更新日:2026.09.10

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棚卸資産とは、販売や製造のために保有している在庫の総称です。現場では「在庫」とひとまとめに呼ばれますが、経理は商品・製品・仕掛品・原材料・貯蔵品などに区分し、決算で数量と単価を確定させて金額を計算します。
本記事では、決算で棚卸資産を確定する流れをつかんだうえで、区分・検収日・複数拠点・棚卸差異・滞留在庫など、実務担当者が判断に迷いやすい場面を具体的に整理します。評価方法・取得価額・仕訳もあわせて確認できるので、読みたい見出しから確認してください。
参考:株式会社税務研究会 キャリアアップを目指す人のための「経理・財務」実務マニュアル 上 新版三訂版
棚卸資産とは、販売や製造のために保有している在庫の総称です。売るために持つもの、作るために持つもの、そして短期間で使い切るために持つものが含まれます。決算では、これらの数量を確定し、単価を掛けて金額を計算します。
この「数量」と「単価」を正しく求めることが、棚卸資産の実務の中心です。区分や金額を誤ると、売上原価・当期利益、そして納税額まで動いてしまいます。

企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」では、商品・製品・半製品・原材料・仕掛品などに加え、販売活動や一般管理活動で短期間に消費される事務用消耗品等も棚卸資産に含まれると定められています。
区分は「どこから調達したか」「製造工程のどこにあるか」「その状態で売れるか」の3つの軸で見ると整理しやすくなります。
| 区分 | どういう状態か | 判断のポイント | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 商品 | 外部から仕入れ、加工せずそのまま販売するもの | 自社で主要な加工をしていない | 小売店の衣料品、家電、書籍 |
| 製品 | 自社の製造工程を経て完成し、販売できる状態のもの | 完成しており、そのまま出荷できる | 完成した自動車、食品、家具 |
| 半製品 | 製造の中間段階だが、その状態でも単独で販売できるもの | 中間品として外部に売る道がある | 鋳造後の部品、中間素材 |
| 仕掛品 | 製造工程に投入済みで、まだ完成していないもの | その状態では通常販売できない | 組立途中の機械、縫製途中の衣類 |
| 原材料 | 製品を作るために保有し、まだ工程に投入していないもの | 倉庫で待機している加工前の材料・部品 | 鋼材、小麦粉、電子部品 |
| 貯蔵品 | 販売目的ではないが、期末時点で未使用のまま貯蔵している消耗品 | 購入時に費用処理していても、期末残があれば資産へ振り替える | 事務用消耗品、包装資材、切手・収入印紙 |
参考:企業会計基準委員会 企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」
棚卸資産は貸借対照表で流動資産に区分されますが、すぐ現金になるわけではなく、販売や加工を経てはじめて現金化される資産です。似た資産との違いを整理すると、次のようになります。
| 区分 | 位置づけ | 棚卸資産との違い |
|---|---|---|
| 貯蔵品 | 期末に未使用で残る消耗品 | 棚卸資産に含まれる。購入時に費用処理していても、期末残は資産へ振り替える |
| 固定資産 | 自社で長期にわたり使用する資産 | 販売目的ではなく、減価償却で費用化する |
| 消耗品費(費用) | 期中に使い切った消耗品 | すでに消費済みで、期末に資産として残らない |
実務で漏れやすいのは「貯蔵品」です。買った時点で費用にしていても、期末に未使用分が残っていれば資産へ振り替えます。ここを落とすと計上漏れになります。
棚卸資産の金額は、次の4つのステップで確定します。まず実際の数量を数え、帳簿との差異を確認し、評価方法で単価を決め、最後に価値の低下がないかを確認します。ここでは全体の流れをつかみ、個別の判断は後の章で詳しく確認します。

帳簿在庫だけで決算額を決めず、実地棚卸で実際の数量を確認します。倉庫・工場・店舗など保管場所ごとに、品番・数量・保管状態を確かめます。
当日は数える作業に集中できるよう、入出庫を止めるカットオフ時刻を決め、棚卸表に品番・ロット・数量・単位を記載し、数える単位(箱/個)を品目ごとにそろえます。人員は2人1組とし、数える人と記録する人を分けると精度が上がります。
実地棚卸で数えた数量と、帳簿上の数量を照合します。帳簿数量は「前期繰越数量+当期仕入数量-当期払出数量」で求めます。
差異があれば原因を調べ、最終的には実地棚卸の数量に合わせて残高を修正します。差異の調べ方は後の章で詳しく解説します。
数量が固まったら、自社が採用する評価方法にもとづいて単価を計算します。会計システムの設定と、税務署へ届け出た評価方法がずれていないかもあわせて確認します。
期末の正味売却価額が取得原価を下回る在庫は、帳簿価額を切り下げます。長期間動いていない滞留在庫は評価損の検討対象になりやすいため、決算の締めくくりとして必ず確認します。判断の基準は後の章で整理します。
棚卸資産は、区分の判断や数量・金額の確定で迷う場面が多い資産です。ここでは、実務担当者が実際につまずきやすい5つのケースを、状況と判断の分かれ目にそって整理します。
区分に迷ったら、次の3つのステップを順番に確認します。
外部から仕入れてそのまま売るなら商品です。次に、自社製造で完成していれば製品、中間段階でも単独で売れるなら半製品です。そして自社製造で未完成なら、工程に投入したかどうかで分かれ、投入前は原材料、投入後は仕掛品となります。
少し手を加えたら必ず仕掛品というわけではなく、原価計算や工程管理のうえで投入が認識された時点で区分するのが実務上の考え方です。

期末前後で特に迷いやすいのが、次のような状況です。
判断するときは、商品が自社の倉庫にあるかどうかではなく、期末時点で棚卸資産がどの会社に帰属しているかを確認します。他社から預かっているだけの商品は自社の棚卸資産に含めません。
反対に、自社所有の商品が外部倉庫や委託先に置かれている場合は、自社の棚卸資産として計上します。検収基準を採用している場合は、検収が完了した日が仕入計上の起点になります。
検収書・納品書・請求書の日付が異なるときに、どの書類の日付を基準に計上するのかを社内ルールで明確にしておきましょう。
複数の店舗・工場・倉庫を持つ企業では、商品代金の請求書は本社、運賃の請求書は物流拠点、検収書は各店舗というように、必要な情報が分散します。その結果、在庫の集計漏れや、取得価額の把握漏れが起こりやすくなります。
特に、仕入先から自社倉庫までの引取運賃と、自社倉庫から別の店舗へ移動させる移管運賃では取扱いが異なるため、注意が必要です。
| 運賃の種類 | 具体例 | 基本的な取扱い |
|---|---|---|
| 引取運賃 | 仕入先から自社倉庫までの運賃 | 取得価額に含めるのが原則 |
| 移管運賃 | 自社倉庫から店舗・販売所等への運賃 | 3%基準の対象となる場合がある |
拠点をまたいで在庫や運賃を正しく把握するには、運賃の請求書に「どの商品の、どの区間の配送費なのか」がわかる情報を残し、品目・発注番号・納品先を商品代金の請求書や検収情報とひも付けられる状態にしておくことが重要です。
棚卸差異は、現物側の原因と帳簿側の原因に分けて考えると整理しやすくなります。現物側は数え間違いや破損・紛失、帳簿側は入出庫伝票の記入誤りや処理漏れが典型です。
| 差異の原因 | 確認するもの | 打ち手 |
|---|---|---|
| 入出庫の計上漏れ・入力ミス | 入出庫記録、伝票の起票日 | 記録側を修正する |
| 単位の取り違え(箱/個) | 棚卸表の単位欄 | 単位を統一して数え直す |
| 検収・売上計上のカットオフずれ | 期末前後の検収書、納品書、請求書 | 計上期間を是正する |
| 返品・廃棄の未処理 | 返品伝票、廃棄記録 | 未処理分を計上する |
| 数え間違い・二重カウント | 該当品番のみ再カウント | 実地の数量に合わせる |
| 破損・紛失・盗難 | 保管状況、受払の管理 | 棚卸減耗として処理し、管理体制を見直す |
差異が出てもすぐ雑損失で流さないことが大切です。同じ拠点・同じ品番で差異が繰り返されていないかまで見ておくと、税務調査や監査での説明力が変わります。
数量の把握方法には、入出庫のつど帳簿残高を更新する「継続記録法」と、期末の実地棚卸から払出数量を逆算する「棚卸計算法」があり、差異の原因を追いたい場合は継続記録法が適しています。
長期間動いていない在庫は、評価損を計上すべきかどうかの判断が必要になります。期末の正味売却価額が取得原価を下回っている場合は、正味売却価額まで帳簿価額を切り下げ、差額を費用として処理します。
検討対象を効率よく洗い出すコツは、棚卸表に最終入出庫日と滞留日数を持たせておくことです。たとえば「最終出庫から6か月以上」「12か月以上」といった目安で並べ替えるだけで、評価損を検討すべき品目が浮かび上がります。
営業循環から外れた滞留・処分見込みの在庫で合理的な価額を出しにくい場合は、処分見込価額(ゼロや備忘価額を含む)まで切り下げる方法もあります。
なお、会計上の評価損と税務上の損金算入要件は必ずしも一致しないため、税務処理は顧問税理士に確認してください。
迷いやすいケースの判断には、取得価額と評価方法の知識が土台になります。ここでは、取得価額に含めるもの・含めないことができるもの、原価法と低価法、棚卸減耗損と商品評価損を整理します。
他社から購入した棚卸資産の取得価額は、購入代価に引取費用などの付随費用を加えた金額です。購入代価に値引き・割戻し等がある場合は、その金額を反映します。
たとえば、商品代金が100万円、仕入先から自社倉庫までの引取運賃が5万円であれば、原則として取得価額は105万円です。
商品代金の請求書と運送会社の請求書が別々に届いた場合でも、引取運賃であることを確認できれば、取得価額に含めて処理するのが原則です。
請求書に「運賃」「配送料」と記載されていても、仕入先から自社へ引き取るための費用か、取得後に拠点間で移動させる費用かによって取扱いが変わる点に注意します。
参考:国税庁 法人税基本通達 第5章第1節第1款「購入した棚卸資産」
棚卸資産に関連して支払った費用のすべてを、必ず取得価額に含める必要はありません。
買入事務、検収、整理、選別、手入れ、拠点間の移管運賃、一定の長期保管費用などは、その合計額が購入代価のおおむね3%以内であれば、取得価額に算入しないことができます。これが「3%基準」と呼ばれる取扱いです。
たとえば購入代価が100万円なら、3%の目安は3万円です。対象費用が合計2万円であれば3%以内となるため、取得価額に算入せず、支出時の費用として処理できる場合があります。
ただし、仕入先から自社へ運ぶための引取運賃は原則どおり取得価額に含めます。3%以内かどうかは、事業年度ごと、かつ種類等を同じくする棚卸資産ごとに判定します。
| 費用の内容 | 基本的な取扱い |
|---|---|
| 商品・原材料などの購入代価 | 取得価額に含める |
| 仕入先から自社までの引取運賃、荷役費、運送保険料、関税など | 取得価額に含めるのが原則 |
| 買入事務、検収、整理、選別、手入れ等の費用 | 3%基準の対象(算入しないことができる) |
| 販売所等の間で移管するための運賃・荷造費等 | 3%基準の対象 |
| 特別の時期に販売するための長期保管費用 | 3%基準の対象 |
| 不動産取得税、固定資産税・都市計画税、登録免許税、借入金の利子など | 取得価額に算入しないことができる |
税務上の原価法には、個別法・先入先出法・総平均法・移動平均法・最終仕入原価法・売価還元法の6種類があります。会計基準では、総平均法と移動平均法をあわせて「平均原価法」と整理しています。
| 評価方法 | 考え方 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 個別法 | 取得原価の異なるものを区別して記録し、個々の実際原価で評価する | 個別性が強い在庫(販売用不動産、美術品など) |
| 先入先出法 | 古いものから払い出したとみなし、期末在庫は新しい取得分からなるとみなす | 入庫順に管理しやすい在庫、型落ちが早い商品 |
| 総平均法 | 期首と当期仕入の合計金額を合計数量で割り、平均単価を求める | 一定期間でまとめて計算したい場合 |
| 移動平均法 | 仕入のつど平均単価を計算し直し、期末在庫を評価する | そのつど残高単価を把握したい場合 |
| 最終仕入原価法 | 期末に最も近い時期の仕入単価で期末在庫を評価する(法定評価方法) | 仕入単価の変動が小さく、簡便な計算を行う場合 |
| 売価還元法 | グループごとの期末売価合計に原価率を乗じて評価する | 取扱品種の極めて多い小売業など |
単価の決め方で期末在庫の金額は変わります。期首10個@100円、当期に20個@130円を仕入れ、25個販売して期末が5個残ったケースで比べてみます。
| 評価方法 | 期末単価の考え方 | 期末在庫(5個) |
|---|---|---|
| 先入先出法 | 新しい仕入分@130円が残るとみなす | @130円 × 5個 = 650円 |
| 総平均法 | (10×100+20×130)÷30個=@120円 | @120円 × 5個 = 600円 |
同じ数量・同じ仕入でも、評価方法が違えば期末在庫は50円ずれ、その分だけ売上原価と利益も変わります。なお、後入先出法は会計基準では2008年(平成20年)改正で削除され、税務でも2009年度(平成21年度)改正で廃止されているため、現在は選べません。
参考:国税庁 法人税基本通達 第5章第2節第1款「原価法」
低価法は、原価法で求めた金額と期末の時価を比べ、低い方で期末在庫を評価する方法です。ここでの時価は正味売却価額を指します。まず原価法で単価を求め、低価法を採用している場合は時価と比較する、という関係です。
通常の販売目的で保有する棚卸資産は取得原価で計上しますが、期末の正味売却価額が取得原価を下回っている場合は、正味売却価額を貸借対照表価額とし、差額を当期の費用として処理します。
参考:国税庁 法人税基本通達 第5章第2節第2款「低価法」
棚卸減耗損は「数量の不足」、商品評価損は「価値の下落」に対する処理です。決算では、まず数量の差異(減耗)を確定させてから、残った在庫の価値の下落(評価損)を検討する順序で整理すると混乱しません。
棚卸減耗損が通常の事業活動で経常的に発生する場合は、原則として売上原価または製造原価に含めます。一方、災害などによって臨時かつ多額に発生した場合は、特別損失として表示することがあります。具体的な表示区分は、発生原因や金額の重要性を踏まえて判断します。
会計で採用した評価方法を法人税の計算にも使う場合は、所定の期限までに税務署へ届け出ます。届出を行わない場合、税法上は自動的に「最終仕入原価法による原価法」で評価したものとみなされます。
会計ではこれと異なる方法で計算し、その差を申告調整もしていないと、税務調査で指摘を受ける原因になります。
まずは自社が届出をしているか、届け出た方法と会計システムの設定が一致しているかを確認しておきましょう。
| 場面 | 期限・手続き |
|---|---|
| 新設法人 | 設立の日を含む事業年度の確定申告書の提出期限まで |
| 新たな種類の事業を開始・変更したとき | 開始または変更した日を含む事業年度の確定申告書の提出期限まで |
| 評価方法を変更するとき | 変更しようとする事業年度開始の日の前日までに、変更承認申請書を税務署長へ提出 |
参考:国税庁 棚卸資産の評価方法の届出
棚卸資産の取得価額を正しく計算するには、商品代金だけでなく、引取運賃や検収に関する情報も漏れなく集める必要があります。商品代金と付随費用が別々の請求書で届いたり、拠点ごとに受領経路が分かれていたりすると、請求書の計上漏れや勘定科目の誤りが棚卸資産の金額に直結します。
弊社が経理業務従事者441名を対象に実施した調査では、過去1年間で最も多く発生した経理ミスは「請求書の処理ミス(計上漏れ・仕訳間違い)」で149件でした。次いで「勘定科目の誤り」132件、「振込先情報の誤入力」87件と続きます。
発生要因では「アナログ作業(紙・手入力)」が40.9%で最も多く、「担当者の経験不足」31.2%、「属人化」28.3%となっています。

商品本体の請求書だけを処理し、別の運送会社から届いた引取運賃を反映できなければ、期末在庫の単価が実態より小さくなります。反対に、移管運賃を確認せず一律に取得価額へ加えると、在庫を過大に計上する可能性があります。
棚卸資産の精度を上げるには、担当者の注意力だけに頼らず、請求書を一元的に受領し、商品代金・付随費用・発注情報・検収情報を照合できる流れを整えることが重要です。
ここでは、仕入から期末棚卸、棚卸減耗損・商品評価損まで、どの場面でどの仕訳になるのかを確認します。
三分法は、仕入・売上・繰越商品の3勘定で処理する方法です。期中は在庫勘定に触れず、決算整理で期首と期末の在庫を振り替えて売上原価を確定させます。
| 場面 | 借方 | 貸方 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 商品を掛けで仕入れた | 仕入 1,000,000円 | 買掛金 1,000,000円 | 期中は原価をそのまま仕入(費用)へ |
| 商品を掛けで販売した | 売掛金 1,500,000円 | 売上 1,500,000円 | 売価で計上。原価は期中に振り替えない |
| 決算整理①(期首分) | 仕入 400,000円 | 繰越商品 400,000円 | 前期の在庫を当期の原価に含める |
| 決算整理②(期末分) | 繰越商品 500,000円 | 仕入 500,000円 | 当期の原価から期末在庫を除く |
決算整理の2本を入れることで、仕入勘定の残高は「400,000+1,000,000-500,000=900,000円」となり、これが当期の売上原価になります
。決算整理を忘れると期末在庫の分まで費用に含まれ、利益が過少になります。
製造業では、資産が工程を進むたびに勘定科目が移り変わります。どの状態の資産かが、そのまま勘定科目に対応します。
| 場面 | 借方 | 貸方 | 資産の状態 |
|---|---|---|---|
| 材料を掛けで購入 | 材料 500,000円 | 買掛金 500,000円 | 工程投入前=原材料 |
| 材料を製造工程へ投入 | 仕掛品 300,000円 | 材料 300,000円 | 加工中=仕掛品 |
| 製品が完成 | 製品 800,000円 | 仕掛品 800,000円 | 完成=製品 |
| 製品を掛けで販売(売上) | 売掛金 1,200,000円 | 売上 1,200,000円 | ― |
| 製品を販売(原価) | 売上原価 800,000円 | 製品 800,000円 | 資産から費用へ |
仕掛品には材料費だけでなく、直接労務費・直接経費・製造間接費の配賦額も集計されます。仕掛品の金額が何で構成されているかを把握しておくと、案件別の採算や工程の停滞を読み取りやすくなります。
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製造原価における経費とは?直接経費・間接経費の分類と仕訳を解説
実地棚卸で数量の不足が判明したときは棚卸減耗損、時価が帳簿価額を下回ったときは商品評価損を計上します。いずれも繰越商品(または製品・材料)を減らす仕訳です。
| 場面 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 数量不足が判明(棚卸減耗) | 棚卸減耗損 20,000円 | 繰越商品 20,000円 |
| 時価が下落(商品評価損) | 商品評価損 30,000円 | 繰越商品 30,000円 |
棚卸減耗損は数量の差、商品評価損は単価の差から生じます。決算では、先に減耗(数量)を確定させ、その後に評価損(単価)を検討すると、二重に費用計上する誤りを防げます。
棚卸資産は決算期だけの作業にしないことが大切です。月次で指標を見ておくと、異常の兆候を早期に検知でき、決算での慌ただしい判断を減らせます。ここでは検知に絞って、確認したい観点を整理します。
| 確認項目 | 異常のサイン | 次に見るもの |
|---|---|---|
| 在庫が急に増えていないか | 売上が横ばいなのに在庫だけ増えている | 発注ロット、納期前倒しの有無 |
| 長期間動いていない在庫がないか | 最終出庫日が半年以上前 | 正味売却価額、処分見込価額 |
| 帳簿残高と実地棚卸が合っているか | 同じ拠点・同じ品番で毎回ずれる | 受払記録の入力タイミング、担当者の分担 |
| 評価額を見直す必要がないか | 仕入単価の上昇が製造原価に反映されていない | 評価方法の設定、標準原価の改定時期 |
| 拠点・倉庫ごとの集計に漏れがないか | 外部倉庫や委託先の在庫が計上されていない | 拠点別の在庫データ、貯蔵品の振替漏れ |
在庫の過不足は、在庫回転率で早期に察知できます。日数に置き換えると、在庫がどれくらいの期間眠っているかがわかります。
届出がない会社は、法定評価方法の「最終仕入原価法による原価法」で評価したものとみなされます。会計上はこれと違う方法で計算しているのに申告調整をしていないと、調査の場面で説明を求められることがあります。
まずは自社が届出をしているか、その内容と会計システムの設定が合っているかを確認しておきましょう。
引取運賃は、原則として取得価額に含めます。一方で、買入事務・検収・整理・選別・手入れ等の費用や、販売所等の間の移管運賃、長期保管費用などは、合計額が購入代価のおおむね3%以内であれば取得価額に算入しないことができます。
棚卸減耗損は「数量の不足」、商品評価損は「価値の下落」に対する処理です。帳簿より実地の数量が少なく原因がつかめないときは棚卸減耗損、時価が帳簿価額を下回ったときは商品評価損を計上します。
決算では、まず数量の差異を確定させてから、残った在庫の価値の下落を検討する順序で整理すると混乱しません。
在庫管理の精度を重視するなら継続記録法です。棚卸計算法は期末の実地棚卸から差引で払出量を求めるため作業は簡便ですが、減耗などが払出量に紛れてしまい、原因の特定が難しくなります。
日々の受払を継続記録法で残しつつ、定期的に実地棚卸で現物と照合する運用が、差異管理の面でも実務的です。
棚卸資産の区分は工程で決まります。外部から仕入れてそのまま売るなら商品、自社で完成させたら製品、工程投入後で未完成なら仕掛品、投入前なら原材料、未使用の消耗品が残れば貯蔵品です。
一方、金額は数量と単価で決まります。実地棚卸で数量を固め、評価方法で単価を決め、取得価額に何を含めるかを判断する。この流れを押さえれば、検収日のずれや滞留在庫といった迷いやすい場面でも、期末の金額を根拠をもって説明できます。
棚卸資産は売上原価と利益、そして納税額に直結します。正確な在庫管理は決算の精度を高めるだけでなく、資金繰りや購買・生産の判断にも効いてきます。まずは自社の評価方法の届出と、請求書の受領経路の確認から始めてみてください。