更新日:2026.09.29

ー 目次 ー
貸借対照表と損益計算書の大きな違いは、貸借対照表が「ある時点の財政状態」、損益計算書が「一定期間の経営成績」を示す点です。貸借対照表では資産・負債・純資産、損益計算書では収益・費用・利益を確認できます。
株式会社では、会社法第435条により、各事業年度の貸借対照表・損益計算書などの作成が義務付けられています。
この記事では、貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)の意味や違い、両者のつながり、基本的な見方をわかりやすく解説します。
貸借対照表とは、決算日などのある時点における、会社の資産・負債・純資産をまとめた書類です。
貸借対照表は、資産合計と負債・純資産合計が一致する仕組みになっており、「バランスシート」とも呼ばれます。英語の「Balance Sheet」の頭文字を取り、「B/S」とも呼ばれます。
貸借対照表では、会社がどのように資金を調達し、その資金をどのような資産として保有・運用しているかを確認できます。
貸借対照表は、資産・負債・純資産の3つで構成されます。
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構成要素 |
内容 |
主な項目 |
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資産 |
会社が保有・運用している財産 |
・現金 ・預金 ・売掛金 ・棚卸資産 ・建物 |
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負債 |
将来返済・支払いが必要なもの |
・買掛金 ・未払金 ・借入金 |
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純資産 |
株主からの出資や利益の蓄積 |
・資本金 ・資本剰余金 ・利益剰余金 |
資産を見ると資金の使い道、負債と純資産を見ると資金の調達方法を把握できます。
関連記事:貸借対照表とは?見方・作り方・決算チェックのポイントまでわかりやすく解説
損益計算書とは、1年間などの「一定期間」における収益・費用・利益をまとめた書類です。英語の「Profit and Loss Statement」の頭文字を取り、「P/L」とも呼ばれます。
損益計算書では、会社がどれだけの収益を獲得し、そのためにどれだけの費用を使い、最終的にいくらの利益または損失が生じたかを確認できます。
損益計算書には、利益が生じた段階に応じて、主に5つの利益が表示されます。
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利益 |
計算式 |
わかること |
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売上総利益 |
売上高 - 売上原価 |
商品・サービスそのものの収益力 |
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営業利益 |
売上総利益 - 販売費及び一般管理費 |
本業で稼ぐ力 |
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経常利益 |
営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用 |
通常の事業活動全体による利益 |
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税引前当期純利益 |
経常利益 + 特別利益 - 特別損失 |
税金を差し引く前の利益 |
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当期純利益 |
税引前当期純利益 - 法人税等 |
最終的に残った利益 |
各段階の利益を比較すると、売上原価・販売費及び一般管理費・支払利息など、利益を圧迫している要因を分析できます。
関連記事:損益計算書の見方が変わる|5つの利益と販管費でわかる会社のリアル
貸借対照表と損益計算書は、どちらも会社の状態を確認するための書類ですが、対象とする時点や内容が異なります。
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比較項目 |
貸借対照表(B/S) |
損益計算書(P/L) |
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示すもの |
財政状態 |
経営成績 |
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対象期間 |
決算日などの一時点 |
1年間などの一定期間 |
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主な項目 |
資産・負債・純資産 |
収益・費用・利益 |
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主な確認目的 |
支払能力や財務の安全性 |
収益力や費用構造 |
貸借対照表は、決算日時点における会社の財産や資金調達の状態を示します。現金や借入金などの残高は日々変動するため、貸借対照表は特定の日の状態を切り取った書類といえます。
一方、損益計算書は、期首から期末までに発生した収益と費用を集計し、その期間の利益を示します。
たとえば、3月31日決算の会社の場合、貸借対照表は3月31日時点の財政状態、損益計算書は原則として4月1日から翌年3月31日までの経営成績を表します。
貸借対照表と損益計算書は、対象とする内容が異なりますが、損益計算書の当期純利益を通じてつながっています。
損益計算書で算出された当期純利益は、株主資本等変動計算書において、繰越利益剰余金の増加要因として表示されます。その結果、配当などの変動も反映した期末残高が、貸借対照表の純資産の部に引き継がれます。
関係を簡略化すると、次のとおりです。
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期末の繰越利益剰余金 = 期首残高 + 当期純利益 - 配当など |
たとえば、期首の繰越利益剰余金が500万円、当期純利益が200万円、配当が50万円の場合、期末残高は650万円です。
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項目 |
金額 |
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期首の繰越利益剰余金 |
500万円 |
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当期純利益 |
+200万円 |
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配当 |
-50万円 |
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期末の繰越利益剰余金 |
650万円 |
当期純損失が生じた場合は、繰越利益剰余金の減少要因になります。なお、純資産は増資や自己株式、評価・換算差額などでも変動するため、当期純利益と純資産全体の増減額が必ず一致するわけではありません。
貸借対照表では財務の安全性、損益計算書では収益性を中心に確認します。ただし、単年度の数値だけで判断せず、過去の実績や同業他社と比較することが大切です。
貸借対照表では、会社の支払能力や借入金への依存度などを確認します。代表的な指標は以下のとおりです。
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指標 |
計算式 |
主な確認内容 |
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流動比率 |
流動資産 ÷ 流動負債 × 100 |
短期的な支払能力 |
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自己資本比率 |
自己資本 ÷ 総資本 × 100 |
総資本に占める自己資本の割合 |
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固定比率 |
固定資産 ÷ 自己資本 × 100 |
固定資産を自己資本で賄えているか |
流動比率や自己資本比率は、高ければ必ずよいとは限りません。業種や事業規模、資金調達方針によって適正な水準が異なるため、数値の推移と内訳を確認しましょう。
損益計算書では、売上高だけでなく、各段階の利益と利益率を確認します。
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指標 |
計算式 |
主な確認内容 |
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売上総利益率 |
売上総利益 ÷ 売上高 × 100 |
商品・サービスの採算性 |
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営業利益率 |
営業利益 ÷ 売上高 × 100 |
本業の収益力 |
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経常利益率 |
経常利益 ÷ 売上高 × 100 |
通常の事業活動全体の収益力 |
売上高が増えていても、原価や人件費などの増加によって利益率が低下している場合があります。前期や予算と比較し、どの費用が増減しているかまで確認しましょう。
貸借対照表・損益計算書と、現金の増減を示すキャッシュフロー計算書は、一般に財務三表と呼ばれます。
損益計算書で利益が出ていても、売掛金の回収前であれば現金は増えていません。利益と現金の動きは一致しないことがあるため、資金繰りを把握するにはキャッシュフロー計算書もあわせて確認します。
キャッシュフロー計算書では、現金の増減を次の3つに分けて表示します。
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区分 |
主な内容 |
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営業活動によるキャッシュフロー |
商品販売、仕入、人件費など本業による現金の増減 |
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投資活動によるキャッシュフロー |
設備や有価証券の取得・売却による現金の増減 |
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財務活動によるキャッシュフロー |
借入れ、返済、増資、配当などによる現金の増減 |
貸借対照表で期末の現金残高、損益計算書で利益、キャッシュフロー計算書で現金が増減した理由を確認すると、会社の状態を立体的に把握できます。
なお、貸借対照表・損益計算書とは異なり、キャッシュフロー計算書は、すべての企業に一律の作成義務があるわけではありません。
ここでは、貸借対照表と損益計算書の違いや関係、両者の数値が一致するかなど、貸借対照表・損益計算書についてよくある疑問に回答します。
損益計算書の当期純利益は、株主資本等変動計算書を通じて、貸借対照表の純資産にある繰越利益剰余金の増加要因として反映されます。当期純損失が生じた場合は、減少要因になります。
P/Lは、一定期間の収益・費用・利益をまとめた損益計算書です。一方、B/Sは、決算日などの一時点における資産・負債・純資産をまとめた貸借対照表です。
貸借対照表と損益計算書は、対象とする内容が異なるため、合計額が一致するものではありません。
ただし、損益計算書の当期純利益が繰越利益剰余金の変動要因になるなど、両者の数値は連動しています。純資産には配当や増資などの影響も含まれるため、当期純利益と純資産全体の増減額がそのまま一致するとは限りません。
株式会社は、会社法第435条により、事業年度ごとに貸借対照表や損益計算書などを作成しなくてはいけません。法人税の確定申告では、貸借対照表や損益計算書などを申告書に添付します。
個人事業主は申告方法によって異なります。55万円または65万円の青色申告特別控除を受ける場合は、一定の要件を満たしたうえで、貸借対照表と損益計算書などを確定申告書に添付し、期限内に申告する必要があります。
一方、白色申告などでは記帳義務はあるものの、貸借対照表と損益計算書の両方の作成が一律に求められるわけではありません。
貸借対照表は決算日などの一時点における財政状態、損益計算書は一定期間の経営成績を示す書類です。貸借対照表では資産・負債・純資産、損益計算書では収益・費用・利益を確認します。
両者は、損益計算書の当期純利益が、株主資本等変動計算書を通じて貸借対照表の繰越利益剰余金へ反映される形でつながっています。
貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書をあわせて確認し、会社の安全性・収益性・資金の流れを経営判断に活用しましょう。
貸借対照表と損益計算書の扱いを含め、経理業務を効率化したい方は、以下の資料もご確認ください。