更新日:2026.10.08

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電子帳簿保存法(電帳法)には3つの区分があり、そのうち電子取引データの保存に関しては、ほぼすべての事業者が対応しなければなりません。しかし、対象書類や保存方法を正しく理解できていない経理担当者もいるのではないでしょうか。
この記事では、電子帳簿保存法における「電子取引」の意味や3区分の中での位置づけ、対象となる書類の具体例、紙保存が認められない理由などをわかりやすく解説します。
電子帳簿保存法(電帳法)における電子取引とは、取引に必要な書類を電子データでやり取りすることを指します。
電子取引の対象となる主な書類・データは、以下のとおりです。
電子データを受け取った場合だけでなく、自社が発行・送信した場合も電子取引の対象となります。
電子帳簿保存法は、書類を電子データで保存する際の取り扱いを定めた法律です。以下のように、大きく3つの区分があり、それぞれに保存要件・対象書類などが定められています。
|
区分 |
概要 |
対応 |
|
電子帳簿等保存 |
会計ソフトなどで作成した帳簿・書類を電子データで保存 |
任意 |
|
スキャナ保存 |
紙で受け取った書類をスキャンして画像データで保存 |
任意 |
|
電子取引データ保存 |
電子データでやり取りした取引情報をそのまま保存 |
義務 |
「電子帳簿等保存」と「スキャナ保存」は、対応するかどうかを事業者が任意で選べます。一方、「電子取引データ保存」だけは、法律で対応が義務づけられています。
電子帳簿保存法(電帳法)にもとづく電子取引データの取り扱いに関しては、以下の2点について理解を深めておくことが重要です。
それぞれ詳しく解説します。
2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法により、電子取引で授受した書類は、電子データのまま保存することが義務化されました。
2023年12月末までは宥恕措置として、紙に印刷しての保存も認められていましたが、2024年1月1日以後の電子取引では、電子データの保存が必要です。印刷した紙だけを保存し、電子データを保存しない方法は認められません。ただし、保存要件への対応が難しい事業者には、一定の猶予措置が設けられています。
電子取引データ保存の対象となるのは、所得税法または法人税法により帳簿・書類の保存義務があり、電子取引を行う法人や個人事業主などです。副業(雑所得)の場合も、前々年の業務に係る収入が300万円を超えるなど帳簿・書類の保存義務が生じるケースでは対応が必要です。
なお、電子取引データの保存に関しては、猶予措置が設けられています。次の2つをどちらも満たす場合に、タイムスタンプの付与や検索機能などの保存要件を満たさなくてもよいとするものです。
ただし、猶予措置が適用されても、電子データそのものの保存は必要です。印刷した紙だけを保存し、電子データを残さない方法は認められません。
電子帳簿保存法の保存要件に沿った電子取引データの保存ができていない場合、青色申告の承認が取り消される対象となり得ます。
ただし、ただちに承認取消や経費否認につながるわけではありません。取引が正しく記帳・申告され、内容をほかの資料などから確認できる場合には、違反の程度や改善状況を総合的に勘案して判断されるとされています。
とはいえ、繰り返しの指摘や悪質と判断されるケースでは取消のリスクが現実化するため、要件に沿った保存体制を整えておくことが不可欠です。
また、電子取引データに関連して隠蔽・仮装が行われた場合は、通常の重加算税に10%分が加算されます。
「電子取引データの保存義務を知らなかった」という理由は、基本的に通用しません。そのため、早めに自社の対応状況を確認し、必要な体制を整えることが重要です。
以前は、電子データで受け取った書類でも、紙に印刷して保存すれば問題ないとされていました。しかし、原本の電子データと印刷した紙の間で改ざんが行われても気づきにくいという課題がありました。
そこで、国は電子帳簿保存法(電帳法)を改正し、電子データのまま保存を義務づけ、改ざんされていないことを確認しやすくなるようにしたのです。
なお、業務上の都合で、電子取引データを印刷すること自体は禁止されていません。
電子帳簿保存法(電帳法)では、電子取引データ保存に関して以下の2つの要件を定めています。
具体的にどのような対応が必要になるのか、詳しくみていきましょう。
真実性の確保とは、保存したデータが後から改ざんされていないことを担保することです。
具体的には、以下の4つのいずれかの措置をとる必要があります。
このうち、事務処理規程の整備はシステムを導入しなくても対応できるため、コストを抑えたい事業者に向いています。
可視性の確保とは、保存したデータを必要なときにすぐ検索・表示できる状態にしておくことです。
具体的には、以下の3つを満たす必要があります。
3つ目の検索要件に関しては、原則として、1つの項目で探せるだけでなく、日付・金額を範囲で指定した検索や複数の項目を組み合わせた検索にも対応する必要があります。たとえば、日付を2026年4月から6月に絞り込んだり、取引先と金額の2つの条件で検索したりできる状態です。
ただし、税務職員からの電子データのダウンロードの求めに応じられるようにしている場合は、範囲指定検索・組み合わせ検索への対応は不要となります。
電子取引データの保存要件のうち、可視性の確保に含まれる検索機能(検索要件)は、一定の条件下で不要になります。
検索要件が不要になるのは、税務職員からのデータのダウンロードの求めに応じられるようにしたうえで、次のいずれかに当てはまる場合です。
なお、上記の条件が揃っている場合でも、「真実性の確保」の要件を満たし、データを画面・書面にすぐ出力できる状態にしておくことは、引き続き必要です。
電子帳簿保存法(電帳法)にもとづく、一般的な電子取引データの保存手順は以下のとおりです。
メールに添付された請求書や領収書などの電子データは、ダウンロードして所定の場所に保存します。ECサイトやクラウドサービスで発行された明細も、保存期間中に確認できなくなる場合は、閲覧期限までにダウンロードしてください。
一方、ECサイト上で保存期間を通じてデータを随時確認でき、真実性や検索機能などの保存要件を満たしている場合は、必ずしもダウンロードする必要はありません。
まずは各サービスの閲覧期限や検索機能を確認し、保存期間中に確認できなくなるデータを漏れなく保存しましょう。
ダウンロードしたデータは、検索要件を満たせるようにファイル名を統一します。検索要件とは、取引年月日・取引金額・取引先の3項目で検索できる状態にすることです。
取引年月日・取引金額・取引先を統一した順序でファイル名に入れ、税務職員からのダウンロードの求めに応じられるようにすれば、検索要件を満たせます。ダウンロードの求めに応じない場合は、範囲指定検索や組み合わせ検索に対応したシステムまたは索引簿が必要です。
たとえば「20260117_50000_インボイス商事」のように、取引年月日・取引金額・取引先の順で付けると管理しやすくなります。ファイル名での対応が難しい場合は、表計算ソフトで索引簿を作り、データと対応させるのもひとつの方法です。
ファイル名を付けたデータは、社内で決めた保存場所にまとめて格納します。保存先のフォルダを決め、取引先ごとや月ごとなど、探しやすいルールで整理しておきましょう。
あわせて、正当な理由のない訂正・削除を防ぐため、事務処理規程を定めて運用することが重要です。また、パソコンの故障に備え、クラウドや外部媒体へのバックアップも適宜行うことをおすすめします。
なお、電子取引データは、所得税法・法人税法などで定められた期間保存します。法人は原則7年ですが、青色繰越欠損金が生じた事業年度などは10年となる場合があります。
個人事業主は、書類の種類や申告区分によって5年または7年です。なお、消費税法上保存が必要な適格請求書等は、原則7年間保存します。
電子取引の件数が多い場合などは、電子帳簿保存法(電帳法)に対応したシステムの導入がおすすめです。
システムの導入には、以下のメリットがあります。
手作業によるデータの保存・管理は、手間がかかるうえミスも起こりやすくなります。自社の取引量や体制にあわせて、システムの導入を前向きに検討しましょう。
最後に、電子帳簿保存法(電帳法)の電子取引に関してよくある質問に回答します。
請求書・領収書・契約書といった取引に必要な書類をメールやWebサイトなどを通じて、電子データの形でやり取りする取引のことです。
2022年1月施行の改正で義務化され、2023年12月末までの宥恕(ゆうじょ)措置を経て、2024年1月1日から完全義務化されています。なお、2024年1月からは宥恕措置に代わる猶予措置も設けられています。
電子取引とは、請求書・領収書などの書類を電子データでやり取りする取引です。電子帳簿保存法(電帳法)の3区分のうち、唯一対応が義務化されている区分です。メールに添付されたPDFやクラウドからダウンロードした書類などは、原則として電子データのまま適切に保存する必要があります。
真実性の確保・可視性の確保という要件を押さえたうえで、自社にあった保存方法を検討しましょう。
電子取引データの保存を含めた経理業務を効率化したい方は、以下の資料もご確認ください。