更新日:2026.10.27

ー 目次 ー
区分記載請求書とは、軽減税率の対象品目である旨と、税率ごとの税込合計額を記載した請求書等です。2019年10月から2023年9月まで、仕入税額控除に関する保存書類として用いられていました。
インボイス制度の開始後も、仕入税額控除の経過措置を利用する場合は、同様の記載事項を満たす書類の保存が必要です。
本記事では、国税庁の資料をもとに、区分記載請求書の記載事項や適格請求書との違いを解説します。2026年10月からの控除割合や記載不足への対処法も紹介するので、受け取った請求書の確認に役立ててください。
区分記載請求書とは、2019年10月1日から2023年9月30日まで採用されていた「区分記載請求書等保存方式」に対応する請求書等です。
2019年10月の軽減税率導入により、消費税率は標準税率10%と軽減税率8%の複数税率になりました。そのため、仕入税額控除の計算では、どの取引にどちらの税率が適用されるかを区別する必要があります。
仕入税額控除とは、売上げに係る消費税額から、仕入れや経費に係る消費税額を差し引く仕組みです。
そこで、従来の請求書等に次の2項目を追加した区分記載請求書等が用いられるようになりました。
区分記載請求書に決まった書式はありません。請求書のほか、領収書や納品書、レシートなども、必要な事項が記載されていれば区分記載請求書等に該当します。
たとえば、飲食料品と事務用品を同時に販売した場合は、飲食料品が軽減税率の対象であることを示し、8%対象分と10%対象分の税込金額を分けて記載します。
区分記載請求書等には、原則として次の5項目を記載します。インボイス制度開始後、仕入税額控除の経過措置に使用する請求書等にも、同様の記載事項が必要です。
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記載事項 |
記載内容 |
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書類作成者の氏名・名称 |
請求書などを作成した事業者の名称 |
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取引年月日 |
商品の販売日やサービスの提供日 |
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取引内容 |
軽減税率の対象品目である場合は、その旨を含む |
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税率ごとの税込合計額 |
8%対象分と10%対象分を区分した金額 |
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書類を受け取る事業者の氏名・名称 |
請求先となる事業者の名称 |
従来の請求書等に追加されたのは、「軽減税率の対象品目である旨」と「税率ごとに区分した税込合計額」の2項目です。適格請求書とは異なり、登録番号や適用税率、税率ごとの消費税額等は必須の記載事項ではありません。
なお、小売業や飲食店業など、一定の事業者が交付する書類では、受領者の氏名・名称を省略できます。そのため、宛名のないレシートでも、ほかの必要事項を満たしていれば保存書類として認められます。
たとえば、牛乳と事務用品を販売した場合は、次のように記載します。
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品名 |
数量 |
金額(税込) |
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※牛乳 |
10本 |
1,080円 |
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事務用品 |
5点 |
5,500円 |
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合計 |
|
6,580円 |
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8%対象(※印) |
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1,080円 |
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10%対象 |
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5,500円 |
※は軽減税率対象
軽減税率の対象品目に記号を付ける場合は、上記のように記号の意味を請求書内で明示します。記号を付けるほか、商品を税率ごとに分け、どの商品が軽減税率の対象かを示す方法もあります。
取引のすべてが標準税率10%の対象であれば、「8%対象0円」と記載する必要はありません。税込対価の総額が10%対象分の合計額となるため、従来の請求書等と同様に税込総額を記載すれば足ります。
区分記載請求書と適格請求書(インボイス)は、どちらも仕入税額控除に関係する書類ですが、発行できる事業者と記載事項が異なります。
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比較項目 |
区分記載請求書 |
適格請求書 |
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発行できる事業者 |
課税事業者・免税事業者を問わない |
適格請求書発行事業者のみ |
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登録番号 |
不要 |
必要 |
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軽減税率の表示 |
対象品目である旨を記載 |
対象品目である旨を記載 |
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税率ごとの合計額 |
税込金額を記載 |
税抜または税込金額を記載 |
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適用税率 |
記載不要 |
記載が必要 |
|
税率ごとの消費税額等 |
記載不要 |
記載が必要 |
適格請求書には、区分記載請求書の記載事項に加えて、次の事項を記載します。
適格請求書は、税務署長の登録を受けた適格請求書発行事業者だけが交付できます。免税事業者や登録を受けていない課税事業者は、通常の請求書を発行できますが、適格請求書を発行することはできません。
関連記事:インボイス要件とは?適格請求書の6つの記載事項と満たさない場合の対処法をわかりやすく解説
区分記載請求書等保存方式は、2023年9月30日で終了しました。そのため、2023年10月1日以降の課税仕入れについて、従来の区分記載請求書を保存するだけでは、原則として仕入税額の全額を控除できません。
ただし、適格請求書発行事業者以外からの課税仕入れに経過措置を適用する場合は、区分記載請求書等と同様の記載事項がある請求書等の保存が必要です。
ここで必要なのは、旧制度としての区分記載請求書ではなく、「区分記載請求書と同じ5項目が記載された請求書等」と理解しましょう。
インボイス制度では、適格請求書発行事業者以外からの課税仕入れについて、原則として仕入税額控除を受けられません。
ただし、急激な税負担の増加を緩和するため、次の相手から行った課税仕入れについて、仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置が設けられています。
経過措置を利用するには、一般課税によって消費税を計算する買い手が、所定の帳簿と請求書等を保存する必要があります。簡易課税制度や売上税額を基準に納付税額を計算する特例を適用する場合は、仕入税額を請求書ごとに積み上げて計算しないため、取り扱いが異なります。
なお、一定規模以下の事業者が税込1万円未満の国内の課税仕入れを行う場合は、2029年9月30日まで、所定の帳簿のみで仕入税額控除を受けられる少額特例があります。未登録事業者からの仕入れでも対象となるため、本記事で扱う一定割合の控除とは区別しましょう。
2026年度税制改正により、適格請求書発行事業者以外からの仕入れに適用できる控除割合と期間が見直されました。
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課税仕入れを行う期間 |
控除できる割合 |
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2023年10月1日~2026年9月30日 |
80% |
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2026年10月1日~2028年9月30日 |
70% |
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2028年10月1日~2030年9月30日 |
50% |
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2030年10月1日~2031年9月30日 |
30% |
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2031年10月1日以降 |
0% |
2026年10月1日から2028年9月30日までに行う対象の課税仕入れには、70%の控除割合が適用されます。適用する割合は請求書の発行日や代金の支払日ではなく、原則として課税仕入れを行った時期で判断します。
商品の仕入れでは、原則として商品の引渡日が判断基準です。サービスについては、原則として契約したサービスの全部が完了した日で判断します。
また、2026年10月1日以後に開始する課税期間では、一の適格請求書発行事業者以外の者から行う対象仕入れの税込合計額が年間1億円を超える場合、超過部分に経過措置を適用できません。
関連記事:インボイスの仕入税額控除とは?2026年10月から70%に|経過措置・要件を解説
参考:5 経過措置 (免税事業者等からの仕入れに係る経過措置)
経過措置を利用するには、区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等だけでなく、所定の事項を記載した帳簿も保存します。
請求書等に必要な事項は、次の5つです。
帳簿には、通常の記載事項に加え、経過措置の対象となる仕入れであることを記載します。2026年10月以降であれば、「70%控除対象」「免」などと記載する方法があります。対象取引に記号を付け、別途「※は70%控除対象」と示す方法でも構いません。
経過措置に使用する請求書等には、適格請求書発行事業者の登録番号は必要ありません。一方、登録番号がないことだけで、取引先が免税事業者や未登録事業者であると断定することはできないため、取引先の登録状況も確認しましょう。
経過措置のために保存する請求書等に、次の事項が記載されていない場合、受け取った事業者が取引の事実に基づいて追記できます。
たとえば、請求書に飲食料品が記載されているものの、軽減税率の対象であることを示す印がない場合は、取引内容を確認したうえで「※は軽減税率対象」などと追記できます。
ただし、発行者の名称や取引年月日、宛先など、上記以外の項目を受領者が追記することは認められていません。不足している場合は、取引先へ請求書等の再発行を依頼しましょう。
なお、この追記ルールは、区分記載請求書等と同様の書類を経過措置に使用する場合の取り扱いです。適格請求書の記載に誤りがある場合、買い手が自由に修正することはできません。原則として、売り手から修正した適格請求書の交付を受けるなどの対応が必要です。
登録番号のない請求書等を受け取り、経過措置の利用を検討する場合は、次の順番で確認しましょう。
取引先が適格請求書発行事業者であるにもかかわらず登録番号が記載されていない場合は、まず修正した適格請求書を発行できないか確認します。適格請求書の交付を受けられれば、原則として仕入税額の全額を控除可能です。
修正した適格請求書を受け取れない場合でも、区分記載請求書と同様の記載事項がそろっていれば、経過措置による一部控除を検討できます。登録番号の有無だけで処理を決めず、取引先の登録状況と保存書類の内容をあわせて確認することが重要です。
ここでは、区分記載請求書を発行できる事業者や消費税額の記載、登録番号の確認など、よくある疑問に回答します。
区分記載請求書等は、課税事業者・免税事業者を問わず発行できます。旧制度では、発行者が税務署の登録を受ける必要はありませんでした。
現在も、免税事業者や未登録の課税事業者が通常の請求書を発行することは可能です。ただし、適格請求書発行事業者ではないため、その請求書を適格請求書として発行することはできません。
区分記載請求書では、税率ごとの税込対価の合計額を記載します。税率ごとの消費税額そのものは、必須の記載事項ではありません。
一方、適格請求書では、税率ごとに区分した消費税額等の記載が必要です。消費税額が書かれているだけで適格請求書になるわけではなく、登録番号や適用税率など、ほかの記載事項も満たす必要があります。
登録番号がなくても、区分記載請求書と同様の5項目が記載されていれば、経過措置のために保存する請求書等の要件を満たす場合があります。
ただし、登録番号がないという理由だけで、取引先を免税事業者と判断することはできません。取引先が適格請求書発行事業者であれば、修正した適格請求書の交付を依頼することも検討しましょう。
区分記載請求書とは、2019年10月1日から2023年9月30日まで採用されていた区分記載請求書等保存方式に対応する書類です。軽減税率の対象品目である旨と、税率ごとに区分した税込合計額を記載する点が特徴です。
2023年10月からはインボイス制度へ移行したため、仕入税額の全額を控除するには、原則として適格請求書の保存が必要です。ただし、適格請求書発行事業者以外からの仕入れについて経過措置を利用する場合は、現在も区分記載請求書と同様の事項が記載された請求書等と、所定の帳簿を保存しましょう。
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