更新日:2026.09.18

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決算とは、一定期間の取引を整理し、企業の経営成績や財政状態を明らかにする一連の手続きです。税額を確定するだけでなく、自社の経営状況を把握したり、株主や金融機関などへ業績を報告したりする役割もあります。
本記事では、決算の意味や目的、実施するタイミング、決算の種類をはじめ、基本的な流れ、主な決算書について解説します。決算業務を効率化するポイントも紹介するため、決算で「いつ・何を・どの順番で行うのか」を理解できます。
決算とは、事業年度など一定期間の帳簿を締め切り、その期間の利益と決算日時点の資産・負債などを確定する手続きです。日々記録してきた帳簿を確認し、棚卸しや減価償却などの決算整理を行ったうえで、貸借対照表や損益計算書などを作成します。
企業は日々の取引を帳簿に記録し、事業年度の終了時に内容を整理して利益や損失、保有する資産・負債などを確定させます。決算によって確定した情報は、税金の計算だけでなく、経営状況の把握や株主・金融機関などへの報告にも利用されます。
決算について理解するうえでは、混同しやすい決算書や確定申告との違いも押さえておきましょう。
決算書とは、決算によって確定した企業の経営成績や財政状態などをまとめた書類の総称です。決算が一定期間の取引を整理して業績などを確定する一連の手続きを指すのに対し、決算書はその結果を示す書類という違いがあります。
代表的な決算書には、貸借対照表や損益計算書などがあり、企業によってはキャッシュ・フロー計算書なども作成します。
決算書を見ることで、企業がどれだけ利益を上げたのか、どの程度の資産や負債を抱えているのかなどを把握することが可能です。そのため、経営者だけでなく、株主や金融機関などが企業の経営状況を判断する際にも利用されます。
決算と確定申告の違いは、決算が一定期間の経営成績や財政状態を確定する手続きであるのに対し、確定申告はその結果などをもとに税額を計算し、税務署へ申告する手続きである点です。
たとえば、法人では、事業年度が終了したら帳簿の内容を確認し、決算整理を行って決算書を作成します。その後、確定した利益などをもとに法人税等を計算し、原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内に確定申告を行います。
決算と確定申告は別々に完結する手続きではなく、「決算を行う→その結果をもとに税額を計算する→確定申告・納付を行う」という関係です。個人事業主も、1年間の収支を整理したうえで所得税の確定申告を行います。
決算を行う目的は、一定期間の経営成績や財政状態を明らかにし、その結果を税務申告や経営判断、関係者への報告に活用することです。
決算を行う主な目的として、以下の3つを詳しく解説します。
決算を行う目的のひとつは、法人税などの納税額を正しく計算するためです。法人税は、原則として事業年度に生じた所得をもとに計算するため、まず決算によって企業の収益や費用を整理し、利益を確定させる必要があります。
ただし、会計上の利益がそのまま法人税の課税対象となる所得になるわけではありません。決算で算出した利益をもとに、税法上のルールに従って必要な調整を行い、課税所得や納税額を計算します。
決算から税務申告までを適切に行うことで、納めるべき税額を確定し、期限内の申告・納付につなげられます。
決算は、自社の経営状況を客観的に把握し、今後の経営判断に役立てるためにも重要です。売上だけを見ていても、事業でどれだけ利益が残ったのか、資金や負債がどのような状態にあるのかまでは十分に把握できません。
決算によって売上や費用、利益、資産、負債などを整理すれば、前年度との業績比較や収益性・安全性などの分析が可能になります。たとえば、売上が伸びていても利益が減っている場合は、仕入価格や人件費などの増加が影響していないか確認できます。
決算結果を分析することで経営上の課題を把握し、事業計画や予算、投資などの意思決定に活かすことが可能です。
決算には、株主や金融機関などのステークホルダーへ企業の経営状況を示す役割もあります。決算書には企業の利益や資産、負債などが記載されるため、外部の関係者が企業の業績や財務状況を判断する際の材料になります。
たとえば、株主にとっては投資先の業績や財務状況を確認するための重要な情報です。また、金融機関は融資の審査や継続判断などで、決算書から企業の返済能力や財務の健全性を確認します。取引先が信用状況を判断する際に決算情報を確認するケースもあります。
このように、決算は税務や社内の経営管理だけでなく、企業の状況を外部へ適切に伝えるためにも重要です。
決算を行うタイミングは、法人と個人事業主で異なります。決算を行う主なタイミングについて、以下の2点を詳しく解説します。
法人は、自社で定めた事業年度の終了時に決算を行います。個人事業主とは異なり、すべての法人で決算時期が統一されているわけではありません。たとえば、事業年度を4月1日から翌年3月31日までと定めている会社であれば、3月31日が決算日です。
法人は、原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内に法人税の確定申告と納付を行う必要があります。そのため、決算日を迎えた後は、帳簿の確認や決算整理、決算書の作成などを進めます。
個人事業主は、原則として1月1日から12月31日までの1年間を対象に決算を行います。法人のように任意の事業年度を設定するのではなく、暦年で所得を計算するため、12月31日が区切りです。
年末には、1年間の売上や必要経費を集計するほか、売掛金・買掛金などの残高確認や棚卸し、減価償却費の計算などを行い、その年の所得を確定させます。その結果をもとに、翌年の確定申告期間に所得税の確定申告を行います。
関連記事:減価償却費とは?対象資産・計算方法・仕訳・注意点をわかりやすく解説
決算には、集計する期間や実施する目的によって複数の種類があります。
主な決算の種類は、次のとおりです。
それぞれ対象となる期間や目的、必要性が異なるため、違いを確認しておきましょう。
年次決算(本決算)とは、1事業年度の取引を締め切り、その期間の経営成績や期末時点の財政状態を確定する決算です。
年次決算では、日々の取引を記録した帳簿を確認し、棚卸しや減価償却などの決算整理を行ったうえで、貸借対照表や損益計算書などの決算書を作成します。確定した決算内容は、法人税などの申告・納付や株主への報告などにも用いられます。
関連記事:【概要解説】年次決算とは?月次との違いと「手間のかかる業務」を減らす実務ポイント
中間決算や四半期決算は、事業年度の途中で業績や財務状況を把握するために行われます。一般的に、中間決算は事業年度の前半6か月、四半期決算は3か月ごとに区切って集計します。
上場会社では、金融商品取引法に基づく半期報告書の提出に加え、証券取引所のルールにより第1・第3四半期決算短信などの開示が必要です。すべての企業が同じ形式で中間決算・四半期決算を行うわけではなく、必要な開示や手続きは企業の属性によって異なります。
月次決算とは、1か月ごとに売上や費用などを集計し、経営状況を把握するために企業が任意で行う決算です。年次決算とは異なり、原則として法律で実施が義務付けられているものではなく、主に社内の経営管理を目的として行われます。
月次決算を行うと、年度末を待たずに売上や利益の推移を確認でき、予算と実績の差や業績の変化を早期に把握することが可能です。たとえば、想定より利益が減少している場合、費用の増加などの原因を確認し、早い段階で対策を検討できます。
また、毎月帳簿や残高を確認しておくことで、年次決算時にまとめて確認・修正する作業を減らし、決算業務の負担軽減にもつながります。
関連記事:【概要解説】月次決算の概要と流れを把握。どの業務負荷を減らせば乗り越えられるかを解説
決算の主な手順は、次のとおりです。
それぞれの工程について詳しく解説します。
決算ではまず、事業年度中に発生した取引が帳簿へ正しく記録されているかを確認します。記帳漏れや金額・勘定科目の誤りがあると、決算書や納税額にも影響するためです。
具体的には、請求書や領収書、預金通帳などの証憑と帳簿を照合し、売上や仕入れ、経費などに漏れや重複がないか確認します。未処理の請求書や領収書が残っていないかも確認が必要です。
誤りが見つかった場合は、この段階で仕訳の追加や修正を行います。
次に、帳簿上の残高と実際の金額が一致しているかを確認します。帳簿へ取引を記録していても、入力漏れや二重計上などによって実際の残高と差が生じている場合があるためです。
現金は手元にある金額、預金は金融機関の残高と照合します。売掛金や買掛金についても、取引先ごとに残高を確認し、未回収の売上代金や未払いの仕入代金などが正しく計上されているかを確認しましょう。
差額が見つかった場合は原因を特定し、必要に応じて帳簿を修正します。
帳簿や残高を確認した後は、期末時点の経営成績や財政状態を正しく反映するために決算整理を行います。日々の記帳だけでは確定できない項目について、決算時に必要な調整を加える工程です。
代表的な処理には、商品や原材料などの棚卸し、固定資産の減価償却があります。このほか、売掛金などの回収可能性を踏まえた貸倒引当金の計上や、前払費用・未払費用など期間に応じた費用・収益の調整を行う場合もあります。
これらの決算整理仕訳を反映することで、その事業年度に対応する収益や費用、期末時点の資産・負債を適切に計上することが可能です。
関連記事:決算整理仕訳とは?進め方の手順と仕訳の種類一覧をわかりやすく解説
決算整理が完了したら、確定した帳簿の数値をもとに決算書を作成します。決算書は、企業の一定期間の経営成績や、決算日時点の財政状態などを示す書類です。
作成した決算書は、経営状況の把握だけでなく、税務申告や株主への報告、金融機関への提出などにも利用されます。そのため、帳簿や決算整理の内容が正しく反映されているかを確認することが重要です。
決算書を作成した後は、決算内容を確定し、その内容をもとに法人税などの税額を計算して申告・納付します。
株式会社では、原則として定時株主総会で計算書類の承認を受けなければなりません。ただし、会計監査人設置会社など一定の要件を満たす場合は、承認ではなく報告となる場合があります。
法人税の確定申告・納付期限は、原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内です。決算後には複数の手続きが続くため、申告期限から逆算して計画的に進めることが大切です。
決算に関連する代表的な財務諸表は、次のとおりです。
この3つは財務三表と呼ばれ、それぞれ異なる視点から企業の状況を表します。それぞれの役割を詳しく見ていきましょう。
※ただし、すべての企業にキャッシュ・フロー計算書の作成が義務付けられているわけではありません。
貸借対照表(B/S)とは、決算日時点における企業の財政状態を示す書類です。
貸借対照表は、「資産」「負債」「純資産」の3つで構成されます。それぞれの概要と主な項目は、以下のとおりです。
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項目 |
概要 |
主な項目の例 |
|
資産 |
企業が保有する財産や将来受け取る権利 |
現金・預金、売掛金、商品、建物など |
|
負債 |
将来支払う必要がある債務 |
買掛金、借入金、未払金など |
|
純資産 |
資産から負債を差し引いた部分 |
資本金、利益剰余金など |
貸借対照表では「資産=負債+純資産」となり、左右の金額が一致するのが基本です。
貸借対照表を確認すると、企業がどの程度の資産や負債を保有しているかを把握できます。
関連記事:貸借対照表とは?見方・作り方・決算チェックのポイントまでわかりやすく解説
損益計算書(P/L)とは、一定期間に企業がどれだけの収益を得て、どのような費用が発生し、最終的にいくら利益または損失が生じたのかを示す書類です。
損益計算書では、売上高から売上原価や販売費及び一般管理費などを差し引き、段階的に利益を計算します。主に以下の利益が確認できます。
売上だけでなく費用と利益の関係を確認できるため、「本業で利益を上げられているか」「前年より収益性が改善しているか」など、企業の業績を分析する際に活用できます。
関連記事:損益計算書の見方が変わる|5つの利益と販管費でわかる会社のリアル
キャッシュ・フロー計算書(C/F)とは、一定期間における現金や現金同等物の増減を示す書類です。損益計算書では利益が出ていても、売掛金の未回収などによって手元の資金が不足する場合があるため、利益とは別に資金の動きを把握するために活用されます。
キャッシュ・フロー計算書では、現金の増減を以下の3つの活動に分けて表示します。
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区分 |
概要 |
主な項目の例 |
|
営業活動 |
本業による現金の増減 |
商品・サービスの販売による収入、仕入代金や人件費の支払いなど |
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投資活動 |
設備投資や資産の取得・売却による現金の増減 |
設備・有価証券の取得や売却など |
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財務活動 |
資金調達や返済による現金の増減 |
借入れ、借入金の返済、株式発行など |
3つのキャッシュ・フローを確認することで、企業が本業でどの程度資金を生み出し、その資金を投資や借入金の返済などにどう活用しているのかを把握できます。なお、キャッシュ・フロー計算書はすべての企業に作成義務があるわけではありません。
決算業務を効率化するには、決算期に処理を集中させず、日頃から正確な記帳やデータ整理を進めることが重要です。
決算業務の負担を軽減する主なポイントについて詳しく解説します。
決算業務をスムーズに進めるには、日々発生する取引の記帳や証憑の整理を後回しにしないことが重要です。決算期にまとめて処理すると、記帳漏れや入力ミスの確認、証憑の照合などに時間がかかり、決算業務の負担が大きくなります。
売上や仕入れ、経費などは日次・週次で記帳し、月末には預金残高や売掛金・買掛金などを確認しておきましょう。請求書や領収書も取引と紐づけて整理しておくと、決算時に内容をさかのぼって確認する手間を減らせます。
また、月次決算を取り入れて定期的に帳簿を締めることで、誤りや未処理の取引を早期に発見しやすくなり、年次決算の作業を分散できます。
決算業務の効率化には、会計ソフトや請求書関連システムを活用する方法も有効です。手作業による入力や転記を減らすことで、経理担当者の作業時間を短縮するとともに、入力ミスや処理漏れの防止につながります。
たとえば、会計ソフトと銀行口座やクレジットカードを連携すれば、取引データを自動で取り込み、仕訳入力の負担を軽減することが可能です。請求書関連システムを活用すれば、請求書の発行・受領から会計処理までのデータ連携もしやすくなります。
日常の経理業務からデータを一元的に管理しておくことで、決算時の集計や照合作業を減らし、決算書作成までの業務を効率化することが可能です。
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最後に、決算に関する以下のよくある質問に回答します。
決算は、一定期間の経営成績や財政状態を明らかにするために行います。
決算によって売上や費用、利益、資産、負債などを確定し、その結果を税額の計算や経営状況の分析に活用することが可能です。
また、作成した決算書は、株主や金融機関などへ企業の経営状況を伝えるためにも利用されます。
税務申告などの基礎となる年次決算(本決算)は、通常1事業年度につき1回行います。
このほか、企業によっては3か月ごとの四半期決算や半年ごとの中間決算、毎月の月次決算を行う場合があります。
月次決算などは、主に年度途中の業績や財務状況を把握し、経営判断に役立てる目的で実施されるのが一般的です。
決算とは、一定期間の取引を整理し、企業の利益や財政状態などを確定する一連の手続きです。
具体的には、帳簿の内容や現金・預金などの残高を確認し、棚卸しや減価償却などの決算整理を行ったうえで、貸借対照表や損益計算書などを作成します。その後、決算内容をもとに税額を計算し、申告・納付へ進みます。
決算とは、一定期間の取引を整理し、企業の経営成績や財政状態を明らかにする一連の手続きです。決算によって確定した内容は、税額の計算・申告だけでなく、経営状況の分析や株主・金融機関などへの報告にも活用されます。
決算では、帳簿や残高の確認、棚卸し・減価償却などの決算整理を経て、貸借対照表や損益計算書などを作成します。決算期に作業が集中すると、確認や修正に時間がかかる可能性があるため、日頃から記帳や証憑の整理を進めることが大切です。
会計ソフトや請求書関連システムも活用しながら、決算までの業務を計画的に進めましょう。
決算業務を正確に進めるには、日々の取引を適切な勘定科目で記帳し、仕訳のルールを理解しておくことも大切です。