更新日:2026.10.16

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負債とは、企業が将来、金銭の支払いや商品・サービスの提供などによって履行する義務のことです。借入金だけでなく、買掛金や未払金なども負債に該当し、企業の財務状況を把握するうえで重要な項目です。
しかし、「負債と借金は何が違うのか」「どの勘定科目を使って仕訳すればよいのか」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、負債の意味や資産・純資産との違い、流動負債・固定負債の種類についてわかりやすく解説します。
負債に該当する主な勘定科目や具体的な仕訳例、管理する際の注意点も紹介するので、正確な経理処理を行うための参考にしてください。
負債とは、企業が将来、金銭の支払いや商品・サービスの提供などによって履行しなければならない義務を指します。
例えば、商品を掛けで仕入れた際に発生する買掛金や、金融機関からの借入金などは負債のひとつです。
負債は貸借対照表の「負債の部」に記載され、企業の支払義務や返済義務を把握するために使用します。負債の金額や内容を確認することで、資金繰りの管理や財務状況の分析にも役立ちます。
関連記事:貸借対照表とは?見方・作り方・決算チェックのポイントまでわかりやすく解説
負債・資産・純資産は、いずれも企業の財政状態を示す貸借対照表を構成する項目です。それぞれの違いは以下のとおりです。
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項目 |
意味 |
具体例 |
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資産 |
企業が保有する財産や経済的価値のあるもの |
現金、預金、売掛金、建物、設備 |
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負債 |
将来、支払いやサービスの提供などが必要となる義務 |
買掛金、未払金、借入金、前受金 |
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純資産 |
資産から負債を差し引いた部分 |
資本金、利益剰余金 |
貸借対照表では、「資産=負債+純資産」という関係が成り立ちます。
例えば、資産が1,000万円、負債が400万円の企業では、純資産は600万円となります。負債は将来の支払義務などを表すのに対し、純資産は資産から負債を差し引いた正味の財産を表す点が主な違いです。
関連記事:資産とは?会計上の意味や種類、財産との違いをわかりやすく解説
負債は、通常の営業活動で発生したものか、支払期限・返済期限がいつ到来するかによって、流動負債と固定負債に分類されます。
以下では、流動負債と固定負債の特徴や違いについて解説します。
流動負債とは、通常の営業活動で発生する負債や、原則として決算日の翌日から1年以内に支払期限が到来する負債のことです。
代表的なものには、商品や原材料を掛けで仕入れた際の買掛金、経費などの未払金、短期借入金などがあります。
なお、買掛金など通常の営業活動で発生する負債は、支払期限が1年を超える場合でも流動負債として扱われることがあります。
固定負債とは、原則として決算日の翌日から1年を超えて支払期限や返済期限が到来する負債のことです。
代表的な固定負債には、長期借入金や社債、退職給付引当金などがあります。例えば、金融機関から5年間の返済期間で資金を借り入れた場合、原則として1年以内の返済予定額を除く部分は固定負債に分類されます。
ただし、個々の負債には適用される会計基準があるため、返済期間だけでなく取引内容も確認が必要です。
負債は、支払期限による流動負債・固定負債の区分とは別に、利息の有無によっても以下の2種類に分類できます。
以下では、それぞれの特徴や違いについて解説します。
有利子負債とは、原則として利息の支払いを伴う負債のことです。代表的なものには、金融機関からの借入金や社債などがあります。
有利子負債は、企業が設備投資や運転資金などを調達する際に発生する点が特徴です。資金調達に役立つ一方、元本の返済に加えて利息の支払いが必要となるため、企業の資金繰りや利益に影響を与えます。
また、有利子負債には、短期借入金のような流動負債と、長期借入金のような固定負債の両方が含まれます。
無利子負債とは、原則として利息の支払いが発生しない負債のことです。代表的なものには、買掛金や未払金、前受金、預り金などがあります。
無利子負債は、商品を掛けで仕入れたり、取引先から代金を前もって受け取ったりするなど、日常の営業活動に伴って発生することが多い負債です。
有利子負債とは異なり、通常は利息の負担がありません。ただし、買掛金や未払金などは支払期限までに決済する必要があり、支払いが遅れると遅延損害金などが発生する場合もあります。
負債には、買掛金や未払金、借入金など、取引の内容に応じてさまざまな勘定科目があります。
主な勘定科目を以下の2つに分けて紹介します。
それぞれの勘定科目の意味や具体例を確認し、適切な会計処理につなげましょう。
流動負債には、買掛金や未払金、短期借入金など、日常の取引や短期的な資金調達に関する勘定科目があります。
代表的な勘定科目と具体例は以下のとおりです。
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勘定科目 |
内容・具体例 |
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買掛金 |
商品や原材料などを掛けで仕入れた際の未払代金 |
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未払金 |
備品の購入など、通常の仕入取引以外で発生した未払代金 |
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未払費用 |
継続的に提供を受けたサービスなどに対し、当期の費用として発生しているものの、まだ支払っていない金額 |
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前受金 |
商品の引き渡しやサービス提供前に受け取った代金 |
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預り金 |
従業員の源泉所得税や社会保険料など、一時的に預かった金銭 |
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短期借入金 |
原則として1年以内に返済期限が到来する借入金 |
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未払法人税等 |
決算時点で未払いとなっている法人税など |
買掛金は商品の仕入れなど、未払金は備品購入などの通常の仕入取引以外、未払費用は継続的なサービスの提供に伴う未払額を処理する際に使用します。取引内容や費用の発生状況に応じて使い分けましょう。
関連記事:前受金とは?負債になる理由と前受収益・仮受金との違いを解説
固定負債には、長期借入金や社債など、長期的な資金調達や将来の支払義務に関する勘定科目があります。
代表的な勘定科目と具体例は以下のとおりです。
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勘定科目 |
内容・具体例 |
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長期借入金 |
決算日の翌日から1年を超えて返済期限が到来する借入金 |
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社債 |
企業が資金調達のために発行した債券のうち、原則として1年を超えて償還するもの |
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長期未払金 |
支払期限が決算日の翌日から1年を超える未払金 |
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長期預り保証金 |
賃貸契約などに伴い長期間預かる保証金 |
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退職給付引当金(個別財務諸表) |
従業員への将来の退職給付に備えて計上する負債 |
なお、長期借入金のうち、決算日の翌日から1年以内に返済する部分は、流動負債に振り替える必要があります。そのため、決算時には返済予定表などを確認し、適切に分類することが重要です。
負債の仕訳では、原則として負債が増加したときは貸方、減少したときは借方に計上します。
ここでは、以下の3つのケースに分けて具体的な仕訳方法を解説します。
それぞれの取引に応じた勘定科目の使い方を確認しましょう。
商品を掛けで仕入れた場合は、仕入代金を仕入として借方に計上し、未払いの代金を買掛金として貸方に計上します。
例えば、商品を10万円で掛け仕入れした場合の仕訳は以下のとおりです。
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借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
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仕入 |
100,000円 |
買掛金 |
100,000円 |
その後、普通預金から代金を支払った場合は、以下のように仕訳します。
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借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
|
買掛金 |
100,000円 |
普通預金 |
100,000円 |
支払時には買掛金を借方に計上し、負債の減少を記録します。掛け仕入れでは、仕入時と支払時のそれぞれで仕訳が必要になる点に注意しましょう。
事務用品や備品などを後払いで購入した場合は、取引内容に応じた費用・資産の勘定科目を借方に、未払いの代金を未払金として貸方に計上します。
例えば、事務用品を3万円で購入し、代金を翌月に支払う場合の仕訳は以下のとおりです。
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借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
|
消耗品費 |
30,000円 |
未払金 |
30,000円 |
翌月、普通預金から代金を支払った場合は、以下のように処理します。
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借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
|
未払金 |
30,000円 |
普通預金 |
30,000円 |
なお、購入した備品が固定資産に該当する場合は、消耗品費ではなく工具器具備品などの資産科目を使用します。
金融機関から資金を借り入れた場合は、入金された金額を普通預金として借方に、返済義務のある金額を借入金として貸方に計上します。
例えば、金融機関から100万円を借り入れ、普通預金に入金された場合の仕訳は以下のとおりです。
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借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
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普通預金 |
1,000,000円 |
借入金 |
1,000,000円 |
その後、元本10万円と利息1,000円を普通預金から返済した場合は、以下のように仕訳します。
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借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
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借入金 |
100,000円 |
普通預金 |
101,000円 |
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支払利息 |
1,000円 |
|
|
借入金の元本返済は負債の減少として処理し、利息は支払利息として費用計上します。
関連記事:仕訳とは?借方・貸方の基本ルールや勘定科目、やり方について解説
負債を適切に管理するには、支払期限や残高を正確に把握し、決算時の計上漏れや分類ミスを防ぐことが重要です。
特に、以下の3点に注意しましょう。
それぞれの注意点と具体的な管理方法について解説します。
買掛金や未払金は、取引先ごとの支払期限を正確に把握し、期日までに支払うことが重要です。
支払期限の管理が不十分だと、支払遅延による取引先との信頼関係の悪化や、遅延損害金の発生につながるおそれがあります。
そのため、請求書を受領した際は、支払金額や支払期限、振込先などを確認し、支払予定表などに記録しましょう。また、月末や月初など支払いが集中する時期には、必要な資金を事前に確保しておくことも大切です。
請求書管理システムなどを活用して支払予定を一元管理すれば、確認漏れや支払遅延の防止につながります。
負債残高を正確に把握するには、帳簿上の買掛金や未払金の残高と、請求書や支払記録を定期的に照合することが重要です。
例えば、請求書の内容を二重に計上したり、支払済みの買掛金を消し込まずに残したりすると、帳簿上の負債が実際より多く計上される原因となります。
こうしたミスを防ぐため、請求書の金額や取引先、支払状況を確認し、会計帳簿の記録と一致しているかをチェックしましょう。
また、残高に差異がある場合は、仕訳の入力漏れや重複、支払処理の誤りなどを調査し、速やかに修正することが大切です。
決算時には、負債の計上漏れがないか確認するとともに、流動負債と固定負債を適切に分類することが重要です。
例えば、決算日までに商品やサービスの提供を受けている場合、請求書が届いていなくても、買掛金や未払金、未払費用などの計上が必要になることがあります。そのため、請求書の受領状況だけでなく、商品の納品日やサービスの提供時期も確認することが重要です。
また、長期借入金のうち、決算日の翌日から1年以内に返済する予定の金額は、原則として流動負債に振り替えます。
決算時には、請求書や契約書、返済予定表などを確認し、負債の金額や計上時期、分類に誤りがないかをチェックしましょう。
関連記事:決算とは?目的・時期・流れ・主な決算書をわかりやすく解説
負債に関するよくある質問に回答します。
負債と借金は同じ意味ではありません。借金は主に金融機関などから借り入れたお金を指しますが、負債には借入金のほか、買掛金や未払金、前受金なども含まれます。
つまり、借金は負債の一種であり、すべての負債が借金に該当するわけではありません。
負債が多いからといって、必ずしも経営状態が悪いとは限りません。事業拡大や設備投資のために借入金が増える場合もあるためです。
企業の財務状況を判断する際は、負債の金額だけでなく、資産や純資産とのバランス、返済能力なども確認することが重要です。
前受金は、代金を受け取った時点では商品やサービスを提供する義務が残っているため、負債に分類されます。
例えば、商品を引き渡す前に代金を受け取った場合は前受金として計上し、商品を引き渡した際に売上へ振り替えます。
負債とは、企業が将来、金銭の支払いや商品・サービスの提供などによって履行する義務のことです。支払期限に応じて流動負債と固定負債に分類されるほか、利息の有無によって有利子負債と無利子負債にも分けられます。
負債を正確に計上するには、取引内容に応じた勘定科目の使い分けや、仕訳の基本ルールを理解することが重要です。
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