更新日:2026.10.27

ー 目次 ー
PDF OCRとは、スキャンした書類など、画像として保存されたPDFの文字を認識し、文字データとして利用できるようにする技術です。請求書に記載された取引先名や金額をコピーしたり、書類内の文字を検索したりする際に役立ちます。
ただし、文字の抽出と、書類の見た目を保った検索可能なPDFの作成では、適した方法が異なります。また、請求書を扱う際は、読み取り結果の確認や電子帳簿保存法に沿った保存も必要です。
本記事では、PDF OCRについて、OCRが必要なPDFの見分け方や、Googleドライブ・Adobe Acrobatでの操作方法、ツールの選び方を解説します。うまく読み取れないときの対処法や請求書での注意点も押さえ、目的に合った方法を選びましょう。
PDF OCRとは、PDF内に画像として記録された文字を認識し、テキストデータに変換することです。OCRは「Optical Character Recognition(光学文字認識)」の略で、紙の書類をスキャンしたPDFなどに使われます。
画像だけのPDFは、人には文字が読めても、コンピューター上では文字データとして扱えません。OCRで文字情報を付加すると、キーワード検索や文字の選択・コピーができるようになります。
OCRの主な活用方法には、次の2つがあります。
たとえば、請求書PDFを検索可能にすれば、取引先名や請求書番号を使って必要な書類を探しやすくなります。抽出した文字を確認して転記すれば、手入力の削減にもつながります。
関連記事:請求書の管理方法完全マニュアル|整理方法やファイリングを進めるコツを紹介
OCRが必要なのは、原則として文字情報を持たない画像PDFです。すでに文字データが含まれているPDFなら、そのまま検索やコピーができる場合があります。
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確認項目 |
文字データを含むPDF |
画像だけのPDF |
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主な作成方法 |
Word・会計ソフトなどから出力 |
紙の書類をスキャン・撮影 |
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文字の選択・コピー |
通常できる |
通常できない |
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キーワード検索 |
通常できる |
通常できない |
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OCRの必要性 |
原則不要 |
文字を利用する場合に必要 |
まず、PDFを開いて文字をドラッグし、選択できるか確認しましょう。続いて、文字をコピーして別の文書に貼り付け、正しい内容になるか試します。検索機能で、書類に記載された取引先名などを探す方法もあります。
ただし、画像にOCRの文字情報を重ねたPDFや、文字と画像が混在するPDFもあります。そのため、「文字を選択できるから、すべてのページにOCRが不要」とは限りません。
選択しても文字化けする場合や、一部のページだけ検索できない場合は、その箇所の状態を確認してから対処します。問題なく利用できる文字まで、むやみにOCRし直す必要はありません。
PDFをOCRするときは、まず「文字を抜き出したいのか」「PDFの見た目を保って検索できるようにしたいのか」を決めましょう。
ここでは、Googleドライブ・Googleドキュメントで文字を抽出する方法と、Adobe Acrobatで検索可能なPDFを作る方法を紹介します。
Googleドライブでは、アップロードしたPDFをGoogleドキュメントで開き、文字を抽出できます。特別なOCRソフトを導入せずに試したい場合の選択肢です。
パソコンでは、次の手順で操作します。
Googleの公式ヘルプでは、ファイルサイズは2MB以下、文字の高さは10ピクセル以上などが推奨されています。また、表・段組み・脚注などは正しく検出されない場合があります。
文章の抽出には便利ですが、請求書の明細をそのまま正確な表として再現できるとは限りません。処理後は、文字だけでなく、項目と金額の対応関係も確認しましょう。
Adobe Acrobatでは、スキャンしたPDFに文字情報を付加し、検索・選択できるPDFを作成できます。元の書類の見た目を保ちながら、検索性を高めたい場合に適しています。
基本的な手順は、次のとおりです。
実行すると、PDFに検索可能なテキストレイヤーが作成されます。Adobeも、処理後に文字が正確か確認し、必要に応じて修正するよう案内しています。
利用できる機能や画面表示は、製品・契約プラン・バージョンによって異なります。また、受領した請求書を直接上書きするのではなく、元データを残して作業すると安心です。
PDFのOCRツールは、文字を読み取ったあとに何をしたいかに合わせて選びましょう。文章のコピー、検索可能なPDFの作成、請求項目の抽出では、必要な機能が異なります。
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利用目的 |
確認する機能 |
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文章や数値をコピーしたい |
テキストの抽出 |
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書類の見た目を保って検索したい |
検索可能なPDFの作成 |
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請求書の情報を項目別に取り出したい |
取引先名・請求日・金額・明細などの抽出 |
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会計処理への転記を減らしたい |
CSV出力や会計システムとの連携 |
文字を抜き出すだけなら、Googleドキュメントなどが選択肢になります。一方、請求書から取引先名や金額を項目別に取得したい場合は、項目抽出に対応したサービスが必要です。
AIを活用して文字認識などを行う「AI-OCR」にも、請求書の項目抽出に対応したサービスがあります。ただし、機能はサービスによって異なるため、AI-OCRという名称だけで判断せず、必要な処理に対応しているか確認しましょう。
導入前には、実際に扱う書類で試し、読み取り精度や修正のしやすさを比較します。料金だけでなく、処理量の制限や確認・転記にかかる時間まで含めて判断することが大切です。
請求書のOCRは入力作業の削減に役立ちますが、誤認識を確認せずに処理すると、支払金額や振込先の誤りにつながります。
次の3点を押さえて運用しましょう。
OCRで抽出した内容は、元の請求書と照合してから会計処理や支払いに利用します。文字の読み違いだけでなく、別の項目の数値を取得してしまう場合もあるためです。
特に、次の情報を確認しましょう。
たとえば、請求金額と前月繰越額を取り違えると、文字自体は正しく読めていても、支払額が誤ってしまいます。
また、同じ請求書を複数回取り込む可能性もあるため、請求書番号や取引先・日付・金額を使って重複を確認します。OCRを導入しても、支払いの承認手続きまで省略しないことが大切です。
請求書には取引先名や口座情報、取引金額などが含まれるため、会社が利用を認めた環境で処理しましょう。
外部サービスを使う場合は、次の内容を確認します。
無料か有料かだけで、安全性が決まるわけではありません。利用規約やセキュリティ方針を確認し、不明な場合は情報システム部門などへ相談します。
社外へのアップロードが認められていない書類は、会社が許可した端末内処理や専用環境を利用しましょう。
OCRによる文字の読み取りと、電子帳簿保存法に対応した保存は別です。必要な対応は、請求書を受け取った方法によって異なります。
メールやWebサイトからPDFを受け取った場合は、電子取引データとして保存します。原則として、改ざん防止措置や、日付・金額・取引先による検索などへの対応が必要です。一定の条件では検索要件の緩和などがありますが、OCRを実行するだけで要件を満たすわけではありません。
一方、紙で受け取った請求書は、紙のまま保存する方法も選べます。紙に代えてスキャンデータを保存する場合は、スキャナ保存の要件に従います。単にPDF化しただけで、紙を廃棄できるわけではありません。
OCR結果だけを残すのではなく、書類の内容を確認できるデータと関連付けて管理しましょう。
関連記事:電子帳簿保存法の要件をわかりやすく解説|3つの保存区分・検索要件・保存方法まで整理
OCRがうまくいかないときは、文字が読めないのか、ファイルを処理できないのかを分けて確認すると、原因を絞りやすくなります。画質、ファイルの条件、ツールの対応範囲を順に見直しましょう。
文字のかすれや傾き、影などがある場合は、書類を取り込み直します。画像を拡大するだけでは、つぶれた文字の情報を復元できないためです。
スキャン時は、書類全体を正しい向きで取り込み、小さな文字や数字まで読めるか確認しましょう。解像度は利用するツールの推奨値に合わせます。たとえばAdobeでは、カラー・グレースケール文書のスキャン設定として300dpiを案内しています。
また、日本語の書類を処理する場合は、OCRの対象言語も確認します。印影が文字に重なっている箇所などは、取り込み直しても改善しないことがあるため、元の書類で確認して補正しましょう。
参考:スキャンした PDF の設定|Adobe Acrobat ヘルプ
OCRを開始できない場合は、ツールが受け付けるファイル形式、容量、ページ数を確認します。
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状況 |
対処方法 |
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容量・ページ数が上限を超える |
作業用のPDFを分割する |
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対応していない形式である |
対応形式のデータを用意する |
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パスワード・操作制限がある |
管理者に確認し、処理可能なデータを用意する |
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すでに文字情報がある |
検索・コピーできるか確認する |
ファイルを分割・変換する場合も、保存対象となる元データは残しておきます。また、過度に圧縮すると文字が不鮮明になるため、容量だけでなく画質も確認しましょう。
手書き文字、特殊な字体、複雑な表などは、ツールによって読み取り結果が異なります。画像が鮮明でも、対応範囲の問題で正しく認識できない場合があります。
この場合は、該当する書式に対応したサービスを試すか、必要な箇所を手作業で修正します。表では、文字だけでなく行・列の対応も確認することが重要です。
継続利用するなら、認識結果を修正しやすい画面や、元画像に戻って確認できる機能も選定基準に含めましょう。
ここでは、スマートフォンでの利用やExcelへの変換など、PDF OCRについてよくある疑問に回答します。
対応するスキャンアプリやOCRサービスを使えば、スマートフォンでも文字を読み取れます。ただし、撮影時の影や傾きに注意が必要です。
なお、GoogleドライブからGoogleドキュメントへ変換する方法は、公式ヘルプではパソコンでの操作が案内されています。
表の認識やExcel形式への出力に対応したツールなら可能です。ただし、文字を読み取るOCR機能だけで、正確な表へ変換できるとは限りません。
変換後は、列のずれやセルの結合、数量・単価・金額の対応を確認しましょう。
OCRした文字を修正すると請求書の内容も変わるかは、修正する対象や使用する機能によって異なります。検索用の文字情報だけを補正する場合と、PDF編集機能で画面上の文字を書き換える場合を区別しましょう。
請求書の処理では、受領した元データを残し、OCR結果の補正と請求書自体の訂正を分けて管理します。請求内容そのものに誤りがある場合は、取引先へ確認し、訂正された請求書などを受け取ってください。
GoogleドライブにPDFをアップロードし、Googleドキュメントで開く方法なら、無料で文字を抽出できます。ただし、元のレイアウトを保った検索可能なPDFの作成や、大量処理などに対応できるかは、利用するツールによって異なります。
PDF OCRは、画像として保存された文字を認識し、検索やコピー、データ抽出に利用する技術です。すでに文字情報を持つPDFでは、OCRが不要な場合もあります。
文字を抜き出すだけならGoogleドキュメント、検索可能なPDFを作るならPDF編集ソフト、請求項目の抽出まで行うなら帳票処理向けサービスなど、目的に応じて選びましょう。
請求書処理を含めた経理業務全体の効率化を検討している方は、以下の資料もご活用ください。