更新日:2025.11.28

ー 目次 ー
請求書の送付状について、「何を書けばよいのか」「この表現で失礼にならないか」と迷うことはありませんか?
送付状は法的な義務ではないものの、受け手が内容をひと目で把握でき、やり取りが滞らないようにする大切な「ひと手間」です。基本マナーと必須項目、郵送・メールそれぞれの文例までを順にご紹介いたします。実務で役立つ形を一緒に整えていきましょう。
結論から言うと、請求書への送付状の同封は法律で義務付けられているわけではありません。しかし、ビジネスマナーとして同封するのが一般的です。
送付状を同封することには、ビジネスマナー以上の具体的なメリットがあります。主な3つのメリットを理解し、日々の業務に活かしましょう。
送付状を作成・送付する際には、相手に失礼のないよう、基本的なビジネスマナーを守ることが大切です。以下のポイントを押さえておきましょう。
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項目 |
マナーとポイント |
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用紙サイズ |
A4サイズが一般的です。送付する請求書やその他の書類とサイズを揃えると、受け取った側が管理しやすくなります。 |
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用紙の色・種類 |
ビジネス文書の基本である、白無地のコピー用紙を使用します。 |
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フォント |
明朝体やゴシック体など、誰にでも読みやすい標準的なフォントを選びましょう。文字サイズは10.5〜12ポイントが目安です。 |
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同封の順番 |
封筒に入れる際は、相手が最初に目にするように「送付状」を一番上にします。一般的には「送付状 → 請求書 → その他の書類」の順で重ねます。 |
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封筒の記載 |
請求書が折らずに入る「長形3号」や「角形2号」の封筒を使用します。封筒の表面には、中身が請求書であることが分かるように「請求書在中」とスタンプを押すか、手書きで記載しましょう。 |
請求書の送付状は、ビジネスマナーに則った形式で作成することが大切です。ここでは、送付状に記載すべき9つの必須項目を、書く順番に沿って解説します。これらの項目を漏れなく記載することで、誰が読んでも分かりやすく、丁寧な印象を与える送付状が完成します。
書類の左上に、請求書を送る相手の情報を記載します。会社名、部署名、役職名、担当者名の順で書き、敬称を付けます。会社名や部署名宛に送る場合は「御中」、個人名宛に送る場合は「様」を使い分けましょう。担当者名が不明な場合は「ご担当者様」と記載します。(株)などの略字は使わず、「株式会社」と正式名称で記載するのがマナーです。
書類の右上に、送付状を作成した日付を記載します。一般的には、請求書の発行日と合わせるか、ポストに投函する日付を記載します。和暦(令和〇年)でも西暦(202X年)でも構いませんが、同封する請求書の日付表記と統一すると丁寧です。
発行日の下に、送付状を送る側の情報を記載します。会社名(または屋号)、所在地(郵便番号から)、電話番号、FAX番号、メールアドレスなどを明記します。会社の場合は、会社名の上にロゴを入れたり、社判(角印)を押したりすると、より信頼性が高まります。
書類の中央に、内容が一目でわかるようなタイトルを記載します。「請求書送付のお知らせ」「請求書のご送付について」のように、簡潔で分かりやすい件名にしましょう。他の文字より少し大きなフォントにしたり、太字にしたりすると、より見やすくなります。
本文の書き出しには「頭語」、結びには「結語」を使います。ビジネス文書で最も一般的に使われる組み合わせは「拝啓」と「敬具」です。この2つは必ずセットで用いるようにしましょう。
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種類 |
頭語 |
結語 |
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一般的 |
拝啓 |
敬具 |
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丁寧 |
謹啓 |
謹白 |
頭語に続いて、挨拶文を記載します。ビジネス文書では、季節に関わらず使える「貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」や「平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。」といった表現が一般的です。
時候の挨拶に続き、本題である「請求書を送付した」旨を簡潔に伝えます。「さて、下記の通り請求書をお送りいたしましたので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。」のような定型文を用いるとスムーズです。「ご査収(ごさしゅう)」とは、「内容をよく確認の上、お受け取りください」という意味の丁寧な言葉です。
本文で伝えた内容の詳細を分かりやすく示すために用いるのが「記書き」です。本文より下の、中央に「記」と書き、その下に同封書類などの情報を箇条書きで記載します。そして、すべての記載が終わったら、右下に「以上」と書いて締めくくります。
「記書き」の中に、送付する書類の内容と部数を明記します。これにより、相手は受け取った際に内容物の確認がしやすくなり、送付側も書類の入れ忘れを防ぐことができます。
【記載例】
この章では、コピー&ペーストしてすぐに使える請求書送付状の文例を、一般的なビジネスシーンと個人事業主・フリーランス向けの2つのパターンでご紹介します。貴社の状況に合わせて適宜修正してご活用ください。
法人間の取引で最も一般的に使用される、丁寧で汎用性の高い文例です。どのような相手にも失礼なく送ることができます。
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令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
経理部 御中
(ご担当者様名)
請求書送付のお知らせ
拝啓
貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、下記の通り請求書を同封いたしましたので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。
敬具
記
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書類名 |
数量 |
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ご請求書(No.00000000) |
1通 |
以上
〒000-0000
東京都千代田区丸の内0-0-0
株式会社△△
経理部 担当 鈴木 一郎
電話番号:03-0000-0000
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個人事業主やフリーランスの方が利用しやすい、少し簡潔にした文例です。基本的な構成は法人向けと同じですが、挨拶などを調整し、継続的な良好な関係を意識した表現にしています。
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令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
〇〇部 〇〇様
請求書送付のご案内
拝啓
時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。いつも大変お世話になっております。
先日納品いたしました「〇〇デザイン制作」の請求書をお送りいたします。お手数ですが、内容をご確認の上、ご対応いただけますと幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
敬具
記
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同封書類 |
枚数 |
|
ご請求書 |
1部 |
以上
〒000-0000
東京都新宿区西新宿0-0-0
クリエイティブスタジオ△△
佐藤 花子
電話番号:090-0000-0000
メール:hanako.sato@.com
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請求書を送付する方法は、主に「郵送」と「メール」の2種類です。近年は電子化が進みメールでの送付も一般的になりましたが、取引先の指定や慣習によっては郵送が求められる場合もあります。ここでは、それぞれの送付方法に合わせた送付状の文例と、押さえておくべき注意点を解説します。
紙の請求書を郵送する方法は、最も丁寧な形式です。特に初めての取引や、官公庁、大企業との取引では郵送が好まれる傾向にあります。請求書だけを送るのではなく、ビジネスマナーとして必ず送付状を同封しましょう。
※郵送する場合の送付状は、前章で解説した9つの必須項目を盛り込んで作成します。
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令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
経理部 御担当者様
株式会社△△
〒123-4567 東京都新宿区西新宿1-1-1
TEL: 03-1234-5678
担当: 鈴木
請求書送付のご案内
拝啓
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、下記の通り請求書を同封いたしましたので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。
敬具
記
請求書(No.12345) 1通
以上
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ペーパーレス化の推進や業務効率化の観点から、請求書をメールに添付して送付するケースが増えています。この場合、メールの本文が送付状の役割を果たします。郵送に比べて手軽ですが、件名や添付ファイルの形式など、メールならではのビジネスマナーが存在します。
※メールで送る場合は、件名で内容がわかるようにし、本文で用件を簡潔に伝えます。請求書は改ざん防止のため、PDF形式で添付するのが一般的です。
件名:【株式会社△△】請求書送付のご案内(2023年10月分)
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株式会社〇〇
経理部 御担当者様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の鈴木です。
2023年10月分の請求書(No.12345)をPDFファイルにて添付いたしました。
お手数ではございますが、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。
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添付ファイル:請求書_20231031_株式会社〇〇御中.pdf
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本メールと行き違いでお支払済みの場合は、何卒ご容赦ください。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社△△
営業部 鈴木 一郎
〒123-4567 東京都新宿区西新宿1-1-1
TEL:03-1234-5678
MAIL:suzuki@example.com
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請求書を送る際に、「これはどうすれば良いのだろう?」と迷いがちな細かな疑問について解説します。ビジネスマナーを守り、取引先と良好な関係を築くためにも、ぜひ参考にしてください。
結論から言うと、請求書や送付状への押印は法律で義務付けられているわけではありません。しかし、日本のビジネス慣習においては、押印するのが一般的です。ハンコを押すことで、その書類が正式に会社や個人事業主から発行されたものであるという信頼性や証拠能力が高まり、改ざん防止にも繋がります。
送付状に押印する場合、差出人情報として記載した会社名や屋号、氏名に少し重なるように押すのが一般的です。使用する印鑑は、法人の場合は「角印」、個人事業主の場合は「屋号印」や「認印」で問題ありません。契約書などで使用する実印や銀行印を使う必要はありません。
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印鑑の種類 |
主な用途と説明 |
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角印(かくいん) |
法人が発行する請求書や見積書、送付状などの一般的なビジネス文書に、発行元を証明するために使用する四角い印鑑です。 |
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屋号印(やごういん) |
個人事業主が屋号(店名や事務所名など)で活動している場合に使用する印鑑です。角印と同様の役割を果たします。 |
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認印(みとめいん) |
個人の氏名が彫られた印鑑です。個人事業主が個人名で請求書を発行する場合などに使用します。 |
なお、請求書をメールで送付する際は、電子印鑑を利用する方法もあります。取引先のルールを確認した上で、適切な方法を選びましょう。
送付状はビジネス文書であるため、手書きではなくパソコンで作成するのが一般的です。手書きの場合、読みにくくなる可能性があり、相手に手間をかけさせてしまう恐れがあります。また、パソコンで作成した方が、ビジネス文書としての体裁が整い、効率的に作成できます。
ただし、パソコンで作成した送付状に、手書きで一言メッセージを添えるのは丁寧な印象を与え、効果的な場合があります。「いつもお世話になっております。」といった定型文に加えて、「先日はありがとうございました。」などの具体的なメッセージを添えると、より心のこもったコミュニケーションに繋がるでしょう。
送付状全体を手書きにするのは避け、あくまでパソコンで作成したものを基本とすることをおすすめします。
送付状を付けずに請求書だけを送ることは、ビジネスマナーとして失礼にあたる可能性があります。特に、初めての取引や、まだ関係性が浅い相手に対しては、必ず送付状を同封するようにしましょう。
送付状には、以下のような重要な役割があります。
請求書は金銭のやり取りに関する重要な書類です。いきなり請求書だけを送りつけると、相手に事務的で冷たい印象を与えかねません。事前に取引先と「送付状は不要」という取り決めがない限りは、送付状を同封するのが丁寧で確実な方法です。
送付状は、誰から・誰へ・何を送ったのかを明確にし、取引先への配慮を形にするビジネス文書です。
宛名・日付・差出人・件名・頭語結語・挨拶・本文・記書き・同封書類の9点を押さえ、郵送なら体裁と封入順、メールなら件名と添付ファイル名・PDF化・セキュリティに気を配れば、失礼なく確実に届きます。ご紹介のテンプレートを土台に、案件名や感謝のひと言を加えて、明日からの実務にすぐお役立てください。