更新日:2026.10.23

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入金管理とは、取引先から受け取る売上代金などについて、入金の確認・記録・照合や未入金の追跡を行う業務全般のことです。
取引では、売上を計上してから代金が入金されるまでに時間差があります。そのため、入金状況を適切に管理できていないと、未回収の売掛金を見落としたり、手元資金が不足したりするおそれがあります。こうしたリスクを防ぐには、入金の確認から未入金への対応までを、日々正確に行うことが重要です。
本記事では、入金管理の基本的な流れやエクセル・システムを使った管理方法、入金管理の注意点、効率化のポイントなどを解説します。
入金管理とは、請求した代金が予定どおり入金されたかを確認し、未回収の代金を把握する業務です。
具体的には、入金予定日の管理、銀行明細と請求データの照合、入金消込、未入金への対応などを行います。
入金管理が不十分だと、回収済みの売掛金が帳簿上に残ったり、未入金への対応が遅れたりするおそれがあります。正確な入金管理は、売掛金残高の把握や資金繰りの改善にも役立ちます。
入金管理は、一般的に次の4つの手順で進めます。
各手順の業務内容を具体的にみていきましょう。
入金管理は、いつ・どの取引先から・いくら入金されるかを把握することから始まります。実務上は入金管理台帳を作成し、以下のような項目を整理するケースが一般的です。
入金予定が整理されていないと、期日を過ぎても入金がない請求に気づけません。たとえば、締め日や支払日が異なる取引先が複数ある場合は、入金予定日ごとに請求を並べておくと、照合の対象をすぐに絞り込めます。
一部入金などで前月から残高が繰り越されている請求は、請求額とは別に、現時点の未回収額を記載しておくことも大切です。
入金が確認できたら、入金日や入金額などの情報と、手元にある売掛金データを照合しましょう。
照合作業では、振込名義が請求先と一致しているかも確認します。親会社やグループ会社からの支払い、代表者の個人名義での振込など、請求先の会社名と振込名義が異なるケースも少なくありません。そのため、取引先ごとの振込名義を一覧で管理しておくと照合がスムーズです。
金額や名義が一致しない場合は、原因を突き止めたうえで、取引先と連絡を取る必要があります。
入金額と請求内容が一致していることを確認したら、入金消込を行います。入金消込とは、入金を確認した売掛金を回収済みとして処理し、帳簿上の残高から減らす作業のことです。
たとえば、売掛金110,000円(税込)が普通預金に全額入金された場合、売掛金を減らして普通預金を増やす仕訳を行います。具体的な仕訳は以下のとおりです。
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借方 |
貸方 |
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普通預金 |
110,000円 |
売掛金 |
110,000円 |
なお、請求額の一部だけ入金された場合は、入金額のみを消し込み、残額は売掛金として残します。消込を終えたら、入金管理表やシステム上の状態も「消込済」に更新しておきましょう。
関連記事:消込とは?入金消込・支払消込の違いや仕訳例、効率化の方法を解説
入金予定日を過ぎても入金が確認できない場合は、まず自社の請求内容や入金記録を確認しましょう。
確認する項目は、以下のとおりです。
自社側に問題がなければ、取引先へ連絡し、支払状況を確認します。入金予定日を再確認し、必要に応じて督促状の送付などを検討しましょう。
長期間にわたって入金がない場合は、法的手続きや貸倒損失の計上を検討する場合もあります。ただし、債権の回収方法や税務処理は状況によって異なるため、必要に応じて専門家へ相談してください。
また、問い合わせ日や取引先からの回答、今後の入金予定日などは管理表に記録します。対応履歴を残すことで、督促漏れや担当者間の認識のずれを防げます。
関連記事:貸倒損失とは?計上できる3つのケースと仕訳・判断ステップを解説
入金管理の方法は、大きく分けて以下の2つがあります。
取引件数や担当者の人数に合わせて、自社に合う方法を選びましょう。
エクセルで入金を管理する場合は、請求ごとに取引先名、請求金額、入金予定日、入金日、入金額などを1行ずつ記録した入金管理表を作成します。銀行の入金明細と照らし合わせて入金日と入金額を入力し、請求金額との差額を計算したり、入金予定日を過ぎた請求を関数で抽出したりする方法が一般的です。
エクセルでの入金管理には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
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メリット |
デメリット |
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・既存のソフトを使えるため、追加費用をかけずに始められる ・項目や様式を自社の運用に合わせて自由に変えられる |
・転記や照合を手作業で行うため、入力ミスが起こりやすい ・数式や運用ルールを作成者しか把握していない状態になりやすい ・取引件数が増えるほど、照合や確認に時間がかかる |
エクセルの強みは、導入の手軽さと自由度の高さです。インターネットバンキングの入金明細をCSVで取得して貼り付ければ、手入力の手間も抑えられます。
ただし、手作業が残る以上、入力ミスや数式の上書きを完全には防げません。数式のセルをシートの保護で守る、処理日や処理者を記録するといった工夫でミスを抑えましょう。
関連記事:経理で役立つExcel活用術 | 経理の突合ミスを防ぐVLOOKUP・XLOOKUPの作り方と運用方法
取引件数が多い企業では、入金管理システムを使用するのも有効な手段です。入金管理システムを使用すると、銀行明細の取り込みや請求データとの照合などを効率化できます。製品によっては、入金消込の自動化や会計ソフトとの連携にも対応しており、手作業による確認や転記の負担を軽減できます。
入金管理システムの代表的な機能は以下のとおりです。
入金管理システムの導入を検討する際は、利用中の銀行や会計ソフトと連携できるかを確認しましょう。一部入金や合算入金、振込手数料の差し引きに対応できるかも重要な確認項目です。
ただし、自動照合の結果が常に正しいとは限りません。金額や名義が一致しない入金は担当者が確認して承認する運用を残し、システムと人の役割を分けておくことが大切です。
入金管理を行ううえでは、以下の2点に注意が必要です。
それぞれの注意点について詳しく解説します。
振込手数料を売手と買手のどちらが負担するかは、取引を始める前に契約書などで明確にしておきましょう。
民法485条では、弁済にかかる費用は、別段の意思表示がなければ債務者が負担すると定められています。そのため、特約がなければ、原則として代金を支払う買手が振込手数料を負担します。
ただし、実務では買手が振込手数料を差し引いて入金するケースもあります。たとえば、請求額が100,000円でも、振込手数料440円を差し引いた99,560円が入金される場合です。
このような場合は、事前の取り決めに従って、不足額を請求するか、売手負担として処理するかを判断します。振込手数料の負担方法を明確にしておけば、入金額と請求額に差額が生じた際もスムーズに対応できます。
なお、売手が振込手数料相当額を負担する場合は、契約内容や取引の実態に応じて、売上値引きや支払手数料などとして処理します。売上値引きとして処理する場合、税込1万円未満であれば適格返還請求書(返還インボイス)の交付義務は免除されます。
振込手数料の取り扱いについては、事前に取引先と合意し、請求書にも「振込手数料は貴社にてご負担ください」などと記載しておくと、認識のずれを防げます。
関連記事:請求書の手数料は原則どちらが払う?負担をお願いする際の例文やルールを解説!
入金額の過不足や入金元が不明な入金など、入金ミスへの対処法はあらかじめ社内ルールとして決めておきましょう。対処法が決まっていないと、担当者ごとに判断が分かれ、誤消込や対応漏れの原因になります。
主な入金ミスと対処法は以下のとおりです。
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入金ミスの種類 |
主な対処法 |
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入金額が不足している |
入金額だけを消し込み、残額は売掛金として残したうえで、取引先に不足分の支払いを依頼する |
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入金額が多い(過入金・二重入金) |
請求額を超える入金があった場合は、取引先に確認し、返金するか次回請求に充当するかを協議する。処理方法が決まるまでは、必要に応じて仮受金などの勘定科目で一時的に処理する。 |
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入金元がわからない |
振込名義や金額から取引先を調べ、判明するまでは仮受金などで処理する |
いずれの入金ミスも、金額や名義が一致しない入金を推測で消し込まず、取引先に事実を確認してから処理することが重要です。また、確認中の入金は処理済みの入金と区別し、問い合わせ日や対応内容を記録しておくと、担当者が変わっても経緯をたどれます。
入金管理を効率化するには、照合作業そのものを自動化するとともに、請求情報と入金情報を結びつけやすい仕組みを整えることがポイントになります。
主な効率化の方法は以下のとおりです。
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方法 |
主な取り組み |
期待できる効果 |
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入金管理システムの導入 |
銀行とAPIで連携し、入金明細の取り込みと照合を自動化する |
転記や照合の手間が減り、入力ミスを減らせる |
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バーチャル口座の活用 |
取引先ごとに異なる振込先口座番号を割り当てる |
振込先の口座番号で入金元を特定でき、振込名義が異なる場合や同額の入金があった場合でも照合しやすくなる |
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請求書の工夫 |
請求書に請求番号や顧客コードを記載し、振込依頼人名の先頭に入力してもらうよう依頼する |
請求番号を手がかりに、どの請求書に対する入金かを判別しやすくなる |
APIとは、異なるシステム同士でデータをやり取りする仕組みです。連携できる銀行や取得できる情報は製品によって異なるため、導入前に確認しましょう。
バーチャル口座は、金融機関などが提供しているサービスです。利用にあたっては、申込みや手数料の支払いが必要な場合もあります。
効率化の方法は、一度にすべて取り入れる必要はありません。社内に混乱を招かない範囲で、自社の規模や取引数に見合った方法を選択しましょう。
最後に、入金管理について、実務でよく寄せられる質問に回答します。
入金管理は、入金予定の確認から未入金への対応までを含む業務全体を指します。そのなかで、入金を確認した売掛金を帳簿から消す作業が入金消込です。
つまり、入金消込は入金管理の一部にあたります。消込だけを正確に行っていても、入金予定の把握や未入金への対応などが漏れていれば、入金管理として十分とはいえません。
入金件数が少なければ、エクセルで作成した入金管理表でも対応可能です。
しかし、エクセルの関数やマクロ機能を活用しても、完全に自動化するのは難しく、入力ミスや入力漏れが発生する可能性はあります。また、複数の請求をまとめた入金や一部入金、請求先と振込名義が異なる入金は、関数だけで正しく判断できない場合がある点にも注意が必要です。
消込に時間がかかるようになった、差額の確認や誤消込が増えたなど、運用上の負担が目立ってきた場合にはシステム化を検討しましょう。
入金管理とは、取引先から受け取る売上代金などについて、入金の確認・記録・照合や未入金の追跡を行う業務全般のことです。未回収の売掛金を早期に発見し、資金繰りや決算の数値を正しく保つためにも、入金管理を日々正確に行う必要があります。
一方で、入金件数が増えるほど照合や転記にかかる時間は増え、手作業によるミスも起こりやすくなります。
入金管理を効率化するには、請求データと入金明細を正確に照合できる仕組みが重要です。取引件数が少ない場合はエクセルで管理し、件数が増えて照合や消込の負担が大きくなった場合は、システム化を検討しましょう。
入金消込をはじめとする定型業務の効率化や、属人化の解消に悩んでいる方は、具体的な改善手法をまとめた以下の資料もぜひご活用ください。