更新日:2026.10.06

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交通費精算で領収書が必要かどうかは、会社の経費精算ルールや利用した交通手段によって異なります。電車や路線バスなどでは、交通費精算書や利用履歴を使って、領収書なしで精算できる場合もあります。
また、消費税の仕入税額控除では、原則として帳簿と適格請求書等の保存が必要です。ただし、税込3万円未満の公共交通機関を利用した場合など、一定の条件を満たせば適格請求書等の保存が不要になるケースもあります。
本記事では、交通費精算における領収書の要否や、領収書がない場合の対応方法をわかりやすく解説します。あわせて、インボイス制度上の取り扱いや、交通手段別の領収書・利用履歴の入手方法も紹介します。
交通費精算で領収書が必要かどうかは、会社の経費精算規程や利用した交通手段によって異なります。
タクシーや新幹線、飛行機など、領収書を取得しやすい交通費については、会社から領収書の提出を求められるのが一般的です。一方、電車や路線バスなどでは、交通費精算書やICカードの利用履歴を提出することで、領収書なしで精算できる会社もあります。
領収書があれば、利用日や金額、支払先などを確認できるため、業務に必要な支出であることを証明しやすくなります。たとえば、出張中にタクシーを利用した場合、領収書の日時と出張スケジュールを照合することで、業務上の移動だったことを確認できます。
なお、会社で交通費を精算できるかどうかと、消費税の仕入税額控除を受けられるかどうかは別の問題です。仕入税額控除では原則として帳簿と適格請求書等の保存が必要ですが、公共交通機関特例や少額特例などの例外もあります。
法人は、帳簿や領収書などの書類を原則として7年間保存する必要があります。青色申告書を提出した事業年度で繰越欠損金が生じた場合などは、10年間の保存が必要です。
個人事業主の場合、領収書などの保存期間は申告方法によって異なります。
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区分 |
領収書などの保存期間 |
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青色申告 |
原則7年間。前々年分の事業所得・不動産所得が300万円以下の場合、領収書などの現金預金取引等関係書類は5年間 |
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白色申告 |
5年間 |
領収書がなくても交通費を精算できるかどうかは、会社の経費精算規程によって異なります。
主に次のようなケースでは、領収書以外の書類で精算を認めている会社があります。
ただし、領収書なしで社内精算できる場合でも、消費税の仕入税額控除に必要な書類まで不要になるとは限りません。社内の精算ルールと税務上の保存要件は分けて確認しましょう。
電車や路線バスなどでは、領収書を受け取らずに利用するケースがあります。
会社が交通費精算書による申請を認めている場合は、利用日や区間、運賃、利用目的などを記載して精算できます。
たとえば、次のような項目を記載します。
会社が指定する申請方法や承認フローがある場合は、社内規程に従いましょう。
関連記事:公共交通機関の運賃は原則インボイス不要!例外や注意点をやさしく解説
SuicaやPASMOなどのICカードを利用した場合は、利用履歴を交通費精算の資料として使えることがあります。
利用履歴には利用日や区間、金額などが記録されるため、実際に利用した交通費を確認しやすい点がメリットです。
ただし、業務利用と私的利用が混在している場合は、業務で使った交通費だけを分けて申請する必要があります。
消費税の仕入税額控除では、原則として帳簿と適格請求書等の保存が必要です。ただし、交通費については、一定の条件を満たすと適格請求書等を保存しなくても仕入税額控除を受けられる場合があります。
主なケースは次の3つです。
いずれも、会社が領収書なしで交通費精算できるかどうかを定める制度ではありません。社内の精算ルールとは分けて考える必要があります。
電車や路線バスなど、公共交通機関特例の対象となる税込3万円未満の旅客運送では、適格請求書等を保存しなくても仕入税額控除を受けられます。
「3万円未満」かどうかは、原則として1回の取引単位で判断します。たとえば、4人分の新幹線代をまとめて購入し、1回の取引金額が3万円以上になった場合は、公共交通機関特例の対象外です。
また、公共交通機関特例が適用される場合でも、会社が交通費精算書や利用履歴の提出を求めている場合は、社内規程に従う必要があります。
従業員に支給する国内の出張旅費や宿泊費、日当などのうち、通常必要と認められる部分については、「出張旅費等特例」により、適格請求書等を保存しなくても一定事項を記載した帳簿のみで仕入税額控除を受けられます。
出張旅費等特例は、概算払いだけでなく実費精算も対象です。また、社内に旅費規程があるかどうかにかかわらず適用できます。
ただし、通常必要と認められる範囲を超える部分などは取り扱いが異なるため注意しましょう。
一定規模以下の事業者が税込1万円未満の課税仕入れを行った場合は、少額特例により、適格請求書などを保存しなくても帳簿のみで仕入税額控除を受けられます。
少額特例の対象となるのは、次のいずれかを満たす事業者です。
少額特例は、2023年10月1日から2029年9月30日までの課税仕入れに適用されます。
基準期間と特定期間は、次のとおりです。
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区分 |
期間 |
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基準期間 |
事業年度の前々事業年度。個人事業者はその年の前々年 |
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特定期間 |
前事業年度開始の日から6か月間。個人事業者は前年1月から6月まで |
ただし、少額特例も消費税上の制度です。税込1万円未満であれば、会社の交通費精算で必ず領収書が不要になるわけではありません。
領収書が手元にない場合でも、会社の経費精算規程によっては、代わりの書類を提出して交通費を精算できる場合があります。
領収書がない場合の主な対応方法は次の3つです。
税務調査で説明を求められることもあるため、支払いを裏づける記録は確実に残しておきましょう。
領収書がない場合は、会社の経費精算規程に従い、支払いの事実を確認できる資料を用意しましょう。具体的には、以下のような書類があるとよいです。
業務利用だとわかるように、利用区間や利用目的などを記したメモを残しておくことも大切です。
なお、社内で支払いの事実を確認する資料として利用できます。ただし、消費税の仕入税額控除に必要な適格請求書等に該当するとは限りません。たとえば、カード会社が発行するクレジットカード利用明細は、原則として適格請求書には該当しません。
領収書がない交通費は、交通費精算書を作成して精算することもできます。交通費精算書とは、従業員が立て替えた交通費を経費精算するために社内で作成される書類です。
一般的には、以下のような項目を記載します。
ただし、交通費精算書は自己申告となるため、不透明な点がないかどうかは厳しくチェックする必要があります。自社の運用ルールを事前に確認しておきましょう。
領収書の代わりになる明細などがない場合は、出金伝票を作成するのもひとつの方法です。
出金伝票は、支払いの事実とその内容を記載した書類です。一般的には、以下のような項目を記載します。
会社で所定のフォームを用意している場合もあるため、一度確認してみるとよいでしょう。
関連記事:出金伝票の書き方とは?記載項目・勘定科目・領収書がない場合の注意点を解説
領収書なしで交通費を精算する際は、次の3点に注意しましょう。
ICカードにチャージした金額を、そのまま一括して交通費として精算することはおすすめできません。チャージした金額のすべてが業務利用とは限らず、私的な利用分が混在する可能性があるためです。
たとえば、1万円をチャージしていても、実際に業務で使ったのは往復500円だけというケースもあります。
交通費はチャージした時点ではなく、利用した分だけをその都度精算するのが基本です。
領収書なしの交通費精算を受け付ける場合は、申請漏れや不正受給を防ぐ工夫が必要になります
まずは、会社としての精算ルールを明確に定め、社内で周知しておくことが大切です。そのうえで、各書類には利用区間や利用目的を必ず記録させ、経理側でも事実に即しているかを厳しくチェックします。
利用履歴を確認しやすくするために、法人ICカードや法人カードを導入するのもひとつの方法です。
業務とは関係のない移動に要した交通費は、経費として認められません。
たとえば、以下のような交通費は経費精算の対象外です。
判断に迷いやすいのが、業務と私用が混ざるケースです。業務で使った分だけを切り分けて計上し、精算する必要があります。
ここでは、以下の交通手段ごとに領収書を入手する方法を解説します。
新幹線や電車は、購入方法によって領収書の入手方法が異なります。領収書の主な入手方法は次のとおりです。
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購入方法 |
領収書の入手方法 |
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窓口 |
会計時に領収書がほしいと伝える |
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自動券売機 |
購入時に領収書発行のボタンを押す |
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ネット予約 |
乗車後にマイページから印刷・ダウンロードする |
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ICカード |
券売機やアプリで利用履歴を出力する(窓口でも発行可能) |
なお、自動券売機で発行し忘れた場合も、乗車前や改札を出る前なら窓口で対応してもらえることがあります。
飛行機では、航空会社のWebサイトやアプリなどから領収書を表示・ダウンロードできる場合があります。航空券の購入方法ごとに領収書のもらい方を以下にまとめました。
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購入方法 |
領収書の入手方法 |
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窓口 |
会計時に領収書がほしいと伝える |
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航空会社サイト・アプリ |
購入履歴から搭乗後に発行・ダウンロード |
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旅行代理店経由 |
代理店が発行する利用明細や領収書を保管 |
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空港カウンター購入 |
その場で発行を依頼 |
なお、飛行機は公共交通機関特例の対象外です。仕入税額控除を受ける場合は、少額特例や出張旅費等特例などを適用できるケースを除き、原則として適格請求書等の保存が必要です。
また、国際線(国際輸送)の運賃は輸出免税取引に該当し消費税が課されないため、仕入税額控除の対象外です。ただし、国際線に付随しない国内移動分は通常どおり課税取引となる点に注意してください。
バスを利用する場合は、以下のように高速バスと路線バスで領収書のもらい方が異なります。
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バスの種類 |
領収書の入手方法 |
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高速バス・空港連絡バス |
予約サイトや窓口で領収書を発行 |
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路線バス |
乗車時や降車時に運転手に依頼 |
ICカードでバスに乗車した場合は、券売機やチャージ機で利用履歴を出力しましょう。
タクシーは、降車時に運転手へ頼めば領収書を受け取れます。配車アプリを使用した場合は、利用履歴から領収書をダウンロードできることもあります。
また、消費税の仕入税額控除を受ける場合は、利用したタクシー事業者が適格請求書発行事業者かどうかの確認が必要です。適格請求書発行事業者が発行する適格簡易請求書などには、Tから始まる13桁の登録番号など所定の事項が記載されます。
一方、免税事業者などで登録がない場合は登録番号がなく、原則として控除できません。ただし経過措置により、免税事業者からの仕入れも一定割合を控除できます。控除割合は令和8年度税制改正で見直され、段階的に引き下げられるため、最新の割合は国税庁のホームページなどでご確認ください。
なお、タクシーは公共交通機関特例の対象外のため、原則として適格請求書(インボイス)が必要です。ただし少額特例が使える事業者は、税込1万円未満であれば帳簿の保存のみで仕入税額控除を受けられます。
関連記事:タクシー代にインボイスは必要?3万円ルールと経費処理の正解を解説!
交通費精算の業務は、各種システムや連携サービスを活用することで効率化できます。申請から仕訳までの手作業を自動化でき、従業員と経理の双方の負担を減らせるためです。
主な効率化の方法は次のとおりです。
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効率化の方法 |
期待できる効果 |
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ICカード・法人カードと経費精算システムの連携 |
利用履歴から区間や金額が自動で入力される |
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AI-OCRサービスの導入 |
スマートフォンで撮影した領収書の日付や金額を自動で読み取れる |
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経費精算システムと会計ソフトの連携 |
仕訳が自動で作成され、転記ミスを防げる |
精算件数が多い会社ほど、効率化による工数削減効果は大きくなります。ただし、社内に混乱を招かないためにも、経理のデジタル化は段階を踏んで進めることが大切です。
以下の資料で、経理のデジタル化で失敗しないためのチェックリストをまとめているため、ぜひ参考にしてください。
経理のデジタル化に失敗しないための「セルフチェックリスト25」
最後に、交通費の領収書に関してよくある質問に回答します。
出金伝票や交通費精算書を作成し、日付・区間・運賃などを記載することで、領収書がなくても精算できます。業務用と私用を区別したうえで、ICカードの利用履歴を提出する方法も有効です。
1回の利用が税込3万円未満なら、公共交通機関特例により、帳簿の保存のみで仕入税額控除が可能です。ただし、会社の規定上は領収書の提出が必須となる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
交通費精算で領収書が必要かどうかは、会社の経費精算規程や利用した交通手段によって異なります。電車や路線バスなどでは、交通費精算書やICカードの利用履歴を使い、領収書なしで精算できる会社もあります。
領収書がない場合は、まず会社の経費精算規程を確認し、交通費精算書やICカードの利用履歴など、支払いの内容や業務目的を確認できる資料を用意しましょう。
ただし、申請漏れや不正受給を防ぐためにも、社内で明確な精算ルールを定めておくことが重要です。領収書の取り扱いに不安がある場合は、税理士などの専門家に確認することをおすすめします。
領収書の扱いも含めて経理業務を効率化したい方は、以下の資料もご確認ください。