更新日:2026.10.23

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見積書は、法人税法や所得税法の各施行規則で保存が義務づけられている書類のひとつです。保管期間は、原則として法人が7年間(欠損金が生じた事業年度は10年間)、個人事業主が5年間です。
保存期間内に見積書を誤って廃棄すると、取引の根拠を示せなくなるだけでなく、青色申告の承認取消しの対象となる可能性もあるため、取り扱いには十分注意しましょう。
本記事では、見積書の保管が必要な理由や、法人・個人事業主それぞれの保管期間、起算日、電子データで受け取った見積書の保存要件などをわかりやすく解説します。見積書の管理ルールを見直す際の参考にしてください。
見積書は、取引内容や金額が決まった経緯を確認するために必要な書類です。法人・個人事業主ともに、税法に基づいて一定期間保存しなければなりません。
例えば税務調査では、帳簿に記載された売上や仕入の金額について、見積書・注文書・納品書・請求書などを照合し、取引内容を確認する場合があります。
また、青色申告の法人や個人事業主が、法令で定められた帳簿書類を適切に保存していない場合は、青色申告の承認が取り消される可能性があります。
税務調査への対応や取引内容の確認に備えるためにも、見積書はほかの取引関係書類とあわせて適切に管理しましょう。
見積書の保管期間は、以下のように定められています。
それぞれの保管期間について詳しくみていきましょう。
法人の場合は、見積書を含む帳簿書類を原則7年間保存しなければなりません。ただし、青色申告書を提出し、欠損金(青色繰越欠損金)が生じた事業年度は、保存期間が10年間に延びます。
保存期間が10年間に延長されるのは、欠損金を翌期以降に繰り越して控除できる期間が10年間だからです。少なくとも10年間は、控除の根拠となる帳簿書類を確認できるようにしておく必要があります。
また、青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた場合も、10年間の保存が求められます。一方、2018年4月1日前に開始した事業年度で欠損金が生じた場合の保存期間は9年間です(経過措置)。
欠損金が生じた事業年度の書類は、ほかの事業年度と分けて保管期限を管理すると、誤って廃棄するリスクを減らせます。
なお、株式会社には、会社法432条に基づき、会計帳簿と事業に関する重要な資料を、会計帳簿の閉鎖のときから10年間保存する義務があります。見積書が重要な資料に該当するかは、その内容や取引との関連性などを踏まえて判断する必要があります。
税法上の保存期間が満了しても、会社法上の保存義務が残る可能性があるため、廃棄する際は確認しましょう。
関連記事:繰越欠損金とは?繰越期間・控除限度額をわかりやすく解説
個人事業主は、見積書を5年間保存する必要があります。青色申告・白色申告のどちらでも、見積書の保存期間は変わりません。
国税庁が示している帳簿・書類ごとの主な保存期間は、以下のとおりです。
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帳簿・書類 |
青色申告 |
白色申告 |
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見積書・請求書・納品書・送り状などの書類 |
5年 |
5年 |
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帳簿(仕訳帳・総勘定元帳、収入や必要経費を記載した帳簿など) |
7年 |
7年(収入金額や必要経費を記載した法定帳簿) ※任意帳簿は5年 |
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決算関係書類(損益計算書・貸借対照表・棚卸表など) |
7年 |
5年 |
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現金預金取引等関係書類(領収書・預金通帳など) |
7年 ※前々年分の事業所得と不動産所得の金額が300万円以下の場合は5年 |
5年 |
なお、消費税の課税事業者は、仕入税額控除を受けるために帳簿と請求書等を原則7年間保存する必要があります。対象は、取引先から受け取った適格請求書(インボイス)や適格簡易請求書、自社が作成し取引先の確認を受けた仕入明細書などです。
また、適格請求書発行事業者は、交付したインボイスの写しも7年間保存しなければなりません。見積書自体の保存期間は5年のままですが、見積書と請求書を同じファイルで管理している場合は、書類ごとに保管期限を区別しましょう。
関連記事:【知らないと危険】請求書の控え、保管期間は7年?電子帳簿保存法に沿った正しい管理術
見積書の保管期間の起算日は、見積書を作成・受領した日ではありません。
法人の場合は、確定申告書の提出期限の翌日(申告期限の延長特例を受けている場合は、原則として延長後の提出期限の翌日)が起算日です。個人事業主の場合は、翌年3月15日の翌日を起算日とします。
見積書の保管期間の起算日を法人・個人事業主別に整理すると、以下のようになります。
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区分 |
起算日 |
具体例 |
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法人 |
その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日(申告期限の延長特例を受けている場合は、原則として延長後の提出期限の翌日) |
3月決算で提出期限が5月31日の場合、6月1日から7年間保存 |
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個人事業主 |
作成・受領した日の属する年の翌年3月15日の翌日 |
2026年中に受け取った見積書は、2027年3月16日から5年間保存 |
見積書の発行日から数えてしまうと、作成・受領した時期によっては本来の期限より1年以上早く廃棄してしまうおそれがあります。保管ファイルには、法人なら事業年度、個人事業主なら見積書を作成・受領した年を、廃棄できる日とあわせて記載しておきましょう。
見積書の保管義務は発行側と受領側のどちらにもあり、保管期間の考え方も同じです。
とくに見落としやすいのが、見積書を相手に渡した発行側の保存義務です。法令では、相手方から受け取った書類だけでなく、自社が作成した書類の写し(控え)がある場合は、その写しも保存対象としています。
また、見積書をメールなどで送信した場合は、送信したデータ自体を電子取引データとして保存する必要があります。
見積書の保管に関しては、発行側・受領側ともに以下の点にも注意しましょう。
ここでは、見積書の保存方法について、紙で保存する場合と電子データで保存する場合に分けて解説します。
紙の見積書は、税務調査などで必要になった際にすぐ取り出せるよう、取引先や事業年度ごとに整理して保存しましょう。
例えば、取引先別にファイルを作成し、見積書・注文書・請求書などの関連書類をまとめて保管する方法があります。事業年度ごとに保管箱を分け、保存期限を明記しておくと、誤廃棄を防ぎやすくなります。
保存方法について特定のファイリング方法が義務づけられているわけではないため、自社の業務に合った管理ルールを定めることが大切です。
関連記事:電子帳簿保存法改正で紙保存は可能?紙の請求書/領収書をどうするべきかについても解説。
メールやクラウドサービスなどで授受した見積書は電子帳簿保存法の電子取引にあたり、原則として電子データのまま保存する必要があります。2024年1月1日以後は、データを破棄して印刷した紙だけを保存する方法は認められていません。
電子取引データを保存する際は、主に以下の要件を満たす必要があります。
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区分 |
主な要件 |
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真実性の確保 |
タイムスタンプの付与、訂正・削除履歴が残るシステムの利用、訂正・削除を防止する事務処理規程の策定・運用など、所定の措置のうちいずれかを満たすこと |
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可視性の確保 |
ディスプレイなどを備え付け、原則として取引年月日・取引金額・取引先で検索できるようにすること |
検索機能については、日付・金額の範囲指定や、複数項目を組み合わせた検索への対応も原則として必要です。ただし、税務職員による電子データのダウンロードの求めに応じられる場合は、これらの追加的な検索要件が不要となります。
さらに、次のいずれかに該当し、税務職員による電子データのダウンロードの求めに応じられる場合は、検索機能自体が不要です。
なお、保存要件を満たせないことについて相当の理由がある場合は、猶予措置が適用されることがあります。ただし、その場合も電子データ自体の保存は必要です。また、税務調査などでデータのダウンロードや印刷した書面の提示・提出に応じられるようにしなければなりません。
一方、紙で受け取った見積書をスキャンして保存し、原本を廃棄する場合は、電子帳簿保存法の「スキャナ保存」の要件を満たす必要があります。
見積書はスキャナ保存制度における「一般書類」に該当し、入力期間の制限がないため、適時にスキャンして保存できます。主な保存要件は以下のとおりです。
スキャナ保存の要件を満たさない場合、スキャンしたデータだけでは税法上の保存義務を果たしたことになりません。紙の原本は、所定の要件に従ってスキャンし、データと原本の内容が一致していることを確認してから廃棄しましょう。
関連記事:電子帳簿保存法(電帳法)における電子取引とは?対象書類や義務化の要点をわかりやすく解説
見積書は、法令で定められた保存期間を過ぎれば、原則として廃棄できます。ただし、会社法に基づく保存義務や社内規程、取引先との紛争への対応などにより、引き続き保管が必要となる場合に注意が必要です。
保存期間内の見積書は、実際に取引が成立しなかった場合でも、安易に廃棄しないようにしましょう。たとえば、複数社から取り寄せた相見積もりは、発注先を選定した経緯や価格の妥当性を確認する資料となります。
一方、取引先に提示していない社内検討用の試算や、作成途中の下書きなどは、正式な見積書とは取り扱いが異なる場合があります。ただし、保存義務の有無は書類の内容や取引との関連性によって判断する必要があります。
見積書を廃棄する際は、以下の点を確認しましょう。
法人の場合、青色申告書を提出して欠損金が生じた事業年度などは、帳簿書類の保存期間が10年間となります。通常の事業年度と区別し、誤って廃棄しないようにしましょう。
見積書の保管期間について、よくある質問に回答します。
見積書は、法令で定められた保存期間を過ぎれば、原則として廃棄できます。ただし、会社法上の保存義務や社内規程などによって、引き続き保存が必要な場合があります。
保存期間内の見積書は、取引が成立しなかった場合でも安易に廃棄しないようにしましょう。例えば、複数社から取り寄せた相見積もりは、取引先の選定経緯や価格の妥当性を確認する資料となるため、保存しておくことが重要です。
なお、社内検討用の下書きや正式に提示していない試算などは、取引との関連性によって保存義務の有無が異なります。廃棄する前に、保存対象となる書類か確認しましょう。
法人における見積書の保管期間は、原則7年間です。ただし、青色申告書を提出した事業年度で欠損金が生じた場合などは、10年間に延長されます。個人事業主の場合は、青色申告・白色申告を問わず、5年間保存してください。
なお、保管期間の起算点は法人と個人事業主で異なる点に注意が必要です。法人は確定申告書の提出期限の翌日から、個人事業主は翌年3月15日の翌日から数えます。
見積書は、取引の内容や金額の根拠を示す書類として、法人税法・所得税法で保存が義務づけられています。保管期間は、法人が原則7年間(欠損金が生じた事業年度は10年間)、個人事業主が5年間です。
保管期間は見積書の発行日からではなく、法人の場合は確定申告書の提出期限の翌日、個人事業主の場合は翌年3月15日の翌日から数えます。見積書を受け取った側だけでなく、発行した側も控えを保存しなければなりません。
紙の見積書は取引先ごとや取引年月日ごとにまとめて保管し、メールなどで授受した見積書は、電子帳簿保存法の要件に沿って電子データのまま保存しましょう。保存方法を社内でルール化しておけば、誤廃棄を防げます。
見積書の保管ルールを見直すと、保管期限の管理漏れや電子帳簿保存法への対応の負担など、経理業務の課題が見えてくることがあります。書類管理を含む経理業務のムダを整理し、効率化を進めたい方は、以下の資料もぜひご活用ください。