更新日:2026.10.08

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資金繰り表とは、一定期間の現金・預金の収入と支出を、将来の予定を含めてまとめた管理表です。損益計算書で利益が出ていても、売上代金の回収より支払いが先に到来すれば、手元資金が不足する可能性があります。
この記事では、資金繰り表の意味や作成目的、キャッシュフロー計算書との違い、必要な項目、具体的な作り方をわかりやすく解説します。
資金繰り表では、実際の入金・支払いのタイミングをもとに、一定期間ごとの現預金残高を確認します。損益計算書では把握しにくい「いつ、いくら資金が不足する可能性があるか」を確認できる点が特徴です。
月次の資金繰り表では、基本的に次の計算で翌月繰越残高を求めます。
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翌月繰越残高=前月繰越残高+当月の収入-当月の支出 |
資金繰り表に記載するのは、売上や費用が発生した日ではなく、実際の入金日・支払日です。たとえば、4月に売上を計上しても、取引先からの入金が6月であれば、資金繰り表には6月の収入として記載します。
資金繰り表を作成する主な目的は、次のとおりです。
それぞれの目的について、詳しく確認していきましょう。
資金繰り表を作成すると、数か月先の現預金残高を予測できるため、支払いに必要な資金が不足する時期を事前に把握できます。
たとえば、次のような状況では資金不足が発生しやすくなります。
損益計算書が黒字でも、支払日に必要な現金がなければ、仕入代金や給与、税金などを支払えません。利益が出ているにもかかわらず資金不足に陥る、いわゆる黒字倒産を防ぐためにも、将来の残高を継続して確認することが重要です。
将来の資金不足が見込まれる場合でも、資金繰り表の活用によって早い段階で把握できれば、次のような対策を検討できます。
融資は、申し込んですぐに実行されるとは限りません。資金が不足する直前ではなく、数か月前から金融機関へ相談できるようにしておくことが大切です。
また、売掛金の入金日と買掛金の支払日を整理すると、入金より支払いが先行している取引も把握できます。
関連記事:【科目解説】売掛金・買掛金とは? | 月次締めで押さえるべきポイントを徹底解説
資金繰り表は、将来の予測を作成するだけでなく、予測額と実績額を比較することで管理精度を高められます。
差額が生じた場合は、次のような原因を確認します。
毎月、予測と実績の差を確認し、翌月以降の見込みへ反映することで、資金繰り表の精度が高まります。日本政策金融公庫の資料でも、月次の予測と実績を比較し、差異の原因を分析・修正することが重要とされています。
資金繰り表とキャッシュフロー計算書は、どちらも資金の動きを示す資料ですが、作成目的や対象期間が異なります。
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比較項目 |
資金繰り表 |
キャッシュフロー計算書 |
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主な目的 |
将来の資金不足を予測・回避する |
一定期間の資金増減とその原因を報告する |
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対象期間 |
過去の実績と将来の予定 |
原則として過去の実績 |
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主な利用者 |
経営者・経理担当者・金融機関 |
経営者・投資家・債権者など |
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作成頻度 |
日次・週次・月次など任意 |
法定開示などのスケジュールに応じて作成 |
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様式 |
会社が自由に設定できる |
会計基準に沿って作成する |
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主な区分 |
経常収支・設備収支・財務収支など |
営業活動・投資活動・財務活動 |
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作成義務 |
一般企業に一律の法的義務はない |
法定開示の対象企業などに求められる |
資金繰り表は、将来の入出金予定を含めて現預金残高を予測する社内管理資料です。会社の業種や管理目的に合わせて、項目や期間を自由に設定できます。
一方、キャッシュフロー計算書は、一会計期間に生じたキャッシュの増減を、次の3区分で表示する財務諸表です。
キャッシュフロー計算書が過去に現金が増減した理由を分析する資料であるのに対し、資金繰り表は将来の残高を予測して資金不足に備える資料といえます。
関連記事:【直接法・間接法】キャッシュフロー計算書の作り方を解説!手法別のメリット・デメリットも紹介
資金繰り表の様式に統一された決まりはありませんが、一般的には次の項目を設けます。
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区分 |
内容 |
主な項目の例 |
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前月繰越 |
月初時点の現預金残高 |
・現金 ・普通預金 ・当座預金 |
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経常収入 |
通常の事業活動による入金 |
・現金売上 ・売掛金回収 ・受取手形決済 |
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経常支出 |
通常の事業活動による支払い |
・仕入代金 ・外注費 ・給与 ・家賃 ・諸経費 |
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設備収支 |
固定資産の取得・売却による収支 |
・設備購入 ・車両購入 ・固定資産売却 |
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財務収支 |
資金調達・返済による収支 |
・借入金 ・借入金返済 ・増資 ・配当 |
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その他の収支 |
上記以外の臨時的な収支 |
・税金 ・保険金 ・補助金など |
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翌月繰越 |
月末時点の現預金残高 |
前月繰越+収入-支出 |
実務では、税金や社会保険料、借入金の返済など、金額が大きい支出の記載漏れに注意が必要です。
また、損益計算書上の仕入高や人件費をそのまま転記するのではなく、実際に支払う月へ記載します。減価償却費のように現金支出を伴わない費用は、資金繰り表の支出には含めません。
反対に、借入金の元本返済は損益計算書上の費用ではありませんが、現金が減少するため資金繰り表には記載します。
資金繰り表は、現在の現預金残高を出発点として、将来の入金予定と支払予定を時系列で積み上げて作成します。
基本的な手順は、次の4つです。
まず、資金繰り表を何か月先まで、どの単位で作成するかを決めます。目安として、6か月から1年程度先まで月次で作成するのが一般的です。
資金に余裕が少ない場合や、大きな支払いが予定されている場合は、日次・週次の表を併用すると資金不足を把握しやすくなります。
自社の資金余力や入出金の頻度に合わせて管理単位を設定しましょう。
次に、通帳や会計帳簿から現在の現預金残高を確認し、将来の入出金予定を集めます。
入出金予定のそれぞれに使う主な資料は以下のとおりです。
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確認のタイミング |
主な資料 |
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入金予定 |
・売掛金残高一覧 ・請求書の発行履歴 ・受注一覧・販売計画 ・入金予定表 ・補助金や保険金の入金予定 ・借入金の実行予定 |
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支払予定 |
・買掛金・未払金残高一覧 ・仕入先から受領した請求書 ・給与・賞与の支給予定 ・家賃やリース料などの固定費 ・税金・社会保険料の納付予定 ・借入金返済予定表 ・設備投資計画 |
売上高や仕入高ではなく、契約上の支払サイトにもとづいて実際の入金月・支払月へ記載することがポイントです。
集めた入出金予定を月ごとに集計し、翌月繰越残高を計算します。
たとえば、月初残高が300万円、当月の収入が500万円、支出が650万円の場合は、次のように計算します。
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300万円+500万円-650万円=翌月繰越残高150万円 |
この計算を翌月以降も繰り返し、残高がマイナスになる月や、会社が定める最低必要資金を下回る月がないか確認します。
最低必要資金には、給与や家賃、仕入代金など、事業を継続するために確保しておきたい金額を設定します。残高がプラスでも、最低必要資金を下回る場合は対策が必要です。
月末には、予測した入出金額と実際の金額を比較します。差額が生じた場合は、その原因を確認し、翌月以降の予定を修正します。
売上見込みには不確実性があるため、次のような複数のシナリオを作成する方法も有効です。
とくに資金余力が少ない場合は、売上が計画を下回ったケースでも支払いを継続できるか確認しましょう。
資金繰り表は、貸借対照表や損益計算書のような法定の決算書ではなく、一般的な企業に一律の作成義務が定められているものではありません。
ただし、次のような場面では、金融機関などから作成・提出を求められる場合があります。
日本政策金融公庫では資金繰り表と記入例を公開しており、資金繰り計画を策定する際に利用できる様式を用意しています。
一方、融資申込時に必要な書類は、融資制度や会社の状況によって異なります。資金繰り表が必ず必要とは限らないため、申込先の金融機関へ確認しましょう。
なお、日本政策金融公庫では、返済条件の見直しを相談する場合、資金繰り表や経営改善計画書などの提出を求めることがあります。ただし、状況に応じて提出資料の省略を含め柔軟に対応すると案内しています。
ここでは、作成期間や使用するツール、資金不足が見込まれる場合の対応など、資金繰り表についてよくある疑問に回答します。
一般的には、6か月から1年程度先までの月次資金繰り表を作成します。
ただし、資金余力が少ない会社や、月内の入出金が多い会社では、月次表に加えて日次・週次の資金繰り表を作成すると管理しやすくなります。設備投資や借入金返済などの長期的な予定は、1年を超えて確認する場合もあります。
資金繰り表はExcelや表計算ソフトでも作成できます。月ごとに前月繰越、収入、支出、翌月繰越の列を設け、計算式を設定すると効率的です。
ただし、数式の削除や入力漏れが起こる可能性があります。元データを保存し、更新担当者や入力ルールを決めて運用しましょう。取引量が多い場合は、会計ソフトや資金繰り管理ツールの活用も選択肢になります。
まず、売上代金の入金日や仕入代金の支払日、税金、借入金返済などに入力漏れや誤りがないか確認します。
そのうえで資金不足が見込まれる場合は、次のような対策を早めに検討しましょう。
資金不足が目前に迫ってからでは選択肢が限られます。残高が最低必要資金を下回る段階で、経営者や金融機関、税理士などと対応を検討することが重要です。
資金繰り表とは、現金・預金の収入と支出を、将来の予定を含めてまとめた管理表です。利益ではなく実際の入出金を記載するため、損益計算書だけでは把握しにくい将来の資金不足を予測できます。
過去の資金増減を営業・投資・財務の3区分で示すキャッシュフロー計算書に対し、資金繰り表は将来の現預金残高を管理するために使う点が大きな違いです。
資金繰り表に一律の作成義務はありませんが、資金不足への対策や金融機関への説明に役立ちます。一度作成して終わりにせず、予測と実績を比較しながら毎月更新し、経営判断や資金調達に活用しましょう。
資金繰りの管理や日々の経理・請求業務を効率化したい方は、以下の資料もご確認ください。