請求書の添え状はこれで完璧！メール・郵送別の書き方と例文を解説

更新日：2025.11.28

ー目次ー

請求書を送るとき、「添え状って本当に必要なのかな？」と迷ったことはありませんか？
たしかに、添え状は法律で決められたものではありません。けれど、そこにひと言添えるだけで、相手に対する誠実さや信頼感がぐっと伝わります。
この記事では、メールと郵送それぞれの場合における添え状の正しい書き方やマナー、例文を分かりやすく紹介します。「今すぐ正しい形で送りたい」という方にもきっと役立つはずです。
小さな一枚の添え状が、取引先との関係をより良いものにする第一歩になります。

請求書に添え状は必要？ビジネスマナーとしての役割

請求書を送付する際「添え状（送付状）は本当に必要なのだろうか」と考えたことはありませんか？この章では、請求書における添え状の必要性と、ビジネスマナーとしての重要な役割について解説します。

結論：請求書の添え状は「必須ではないが、付けるのが丁寧なマナー」

まず結論から言うと、請求書に添え状を添付することは法律で定められた義務ではありません。そのため、添え状がなくても請求書としての効力に影響はありません。しかし、日本のビジネス慣習においては、書類を郵送する際に添え状を同封するのが一般的であり、丁寧なビジネスマナーとされています。

特に初めての取引先や、まだ関係性が深くない相手に対しては、添え状を付けることで礼儀正しい印象を与え、円滑なコミュニケーションと信頼関係の構築につながります。

郵送とメールでの違い

添え状の扱いは、請求書の送付方法によって異なります。

郵送の場合：紙媒体で作成した「送付状」または「添え状」を請求書に同封するのが一般的です。
メールの場合：メールの本文そのものが添え状の役割を果たします。そのため、別途添え状のファイルを作成して添付する必要はありません。件名や本文で、送付の目的や内容を明確に伝えることが重要です。

このように、送付方法に応じて適切な対応をすることが求められます。後の章で、それぞれのケースに合わせた具体的な書き方と例文を詳しく解説します。

請求書の添え状に記載すべき9つの基本項目

請求書に同封する添え状（送付状）は、ビジネスマナーの基本です。ここでは、添え状に記載すべき9つの基本項目について、それぞれの書き方とポイントを詳しく解説します。

日付

添え状の右上部に、作成日または投函日を記載します。西暦・和暦のどちらでも構いませんが、請求書本体の表記と統一するのが一般的です。ビジネス文書では西暦が広く用いられています。

例：2023年10月26日

宛名

日付の下、左寄せで記載します。会社名、部署名、役職名、担当者名を正式名称で正確に書きましょう。「株式会社」を「(株)」と略すのは避けてください。敬称の使い分けには注意が必要です。

送付先	敬称	具体例
会社や部署など組織宛	御中	株式会社〇〇経理部御中
個人宛	様	株式会社〇〇経理部鈴木一郎様

担当者名が不明な場合は「経理ご担当者様」のように記載します。「御中」と「様」は併用できないため注意しましょう。

差出人情報

宛名の下、右寄せで記載します。誰からの書類であるかを明確にするための重要な項目です。以下の情報を記載し、会社名に重なるように角印を押すと、より丁寧な印象になります。

会社名（または屋号・氏名）
住所（郵便番号も忘れずに）
電話番号
FAX番号（あれば）
メールアドレス

タイトル（件名）

中央に、他の文字より少し大きめのフォントで記載します。受け取った相手が何の書類か一目でわかるように、簡潔で分かりやすい件名にしましょう。

例：請求書送付のご案内、〇月分請求書のご送付について

頭語と結語

本文の冒頭に「頭語（とうご）」、末尾に「結語（けつご）」を記載します。これは手紙やビジネス文書における基本的なマナーです。一般的には「拝啓」と「敬具」の組み合わせが使われます。

種類	頭語	結語
一般的	拝啓	敬具
より丁寧な場合	謹啓	謹白

時候の挨拶

頭語に続いて、挨拶文を記載します。ビジネス文書では、季節を問わず使える「貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」や「平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。」といった表現が便利です。個人の取引先の場合は、より柔らかい表現でも良いでしょう。

本文

時候の挨拶に続き、本題に入ります。「さて、」などの言葉で始め、何の書類を送付したのかを簡潔に伝えます。要件が明確に伝わることが重要です。

例：さて、下記の通り請求書をお送りいたしますので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。

同封書類の内訳

本文の後、中央または左寄せで「記」と記載し、その下に同封した書類の名称と部数を箇条書きで記載します。最後に右下に「以上」と書いて締めくくります。これにより、相手は同封物を確認しやすくなり、書類の不足といったトラブルを防ぐことができます。

例：

記

請求書　1通

以上

担当者名

結語の後、差出人情報とは別に、送付状を作成した担当者の部署名と氏名を記載することがあります。必須ではありませんが、問い合わせ先が明確になるというメリットがあります。差出人情報に担当者名まで記載している場合は省略しても問題ありません。

【メールの場合】請求書送付メールの書き方と例文

ここでは、ビジネスマナーを守りつつ、相手に分かりやすく請求書を送るためのメールの書き方と例文を解説します。

請求書を送付する際は、改ざん防止のためにPDF形式で添付するのが一般的です。また、セキュリティ対策として、添付ファイルにパスワードを設定し、そのパスワードは別のメールで通知するとより安全です。

失敗しないメール件名の付け方

請求書送付メールの件名は、受信者が一目で内容を理解できるように、簡潔かつ具体的に記載することが重要です。毎日多くのメールを受け取る担当者が見落としたり、迷惑メールと誤認したりするのを防ぐためです。件名には「何の用件か」「誰からのメールか」が分かるように、以下の要素を含めましょう。

【請求書送付のご案内】などの用件
自社の会社名
請求対象の年月（例：2023年10月分）

具体的な件名の良い例と悪い例を以下に示します。

良い例	悪い例
【株式会社〇〇】2023年10月分請求書送付のご案内	請求書
【請求書】株式会社〇〇（2023年10月度）	お世話になっております。

悪い例のように件名が曖昧だと、他のメールに埋もれてしまったり、開封を後回しにされたりする可能性があります。

メール本文の基本例文

メール本文には、郵送の添え状と同様に、宛名、挨拶、用件、結び、署名を記載します。

特に、添付ファイルの内容（請求書であること）、請求金額、支払期日などを明記すると、相手にとって親切です。以下に、すぐに使える基本例文をご紹介します。

件名：【株式会社〇〇】2023年10月分請求書送付のご案内

株式会社△△
経理部　□□様

いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の佐藤です。

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

つきましては、2023年10月分の請求書をPDFファイルにて添付いたしましたので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。

------------------------------------
ファイル名：請求書_20231031_株式会社△△御中.pdf
請求金額：110,000円（税込）
お支払期日：2023年11月30日
------------------------------------

本メールと行き違いでお支払済みの場合は、何卒ご容赦ください。ご不明な点がございましたら、お気軽にお申し付けください。

今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。

--
株式会社〇〇
営業部　佐藤太郎
〒100-0001 東京都千代田区〇〇1-2-3
TEL：03-1234-5678
Email：sato.taro@marumaru.co.jp
-

なお、添付するPDFファイルにパスワードを設定した場合は、「パスワードは別途お送りいたします」といった一文を追記し、必ず別のメールでパスワードを通知するようにしましょう。

【郵送の場合】請求書の添え状の書き方と例文

ここでは、郵送用の添え状と封筒の書き方について、具体的な例文を交えて解説します。

郵送用添え状の基本例文

郵送する場合の添え状は、ビジネス文書の基本的な形式に沿って作成します。以下に、そのまま使える汎用的な例文をご紹介します。第2章で解説した9つの基本項目がすべて含まれていますので、貴社の情報に書き換えてご活用ください。

令和X年X月X日

株式会社〇〇
経理部御中
（ご担当者様名が分かる場合は「経理部〇〇様」と記載）

〒XXX-XXXX
東京都千代田区丸の内X-X-X 〇〇ビルX階
株式会社△△
経理部担当：鈴木一郎
TEL：03-XXXX-XXXX
FAX：03-XXXX-XXXX

（自社（差出人）の情報などを記載）

請求書送付のご案内

拝啓

時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、下記の通り請求書を同封いたしましたので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。

敬具

記

【同封書類】
・請求書（No.20231001）　1通

以上

請求書を入れる封筒の書き方とマナー

請求書を送付する封筒にも、ビジネスマナーに基づいた書き方があります。

宛名や差出人情報はもちろん、「請求書在中」の記載を忘れないようにしましょう。これにより、受け取った相手が開封前に中身を把握でき、社内でのスムーズな仕分けに役立ちます。

表面（オモテ面）の書き方

封筒の表面には、宛先の情報を正確に記載します。縦書きが一般的ですが、横書きでも問題ありません。会社名や部署名に敬称「御中」を、個人名には「様」を付けます。

項目	書き方のポイント
郵便番号	枠内に算用数字で正確に記載します。
宛先住所	都道府県から省略せずに、ビル名や階数まで正確に記載します。
会社名・部署名	住所より少し大きい文字で記載します。（株）などと略さず、「株式会社」と正式名称で書きます。
役職・氏名	会社名よりさらに大きい文字で、中央に記載します。部署宛ての場合は「御中」、担当者宛ての場合は「様」を使います。
請求書在中	封筒の左下に記載します。手書きでも構いませんが、スタンプを使うと見やすく手間も省けます。色は青色が一般的です。

裏面（ウラ面）の書き方

裏面には差出人の情報を記載します。封じ目には「〆」や「封」といった封字を書き、未開封であることを示します。

項目	書き方のポイント
差出人情報	中央の継ぎ目より左側に、郵便番号、住所、会社名、部署名、担当者名を記載します。
封かん日	左上に投函日を記載するのが一般的です。
封字	フラップ（封じ口）の中央に「〆」や「封」と記載します。

書類の入れ方とその他のマナー

請求書や添え状を封筒に入れる際にも、いくつかのマナーがあります。相手への配慮を示すためにも、以下の点に注意しましょう。

書類の折り方：A4サイズの書類は、長形3号の封筒に合わせて三つ折りにするのが一般的です。添え状を一番上にし、請求書が内側になるように折ります。受け取った相手が開封した際に、すぐに何の書類か分かるようにするためです。
クリアファイルの使用：書類をクリアファイルに入れてから封筒に入れると、郵送中に雨で濡れたり、折れたりするのを防げます。より丁寧な印象を与えることができます。
切手：送付する書類の重さに合った料金の切手を貼ります。料金が不足すると返送されたり、相手方に不足分を支払わせてしまったりする可能性があるため、郵便局の窓口で確認するか、事前に重さを測るなどして正確な料金を確認しましょう。

Q&A｜請求書の添え状に関するよくある質問

請求書の添え状を作成する際、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式で解説します。ビジネスマナーを守り、取引先に好印象を与えるためのポイントを確認しましょう。

添え状は手書きでも良いですか

結論から言うと、添え状はパソコンで作成するのが一般的であり、推奨されています。

手書きが必ずしもマナー違反というわけではありませんが、ビジネス文書としての読みやすさや統一性を考慮すると、パソコン作成が望ましいでしょう。

特に法人間の取引では、活字の文書が基本です。ただし、個人事業主の方や、特に丁寧な気持ちを伝えたい場合には、手書きの添え状が温かみを感じさせ、良い印象を与えることもあります。

手書きとパソコン作成の比較

作成方法

メリット

デメリット

パソコン作成

・読みやすい

・修正が容易

・作成効率が良い

・フォーマットを統一できる

・定型的で冷たい印象を与える可能性がある

手書き

・丁寧さや温かみが伝わりやすい

・気持ちを込めやすい

・読みにくくなる可能性がある

・修正が難しい

・作成に時間がかかる

もし手書きで作成する場合は、黒のボールペンや万年筆を使用し、誰が読んでも読みやすい、丁寧な楷書で書くことを心がけましょう。修正液や修正テープの使用は避けるのがマナーです。

無料のテンプレートはどこでダウンロードできますか

請求書の添え状は、一から作成しなくても無料のテンプレートを活用することで効率的に作成できます。テンプレートは、ビジネス文書のフォーマットを提供しているWebサイトや、オフィスソフトの公式サイトなどで入手可能です。

これらのテンプレートはWordやExcel形式で提供されていることが多く、自社の情報に合わせて簡単に編集できます。以下に代表的なテンプレートサイトをいくつかご紹介します。

代表的な無料テンプレートサイト

サイトの種類	特徴	代表例
オフィスソフト公式サイト	WordやExcelに標準搭載されているテンプレートや、公式サイトから追加でダウンロードできます。ソフトとの互換性が高く安心して利用できます。	Microsoft Office テンプレート
ビジネス情報サイト	ビジネス関連の書式を専門に扱っており、種類が豊富です。会員登録が必要な場合もありますが、高品質なテンプレートが見つかります。	bizocean（ビズオーシャン）、bizroute（ビズルート）
クラウド請求書サービス	請求書発行サービスが提供しているテンプレートです。サービスへの登録を促す目的のものもありますが、デザイン性の高いものが多いです。	Misoca（ミソカ）などが提供するテンプレート集

テンプレートを選ぶ際の注意点

テンプレートを選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。

記載項目の網羅性：自社で必要な項目（日付、宛名、差出人情報、件名、本文、同封書類など）が揃っているか確認しましょう。
編集のしやすさ：WordやExcelなど、自社で普段使っているソフトに対応したファイル形式かを確認します。複雑な装飾や設定がなく、シンプルなものがカスタマイズしやすいです。
汎用性：シンプルでどのような取引先にも使用できるデザインのものを選ぶと、一度ダウンロードすれば様々な場面で活用できます。

テンプレートはあくまで雛形です。ダウンロードした後は、必ず自社の情報に書き換え、送付先に合わせて内容を調整してから使用するようにしましょう。