更新日:2025.08.25
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経理業務の一つとして、毎月必ず発生するのが請求処理。
受領、確認、仕訳、承認、振込、保存など多くの工程があり、負担の大きい業務です。
しかも今は、テレワークの定着や業務効率化の流れに加え、インボイス制度や電子帳簿保存法など、法制度への対応も求められる"変化の時代"。紙と電子の請求書が混在し、業務はますます複雑になっています。
では、企業はこの請求業務のどこに、どれだけの負担を感じているのでしょうか。
株式会社インボイスが実施した「企業規模別に変化する請求書処理業務の実態調査」(対象:約500人)では、企業の"拠点数"に着目しながら、請求業務の負担実態を明らかにしています。
本記事ではこの調査をもとに、拠点拡大によって経理業務にどのような負担が生じているのかを企業規模ごとの課題の違いから読み解いていきます。
請求業務の実態を掘り下げ、自社フェーズに合った業務効率化のヒントを探っていきましょう。
回答者プロフィール
拠点数別の請求書枚数を見てみると、拠点数の増加に比例して請求書も増加しています。
月間101枚以上の請求書を受領している企業の割合は、1〜10拠点で22%、11〜30拠点で50%、31〜100拠点で54%、101拠点以上では72%という結果となりました。
また、受領請求書の業務負荷についての調査では、受領請求書の処理が「非常に大変」「やや大変」と回答した割合が、11拠点以上の企業で50%以上となりました。この結果から、拠点数の増加とともに業務負担を感じやすくなっていることが分かります。
【1カ月間に受領する請求書枚数】
【受領請求書の業務負荷】
拠点数の増加により請求書が増える科目は、以下の5つです。
・水道光熱費
・通信費
・広告宣伝費
・販売手数料
・荷造運賃
中でも水道光熱費・通信費・荷造運賃は、「請求書の枚数が多い」との回答が特に多く、拠点数に応じて発行される請求書の量が増える実態がうかがえます。
とくに101拠点以上の企業では、通信費の請求書の割合が最も高く、契約電話ごとに請求書が発行される通信費の特性が表れています。
一方、地代家賃や車両費については、拠点数に直結する請求書と考えられるものの、「枚数が多い」との回答は少なく、拠点数との相関は見られませんでした。
【受領枚数が多い請求書の科目】
請求書ごとの業務負荷は、科目別の請求書枚数と強い相関が見られました。特に、水道光熱費、通信費、販売手数料は、拠点数が増えるほど「大変」と感じる割合が高まる傾向があります。
一方、車両費は請求書枚数との相関は弱いものの、業務負荷との相関は強い結果となりました。拠点数が増えることで車両台数が増加し、それに伴ってガソリン代やETC料金を部門ごとに割り振る作業が発生するため、負荷が大きくなっていると考えられます。
【業務負荷が大きい請求書の科目】
「請求金額や請求内容の確認が大変」「部門仕分け(配賦)が大変」「科目の仕訳が大変」など、請求書の中身を読み取る作業は、多拠点企業ほど「大変」と感じる傾向が強いことが分かりました。
逆に、「受領が大変」「支払作業が大変」といった作業については、拠点数との相関が弱く、負担感は比較的低いようです。
請求金額や内容の確認が大変な理由としては、「紙の請求書が多いから」「紙と電子の請求書が混在しているから」「枚数が多いから」「請求書のレイアウトがバラバラだから」などが挙げられ、1~10拠点の企業でも30%以上が「大変」と回答しました。101拠点以上の企業では、枚数やレイアウトに関する負担感はやや低い傾向が見られました。
注目すべきは、「請求金額や請求内容の確認が大変」と答えた31拠点以上の企業の約50%が、「記載内容がわかりにくいから」と回答した点です。拠点数が増えるほど、より詳細内容の確認が求められていると考えられます。
【大変だと感じる請求書の処理業務】
【請求金額や請求内容の確認が大変だと感じる理由】
今回の調査から明らかになったのは、請求書処理における課題は一律ではなく、企業の拠点数や規模によって課題が異なるということです。
たとえば、拠点数が少ない企業では「請求書の受領」や「内容確認」といった基本的な処理作業そのものが大きな負担になりやすい一方で、拠点数が増えてくると、「配賦」や「仕訳」など業務構造の複雑さが課題となってきます。
さらに注目すべきは、"効率化したい業務の内容"も企業の規模によって大きく異なるという点です。
つまり、自社のフェーズに合わせて「今何が課題となっているのか」を把握し、適切な対策を講じていくことが、業務効率化の第一歩になります。
さらに、
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まずは他社の実態と自社の現状を照らし合わせながら、今後の業務改善のヒントとしてお役立てください。