更新日:2026.05.07

ー 目次 ー
請求書や納品書、契約書などを送る業務があると、「この書類は信書に当たるのか」「宅配便やゆうパックで送っても問題ないのか」と迷うことは少なくありません。
信書は郵便法に関わるため、ルールを曖昧なまま扱うと、差し戻しや郵便法違反につながるおそれがあります。
ただ、実際には日本郵便などの説明を読んでもわかりづらく、自社の実務にそのまま当てはめにくいと感じる担当者もいるでしょう。特に、請求書・納品書・契約書のように日常的に扱う書類は、信書に該当するものとそうでないものの線引きがわかりにくいのが実情です。
そこで、この記事では、信書とは何かを簡単に整理したうえで、信書に該当する書類・しない書類の具体例、送付方法、判断に迷いやすいケースでの注意点まで、実務で役立つようにわかりやすく解説します。
信書とは、郵便法で「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」とされるものです。
「実務上」具体的には、以下の3つに当てはまるものが信書として扱われます。
たとえば、取引先に支払内容を伝える請求書や、契約内容を確認する契約書は、特定の相手に対して具体的な情報を伝えるため、信書として扱われます。
実務では「重要書類かどうか」ではなく、相手を特定したうえで内容を伝える文書かどうかで考えると判断しやすいでしょう。

信書に該当するかどうかは、単に「重要そうな書類」ではなく、特定の相手に対して、差出人の意思や事実を伝える文書かどうかで判断するのが基本です。
実務では、請求や契約、証明、通知など、相手ごとに内容が変わる書類は信書にあたる可能性が高いと考えると整理しやすくなるでしょう。日本郵便の案内をもとにすると、主な具体例は次のとおりです。
|
分類 |
具体例 |
|
書状 |
手紙全般 |
|
請求書の類 |
請求書、納品書、領収書、見積書、願書、申込書、申請書、申告書、依頼書、契約書、照会書、回答書、承諾書、レセプト、推薦書、注文書、年金に関する通知書・申告書、確定申告書、給与支払報告書 |
|
会議招集通知の類 |
結婚式などの招待状、業務を報告する文書 招待や出席依頼、業務報告など |
|
許可書の類 |
免許証、認定書、表彰状 |
|
証明書の類 |
印鑑証明書、納税証明書、戸籍謄本、住民票の写し、健康保険証、登記簿謄本、車検証、履歴書、給与支払明細書、産業廃棄物管理票、保険証券、振込証明書、輸出証明書、健康診断結果通知書、消防設備点検表、調査報告書、検査成績票、商品の品質証明書など |
|
ダイレクトメール |
宛名が文書内に入っているDM、購入履歴・契約関係などを前提に特定の相手へ送る趣旨が明確なDM |
日本郵便の案内を実務向けに言い換えると、「相手が誰でもよい一般配布物」ではなく、「その相手だから送る個別文書」なら信書になりやすいと考えると判断しやすくなるでしょう。
特に、請求書、納品書、契約書、給与明細、各種証明書は、企業の発送実務で頻出するうえに信書にあたる可能性が高い書類です。荷物向けサービスにそのまま入れて送らないよう、社内ルールとして整理しておくと安心です。

信書に該当しない書類は、特定の相手に向けて個別の意思や事実を通知する文書ではなく、一般的な情報提供、配布物、物品的な性質が強いものが中心です。実務では、「相手ごとに内容が変わる通知文か」ではなく、誰に渡っても基本的な内容が変わらない資料・券類・カード類・説明書類かという視点で整理すると判断しやすくなります。
日本郵便の案内をもとにすると、主な例は次のとおりです。
|
分類 |
具体例 |
|
書籍の類 |
新聞、雑誌、会報、会誌、手帳、カレンダー、ポスター、講習会配布資料、作文、研究論文、卒業論文、裁判記録、図面、設計図書 |
|
カタログ |
街頭配布や新聞折り込みを前提として作成されるチラシ、店頭配布用のパンフレット、リーフレット |
|
小切手の類 |
手形、株券、為替証券 |
|
プリペイドカードの類 |
商品券、図書券、プリントアウトした電子チケット |
|
乗車券の類 |
航空券、定期券、入場券 |
|
クレジットカードの類 |
キャッシュカード、ローンカード |
|
会員カードの類 |
入会証、ポイントカード、マイレージカード |
|
ダイレクトメール |
街頭配布・新聞折り込み前提のチラシ、店頭配布前提のパンフレットやリーフレットのようなもの |
|
その他 |
説明書の類(取扱説明書、解説書、仕様書、定款、約款、目論見書)、求人票、配送伝票、名刺、パスポート、振込用紙、出勤簿、ナンバープレート |
上の表を実務向けにまとめると、「個別に相手へ伝える通知文」ではなく、「一般資料・配布物・券類・カード類・説明書類」であれば、信書に該当しない可能性が高いと考えるとよいでしょう。たとえば、商品に同梱する取扱説明書や仕様書、店舗で配るパンフレット、配送伝票、名刺などは、企業の現場でよく扱うものの、原則として信書にはあたりません。
ただし、同じように見える書類でも、文書の内容が特定の受取人に向けた個別連絡になっているかどうかで扱いが変わることがあります。たとえば、パンフレット風でも宛名や契約関係に基づく個別文言が入れば信書と判断される余地があるため、見た目だけで決めないことが大切です。
信書は日本郵便で送る方法と、特定信書便事業者を利用して送る方法があります。まずは送付物が信書に該当するかを確認したうえで、自社が送る文書の内容、サイズ、急を要するかどうか、追跡の要否などに応じて、適切な手段を選びましょう。
信書を送る方法として、一般的で使いやすいのが日本郵便のサービスです。日本郵便は、以下のサービスで信書の郵送に対応しています。
請求書や契約書を単独で送る場合は、まず郵便物として扱えるか、レターパックやスマートレターに収まるかを確認し、必要に応じて追跡や対面配達の有無で使い分けると実務上スムーズです。
定形郵便・定形外郵便は、書類を封筒に入れて送る、いわゆる「手紙」として扱えるため、請求書、契約書、案内状などの発送に広く使えます。
比較的シンプルな運用がしやすく、社内でもルール化しやすいのが利点です。サイズや重量によって定形か定形外かが分かれるため、発送前に封筒の大きさや重さを確認しておくと差し戻しを防ぎやすくなります。
重要書類や紛失リスクが気になる場合は、書留などのオプションを組み合わせる運用も検討するとよいでしょう。
レターパックとスマートレターは、専用封筒で送れる日本郵便のサービスで、どちらも信書を送ることができます。
レターパックはA4サイズ・4kgまでに対応し、ライトは郵便受け配達、プラスは対面配達という違いがあるため、書類の量や受領確認の必要性に応じて選びやすいのが特徴です。
スマートレターはA5サイズ・1kgまでで、比較的小さめの書類を手軽に送りたいときに向いています。
定形郵便より厚みのある書類をまとめて送りたい場面では便利ですが、専用封筒での差し出しが前提なので、文書量や封入物の厚さを事前に見て選ぶことが大切です。
信書は、日本郵便だけでなく、国の許可を受けた「特定信書便事業者」のサービスでも送れます。信書を送付可能な「特定信書便事業」とは、以下の3つのうち、いずれかに該当する「特定サービス」を指します。
もっとも、対応エリアやサービス内容、受託条件は事業者ごとに異なるため、利用前に最新の認可利用者一覧を確認することが重要です。個別の事業者名だけで判断せず、信書対応サービスであること、対応地域、追跡や受領確認の可否まで確認しましょう。
また、請求書や契約書を急いで届けたい場合はスピード配達型の信書便、大きめの書類やまとまった帳票を送りたい場合は大型対応の信書便が候補になります。祝電や弔電のように、メッセージを確実に届けたい場面では、電報型のサービスを検討するとよいでしょう。
信書は定義だけ理解していても、実際の発送時に誤りやすいポイントがいくつもあります。
ここでは、実務で特に迷いやすい注意点を整理しておきましょう。
信書の実務で注意したいのが、ゆうパックやクリックポストなど、荷物向けサービスでは信書を送れないという点です。
日本郵便は、信書を送付できないサービスとして、ゆうパック、ゆうメール、ゆうパケット、クリックポストを明示しています。たとえば、請求書や契約書を「追跡できて便利だから」という理由でクリックポストに入れて送ることはできません。
発送担当者が複数いる企業ほど、書類発送と商品発送のルールを分けて社内で共有しておくことが重要です。特にECやバックオフィス業務では、出荷作業の一環として信書にあたる書類を荷物サービスに混ぜないよう、運用フローを明確にしておきましょう。
信書にあたる文書でも、商品や荷物に添えて送る場合は、「無封の添え状」として認められる範囲であれば同封できることがあります。
ここでいう「無封」とは、封筒や袋に入っていても、封がされていない状態や、外から中身を簡単に確認できる状態などを指します。また、添え状として認められるのは、商品の内容や数量、使い方の説明、送付の目的、代金に関する簡単な案内、あいさつ文など、荷物に付随する簡単な文書です。
そのため、商品に納品書やメッセージを入れる場合でも、何でも自由に同封できるわけではありません。ポイントは、あくまで荷物に添える補足文書の範囲に収まっているかどうかです。たとえば、請求書を別封筒に入れて封をしたうえで同梱すると、無封の添え状とは見なされにくくなるため注意しましょう。
【参考】信書の定義について
DMや案内状は一見すると販促物に見えるため、「チラシと同じで信書ではない」と考えられがちです。
しかし実際には、宛名が入っているか、特定の受取人に送る趣旨が内容から明らかであるかによって、信書に該当する場合があります。
日本郵便の案内でも、ダイレクトメールのうち、文書自体に受取人が記載されているものや、商品の購入・利用関係、契約関係など特定の受取人に差し出す趣旨が明らかな文言があるものは、信書に該当する例として示されています。
反対に、不特定多数への配布を前提としたチラシや店頭用パンフレットは、原則として信書にあたりません。
実務では、宛名の有無だけでなく、本文が「個別の通知」になっていないかまで確認することが大切です。
信書かどうかの判断は、文書名だけで機械的に決まるとは限りません。同じ「案内文」でも、内容や書き方、受取人の特定性によって扱いが変わることがあります。
日本郵便は、送付物が信書に当たるか迷う場合、封被と見本を添えて事前に差出局へ相談するよう案内しています。
特に、大口発送や定期的なDM発送、帳票の様式変更がある企業では、差出当日に窓口で差し戻されると業務全体に影響が出やすいため、事前確認を行いましょう。
一般的に請求書・領収書・見積書は信書に該当します。日本郵便は「請求書の類」の例として、納品書、領収書、見積書、申込書、申請書、契約書、照会書、回答書、承諾書などを挙げています。
これらは、特定の取引先や顧客に対して、金額、取引内容、見積条件、支払状況などの個別情報を伝える文書だからです。
実務では、書類名を見るだけでなく、「誰に対して、どのような事実や意思を伝えているか」で考えると判断しやすくなるでしょう。
納品書そのものは、通常は信書に該当します。ただし、商品に添える形で送る場合は、無封の添え状として認められる範囲に収まるかが重要です。
日本郵便は、請求書等の無封の添え状や送り状であれば、信書を送れないサービスに同封できる場合があると案内しています。ここで大切なのは「無封」であること、そして荷物に添えて送る簡単なメッセージであることです。
つまり、商品説明や授受・代金に関する簡単な文書として同封するケースはあり得ますが、封をした封筒に入れた納品書や、商品とは独立した書類として扱われる形だと問題になりやすくなります。
迷う場合は、自社判断だけで進めず、差出前に郵便局へ確認するのが安全です。
宛名入りのDMや招待状は、内容によって信書に該当する可能性があります。日本郵便は、ダイレクトメールのうち、文書自体に受取人が記載されているものや、特定の受取人に差し出す趣旨が明らかな文言があるものを、信書に該当する例として示しています。
電子メールやPDFファイルを送ること自体は、郵便法上の「信書の送達」にはあたりません。日本郵便は、信書の説明の中で、文書とは人の知覚で認識できる情報が記載された紙その他の有体物であり、電磁的記録物を送付しても信書の送達には該当しないと案内しています。
つまり、請求書や契約関連書類をPDF化してメール添付で送る場合、それは信書送付とは別の扱いです。
ただし、電子メールやPDFで送付する場合は、相手先の受領ルール、電子帳簿保存法やインボイス対応、社内承認、セキュリティの観点も確認しておくことが大切です。
信書とは、特定の受取人に対して意思や事実を伝える文書のことで、請求書、納品書、契約書、案内状など、企業実務で日常的に扱う書類の多くが該当します。
重要なのは、書類名だけで判断するのではなく、誰に向けた文書か、どのような内容を伝えるのか、どの方法で送るのかをセットで考えることです。送付手段としては、日本郵便の郵便物、レターパック、スマートレター、または許可を受けた信書便事業者のサービスを使うのが基本です。
一方で、ゆうパックやクリックポストなど信書非対応のサービスに入れてしまうのは避けなければなりません。判断に迷う文書は、発送前に郵便局へ確認し、自社でも発送ルールを整備しておくと安心です。
信書の送付対応を含めた経理業務の効率化については、以下の資料もご覧ください。