請求書の訂正方法やミス発生時の対処法を解説

• そもそも請求書ってなに？
• 請求書の訂正が必要になった際の対処方法が知りたい
• 請求書において訂正印は有効？

企業は日々の業務のなかで多くの請求書をやり取りするため、時には書類上のミスが発生する可能性もあります。
請求書のミスは取引先との大きなトラブルに発展する恐れもあるため、正しく対処しましょう。本記事では、そもそも請求書がどのような書類なのかを解説し、記載すべき項目やよくある失敗例、ミスがあったときの対処法などを紹介します。

請求書とは

請求書とは、企業の商品やサービスを購入してもらった際、代金を請求するために発行する書類です。請求書の発行によって、商品やサービスを提供したことや、金銭のやり取りがあったことを証明できます。
請求書の発行は法律で義務づけられているわけではありません。すぐに支払いが済んだ場合や双方が合意している場合には、請求書を発行しなくとも特に問題はないのです。
しかし、請求書を発行しなかったために金銭トラブルが起きる可能性は十分に考えられるため、注意しましょう。正しい請求金額を提示し、双方が納得した上で支払いを済ませるためにも、明確に金額が記載された書類を証拠として残すことが重要です。
形式の定まった請求書を発行して金銭のやり取りの状況を明確にすれば、食い違いによるトラブルを防げます。

企業が請求書に記載する項目一覧

請求書の形式に法律で定められたルールはありませんが、一般的な請求書は以下のような項目を盛り込んで作成します。

● 請求書とタイトルを明記する
● 請求者の情報を記載する
● 宛名を記載する
● 発行日を明記する
● 管理番号を入れておく
● 商品やサービスの内容を記載する
● 取引金額の詳細を記載する
● 請求金額を大きく明記する
● 振込先を指定する
● 支払期日を記載する
● 備考

特に重要なのは、請求金額が一目でわかるようにしておくことです。また、発行日や支払期日などについても明確に記しておきましょう。
備考欄には振込手数料をどちらが負担するか、送料をどのように取り扱うかなどの細かい条件を記載しておきます。相手とのトラブルを避けるためにも定めておきましょう。

請求書の有効期限

請求書の有効期限は2年間と定められており、取引があってから2年以内に正しい方法で処理しなければ、請求書の債権は消滅します。
もちろん多くの場合、取引後には早めに請求書を発行するため、2年間経過してしまうことはほとんどありません。しかし、請求書の出し忘れやミスに後から気づいた場合などには、有効期限に注意して早めに処理したいものです。

請求書の訂正が必要になる代表的な失敗例

請求書のミスは、作成時や送付時のヒューマンエラーによるものが非常に多くなっています。

桁数や単価・数量などの金額のミス

請求書のミスで特に多いのは、数字の記載ミスです。請求書の作成時には、発注書や受注書のデータを転記します。このとき、数字の転記ミスや計算ミスが起こることがあります。
また、口頭で取引を行ったのちに請求書を作成するケースでは、双方の認識違いによって間違った数字が記載されてしまうこともあるようです。

条件の記入漏れ

請求書には金銭のやり取りの細かい条件を明記しておくことが大切です。
たとえば、振込手数料を相手に負担してもらうルールの場合には、そのように明記しておく必要があります。この記載がなかったために、手数料を引いた金額が振り込まれるなどの問題が起きるケースもあるのです。
他に、取引の送料を請求するときや有効期限の設定があるときなどにも、請求書に明記しておきたいものです。たとえ細かい条件であっても、記載を怠ると大きなトラブルに発展する恐れがあるので注意しましょう。

請求日の記載ミス

請求日の記載が間違ってしまった場合にも、請求書の再発行などの対処が必要となります。
月の取引を月末で取りまとめ、翌月に請求するなどのルールを設ける企業は多いものです。このとき、日付の記載を間違えてしまうと請求のタイミングもずれてしまい、月ごとの取りまとめができなくなることがあります。

宛先を間違えたことによる誤送

請求書の誤送を起こさないことも重要なポイントです。
違う宛先に請求書を送付すると大きなトラブルに発展してしまいます。相手先に迷惑をかけたりクレームに発展したりする恐れもある上、入金の期日に遅れも生じてしまいます。
社内文書を送付してしまうミスが起きる可能性もあるので、送付前に十分な確認を行いましょう。

その他起こり得るミス

請求書の発行に際して、思わぬミスが起きることもあります。
たとえば必要な押印がなかったために、請求書が処理できないケースが考えられます。また、請求書をExcel形式で作った際に誤操作で計算ミスが起き、そのまま請求してしまうようなトラブルもあります。
消費税の計算ミスや海外に発送するときの経費の計算ミスなど、税金に関するミスが起きることもあるので、請求書は注意深く作成しましょう。

請求書の訂正が必要となった際の対処方法

請求書を送付前にチェックすれば、ヒューマンエラーはある程度防げます。とはいえ、ミスを完全に防ぐというのはかなり難しいことです。
請求書発行後に自身でミスに気づいたときと、取引先から指摘された場合において、対応方法を確認しておきましょう。

請求書のミスに自分で気づいたとき

請求書の送付後、自身で記載ミスに気づいたときや社内でミスを指摘されたときには、速やかに取引先に連絡しましょう。
ミスの内容が軽微であればメールでのやり取りでも問題ありません。ただし、数字の間違いがある場合など重大なトラブルに繋がりかねないときには 、すぐに電話で 連絡をすることが推奨されます。

取引先から請求書のミスの指摘を受けたとき

送付時にミスに気づかず、先方に指摘されて初めてミスが判明することもあります。
請求書のミスが重なったり、対応が遅くなったりすると、取引先との信頼関係にも影響が及んでしまいます。相手との信頼関係を保つためにも、丁寧な対処が必要です。
取引先からミスを指摘されたときには、まず請求書の控えを確認し、内容に問題が認められた場合には丁重にお詫びをします。その後、社内の責任者に報告を行います。さらに、請求書の再発行をするなどすぐに対処しましょう。

請求書のミスで訂正印はNG

社内の書類にミスがあったときには二重線を引いて訂正印で処理するなどの方法で対処できます。しかし、請求書のやりとりにおいて、このような訂正を行うことはマナー違反です。
ここからは、請求書にミスがあったときの対処法を説明します。

原則として再発行しなければならない

請求書にミスが認められた場合には、原則として請求書の再発行を行います。
再発行の際にはタイトルに請求書（再発行）と書き添えたり、赤字で再発行という文字を添えたりといった方法で、再発行したことがわかるようにします。
備考欄に○月○日請求書の再発行（金額訂正のため）などと書き添える方法も有効です。こういった記載をしておけば、二重請求などのトラブルを防げます。
新たに請求書を作成するときには、発行日を前回発行したものと同じにするのが原則です。再発行の日付を記載したいときには、欄外に前回の発行日を明記するとよいでしょう。
また、請求書を再発行するときに支払期日を変更するかは悩ましいものです。一般的には再発行であっても支払期日を変更せず、そのままの日付を記載します。
契約の際に延滞などの条件を定めた場合には、延滞利息に関する内容を書き添えた上で支払期日を変更することも可能です。

再発行する際の方法と注意点

請求書の再発行の際に再印刷という方法を選ぶケースもあります。しかし、再印刷をしてしまうと、元の請求書との見分けがつかなくなり、二重請求などのトラブルが起きる可能性が高まります。
請求書の再発行の際に再印刷するのなら、再発行と明記するか再発行のスタンプを押しましょう。こういった処理をしておけば、元の請求書との判別がつきやすくなり、トラブルが起きにくくなります。
なお、請求書を再発行した後にはできるだけ早く先方に届け、処理したいと考えますが、請求書は信書にあたるため、郵送以外の方法で送ることはできません。必ず日本郵便が提供する方法で請求書を送付しましょう。[注1]
[注1]総務省｜信書の送達についてのお願い

再発行できない場合はどうすればいい？

請求書のミスがあったときには基本的に再発行で対処しますが、どうしても再発行ができないというケースもあります。
やむを得ず再発行ができない ときには、二重線と訂正印で対応します。また、どの部分を訂正したのかを先方と共有し、正しい内容が伝わるようにしましょう。
とはいえ請求書にミスが有るときには再発行するのが基本的なマナーです。可能な限り、再発行で対応することをお勧めします。

電子化で請求書の訂正負担を減らそう

請求書の発行にあたってミスが起きたときには、正しい方法で迅速に対処しましょう。請求書に二重線を引くなどの対処はせず、再発行という方法で対応するのが原則です。
請求書のミスが頻発する場合には、請求書作成や発送の手順を変更した方がいいかもしれません。お勧めなのは、請求書などの帳票の発行業務自動化システムの導入です。 請求業務の簡略化やコスト削減のためにも、ぜひシステムの導入をご検討ください。

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