更新日:2026.10.27

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債権とは、特定の相手に対して、金銭の支払いや物の引渡しなどを請求できる権利のことです。企業間取引や個人間の金銭の貸し借りなど、さまざまな場面で発生します。
しかし、「債権と債務は何が違うのか」「債権にはどのような種類があるのか」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、債権の基本的な意味や債務・債券との違い、主な種類についてわかりやすく解説します。
債権が消滅する原因や回収方法、管理する際の注意点も紹介するので、債権の仕組みを理解し、適切な管理に役立ててください。
債権とは、特定の相手に対して、金銭の支払いや物の引渡しなど、一定の行為を請求できる権利のことです。
例えば、企業が取引先に商品を販売し、代金を後日受け取る契約を結んだ場合、販売した企業には代金の支払いを請求する権利が発生します。この権利が債権です。
債権を持つ側を「債権者」、請求に応じる義務を負う側を「債務者」と呼びます。
債権は金銭の支払いだけでなく、商品やサービスの提供を請求する権利なども含むため、企業間取引や日常生活のさまざまな場面で発生します。
債権には、意味や表記が似ているものの、異なる概念を持つ用語があります。特に混同しやすい用語は、以下のとおりです。
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用語 |
意味 |
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債務 |
特定の相手に対して一定の行為を行う義務 |
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債券 |
国や企業などが資金調達のために発行する有価証券 |
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物権 |
特定の物を直接支配し、利益を受ける権利 |
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借金 |
他人などから借りたお金や、その返済義務 |
それぞれの意味や債権との違いについて、詳しく解説します。
債務とは、特定の相手に対して、金銭の支払いや物の引渡しなど、一定の行為を行う義務のことです。債権が相手に一定の行為を請求できる「権利」であるのに対し、債務はその請求に応じる「義務」を指します。
例えば、企業が取引先から商品を掛けで購入した場合、購入した企業には代金を支払う債務が発生します。一方、商品を販売した企業には、代金の支払いを請求する債権が発生する仕組みです。
このように、債権と債務は同じ取引において表裏一体の関係にあります。また、売買契約では、売主は代金債権と商品の引渡債務を、買主は商品の引渡請求権と代金支払債務を持つため、双方が債権者と債務者になる場合もあります。
債券とは、国や地方公共団体、企業などが資金を調達するために発行する有価証券のことです。債権が特定の相手に一定の行為を請求できる権利であるのに対し、債券は資金調達のために発行される金融商品を指します。
具体的には、国が発行する国債、地方公共団体が発行する地方債、企業が発行する社債などが代表的な債券です。
例えば、投資家が企業の社債を購入した場合、原則として発行企業から定められた利息を受け取り、償還時に元本の返済を受ける権利を持ちます。
物権とは、特定の物を直接支配し、その利益を受けられる権利のことです。債権が特定の相手に一定の行為を請求する権利であるのに対し、物権は物に対して直接行使できる権利を指します。
代表的な物権は、以下のとおりです。
例えば、不動産を購入する契約を結んだ場合、買主は売主に対して不動産の引渡しなどを請求する債権を持ちます。一方、不動産の所有権は物権に該当し、所有者は法律の範囲内でその不動産を使用・収益・処分できます。
また、債権は原則として特定の相手に対して行使する権利ですが、物権は原則として第三者に対しても主張できる点が大きな違いです。ただし、不動産の所有権などについては、第三者に権利を主張するために登記が必要になる場合があります。
借金とは、他人や金融機関などから借りたお金、またはその返済義務を指す一般的な言葉です。債権が金銭の支払いなどを請求できる権利であるのに対し、借金は主にお金を借りた側の返済義務を表します。
例えば、金融機関から100万円を借りた場合、借りた人には100万円を返済する債務が発生します。一方、金融機関には貸し付けた100万円の返済を請求する債権が発生する仕組みです。
つまり、同じ金銭の貸し借りでも、貸した側から見れば債権、借りた側から見れば借金(債務)となります。
なお、債権には売掛金や商品の引渡請求権なども含まれるため、すべての債権が借金に関するものとは限りません。
債権は、請求する内容や給付の決め方などによって分類されます。分類は互いに重なる場合があり、例えば、金銭の利息を請求する利息債権は金銭債権にも該当します。代表的な種類は、以下のとおりです。
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種類 |
意味 |
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金銭債権 |
一定額の金銭の支払いを請求できる権利 |
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特定物債権 |
個別に指定された特定の物の引渡しを請求できる権利 |
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種類債権 |
種類や数量などで指定された物の引渡しを請求できる権利 |
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利息債権 |
元本に対して発生する利息の支払いを請求できる権利 |
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選択債権 |
複数の給付のうち、いずれか一つを選択して履行を求める権利 |
金銭債権とは、特定の相手に対して、一定額の金銭の支払いを請求できる権利のことです。企業間取引や個人間の金銭の貸し借りなど、幅広い場面で発生します。
代表的な金銭債権には、以下のようなものがあります。
金銭債権は企業の資産として扱われるため、支払期日や回収状況を適切に管理することが重要です。
関連記事:【未収入金とは?】売掛金との違い・仕訳・決算時の管理方法
特定物債権とは、個別に指定された特定の物の引渡しを請求できる権利のことです。同じ種類の物であっても、別の物で代えることができない点が特徴です。
例えば、中古車販売店で車体番号を指定して特定の中古車を購入した場合、買主は売主に対して、その車両の引渡しを請求する権利を持ちます。同じ車種や年式の中古車であっても、契約で指定された車両とは異なるため、原則として売主が一方的に別の車両を引き渡すことはできません。
また、民法第400条では、特定物の引渡しを目的とする債務について、引渡しまで善良な管理者の注意をもって保存する義務が定められています。
このように、特定物債権は、契約で指定された物そのものの引渡しを求める権利です。
種類債権とは、種類や数量などによって指定された物の引渡しを請求できる権利のことです。特定物債権とは異なり、契約で定められた条件を満たしていれば、原則として同じ種類の別の物でも引渡しが認められます。
例えば、企業が取引先に対して「A4コピー用紙を100冊納品する」という契約を結んだ場合、買主には指定された種類・数量のコピー用紙を請求する権利が発生します。この場合、契約で個別の商品が指定されていなければ、売主は条件を満たす商品を用意して引き渡すことが可能です。
なお、民法第401条では、種類のみを指定した債権について、目的物の品質や給付すべき物が特定される条件などが定められています。
利息債権とは、元本に対して発生する利息の支払いを請求できる権利です。利息を支払う取り決めがある場合や、法律の規定によって利息を請求できる場合に発生します。
例えば、企業が取引先に100万円を年利3%で1年間貸し付けた場合、貸付元本100万円の返済を請求する権利とは別に、原則として3万円の利息を請求する権利が発生します。
このように、元本の返済を請求する権利を元本債権、利息の支払いを請求する権利を利息債権と呼びます。
利息債権は金銭債権の一種であり、元本債権を基礎として発生する点が特徴です。
選択債権とは、複数の給付のうち、いずれか一つを選択して履行することを目的とした債権のことです。契約などで複数の給付内容が定められており、その中から一つを選ぶことで履行内容が確定します。
例えば、企業間の契約で「商品Aを100個納品する、または商品Bを50個納品する」と定めた場合、どちらか一方を選択して納品する債務が発生します。
民法第406条では、原則として選択権は債務者に属すると定められていますが、契約などによって債権者や第三者に選択権を与えることも可能です。
選択権が行使されると、原則として選択された給付が契約当初から債権の目的であったものとして扱われます。
債権は、債務者が支払いなどの義務を果たした場合だけでなく、一定の法律上の条件を満たした場合にも消滅します。
債権が消滅する主な原因は、以下の4つです。
それぞれの仕組みや債権が消滅する条件について、詳しく解説します。
弁済とは、債務者が金銭の支払いや商品の引渡しなど、契約で定められた義務を履行することで、債権を消滅させることです。
例えば、企業が取引先に商品を掛けで販売した場合、取引先が代金を全額支払うことで、売掛金に関する債権が消滅します。
また、借主が借入金を返済すると、貸主の貸付金債権は、弁済された範囲で消滅します。一部のみを返済した場合は、原則として未返済分の債権が残ります。
弁済は債権が消滅する代表的な原因であり、民法第473条にも定められています。
相殺とは、当事者双方が互いに同種の債権と債務を持っている場合に、一定の条件のもとで対当額を消滅させることです。
例えば、A社がB社に対して100万円の売掛金債権を持ち、一方でB社に対して60万円の買掛金債務を負っている場合、相殺によって60万円分の債権と債務を消滅させられます。この場合、A社には40万円の売掛金債権が残ります。
相殺を行うことで、実際に金銭をやり取りする手間を省き、決済に伴う負担を軽減することが可能です。
ただし、相殺には原則として双方の債務が弁済期にあることなどの要件があり、相手方への意思表示も必要です。なお、自ら負担する債務について期限の利益を放棄できる場合など、弁済期に関する例外もあります。また、債務の性質や法律上の制限によっては相殺が認められない場合もあります。
関連記事:相殺とは?意味・仕組みとメリット・デメリット、請求書での処理方法をわかりやすく解説
免除とは、債権者が債務者に対して、債務の全部または一部を免除する意思を表示することで、債権を消滅させることです。一般的に債権放棄とも呼ばれます。
例えば、A社がB社に対して100万円の売掛金債権を持っている場合、A社がB社に対して全額を免除する意思を表示すると、原則として100万円の債権が消滅します。
免除は原則として債権者の意思表示によって効力が生じるため、債務者の承諾は必要ありません。ただし、債権放棄によって税務上の問題が生じる場合もあるため、企業が実施する際は慎重な判断が必要です。
消滅時効とは、債権者が一定期間にわたって権利を行使しなかった場合に、時効の援用によって債権が消滅する制度のことです。
民法第166条では、債権の消滅時効について、原則として以下の期間が定められています。
いずれかの期間が経過すると、原則として消滅時効が完成します。ただし、期間が経過しただけで自動的に債権が消滅するわけではなく、原則として債務者などによる時効の援用が必要です。
また、裁判上の請求や債務の承認などによって、時効の完成が猶予されたり、時効が更新されたりする場合もあります。
ここでは、売掛金や貸付金などの金銭債権を回収する方法を解説します。支払期日を過ぎても入金が確認できない場合は、状況に応じて回収を進めましょう。
債権を回収する主な方法は、以下の3つです。
それぞれの方法や対応する際のポイントについて、詳しく解説します。
債権の支払期日を過ぎても入金が確認できない場合は、まず取引先に連絡して支払いを催促しましょう。
入金が遅れている原因には、単純な支払い忘れや請求書の確認漏れ、資金繰りの悪化などが考えられます。そのため、最初から強い態度で支払いを求めるのではなく、未入金の事実を伝えて状況を確認することが重要です。
具体的には、電話やメールで請求金額や支払期日を伝え、入金予定日を確認します。支払いが難しい場合は、分割払いや支払期限の延長などを協議する方法もあります。
また、催促した日時や相手の回答、合意した内容は記録に残しておきましょう。後にトラブルが発生した際の確認資料として活用できます。
電話やメールで催促しても支払いに応じてもらえない場合は、内容証明郵便を送付する方法があります。
内容証明郵便とは、いつ、誰から誰に対して、どのような内容の文書を差し出したかを日本郵便が証明するサービスです。
例えば、未払いの売掛金について、請求金額や支払期限、期限までに支払いがない場合の対応方針などを記載した書面を送付します。
内容証明郵便だけでは、相手が文書を受け取った事実までは証明できません。配達の事実も証明したい場合は、配達証明を併用しましょう。
なお、内容証明郵便自体に支払いを強制する効力はなく、記載内容が真実であることまで証明するものではありません。
催促や内容証明郵便の送付を行っても債権を回収できない場合は、裁判所を通じた法的手続きを検討します。
代表的な方法には、以下のようなものがあります。
ただし、強制執行には、確定判決や仮執行宣言付支払督促などの債務名義が原則として必要です。
また、法的手続きには費用や時間がかかる場合があるため、債権額や相手の支払能力などを考慮し、必要に応じて弁護士などの専門家に相談しましょう。
債権を管理する際は、以下の2つのポイントに注意しましょう。
それぞれの注意点について、詳しく解説します。
債権の未回収を防ぐためには、支払期日や入金状況を正確に把握することが重要です。
企業間取引では、商品やサービスを提供してから代金を受け取るまでに一定の期間が空くことがあります。複数の取引先と掛け取引を行っている場合、管理が不十分だと入金の遅れや請求漏れを見逃すおそれがあります。
そのため、取引先ごとの請求金額や支払期日、入金状況などを債権管理表に記録し、定期的に確認しましょう。また、入金があった際は請求内容と照合する入金消込を行い、未回収の債権が残っていないか確認することも大切です。
支払期日を過ぎても入金がない場合は、速やかに取引先へ確認し、回収遅延の長期化を防ぎましょう。
関連記事:消込とは?入金消込・支払消込の違いや仕訳例、効率化の方法を解説
債権の未回収リスクを抑えるためには、取引先の信用状況を定期的に確認することが重要です。取引先の経営状態が悪化すると、支払いが遅延したり、売掛金を回収できなくなったりするおそれがあります。
そのため、新規取引を開始する際は、企業の財務状況や事業実績、支払能力などを確認し、取引の可否や取引限度額を判断しましょう。
また、既存の取引先についても、入金遅延の増加や業績の悪化などが見られないか、継続的に確認することが大切です。
信用状況に変化があった場合は、取引限度額の見直しや前払いへの変更などを検討します。このような与信管理を行うことで、債権の未回収リスクを軽減できます。
関連記事:債権管理とは?目的や与信管理との違い、業務フローなどを解説
債権についてよくある質問に回答します。
債権は、原則として第三者に譲渡することが可能です。
例えば、企業が保有する売掛金債権を別の企業に譲渡することで、譲受人が取引先に代金を請求できるようになります。ただし、債権の性質や法律上の制限によって譲渡できない場合もあります。
また、債務者に対して譲渡を主張するには、原則として譲渡人からの通知または債務者の承諾が必要です。債務者以外の第三者に対しては、確定日付のある証書による通知または承諾など、所定の対抗要件を満たす必要があります。
債権は、原則として相続の対象になります。
例えば、亡くなった人が第三者にお金を貸していた場合、その貸付金債権は原則として相続人に引き継がれます。ただし、扶養請求権など、権利者本人に専属する性質の債権は相続されません。
また、相続では債権などのプラスの財産だけでなく、借入金などの債務も原則として引き継がれるため、相続財産の内容を確認することが重要です。
債権を持つとは、特定の相手に対して、金銭の支払いや物の引渡しなどを請求できる権利を持っている状態のことです。
例えば、企業が取引先に商品を掛けで販売した場合、代金を受け取るまでは売掛金債権を持っていることになります。
この場合、商品を販売した企業が債権者、代金を支払う義務を負う取引先が債務者です。
なお、債権を持っていても、相手の支払能力などによっては必ずしも回収できるとは限りません。
債権とは、特定の相手に対して、金銭の支払いや物の引渡しなどを請求できる権利のことです。金銭債権や特定物債権、種類債権などさまざまな種類があり、企業間取引や日常生活の幅広い場面で発生します。
債権は弁済や相殺、免除などによって消滅するほか、一定期間権利を行使しなかった場合には消滅時効が問題となることもあります。
債権を適切に管理するためには、支払期日や入金状況を正確に把握するだけでなく、日々の経理業務を効率化することも重要です。
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