更新日:2026.05.12

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「領収書」と「領収証」は、どちらも日常的によく使われる言葉ですが、「何が違うのか」「どちらの表記が正しいのか」と迷った経験がある人も多いのではないでしょうか。
経理担当者や総務担当者、個人事業主、フリーランス、店舗運営者などにとっては、表記の違いだけでなく、経費精算や税務処理で有効な証憑として認められるかどうかが重要なポイントです。さらに実務では、レシートや預り証、納品書兼受領印、支払証明書など似た書類との違いも理解しておく必要があります。
この記事では、領収書と領収証の違いをわかりやすく整理したうえで、周辺書類との違い、経費精算や税務で押さえるべき注意点まで、実務に役立つ形で解説します。

「領収書」と「領収証」は、どちらも代金を受け取った事実を証明する書類を指し、実務上はほぼ同じ意味で使われます。法律上も明確な違いはなく、企業や店舗、会計ソフトによって表記が異なるだけです。
そのため、領収書は有効で領収証は無効、といった違いはありません。重要なのは名称ではなく、発行日、金額、発行者、支払い内容、宛名など、必要事項が正しく記載されているかです。
表記の違いよりも、記載内容に不足がないか、適切に保存できているかを確認しましょう。
領収書や領収証は、いずれも代金を受け取った事実を示す書類として使われますが、実務ではそれ以外にもレシート、預り証、納品書兼受領印、支払証明書など、似た役割を持つ書類が登場します。
書類ごとの性質を整理しておくと、取引先対応や社内精算、証憑の保存で迷いにくくなります。ここでは、混同しやすい書類の違いを順番に確認していきましょう。
領収書とレシートは、どちらも支払いの事実を示す書類ですが、記載内容に違いがあります。
領収書は、宛名や但し書きを記載して発行することが多く、「誰が」「何のために」「いくら支払ったか」を示しやすいのが特徴です。一方、レシートは購入日時、購入先、品目、金額などが自動で記録されるため、取引内容を具体的に確認しやすいという強みがあります。
そのため、実務では領収書よりレシートのほうが、経費精算や税務上の証憑として役立つ場合もあります。重要なのは名称ではなく、支出内容を確認できる情報がそろっているかどうかです。
領収書と預り証は似ていますが、証明する内容が異なります。
領収書は、代金の支払いが完了し、相手が金銭を受け取ったことを示す書類です。一方、預り証は、金銭や物品を一時的に預かったことを示す書類であり、支払いの完了を証明するものではありません。
たとえば、保証金や仮受金、一時的な預かり金を受け取った場合には、領収書ではなく預り証が発行されることがあります。
そのため、預り証があっても、経費精算の証憑として十分とは限りません。実務では、そのお金が何のためのものか、後日返還や精算の予定があるかを確認することが大切です。
納品書兼受領印は、「商品を受け取った」という事実を示す書類です。納品されたことや受領したことは確認できますが、「代金を支払ったこと」までは証明できません。そのため、領収書の代わりとしては不十分な場合があります。
一方、支払証明書は、領収書やレシートを受け取れなかった場合に、「確かに支払った」と社内で説明するための補足資料です。慶弔費や交通費、自動販売機の利用などで使われます。
ただし、支払証明書は社内で作成する書類のため、領収書より証明力は弱くなります。利用日、支払先、内容、金額などを具体的に記載し、できるだけ他の資料も残しておくことが大切です。
領収書やレシートは、支払いの事実を示す重要な証憑ですが、書類として存在しているだけで必ず経費として認められるわけではありません。
ここでは、領収書が有効な証憑として扱われやすくなる条件を、実務で確認したいポイントごとに整理していきます。
経費精算や税務において、領収書やレシートを有効な証憑として扱うには、必要な記載項目がそろっていることが必要です。
確認が必要な記載項目は、以下のとおりです。
インボイス制度の対象となる取引では、これらに加えて、適格請求書発行事業者の登録番号や、10%・8%などの税率区分、税率ごとの消費税額が記載されているかも確認する必要があります。
レシートは、これらの項目が自動的に印字されるため、支出内容の裏づけとして有効です。一方で、日付がない、金額が不鮮明、発行元が不明といった領収書は、証憑としての信頼性が下がります。
実務においては、受け取った時点で内容を確認し、不足があればその場で修正や補足を依頼することが大切です。
領収書の宛名が空欄だったり、「上様」と記載されていたりすると、不安に感じることもあります。ただし、税務上は宛名がないだけで直ちに無効になるわけではありません。
重要なのは、その支出が誰によるもので、何の目的で行われたのかを説明できることです。
たとえば、出張時の交通費や取引先との会食、備品購入であれば、出張精算書や会議記録などをあわせて保存することで、業務上必要な支出だったことを示せます。
宛名だけで判断せず、ほかの資料も含めて支出内容を確認できる状態にしておくことが大切です。
領収書では、但し書きの内容も重要です。「お品代」や「商品代」だけでは、何に対する支払いかわかりにくく、後から用途を判断しづらくなります。
経費処理を行う場合は、業務との関係がわかる程度まで具体的に記載しましょう。たとえば、文房具なら「事務用品代」、会食なら「打合せ飲食代」のように、支出内容が伝わる表現が望まれます。
書式上、詳しく書けない場合は、経費精算書やメモで補足しておくと、後から確認しやすくなります。
証憑は受け取った直後だけでなく、後日あらためて確認されることもあるため、第三者が見ても支出内容を理解できる状態にしておくことが大切です。
実務では、すべての支出で同じ形式の領収書を受け取れるとは限りません。クレジットカード決済やネット購入、交通系ICカード、慶弔費などでは、残せる証憑の形が異なります。
そのため、経費処理では取引ごとに何を証拠として残すべきかを判断することが大切です。たとえば、ネット購入なら注文確認メールや利用明細、クレジットカード払いなら利用控え、交通費なら乗車履歴や出張記録が補足資料になります。
領収書がない場合でも、支払いの事実と業務との関係を説明できる資料を組み合わせて保存しておきましょう。
必要事項を満たしていれば、領収書・領収証・レシートなど書類の名称を問わずインボイスとして扱われます。
ここでは、インボイス制度による領収書やレシートなどの扱いの変更点について解説します。
インボイス制度で大きく変わった点のひとつが、適格請求書発行事業者の登録番号の扱いです。
領収書やレシートを、買手が仕入税額控除を受けるためのインボイスとして使う場合は、売手の氏名または名称に加え、登録番号が記載されている必要があります。
そのため、従来のように日付や金額だけが記載された領収書では不十分です。領収書や領収証という名称にかかわらず、登録番号を含む必要事項がそろっていれば、インボイスとして扱えます。
実務では、書類名よりも、登録番号を含めた記載内容がそろっているかを確認することが大切です。
領収書や領収証を適格請求書として使うには、消費税について以下の記載が必要です。
そのため、軽減税率の対象品目がある取引では、8%と10%が混在していないか、税率区分が明確かどうかが重要です。
従来の領収書では、合計金額だけを記載するケースも少なくありませんでしたが、インボイス制度下ではそれだけでは不十分になり得ます。
受け取る側も発行する側も、税率区分と税額表示に不足がないかを確認しておくと、後から精算や税務処理で困りにくくなるでしょう。
レシートは、一定の業種では簡易インボイス(適格簡易請求書)として扱うことができます。
簡易インボイスを交付できるのは、主に以下のような業種です。
簡易インボイスでは宛名の記載が不要で、税率ごとに区分した消費税額等または適用税率のいずれか一方の記載で足ります。
のため、店舗のレジから出るレシートでも、登録番号や取引日、内容、税率区分など必要事項を満たしていれば、仕入税額控除に使える書類になる場合があります
領収書・領収証を発行する場面では、「名称がどちらか」よりも、必要事項を正確に記載し、税務上のルールに沿って交付・保存できるかが重要です。
ここでは、発行時にとくに確認したい注意点を整理していきます。
領収書・領収証を発行するときは、必要な記載項目に漏れがないかを確認しましょう。
発行時には、宛名、発行日、金額、但し書き、発行者情報など、基本項目を過不足なく記載することが重要です。取引内容によっては、税率や登録番号などの確認が必要になる場合もあります。
支払いの事実と内容がきちんと伝わる書類になっているかを押さえることが大切です。
領収書では、宛名の誤り、但し書きの曖昧さ、金額の記載ミスが起こりやすくあります。こうしたミスがあると、経費精算が止まったり、あとから修正が必要になったりすることがあります。
とくに金額は、請求内容や会計処理に関わるため、慎重に確認しましょう。手書きの場合は、内容を見直すだけでなく、読みやすい字で記載することも大切です。
また、宛名や但し書きは、後から見返しても内容がわかる表現にする必要があります。たとえば、「お品代」だけでは用途がわかりにくいため、具体的に記載しましょう。

紙で発行する領収書は、内容によって収入印紙が必要になることがあります。重要なのは、「領収書」という名称ではなく、何の代金を、いくら受け取ったか、紙で交付するかによって判断することです。
たとえば、営業に関する売上代金の領収書は、記載金額が5万円未満なら非課税、5万円以上なら課税対象になります。5万円以上100万円以下の場合、必要な収入印紙は200円です。一方、営業に関しないものは、金額にかかわらず非課税です。
印紙の貼り忘れを防ぐためにも、「領収書だから必要」と考えるのではなく、取引内容ごとに判断基準を整理しておきましょう。
領収書を電子で発行する場合は、紙とは扱いが異なります。電子データで発行した領収書は、原則として収入印紙が不要です。そのため、紙では印紙が必要な取引でも、電子発行なら貼る必要はありません。
ただし、電子領収書は発行して終わりではなく、あとから確認できるよう保存しておく必要があります。メール添付で送る場合も、データとして管理できる状態にしておきましょう。
また、再発行する際は、同じ取引の重複発行と誤解されないよう、「再発行」であることがわかるように記録を残しておくことが大切です。
領収書と領収証は、どちらも正しい表記であり、実務上の意味に大きな違いはありません。
重要なのは名称ではなく、発行日・金額・取引内容・発行者情報など、必要な記載事項がそろっているかどうかです。インボイス制度でも、要件を満たしていれば書類名そのものは本質ではありません。
表記に迷ったときは、社内書式や取引先の慣習に合わせつつ、内容の正確さを優先しましょう。
必要事項が確認でき、社内ルールでも認められていれば、レシートだけで経費精算できる場合は多いです。
むしろレシートは購入日時や店舗名、品目が印字されているため、支出内容を確認しやすいという利点があります。
インボイス制度でも、一定の業種ではレシートが簡易インボイスとして使えるケースがあります。
ただし、会社ごとに運用ルールが異なるため、社内規程もあわせて確認することが大切です。
宛名なしや「上様」の領収書でも、直ちに無効になるわけではありません。 とくに簡易インボイスに該当するレシートなどでは、宛名の記載が不要な場合があります。
ただし、経費精算では、その支出が誰の何のためのものかを説明できることが重要です。宛名が曖昧な場合は、出張記録や申請書、会食メモなどを添えて、支出内容を補足できる状態にしておくと安心です。
領収書と領収証は、表記こそ異なるものの、実務上はどちらも代金を受け取った事実を示す書類として扱われ、意味に大きな違いはありません。
大切なのは、名称そのものではなく、発行日・金額・取引内容・発行者情報など必要な記載事項がそろっているかどうかです。
領収書と領収証の違いに悩んだときは、表記ではなく「必要事項を満たしているか」「支出の内容を説明できるか」という視点で判断しましょう。
領収書・領収証の扱いを含めた経理業務の効率化については、以下の資料もご覧ください。