込手数料は、買掛金と分けて支払手数料として計上します。
なお、仕入税額控除を受けるには、金融機関が発行するインボイス(取引明細や手数料の明細書など)の保存が必要です。ATMでの振込(1回の取引が税込3万円未満)は、帳簿に特例の対象である旨などを記載することにより、帳簿の保存のみで控除が認められます。
インターネットバンキングでの振込は、この特例の対象外です。各金融機関が公表している登録番号と取引明細などを、インボイスとして保存しましょう。
関連記事:ネットバンキングの振込手数料にインボイスは必要?国税庁Q&Aに基づく保存方法と少額特例を解説
売掛金110,000円から売り手負担の振込手数料440円が差し引かれ、109,560円が入金されたケースでは、以下のように支払手数料で処理する方法と売上値引で処理する方法の2通りがあります。
▼支払手数料で処理する場合
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借方 |
貸方 |
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普通預金 |
109,560円 |
売掛金 |
110,000円 |
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支払手数料 |
440円 |
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▼売上値引で処理する場合
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借方 |
貸方 |
||
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普通預金 |
109,560円 |
売掛金 |
110,000円 |
|
売上値引 |
440円 |
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支払手数料で処理する場合は、原則として金融機関が交付したインボイスの写しと、取引先が作成した立替金精算書の保存が必要です。ただし、少額特例の対象事業者であれば、税込1万円未満の振込手数料は帳簿の保存のみで控除を受けられます。
商品33,000円をクレジットカード決済で販売し、決済手数料990円(手数料率3%)が差し引かれて入金されたケースでは、以下のように販売時と入金時の処理が必要です。
▼販売時
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借方 |
貸方 |
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売掛金 |
33,000円 |
売上 |
33,000円 |
▼入金時
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借方 |
貸方 |
||
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普通預金 |
32,010円 |
売掛金 |
33,000円 |
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支払手数料 |
990円 |
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カード会社と直接契約している場合、決済手数料は非課税のため、税区分を非課税にしておきましょう。
個人の税理士に、消費税額が区分された請求書に基づき顧問料33,000円(うち消費税3,000円)を支払ったケースでは、以下のように処理します。なお、源泉徴収税額は、税抜金額をもとに30,000円×10.21%=3,063円で計算しています。
▼支払時
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借方 |
貸方 |
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支払手数料 |
33,000円 |
普通預金 |
29,937円 |
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預り金 |
3,063円 |
▼納付時
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借方 |
貸方 |
||
|
預り金 |
3,063円 |
普通預金 |
3,063円 |
源泉徴収した税額は預り金で処理し、原則として支払った月の翌月10日までに納付します。ただし、給与の支払人員が常時10人未満で、「源泉所得税の納期の特例」の承認を受けている場合は、半年分をまとめて納付できます。(1月~6月分は7月10日まで、7月~12月分は翌年1月20日までに納付)
事務所の賃貸借契約にあたり、不動産会社へ仲介手数料220,000円を普通預金から支払ったケースでは、以下のように処理します。
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借方 |
貸方 |
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支払手数料 |
220,000円 |
普通預金 |
220,000円 |
賃貸借契約時に支払う仲介手数料は、支払時に全額を費用として計上できます。
一方、返還されない礼金や権利金は、支払額や契約内容によって繰延資産として処理します。返還される敷金・保証金は、差入保証金などの資産として処理するのが一般的です。
関連記事:繰延資産とは?具体例・償却方法と固定資産との違いをわかりやすく解説
支払手数料の勘定科目に関するよくある質問に回答します。
支払手数料と雑費は別の勘定科目です。支払手数料は取引・契約・各種手続きに関連して支払う手数料を計上し、雑費はほかの科目に当てはまらない少額かつ臨時的な費用を処理します。
支払手数料は損益計算書に記載する費用の勘定科目であり、負債ではありません。ただし、手数料を後払いにする場合は、支払うまでの間、貸方に未払金などの負債を計上します。
たとえば、月末締め翌月払いの顧問料のように、役務の提供が完了して請求額が確定しているものは、貸方を未払金で処理するのが基本です。一方、継続的な役務提供の契約で、決算日時点ですでに提供を受けているものの、請求が確定していない対価は未払費用で処理します。
支払手数料は、取引や各種手続きに関連して支払う手数料を計上するための勘定科目です。振込手数料や決済手数料、仲介手数料、専門家への報酬などが該当します。雑費とは区別して計上し、内容に応じて課税・非課税・不課税の税区分を正しく選びましょう。
勘定科目について理解を深めたい方は、B/S・P/Lの基本構造から仕訳の判断方法までまとめた以下の資料をご活用ください。