更新日:2026.11.06

ー 目次 ー
切手を事業の郵送に使用した場合は、一般的に「通信費」で処理します。商品の発送に使う場合は「荷造運賃」、未使用のまま保管している分は「貯蔵品」として管理します。
切手の経理処理では、勘定科目に加えて、消費税の扱いにも注意が必要です。郵便局での購入は非課税ですが、国内の郵便サービスを利用したときは、原則として課税仕入れになります。また、費用にする時期と、仕入税額控除を受ける時期が一致するとは限りません。
本記事では、切手の勘定科目と仕訳を整理したうえで、消費税・インボイスの扱いを解説します。未使用分の管理や、はがき・レターパックなどの処理も確認しましょう。
切手は、使用した分を通信費などの費用に、まだ使用していない分を貯蔵品という資産に計上するのが基本です。用途や保有状況に応じて、次のように使い分けます。
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用途・状況 |
勘定科目の例 |
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請求書・契約書などの書類発送に使用した |
通信費 |
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商品の発送に使用した |
荷造運賃 |
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購入後、未使用のまま保管している |
貯蔵品 |
切手は、購入しただけでは郵便サービスを利用していません。そのため、購入時に貯蔵品へ計上し、使用したときに通信費などへ振り替える方法があります。
一方、期中は購入時に通信費で記帳し、決算で未使用分を貯蔵品へ振り替える方法もあります。どちらの方法でも、当期に使用した分と、翌期以降に使用する分を区別することが重要です。
なお、切手は郵便料金の支払いに使うものであり、税金を納めるためのものではありません。収入印紙と混同して、租税公課で処理しないようにしましょう。
関連記事:通信費の平均とは?経費処理する際の勘定科目や仕訳例、月額の平均相場を紹介
切手と収入印紙は、どちらも郵便局などで購入できますが、使用目的が異なります。
切手は郵便料金の支払いに使うため、使用分を通信費や荷造運賃で処理します。一方、収入印紙を印紙税の納付に使った場合は、租税公課で処理します。
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比較項目 |
切手 |
収入印紙を印紙税の納付に使う場合 |
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使用目的 |
郵便料金の支払い |
印紙税の納付 |
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使用時の勘定科目 |
通信費・荷造運賃など |
租税公課 |
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未使用分の勘定科目 |
貯蔵品 |
貯蔵品 |
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使用に係る消費税 |
国内郵便は原則として課税仕入れ |
印紙税の納付は対象外 |
郵便局など一定の場所で購入した場合、切手も収入印紙も購入取引は非課税です。ただし、使用時は、郵便サービスを利用するのか、税金を納めるのかによって扱いが分かれます。
関連記事:収入印紙はいくらから必要?領収書・契約書の印紙税額をわかりやすく解説
切手の仕訳は、購入時に貯蔵品へ計上する方法と、通信費へ計上して期末に調整する方法に分けると整理しやすくなります。
ここでは、郵便局で額面合計5,000円の切手を現金購入し、当期中に3,000円分を使用、期末に2,000円分が残った架空の例を紹介します。すべて事業用の書類発送に使い、税込経理を行う前提です。消費税区分は、後述の扱いに沿って別途設定します。
購入時は、未使用の切手を貯蔵品として計上します。
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借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
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貯蔵品 |
5,000円 |
現金 |
5,000円 |
その後、3,000円分を郵送に使用した時点で、通信費へ振り替えます。
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借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
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通信費 |
3,000円 |
貯蔵品 |
3,000円 |
この方法では、使用した分を記録していれば、貯蔵品の帳簿残高は2,000円になります。期末には現物を数え、未使用分と帳簿残高が一致しているか確認します。
使用のたびに仕訳する代わりに、受払簿などで使用状況を記録し、一定期間ごとに集計して振り替える運用も考えられます。
購入時に、全額を通信費として記帳します。
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借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
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通信費 |
5,000円 |
現金 |
5,000円 |
決算時に未使用分が2,000円あれば、通信費から貯蔵品へ振り替えます。
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借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
|
貯蔵品 |
2,000円 |
通信費 |
2,000円 |
この調整により、当期の通信費は使用額の3,000円、期末の貯蔵品は未使用額の2,000円になります。
翌期は、使用したときに貯蔵品から通信費へ振り替える方法のほか、期首に前期末の振替を戻す方法もあります。期首に振り戻す場合の仕訳は、次のとおりです。
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借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
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通信費 |
2,000円 |
貯蔵品 |
2,000円 |
期首に振り戻した場合は、同じ切手の使用時に再度費用計上しないようにし、翌期末に残った未使用分を改めて調整します。
いずれの方法でも、決算時に未使用分を確認することが基本です。購入額が少額であることや、毎年購入していることだけを理由に、未使用分の確認・振替を一律に省略しないようにしましょう。
関連記事:決算整理仕訳とは?進め方の手順と仕訳の種類一覧をわかりやすく解説
切手の消費税は、「どこから購入したか」と「いつ課税仕入れを計上するか」を分けて考えます。
郵便局や、郵便切手類販売所として定められたコンビニなどで購入する切手は、非課税です。一方、承認販売所などに該当しない金券ショップでの販売は、課税対象になります。
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購入先 |
切手の購入取引の消費税 |
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郵便局・郵便切手類販売所など |
非課税 |
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上記に該当しない金券ショップなど |
課税 |
国税庁も、郵便切手類の譲渡が非課税になるのは、日本郵便や一定の販売所などによるものに限られるとしています。
金券ショップから購入する場合は、購入先が発行するインボイスなども確認します。購入時の課税仕入れと使用時の処理を混同し、同じ支出について仕入税額控除を重複させないようにしましょう。
郵便局などでの購入が非課税でも、国内の郵便サービス自体まで非課税になるわけではありません。原則として、切手を使って郵便サービスを受けた時点で、課税仕入れを計上します。
つまり、「切手の購入」と「郵便サービスの利用」は、別の取引として整理します。
購入時に貯蔵品へ計上したか、通信費へ計上したかだけで、消費税の処理時期が決まるわけではありません。勘定科目と消費税区分を、それぞれ確認する必要があります。
自社で使用する一定の切手は、継続適用を条件に、購入代金を支払った課税期間の課税仕入れとして処理できます。対象は、切手だけを対価としてポストへ投函する郵便サービスなどです。
ただし、「購入時に通信費で記帳したから、すべて購入時に控除できる」という意味ではありません。使用目的や差出方法が、認められる取引に該当するかを確認します。
また、この扱いは消費税の控除時期に関するものです。未使用分を費用として残せるかという判断とは分けて考えましょう。期末に貯蔵品へ振り替える処理と、消費税の控除時期が一致しない場合もあります。
インボイスの保存が必要かどうかは、切手を買った場面と、郵便サービスを利用した場面で異なります。
郵便局で切手を購入した際の領収書は、非課税取引のため、インボイスには該当しません。ただし、購入内容を示す資料として必要なので、インボイスでないことを理由に廃棄しないようにしましょう。
郵便切手類のみを対価とする、郵便ポストに差し出された郵便・貨物サービスには、帳簿のみの保存で仕入税額控除を受けられる特例があります。切手を貼った郵便物や、料額印面の付いたはがき・レターパックなどのポスト投函が該当します。
この場合も、記帳が不要になるわけではありません。取引年月日・相手方の名称・取引内容・金額などの通常の事項に加え、帳簿のみの保存が認められる取引である旨を記載します。
たとえば、摘要欄に「請求書発送・切手使用・ポスト投函」などと記載し、特例対象の郵便サービスであることが分かるようにします。この郵便サービスについて、相手方の住所・所在地の記載は不要とされています。
窓口で郵便料金を支払う場合は、交付された領収書などがインボイスになります。料金後納の場合は、請求書などがインボイスとなるため、帳簿と合わせて保存します。
切手貼付済みの郵便物などを窓口へ差し出す場合は、追加料金や特殊取扱いの有無を確認します。インボイスが交付されない場合の仕入税額控除については、利用内容に応じた帳簿の記載・保存方法を確認しましょう。
「窓口に持ち込めば必ずインボイスが発行される」と判断せず、郵便サービスの内容と料金の支払方法を確認しましょう。
はがきやレターパックなども、使用目的と未使用かどうかで整理します。郵便局で購入したものでも、郵便料金を表す商品と、単なる包装用品では扱いが異なります。
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商品・サービス |
勘定科目の例 |
管理上のポイント |
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通常はがき・年賀はがき |
通信費など |
未使用分は貯蔵品として管理する |
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レターパック・スマートレター・ミニレター |
通信費・荷造運賃など |
郵便料金を含む商品のため、未使用分を確認する |
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ゆうパック・宅配便の送料 |
通信費・荷造運賃など |
書類か商品かなど、発送目的に応じて処理する |
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料金別納・後納の郵便料金 |
通信費・荷造運賃など |
利用内容と請求・支払額を照合する |
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段ボール・封筒などの包装用品 |
荷造費・消耗品費など |
郵便料金を含む商品と区別する |
レターパックやスマートレターなどの郵便切手類は、郵便局での購入時は原則として非課税です。一方、段ボールなどの包装用品まで、同じ理由で非課税になるわけではありません。レシートに複数の商品が含まれる場合は、明細ごとに確認します。
また、販促用の印刷・発送業務を広告宣伝費としてまとめて管理するなど、勘定科目の分け方は会社によって異なります。同じ内容の支出には、合理的で一貫した基準を適用しましょう。
切手は少額でも、購入・使用・保管の状況を確認できるようにすることが大切です。特に、次の3点を押さえましょう。
購入日・額面・枚数・使用日・使用目的などを、受払簿や管理表へ記録します。期末には部署や拠点ごとに保管している分を集計し、現物の枚数と記録を照合しましょう。
切手を封筒に貼っただけで、まだ発送していないものも確認対象です。保管場所の切手だけを数えると、未使用分の集計が漏れるおそれがあります。
まとめ買いした切手が長期間残っている場合は、購入量が実際の使用量に合っているかも見直します。
購入時に通信費を計上した場合は、使用時にも同じ金額を費用へ計上しないようにします。貯蔵品を翌期首に振り戻す方法を採用している場合も、使用時の処理と重複させないことが重要です。
消費税についても、購入時に課税仕入れを計上済みなのか、使用時に計上する方針なのかを明確にします。
会計ソフトでは、科目だけでなく税区分も確認しましょう。期末の貯蔵品振替が、費用だけを調整するものなのか、消費税の調整も必要なのかを区別して処理します。
個人事業主が、事業用として購入した切手を私的な郵送に使った場合、その分は事業の必要経費にできません。使用記録をもとに事業分と私用分を区別し、事業用資金から負担した私用分は事業主貸などで処理します。
切手は、使用枚数や用途を把握しやすい支出です。根拠のない割合で一律に按分するより、実際の使用状況を記録して区分すると明確になります。
法人の場合も、会社の切手を私的に使った分は、本人からの精算などを含めて適切に処理します。事業主貸は個人事業主の科目であり、法人では使用しません。
ここでは、切手の購入や使用に伴う仕訳や勘定科目に関して、実務で迷いやすい疑問に回答します。
事業用の切手代を、事業の帳簿に含めていない私用の現金で支払った場合は、貸方を事業主借として処理します。
たとえば、1,100円分を購入してすぐに事業の郵送へ使用した場合は、「借方:通信費1,100円/貸方:事業主借1,100円」です。未使用のまま保管する場合は、貯蔵品への計上や期末調整を行います。
自社で購入した切手を返信用封筒へ貼り、その封筒で取引先から返送を受ける場合も、一定事項を記載した帳簿の保存により仕入税額控除を行えるとされています。
購入時に仕入税額控除を行った後、返送を受けないことが明らかになった場合は、その課税期間で仕入控除税額を調整する扱いが認められています。
郵便局での切手購入は原則として非課税であり、交付される領収書はインボイスではありません。インボイスの記載事項がないことだけで、書類に不備があるとはいえません。
ただし、領収書は購入事実を示す資料として保存します。仕入税額控除については、実際の使用方法や購入時処理の要件、帳簿の記載内容を確認しましょう。
切手は、使用分を通信費や荷造運賃、未使用分を貯蔵品として管理するのが基本です。購入時に通信費で記帳する場合も、期末には未使用残高を確認して調整します。
消費税は、購入先や郵便サービスの利用方法によって扱いが異なります。費用計上と仕入税額控除の時期を混同せず、ポスト投函の特例や窓口で交付される書類も確認しましょう。
切手をはじめ、少額の経費でも勘定科目や税区分に迷う場面はあります。 日々の仕訳を整理したい方は、以下の資料もぜひご活用ください。