更新日:2026.07.23

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未収入金とは、固定資産の売却代金や保険金、補助金など、本業以外の取引で発生した「まだ入金されていない金銭債権」を管理する勘定科目です。売掛金と混同されやすいものの、発生原因が異なるため、判断を誤ると売掛金残高・回収状況・消費税区分・月次決算のいずれにも影響します。
この記事では、未収入金の基本、売掛金・未収収益・立替金との違い、ケース別の仕訳、消費税の考え方、決算での管理ポイントまで、経理実務で迷わない判断基準を解説します。
国税庁:課税の対象(No.6105)
国税庁:損害賠償金(No.6157)
国税庁:国庫補助金等の使途に関する取扱い(No.5762)
e-Gov法令検索:会社計算規則
金融庁:財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(財務諸表等規則)
企業会計基準委員会:企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」

未収入金とは、金額や相手先が確定しているものの、まだ入金されていない債権を管理するための勘定科目です。代表例として、固定資産の売却代金、保険金、補助金、不用品の売却代金などがあります。
ここで注意したいのは、「未収」という言葉だけで判断しないことです。商品販売やサービス提供など本業の売上取引から生じた債権は売掛金、継続契約に基づき期間の経過で発生した収益は未収収益として整理します。未収入金は、あくまで主たる営業取引に含まれない単発・臨時的な債権を処理する場面で使うのが基本です。
勘定科目そのものの位置づけを確認したい方は、以下の関連記事もあわせてご覧ください。
未収入金は、決算日の翌日から1年以内に回収される見込みであれば、貸借対照表の流動資産に表示するのが一般的です。一方、回収まで1年を超える場合や金額的重要性が高い場合は、長期未収入金などとして固定資産側に区分するかを検討しましょう。
会社計算規則では、取立不能のおそれのある債権について、事業年度末に取り立てることができないと見込まれる額を控除する考え方が示されています。未収入金も金銭債権であるため、残高の有無だけでなく、回収可能性まで確認することが大切です。

未収入金と似た勘定科目には、売掛金、未収収益、立替金があります。いずれも「あとからお金が動く」点は共通していますが、発生原因や管理目的が異なるため、まずは比較表で全体像を確認しましょう。
| 項目 | 未収入金 | 売掛金 | 未収収益 | 立替金 |
| 発生原因 | 本業以外の単発・臨時的な取引 | 商品販売やサービス提供など本業の取引 | 継続契約に基づき、期間の経過で発生する収益 | 会社が一時的に代わりに支払った金額 |
| 代表例 | 固定資産売却代金、保険金、補助金 | 商品代金、利用料、業務委託料 | 受取利息、受取家賃、貸付料 | 従業員や取引先への一時立替 |
| 判断基準 | 主たる売上取引に含まれない債権か | 本業の売上に対応する債権か | 契約期間に応じて収益を配分する必要があるか | 後日精算される一時的な支払いか |
| 管理上の注意点 | 証憑・回収予定日・税区分を個別に確認する | 得意先別に請求・入金・消込を管理する | 決算整理仕訳と翌期の戻入を確認する | 精算期限と回収相手を明確にする |
たとえば、製造業が製品を掛けで販売した場合は売掛金です。一方、使用していた機械を売却し、代金を翌月に受け取る場合は未収入金として処理します。同じ「後日入金される債権」でも、会社にとっての取引の性質が異なるためです。
売掛金と買掛金の科目理解を深めたい方は、以下の関連記事も参考にしてください。
▲関連記事
【科目解説】売掛金・買掛金とは?月次締めで押さえるべきポイントを徹底解説
【図解】立替払いと仮払いの違いとは?経理で迷わない判断基準と仕訳を解説
勘定科目に迷ったときは、名称から考えるよりも、取引の発生原因から順番に確認すると整理しやすくなります。
| 確認順 | 確認すること | 該当する主な科目 |
| 1 | 商品販売・サービス提供など本業の売上取引か | 売掛金 |
| 2 | 継続契約に基づき、期間の経過で収益が発生するか | 未収収益 |
| 3 | 会社が一時的に費用を立て替えたものか | 立替金 |
| 4 | 固定資産売却、保険金、補助金など本業以外の確定債権か | 未収入金 |
未収入金は「入金前だから使う科目」ではなく、「本業以外の取引から生じた確定債権を管理する科目」と捉えると、売掛金や未収収益との違いを説明しやすくなります。

機械装置、車両運搬具、備品、土地などを売却し、売却日に代金を受け取らない場合、売却代金に相当する債権を未収入金として計上します。
固定資産の売却では、未収入金だけでなく、帳簿価額、減価償却累計額、固定資産売却益または固定資産売却損、消費税区分をあわせて確認します。売却契約書、引渡日、請求書、入金予定日を突合し、どの時点で売却を認識するかを明確にしておきましょう。
前提:取得価額1,000,000円、減価償却累計額700,000円、帳簿価額300,000円の備品を550,000円(税込)で売却し、代金は翌月に受け取る。税抜経理方式、消費税率10%の例です。
| タイミング | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 売却時 | 未収入金 | 550,000円 | 備品 | 1,000,000円 |
| 減価償却累計額 | 700,000円 | 仮受消費税等 | 50,000円 | |
| ― | ― | 固定資産売却益 | 200,000円 | |
| 入金時 | 普通預金 | 550,000円 | 未収入金 | 550,000円 |
固定資産売却益は、税抜売却価額500,000円から帳簿価額300,000円を差し引いた200,000円です。実務では、売却時までの減価償却費を月割りで計上するかどうかも、自社の会計方針に沿って確認しましょう。
火災、事故、設備故障などに伴う保険金は、保険会社から支払額の通知を受け、受取額が合理的に確定した段階で未収入金を計上することがあります。
事故が発生しただけでは、保険金額が確定していないケースも多く見られます。経理担当者は、事故発生日、保険会社への請求日、査定結果の通知日、実際の入金日を区別し、自社の会計方針に沿って計上時点を判断しましょう。
前提:事故に関する保険金300,000円の支払通知を受け、後日普通預金に入金されたケースです。
| タイミング | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 支払通知受領時 | 未収入金 | 300,000円 | 雑収入 | 300,000円 |
| 入金時 | 普通預金 | 300,000円 | 未収入金 | 300,000円 |
保険金は、損失の補填対象や金額の重要性に応じて、雑収入以外の科目を使用する場合があります。被災した固定資産の除却損などと対応させる場合は、社内の会計方針に沿って処理しましょう。
国や自治体から受け取る補助金・助成金は、通常「交付決定 → 事業実施 → 実績報告 → 額の確定 → 入金」という流れをたどります。申請しただけでは受給額が確定していないため、未収入金の計上時期は、制度の要件や通知内容を確認して判断することが重要です。
実務では、交付決定通知だけで収益計上できるとは限りません。返還条件の有無、対象経費の実績、確定通知の受領状況などを確認し、必要に応じて税理士や監査人と認識時点を共有しておきましょう。
前提:補助金500,000円について額の確定通知を受け、翌月に入金されたケースです。
| タイミング | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 受給額確定時 | 未収入金 | 500,000円 | 雑収入 | 500,000円 |
| 入金時 | 普通預金 | 500,000円 | 未収入金 | 500,000円 |
設備取得に関連する国庫補助金などでは、圧縮記帳を検討する場合があります。補助金の目的、法人税法上の要件、返還条件を確認し、通常の雑収入処理だけで完結するかを必ず確認しましょう。
投資有価証券や、事業で使用しなくなった備品・スクラップなどを売却し、代金を後日受け取る場合にも未収入金を使うことがあります。ただし、企業の事業内容によっては、その売却が通常の営業活動に含まれる場合もあります。
たとえば、中古品販売を本業とする企業が商品を売却した場合は売掛金になる一方、一般企業が不要になった什器を単発で売却した場合は未収入金になるのが基本です。勘定科目は物品名ではなく、会社にとっての取引の性質で判断しましょう。
有価証券の売却では、売却損益の計算にあたって帳簿価額との差額を「投資有価証券売却益/売却損」として認識します。不用品・スクラップの売却は少額でも継続的に発生することがあるため、社内で科目基準を統一しておくと、決算時の集計や消費税区分の判定がスムーズになります。
前提:帳簿価額800,000円の投資有価証券を1,000,000円で売却し、代金は翌月に受け取るケースです。有価証券の譲渡は消費税法上、非課税取引に該当します。
| タイミング | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 売却時 | 未収入金 | 1,000,000円 | 投資有価証券 | 800,000円 |
| ― | ― | 投資有価証券売却益 | 200,000円 | |
| 入金時 | 普通預金 | 1,000,000円 | 未収入金 | 1,000,000円 |
有価証券の譲渡は消費税法上、非課税売上に該当します。課税売上割合の計算では譲渡対価の5%相当額を分母に算入するため、集計時に売上区分を誤らないよう注意しましょう。
前提:事業で使用しなくなった金属くずを22,000円(税込)で売却し、代金は翌月に受け取るケースです。税抜経理方式、消費税率10%の例です。
| タイミング | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 売却時 | 未収入金 | 22,000円 | 雑収入 | 20,000円 |
| ― | ― | 仮受消費税等 | 2,000円 | |
| 入金時 | 普通預金 | 22,000円 | 未収入金 | 22,000円 |
不用品売却は、本業の営業取引ではないため未収入金と雑収入で処理するのが基本です。ただし、金額的重要性が高い場合や継続的に発生する場合は、独立した科目(有形固定資産売却益など)で管理する方法も検討しましょう。
消費税の課税関係は、「未収入金」という勘定科目名ではなく、未収入金が発生した元の取引内容で判断します。国税庁は、消費税の課税対象となる「資産の譲渡等」について、事業として対価を得て行われる資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供と説明しています。
| 取引 | 消費税の基本的な取扱い | 確認事項 |
| 事業用固定資産の売却 | 原則として課税取引 | 建物・機械・備品などの売却は資産の譲渡に該当する。土地の譲渡は非課税となるため区分に注意する。 |
| 保険金の受取り | 原則として課税対象外 | 保険事故の発生に伴い受けるものであり、資産の譲渡等の対価に該当しない。 |
| 補助金・助成金の受取り | 原則として課税対象外 | 対価性がない給付金は課税対象外。ただし、委託料など実質的に役務提供の対価となるものは別途判断する。 |
| 損害賠償金の受取り | 原則として課税対象外 | 損害の補填であれば対価性はないが、実質的に資産の譲渡等の対価に当たる場合は課税対象となる。 |
経理担当者は、債権計上時に取引区分と税区分を同時に登録し、入金時には未収入金の消込だけを行える状態にしておくと、消費税集計の誤りを防ぎやすくなります。
未収入金も金銭債権であるため、回収可能性に問題が生じた場合には、貸倒引当金の設定や貸倒損失の計上を検討します。処理は、一般債権・貸倒懸念債権・破産更生債権等の区分や、税務上の損金算入要件によって異なります。
| 前提 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 決算時に貸倒引当金30,000円を設定する場合 | 貸倒引当金繰入 | 30,000円 | 貸倒引当金 | 30,000円 |
入金が遅れているだけで直ちに貸倒処理するのではなく、契約条件、相手先の財政状態、督促記録、回収見込みなどを客観的に確認することが重要です。引当金の考え方をより詳しく確認したい方は、以下の関連記事もあわせてご覧ください。
未収入金は、計上時の判断だけでなく、決算時にどう管理・確認するかで数値の信頼性が大きく変わります。ここでは、月次から年次まで通して押さえておきたい実務上の注意点を、明細管理・長期滞留・科目区分・回収可能性の順に整理します。
未収入金の計上・消込は、月次決算スケジュールのなかで進める必要があります。しかし現場では、他の業務との兼ね合いで確認が後回しになり、残高の把握が遅れるケースが少なくありません。実際に、当社が経理担当者441名を対象に実施した調査でも、月次業務のなかで遅延が発生しやすい業務が明らかになっています。

出典:株式会社インボイス「経理担当者441人に聞いた!スケジュール遅延時のリアルな対処法とは?」
未収入金の計上・消込は、「仕訳の入力」と「拠点・部門からの情報収集」の両方にまたがる業務です。とくに保険金・補助金など、経理部門以外が窓口となる債権は、担当部署からの情報連携が遅れると、そのまま月次決算全体の遅延に直結します。
また、経費の集計・チェックや仕訳の入力は、件数が多くなるほど確認工数が膨らみ、時間を要する業務です。未収入金の管理ルールを正しく理解し、証憑受領・仕訳計上・消込までを迅速に処理する体制を整えることが、月次決算全体の遅延防止につながります。
そこで、次章から未収入金を決算で管理するときの具体的なチェックポイントを、明細管理・長期滞留・科目区分・回収可能性の順に確認していきましょう。
未収入金の補助簿や管理表には、相手先、発生日、取引内容、計上額、回収予定日、実際の入金日、証憑の保存場所を記録します。総勘定元帳の残高だけでは、どの債権が未回収なのか判別しにくいためです。
特に、補助金や保険金は、申請部署や管理部署と経理部門が異なることが多くあります。経理部門だけで管理を完結させず、担当部署から最新の審査・入金状況を共有してもらう運用を整えましょう。
決算時には、未収入金を発生日や回収期限別に並べ、長期間残っているものを抽出します。回収期限を過ぎている場合は、未入金の理由を確認し、相手先への照会、担当部署への確認、会計処理の訂正を行います。
長期滞留の原因には、入金消込漏れ、勘定科目の振替漏れ、請求手続きの未完了、回収条件の認識違い、債権そのものの回収懸念などがあります。残高確認を単なる数字合わせで終わらせず、原因別に対応することが重要です。
未収入金に本業の営業債権が混在すると、売掛金回転期間や営業キャッシュ・フローに関する分析が実態とずれるおそれがあります。また、立替金や仮払金を未収入金へ安易に振り替えると、精算状況が見えにくくなります。
勘定科目の使用基準を経理規程や勘定科目マニュアルに明記し、仕訳承認時に「通常の営業取引か」「金銭を受け取る権利が確定しているか」「継続契約による期間収益か」を確認できる体制を整えましょう。売掛債権全体の管理視点は、以下の関連記事も参考ください。
未収入金も、相手先の経営悪化や係争などによって回収不能となる可能性があります。決算時には、回収遅延の有無だけでなく、債務者の財政状態、支払意思、法的手続きの状況などをあわせて確認しましょう。
なお、会計上の貸倒見積額と税務上の損金算入可能額は、必ずしも一致するとは限りません。重要な債権については、税理士、公認会計士、監査法人などの専門家と判断根拠を共有し、検討過程を記録しておきましょう。
| 確認項目 | 確認する資料 | 見落としやすいポイント |
| 新規計上分の内容 | 契約書、通知書、請求書、社内稟議 | 債権が確定する前に計上していないか |
| 入金消込 | 入金明細、補助簿、総勘定元帳 | 入金済みなのに未収入金残高が残っていないか |
| 回収予定日 | 管理表、取引条件、担当部署の報告 | 回収期限を過ぎた債権を放置していないか |
| 科目の妥当性 | 勘定科目マニュアル、仕訳承認履歴 | 売掛金・未収収益・立替金と混在していないか |
| 消費税区分 | 請求書、契約書、取引内容のメモ | 勘定科目名だけで課税・非課税・課税対象外を判断していないか |
| 回収可能性 | 督促記録、相手先情報、専門家の見解 | 長期滞留債権の評価を後回しにしていないか |

見分けるポイントは、その取引が「本業の売上取引かどうか」です。商品販売やサービス提供など主たる営業活動から生じた債権は売掛金、それ以外の単発・臨時的な取引から生じた債権は未収入金として整理します。同じ「後日入金される債権」でも、会社にとっての取引の性質が異なる点を意識しましょう。
原則として、貸借対照表の流動資産に表示されます。ただし、回収まで1年を超える見込みがあるものや金額的重要性が高いものは、長期未収入金などとして固定資産側に区分するかを検討します。会社計算規則および金融庁の財務諸表等規則ガイドラインに沿って、区分表示を判断しましょう。
まずは、消込漏れ・科目振替漏れなど会計処理側の原因を確認します。そのうえで相手先の状況、督促記録、契約条件を精査し、回収可能性を評価します。回収が困難と判断される場合は、貸倒引当金の設定や貸倒損失の計上を検討し、必要に応じて税理士・監査人と方針をすり合わせましょう。
未収入金は、「入金前だから使う科目」ではなく、本業以外の取引から生じた確定債権を管理する科目です。売掛金・未収収益・立替金との違いを、取引の発生原因から順に確認することで、迷いにくくなります。
また、消費税は元の取引内容で判断すること、決算時には相手先・発生日・回収予定日を明細で管理し、長期滞留や回収可能性まで確認することが重要です。勘定科目を正しく使い分け、回収状況を継続的に把握することで、決算数値の信頼性と資金管理の精度を高められます。