更新日:2026.10.16

ー 目次 ー
原価率とは、売上高に対して売上原価が占める割合のことです。企業の収益性を把握するための重要な指標であり、適切な原価管理や販売価格の設定に活用されます。
しかし、「原価率はどのように計算するのか」「原価率は何%が適正なのか」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、原価率の意味や計算方法、粗利率・利益率との違いについてわかりやすく解説します。
公的統計をもとに算出した業種別の原価率の目安や、原価率が高くなる原因、改善方法も紹介するので、適切な原価管理や利益改善に役立ててください。
原価率とは、売上高に対して売上原価が占める割合のことです。商品やサービスを提供するために、売上高のうちどの程度の原価がかかっているかを示す指標で、企業の収益性を把握する際に活用されます。
一般的に、原価率が低いほど売上高に対する粗利益の割合は高くなります。ただし、適正な原価率は業種や商品によって異なるため、原価率の数値だけで経営状態を判断することはできません。
関連記事:売上高とは?売上・年商・利益との違いと計算方法をわかりやすく解説
原価率と粗利率・利益率の違いは、売上高に対して何の割合を示しているかという点です。
それぞれの意味は以下のとおりです。
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指標 |
意味 |
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原価率 |
売上高に占める売上原価の割合 |
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粗利率 |
売上高に占める売上総利益の割合 |
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営業利益率 |
売上高に占める営業利益の割合 |
原価率と粗利率は、合計すると100%になる関係にあります。一方、営業利益率は、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた営業利益の割合を示す指標です。
そのため、原価率が低くても、人件費や広告宣伝費などの負担が大きければ、営業利益率は低くなる場合があります。
原価率を正確に算出するには、基本的な計算式に加え、売上原価や製造原価の求め方を理解することが重要です。
ここでは、以下の3つに分けて解説します。
それぞれの計算方法を具体例とともに確認しましょう。
原価率は、売上原価を売上高で割り、100を掛けることで算出できます。
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原価率(%)=売上原価 ÷ 売上高 × 100 |
例えば、売上高が100万円、売上原価が40万円の場合、計算式は以下のとおりです。
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40万円 ÷ 100万円 × 100 = 40% |
この場合、売上高の40%が売上原価に相当し、残りの60%が粗利益となります。
関連記事:原価計算とは?目的・種類・やり方をわかりやすく解説
売上原価とは、当期に販売した商品や製品に対応する原価のことです。小売業などで商品を仕入れて販売する場合は、以下の計算式で算出します。
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売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高 |
例えば、期首の商品在庫が20万円、当期の仕入高が80万円、期末の商品在庫が30万円の場合、売上原価は以下のとおりです。
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20万円+80万円-30万円=70万円 |
この場合、当期の売上原価は70万円となります。
製造原価とは、製品を製造するために発生した費用のことです。主に材料費・労務費・製造経費の3つで構成されます。
それぞれの内容は以下のとおりです。
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項目 |
内容・具体例 |
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材料費 |
製品の製造に使用する原材料や部品の費用 |
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労務費 |
製造に従事する従業員の賃金など |
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製造経費 |
工場の水道光熱費や設備の減価償却費など |
当期に発生した製造費用は、基本的に以下の計算式で求められます。
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当期製造費用=材料費+労務費+製造経費 |
さらに、製造途中の仕掛品を考慮すると、当期製品製造原価は以下のように算出できます。
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当期製品製造原価=期首仕掛品棚卸高+当期製造費用-期末仕掛品棚卸高 |
当期製品製造原価を算出したら、期首・期末の製品在庫を考慮して、売上原価を求めます。
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製品売上原価=期首製品棚卸高+当期製品製造原価-期末製品棚卸高 |
例えば、期首製品棚卸高が20万円、当期製品製造原価が100万円、期末製品棚卸高が30万円の場合、製品売上原価は90万円です。
製造業の原価率は、このように算出した売上原価を売上高で割ることで求められます。
関連記事:製造原価における経費とは?直接経費・間接経費の分類と仕訳を解説|月次決算で迷いやすい判断基準
中小企業庁の「令和7年中小企業実態基本調査(令和6年度決算実績)」をもとに算出した、業種別の原価率は以下のとおりです。
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業種 |
原価率 |
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製造業 |
79.06% |
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小売業 |
70.48% |
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卸売業 |
85.55% |
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建設業 |
74.95% |
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宿泊業・飲食サービス業 |
34.02% |
出典:中小企業庁「令和7年中小企業実態基本調査(令和6年度決算実績)」をもとに算出
上記の業種では、卸売業の原価率が85.55%と最も高く、宿泊業・飲食サービス業は34.02%と最も低い結果となっています。
ただし、原価率は取り扱う商品やサービス、事業形態などによって異なります。また、宿泊業・飲食サービス業の数値は、飲食店の食材原価率を示すものではありません。
そのため、業種別の原価率はあくまで参考値とし、同業他社や自社の過去実績、粗利益率なども踏まえて適正水準を判断することが重要です。
原価率が高くなる原因には、仕入価格の上昇や在庫ロスの発生、販売価格の設定などが挙げられます。
主な原因は以下の4つです。
それぞれの原因と原価率に与える影響について解説します。
商品や製品の販売価格が変わらない場合、仕入れにかかる費用が増えるほど、売上高に占める売上原価の割合が高くなります。
例えば、原材料価格の高騰や為替変動によって輸入材料の仕入価格が上昇すると、同じ数量を製造・販売していても売上原価が増加する場合があります。また、仕入先の価格改定や輸送費の上昇なども、仕入原価を押し上げる要因です。
こうした外部環境の変化によるコスト増加を販売価格に反映できない場合、原価率が上昇し、粗利益が減少する可能性があります。
関連記事:【材料費とは?】仕入との違い・直接/間接の分類・仕訳を経理目線で解説
商品の廃棄や在庫ロスが増えると、売上につながらない原価が発生し、原価率が高くなる場合があります。
例えば、飲食店で食材を過剰に仕入れ、使用期限切れによって廃棄した場合、仕入れにかかった費用を売上で回収できません。
また、小売業では、商品の破損や品質劣化、売れ残りなどによって在庫の評価損が発生することがあります。
こうした損失が売上原価に計上されると、売上高に対する原価の割合が高くなる要因となります。
特に、食品など保存期間が短い商品を扱う業種では、廃棄や在庫ロスの発生状況が原価率に影響しやすいため注意が必要です。
販売価格が原価に対して低すぎる場合、原価率が高くなります。
例えば、仕入原価が600円の商品を1,000円で販売すると原価率は60%ですが、800円に値下げすると75%に上昇します。
競合他社との価格競争による値下げや過度な割引販売のほか、原材料費や仕入価格が上昇しても販売価格を据え置くことが、原価率を押し上げる主な要因です。
こうした状況が続くと粗利益が圧迫され、十分な利益を確保できなくなるおそれがあります。
原価率の高い商品の売上比率が増えると、企業全体の原価率も上昇する場合があります。
企業全体の原価率は、商品ごとの原価率だけでなく、それぞれの商品が売上高に占める割合によっても変動するためです。
例えば、原価率30%の商品と70%の商品を販売している場合、原価率70%の商品の売上比率が高まると、全体の原価率も上昇します。
このように、個々の商品の仕入価格や販売価格が変わらなくても、売れ筋商品の変化によって原価率が高くなることがあります。
そのため、原価率の変動を分析する際は、商品別の原価率に加え、売上構成比の変化にも着目することが重要です。
原価率を下げるには、仕入コストの削減や販売価格の見直し、在庫ロスの防止などが効果的です。
具体的には、以下の4つの方法が挙げられます。
それぞれの改善方法と具体的な取り組みについて解説します。
原価率を下げるには、仕入れ先や仕入れ条件を見直し、商品や原材料の調達コストを削減する方法が有効です。
例えば、複数の仕入れ先から見積もりを取得して価格を比較したり、発注数量や取引条件について交渉したりすることで、仕入価格を抑えられる可能性があります。
また、発注をまとめることで数量割引を受けられる場合もあります。ただし、大量仕入れによって過剰在庫が発生すると、保管費用や廃棄ロスが増えるおそれがあるため注意が必要です。
仕入れ先を選定する際は、価格だけでなく、品質や納期、送料なども含めて比較し、総合的な調達コストを見直しましょう。
原価率を改善するには、商品やサービスの原価を把握し、適正な販売価格に見直すことが重要です。
例えば、原材料費や仕入価格が上昇している場合は、増加したコストを踏まえて販売価格を再検討する必要があります。価格を設定する際は、原価だけでなく、目標とする粗利益率や競合商品の価格、顧客が感じる商品価値なども考慮しましょう。
また、値上げによって販売数量が減少すると、売上高や利益額が減る可能性もあります。
そのため、価格改定後は原価率の変化だけでなく、販売数量や売上高、粗利益額なども確認し、利益の確保につながっているかを検証することが大切です。
原価率を下げるには、適切な在庫管理によって商品の廃棄や在庫ロスを減らすことが効果的です。
具体的には、過去の販売実績や需要予測をもとに適正な発注数量を設定し、過剰在庫を防ぎましょう。
また、食品など使用期限がある商品は、先入先出法などの管理方法を活用し、古い在庫から優先的に使用・販売することが重要です。
定期的に棚卸しを実施して、帳簿上の在庫数量と実際の数量を照合することも、紛失や破損などの早期発見につながります。
企業全体の原価率を改善するには、商品ごとの原価率と売上構成比を把握することも重要です。
例えば、原価率30%の商品と70%の商品を販売している場合、原価率30%の商品の売上比率が高まると、全体の原価率は低下します。
商品別の原価率を分析し、粗利益を確保しやすい商品の販売促進や、原価率の高い商品の価格・仕入条件の見直しを検討しましょう。
ただし、原価率の低い商品でも販売数量が少なければ、十分な利益を確保できるとは限りません。商品別の粗利益額や販売数量、需要なども踏まえて改善策を判断することが大切です。
原価率を正確に計算・管理するには、売上原価の範囲や在庫の増減を適切に把握し、集計条件を統一することが重要です。
特に、以下の3点に注意しましょう。
それぞれの注意点と、経理実務で確認すべきポイントについて解説します。
原価率を正確に算出するには、売上原価と販売費・一般管理費を適切に区別する必要があります。
売上原価は、販売した商品や製品に直接対応する原価などを指します。一方、販売費・一般管理費は、商品の販売活動や企業全体の管理にかかる費用です。
例えば、小売業では商品の仕入原価が売上原価に該当し、販売員の人件費や広告宣伝費などは一般的に販売費・一般管理費に分類されます。
ただし、製造業では工場で働く従業員の労務費や製造設備の減価償却費なども製造原価に含まれるため、業種や費用の発生目的によって分類が異なります。
原価率を計算する際は、各費用の内容を確認し、適切な勘定科目に計上しましょう。
関連記事:販売費及び一般管理費(販管費)とは?売上原価との違いや内訳、削減方法をわかりやすく解説
原価率を正確に計算するには、期首・期末の在庫金額を売上原価に適切に反映することが重要です。
商品を仕入れた時点で、すべての仕入金額が当期の売上原価になるわけではありません。期末に売れ残った商品は、原則として棚卸資産として翌期に繰り越されます。
例えば、期末在庫を実際より少なく計上すると、売上原価が過大になり、原価率も高く算出されます。反対に、期末在庫を過大に計上すると、原価率が実際より低くなる可能性があるでしょう。
そのため、定期的に棚卸しを実施し、帳簿上の在庫数量と実際の数量を照合しましょう。また、破損や品質低下による在庫評価の必要性も確認することが大切です。
関連記事:棚卸資産とは?区分・評価方法・仕訳と決算で迷いやすい実務ポイントを解説
原価率を正しく比較・分析するには、売上高と売上原価の集計期間や対象範囲を統一する必要があります。
例えば、4月の原価率を算出する場合は、4月の売上高と、それに対応する売上原価を使用します。売上高と売上原価の計上時期がずれていると、原価率が実態と異なる数値になるおそれがあるためです。
また、商品別や店舗別に原価率を比較する際は、対象となる売上高と原価の範囲をそろえることも重要です。さらに、税込金額と税抜金額を混在させると、計算結果に誤差が生じる場合があります。
継続的に原価率を管理するためにも、集計基準を明確にし、毎月同じ条件で計算・比較できる体制を整えましょう。
原価率に関するよくある質問に回答します。
原価と目標原価率がわかれば、販売価格を逆算できます。
計算式は「販売価格=原価÷(目標原価率÷100)」です。
例えば、原価600円の商品で目標原価率を30%に設定する場合、販売価格は2,000円となります。ただし、実際の価格設定では、競合商品の価格や販売費・一般管理費なども考慮する必要があります。
原価率40%とは、売上高の40%を売上原価が占めている状態です。
例えば、売上高が100万円の場合、売上原価は40万円、売上総利益は60万円となります。
ただし、売上総利益から人件費や広告宣伝費などの販売費・一般管理費が差し引かれるため、60万円がそのまま営業利益になるわけではありません。
一般的に、原価率が低いほど粗利率は高くなりますが、必ずしも低いほうがよいとは限りません。
原価を抑えすぎると、商品やサービスの品質が低下するおそれがあります。また、原価率が低くても販売数量が少なければ、十分な利益を確保できない場合があります。
原価率だけでなく、売上高や粗利益額、商品品質なども踏まえて判断することが重要です。
原価率とは、売上高に対して売上原価が占める割合のことです。企業の収益性を把握するための重要な指標であり、業種や商品によって適正な水準は異なります。
原価率を改善するには、仕入コストや販売価格、在庫管理などを見直すことが効果的です。また、原価率だけで経営状態を判断せず、売上高や粗利益額などもあわせて確認することが重要です。
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