更新日:2023.11.17
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企業の利益は「売上-経費」で求められます。経費削減は会社の利益に直結するだけでなく、企業価値向上や従業員のモチベーション向上、顧客満足度の向上など、副次的効果も期待できます。
とはいえ、経費はなんでも削減すれば良い訳ではなく、長期的な視野に立ち、効果を確認することが大切です。
本記事では、企業で経費削減が必要な理由と手軽に導入できるアイデア、削減時の注意点を解説します。
経費削減とは、業務効率化などの工夫により、事業活動で生じる費用を削り減らすことです。「コストカット」や「合理化」なども、似た意味合いで使われることがあります。
無駄な費用を削減し、会社の利益を上げられれば会社の成長につながるだけでなく、株主・顧客・従業員と、利害関係者全体に還元することも可能です。
経費削減の具体例としては、電気・ガス・水道などの契約先の見直しなどがあり、特に固定費は、売上の増減にかかわらず発生する費用のため削減効果が大きくなります。
企業経営で固定費削減が重要な理由は、「企業経営には欠かせない固定費削減のポイントと対策を紹介」も併せてご確認ください。
https://media.invoice.ne.jp/column/accounting-operations/cost-cut.html
企業にとって、経費削減が重要な理由は以下の3点が挙げられます。
それぞれ、詳しく説明します。
極めて単純化すれば、売上高から経費を引いた残りが利益となります。そのため、どれだけ売上高を確保できていても、経費が売上と同程度であれば利益は得られません。
利益の確保は企業存続の条件といっても過言ではなく、継続して利益を出せなければ発展もできません。削減した経費を新規事業の立ち上げなどに充てれば、企業の成長を促すことも可能です。
利益は企業にとって欠かすことのできない条件であり、経費削減は比較的手軽にできる利益への貢献となるため重要です。
経費削減が従業員のモチベーション向上につながる理由は2つあります。
1つ目は、経費を削減する過程で、働き方改革やデジタル化など、業務効率化を行うためです。業務効率化の過程では現場に混乱を招くことが多いものの、長い目でみれば従業員が働きやすい環境が整えられます。
2つ目は、経費削減により得られた利益を従業員に還元できるためです。給与や賞与として還元することはもちろん、工夫により残業を減らした社員に対しインセンティブを支給するなども還元方法の一つです。
上場企業であれば、経費削減により得られた利益を配当として株主に還元し、投資家の支持を集めることも可能です。株式の発行により得られた資金は、返済する必要がない自己資本となるため、財務体質の強化にもつながります。
また、利益や人材を投入し、既存製品の改善や新製品の開発をすれば、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
企業で発生する経費は以下の3つに分けられます。
それぞれの経費削減に効果的な方法を解説します。
オフィスコストとは、事務所の維持に必要な経費や、事務所内で生じる経費のことです。従業員数の多い企業ではオフィスコストの削減により、経費削減の大きな効果が期待できます。
ボールペンや封筒などの消耗品は、在庫管理を徹底し発注回数を抑えましょう。また、発注するときは法人向け通販サイトで業務用のものを購入すれば、単価を抑えることも可能です。
在庫を管理せず不足する度に発注していては、手間もコストもかかってしまいます。
また、消耗品を経費計上する際には、「消耗品費を経費計上できる上限はいくらまで?限度額や計上方法について解説」こちらの記事をご参考にしてください。
https://media.invoice.ne.jp/column/expenses/supplies-expenses-limitation.html
モノクロコピーとカラーコピーでは、コピー代に10円程度の差が生じることもあります。そのため、社内のみで使う資料は原則モノクロコピーを使い、カラーコピーは取引先に提出する資料のみに制限しましょう。両面集約印刷をすれば、用紙代も節約できます。
コピー用紙代・印刷代・封筒代など、事務作業で生じる経費を大幅に削減できる方法がペーパーレス化です。ペーパーレス化の方法には、PDFで資料を管理する、専用のシステムを導入するなど、さまざまな方法があるため、まずは取り入れやすい方法から始めると良いでしょう。ペーパーレス化は経費削減とともに在宅勤務時の体制を構築する手段にもなります。
ペーパーレス化が進み在宅勤務を選択する社員が増えれば、事務所の規模を縮小しても良いでしょう。オフィス賃料のような固定費の削減は、経費削減効果も大きいためおすすめです。
エネルギーコストとは、事務所の光熱費全般のことです。簡単な経費削減としては、電球をLEDに変える、節電を心掛ける、クールビズの実施などが挙げられます。
また、経理部門では各エネルギーの契約会社やプランの見直しを行いましょう。昨今は新しい料金会社が設立されやすく、その情報をインターネットで簡単に収集できます。各インフラ会社を比較検討して最適なプランを選択すれば、経費の削減が可能です。
通信費の参考として、「【企業向け】通信費の平均額とは?仕訳方法から節約する方法まで詳しく解説」こちらの記事もぜひご覧ください。
https://media.invoice.ne.jp/column/accounting-operations/communications-cost-average.html
オペレーションコストとは、企業の人材や物流にかかる経費のことです。オペレーションコスト削減の具体例を解説します。
残業が慢性化している企業では、残業手当や割増賃金、社会保険料や光熱費など、不要な経費を支払っていることが多いでしょう。さらに、長時間労働は社員のモチベーションを低下させ業務効率が悪化し、さらなる残業を招く悪循環につながります。
業務を見える化して無駄な部分は削減する、ITの活用や外部委託で他に任せられるものは任せるなどして、残業時間の削減を進めましょう。
通勤定期代を支給しているときは、通勤手当を実費で支給するように規定を変更するのもひとつの手です。特に、在宅勤務を導入した企業では、日数により異なるものの、実費支給の方が経費を抑えられる可能性があります。
在宅勤務の導入により、取引先へ行くことが減った企業では、必要なときだけレンタカーやカーシェアを利用するのも経費削減に効果的です。
車の維持費は、ガソリン代や自動車税、車検代と安くはありません。また、取引先の会社へ赴く代わりにWeb会議を活用すれば、出張手当を支給する必要もなくなります。
同じ取引先へ製品を送る場合、発送を急がないのであれば、できるだけまとめて配送しましょう。まとめて配送した方が、切手代や配送代などの経費を削減できます。
また、配送費用は会社によっても異なるため、配送会社の見直しも効果的です。
社内システムとは、社内業務を円滑化できるシステムのことです。例えば、会計システム、工数管理ツール、在庫管理システムなど、業種・業界に適したシステムが多くあります。
これらのシステムを導入していないときは、導入によりオペレーションコスト全体の削減が期待できます。
社を挙げて大規模な経費削減をするときは、以下のように目的や方法を明確化し、スケジュールに沿って進める必要があります。
また、業務効率化システムの導入などでは、社内稟議(経費削減案)が必要となることも多いため、目的・方法・効果などを数値で明確化して作成するようにしましょう。
経費はなんでも削減すれば良い訳ではなく、削減により、企業の信頼が低下するケースもあります。経費削減で気を付けたいポイントを解説します。
経費の削減に取り組む際、まず初めに従業員の給与減額や解雇が頭に浮かぶかもしれません。しかし、人件費の削減は最終手段と考えましょう。
給与の削減には合理的な理由が必要です。また、減額により離職が増えれば採用費用・新人教育費用など、別のコストも発生し、効果的ではありません。
原材料費など、自社商品やサービスの品質低下を招く経費削減も得策ではありません。これらの経費を削減した場合、顧客や取引先が離れ、売上の低下を招く恐れがあります。
仕入先を変える、梱包を簡略化するなど、製品自体の品質は保てる方法を選択しましょう。
以上のように、経費削減では目先の利益を考えるのではなく、中長期的な視野に立つことが大切です。例えば、広告宣伝費を減らせば経費削減はできるものの、その分、知名度が低下し売上も低下すれば本末転倒。
経費の削減だけでなく、それに付随するプラス・マイナス双方の効果の確認が必要です。
経費を削減すれば、会社の利益確保につながるため、企業価値の向上や従業員のモチベーションアップにつながります。なお、会社により削減しやすい経費は異なるため、取り組みやすい経費削減方法から取り入れていくと良いでしょう。
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