更新日:2024.12.27
ー 目次 ー
請求書に支払期限が記載されていないと「いつまでに支払えば良いのか」がわからず、取引先とのトラブルにつながるおそれがあります。支払期限が不明な場合、どう対処したら良いか悩む方も少なくありません。
請求書の支払期限についてルールを把握しておくことは、取引先との良好な信頼関係を築くのに有効です。トラブルを回避し、安心して取引を進めるために、請求書の支払期限についての疑問を解決しておきましょう。
本記事では、請求書に支払期限が書いていない場合の対応や支払期限に関するルール、注意点などについて解説します。
請求書の支払期限や記載位置は、発行者によってさまざまなパターンがあります。そのため、支払期限が記載されていない請求書を受領するような事態に遭遇するかもしれません。
請求書に支払期限が書かれていないと、未払いや未回収のリスクが高まるおそれがあるため、トラブルを防ぐ適切な対応が求められます。
ここでは、受領側と発行側のそれぞれの立場で具体的にどう対応すべきかを解説します。
請求書を受け取った際に支払期限が書いていない場合は、いつまでに支払うべきか取引先に確認しましょう。
取引開始時に交わした契約書で、支払期限を定めているケースもあります。「月末締め、翌月末払い」などの記載があれば、その条件通りに支払いを進めてください。
また、「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」では、下請け業者の利益を保護するために、下請代金の支払について期限が定められています。取引が下請法の対象となる場合、納品日から60日以内に支払う必要があることを覚えておきましょう。
支払期限が記載されていない請求書は、取引先に誤解を与え、支払い遅延の原因となるおそれがあります。そのため、発行した請求書に支払期限が記載されていないとわかったら、取引先へ誤りがあったことを伝え、正しい内容の請求書を速やかに再発行しましょう。
請求書を発行する際に起こるミスはほかにも、売上内容の誤記や取引条件の記載漏れなどがあります。これらのミスを防ぐために、請求書の内容を入念にチェックするのが重要です。
請求書発行で起こるミスの例
請求書の支払期限や有効期限について、法律によって定められているルールがあります。これらの法律を理解しておけば、取引のトラブルを未然に防げるでしょう。
ここでは、請求書の支払期限・有効期限について、法律で定められているルールを解説します。
「下請代金支払遅延等防止法」では、親事業者が下請事業者に対して代金を支払う期限について、「納品日から60日以内」と定めています。立場が弱くなりがちな下請事業者の利益を保護し、適正な取引ができる仕組みが整えられています。
2024年11月1日に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」では、フリーランスと企業の間の取引でも同様に、「60日以内のできる限り早い日」とするルールも適用されます。
ただし、これらの法律の対象となる取引には一定の条件があるため、該当するか確認が必要です。
2020年の民法改正により、請求書の有効期限は「支払期日の翌日から5年間」と定められました。また、改正前の2020年3月31日までに発行された請求書の有効期限は、2年間です。
取引先から支払いがないことを理由に請求書を送り続けた場合でも、有効期限は更新されない点に注意が必要です。
有効期限を延長させたい場合は、内容証明郵便で催告をおこなうと、期限を6か月延長できます。取引先に対して法的措置を取る意思を伝えることで、未回収リスクを最小限に抑えられるでしょう。
請求書を発行する際は、受領側に支払期限を明確に伝える必要があります。
支払期限は一般的に「月末締め・翌月末払い」や「月末締め・翌々月末払い」が多いほか、当事者の話し合いでも自由に決められます。しかし、支払期限を明確にしていないと、お互いの認識に齟齬が生じてトラブルになりかねません。
ここでは、支払期限の書き方で注意すべき2つのポイントを解説します。
請求書に支払期限を記載する際は、「請求書発行日の30日後」などの曖昧な表現では誤解を招くおそれがあるため、「〇年〇月〇日」や「〇月末日」のように明確な日付で記載することをおすすめします。
請求書に支払期限が明確に記載されていないと、受領側がいつまでに支払えば良いかがわからず、未払いや支払い遅延などのトラブルが起こる可能性が高まります。
具体的な日付を請求書の見やすい位置に明記すれば、受領側にもわかりやすく、スムーズな取引をおこなえるでしょう。
土日・祝日は、一般的に金融機関が休業日となるため、入金処理が遅れるおそれがあります。そのため、支払期限を設定する際は、土日や祝日、年末年始などを避けて設定するようにしましょう。
また、このような事態を未然に防ぐために、事前に取引先と休日と重なる場合の取り決めをしておくと効果的です。「土日と重なる場合は翌営業日」や「年末年始は翌月5日支払い」などのルールを決めておくと、双方とも安心して取引を進められ、支払いに関するトラブルの予防につながります。
請求書の支払期限については、企業によって対応が異なります。当事者同士で自由に取り決めできる一方、明確な日付ではなかったり、取引ごとに変動したりすると、思わぬトラブルやアクシデントが発生するリスクがあります。
最後に、請求書の支払期限に関するよくある質問を紹介します。
請求書に支払期限が書かれていない場合、取引開始時に交わした契約書を確認してください。契約書に記載があれば、その取り決めにしたがって期限までに支払いましょう。
また、支払期限の記載がない場合でも、発行側が下請事業者であれば、納品から「60日以内で、かつなるべく早く」支払うよう義務付けられています。
支払期限は一般的に「月末締め・翌月末払い」や「月末締め・翌々月末払い」が多く採用されています。継続的な取引では一定期間分をまとめて請求するため、わかりやすい日付で明確に設定することをおすすめします。
なお、大企業と下請事業者などのように取引する立場が異なる場合は、不当な未払いや支払遅延を防ぐため、納品日から60日以内を支払期限とする必要があります。
請求書に支払期限を記載する際は、請求金額や振込先口座など、重要な情報が集中している部分に明記するのが効果的です。見落とされることがないように、受領側にとってわかりやすい位置に記載しましょう。
また、支払期限は「〇年〇月〇日」のように具体的な日付に設定してください。「発行日から30日後」や「受領後ただちに」などの表現は、取引先との認識に相違を生じるおそれがあるため、避けたほうが良いでしょう。
本記事では、請求書に支払期限が書いていない場合の対応や支払期限に関するルール、注意点などについて解説しました。
請求書の支払期限は、当事者同士で取り決めする場合も多く、明確な記載がないとトラブルに発展しかねません。請求書に支払期限が書かれていない場合は、受領側・発行側に関わらず、取引先に誠意を持った対応を心がけましょう。
請求書を発行する際は、支払期限を明確かつわかりやすい位置に記載することが重要です。支払期限や有効期限に関するルールをしっかり把握して請求書を作成し、請求トラブルを未然に防ぎましょう。