更新日:2025.06.26
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電子帳簿保存法は、税務関連帳簿・書類を電子化して保存する際のルールを定めた法律です。電子データを保存するためには、業務の進めやすさや社員のアクセスのしやすさなどを基準に、書類の保存場所を決める必要があります。
電子帳簿保存法では、データの保存場所について厳密には決められていません。このことから、データの保存場所を考える際は社内サーバーやクラウドサービスなどの、自社の対応しやすい方法を選びましょう。
データの保存場所の選択を誤ると、情報漏洩のリスクや電子帳簿保存法へ対応できない可能性もあるため注意が必要です。
本記事では、電子帳簿保存法に対応する保存場所やその選び方を解説します。
電子帳簿保存法の保存場所は、自社サーバーやクラウドストレージなどがあります。企業によって適した環境は異なるため、特徴を理解したうえで保存場所を選びましょう。
自社にあった適切な保存場所を選ぶことで、作業が進めやすくなり、電子帳簿保存法の担当者の業務負担を軽減できます。
ここでは、電子帳簿保存法に対応した保存場所を3つ解説します。
自社サーバーは、外部サービスに依存せず、社内ネットワーク上で完結できる保存場所です。セキュリティ管理を自社内で徹底することで、情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。
一方で、自社サーバーはデータが増えると物理的なディスク容量を圧迫するリスクがあります。容量がなくなりそうな際は定期的に拡張をおこない、バックアップ体制の整備も欠かせません。
なお、自社サーバーを利用する場合は、電子帳簿保存法の保存要件に対応するために、改ざん防止機能や検索機能を満たす必要もあります。
クラウドストレージは、インターネット経由でアクセスできる保存場所です。ファイルの共有・検索・保管をオンライン上で完結できるため、リモートワークや外注先との連携にも適しています。
クラウドサービスは、タイムスタンプの付与やアクセスログ記録などの、電子帳簿保存法の要件に対応した機能が備わっているケースも多くあります。そのため、電子帳簿保存法に対応済みのクラウドサービスを契約した際には、導入時に追加対応は不要なケースがあるでしょう。
災害時のバックアップ体制も整っているため、保存したデータが紛失するリスクも最小限で済みます。
外部メモリとは、USBメモリや外付けハードディスクなどを指します。電子帳簿保存法に適した保存場所のなかでも手軽に利用でき、社内サーバーの容量を圧迫せずにデータの保管が可能です。
ただし、外部メモリは紛失・破損などのリスクもあるため、バックアップの確保や管理のルールを徹底しなければなりません。
外部メモリの使用は電子帳簿保存法の要件を満たすために、改ざん防止や検索機能が必要です。
関係記事:電子帳簿保存法の保存要件をわかりやすく解説!スキャナ保存の要件や注意点も紹介
保存場所を選ぶ際には、使いやすさだけでなく、法令への対応やセキュリティ面、保存できる容量などのさまざまな視点で検討しなければなりません。自社にあわせた保存場所を選ばなければ、業務の効率が下がり、電子帳簿保存法の担当者に負担がかかる可能性があります。
企業ごとの規模や業務体制にあわせて、最適な保存環境を整えましょう。
ここからは、電子帳簿保存法に則った保存場所の選び方を解説します。
電子帳簿保存法の保存場所を考える際は、アクセスのしやすさを考えましょう。
近年はリモートワークが普及しており、遠隔地から社内データへアクセスするケースも多くあります。遠隔地からアクセスをおこなう場合、各端末のメモリだけでは利便性が高くありません。
常に最新のデータを扱えることも踏まえて、クラウドストレージをはじめとした外部からのアクセスが可能な環境がおすすめです。
電子帳簿保存法では、データを保存する際のルールが定められています。たとえば、ファイルの改ざん防止に対する対策や、日付・取引先・金額などによる検索機能の確保などが求められます。
電子帳簿保存法に対応する際は、保存場所が要件を満たしているかを確認しましょう。
自社サーバーや外部メモリを使用する場合は、要件を満たせない可能性があるため、検索機能の追加やソフトウェアの導入が必要となるケースもあります。
電子帳簿保存法の保存場所を考える際は、保存したデータが漏洩しないよう、セキュリティレベルも重視すべき部分です。万が一データが外部に漏洩した場合は、企業の信用を失うケースにもつながりかねません。
たとえば、クラウドサービスを利用するのであれば、通信の暗号化やアクセス権限の管理、ログ記録などの機能が備わっているか確認しましょう。自社サーバーや外部メモリを使用する場合でも、定期的なウイルスチェックやバックアップをおこなう必要があります。
電子帳簿保存法では、書類や帳簿を数年間保存することが義務付けられています。
そのため、容量の小さい自社サーバーや外部メモリを選んでしまうと、容量を満たした際に保存場所を複数に分散させる必要が発生し、管理の手間が増えます。クラウドストレージの場合は、契約プランにあわせて柔軟に容量を変更できるケースも少なくありません。
将来的に容量を拡張する必要があるのか、拡張にかかる手間は少ないかを踏まえて、保存場所を決定しましょう。
電子帳簿保存法では保存要件である可視性を確保するために、「取引年月日」「取引先名称」「金額」で検索できるようにしなければなりません。たとえば、タイトルに日付・取引先名・金額などの情報を含めてファイル名を設定しておくことで、検索性を保てるでしょう。
ファイル名を統一することが難しいのであれば、ファイルには通し番号を設定し、索引簿を作成する方法もあります。
連番 |
日付 |
取引先名称 |
金額 |
備考 |
00001 |
20250601 |
〇〇株式会社 |
12,000 |
請求書 |
00002 |
20250614 |
有限会社〇〇 |
10,000 |
発注書 |
ファイル名の付け方は法律上で定められていないため、自社の管理しやすいルールを決めましょう。
自社で発行する書類は1つの場所にまとめておくことで、管理がしやすくなります。請求書の発行から保管までを一括で可能にするならば、OneVoice明細がおすすめです。
OneVoice明細は、請求書や納品書などのさまざまな帳票発行に対応しており、発行した書類はクラウド上に保管できます。書類は取引先が希望する形で発行できるため、顧客に負担をかける心配もありません。
実際に導入する前は無料のトライアル期間も設けられており、自社にあっているか判断してから本格的に利用できます。
本記事では、電子帳簿保存法に対応する保存場所やその選び方を解説しました。
電子帳簿保存法の保存場所は、自社サーバーやクラウドストレージなどがあります。それぞれの保存場所には特徴があるため、セキュリティ・検索性・容量・アクセス性などを比較したうえで、決定しなければなりません。
保存する際はファイル名のルールを明確にしておくことで、電子帳簿保存法の要件を満たしやすくなります。
電子帳簿保存法の保存場所に悩む際は本記事を参考に、自社にあったものを見つけましょう。